[Scene: Central Perk, later.]
セントラルパーク、その後。
歌手: Hey, Phoebe. (はーい、フィービー。)
フィービー: Hey, Leslie, how'd you know I'd be here? (はーい、レスリー。私がここにいるってどうやって知ったの?)
レスリー: I ran into Vlad at the place where they sell the big fish, and he said you played here a lot, so umm.... (ブラッドに偶然会ったのよ。ブラッドたちが大きな魚を売っている場所でね。それで、彼は言ったの。あなたがここでよく演奏してるって。それで…)
チャンドラー: (to Ross) All right listen, I have to go to the bathroom, but if the place with the big fish comes up again. I'd like know whether that's several big fish or just one big fish. ([ロスに] ねぇ、いい? 俺はトイレに行かなくちゃいけないんだけど、もしその大きな魚の場所の話がまた出てきたらさぁ。その the big fish っていうのは、何匹かの大きな魚か、それともたった1匹の大きな魚かのどちらかを俺は知りたいんだ。)
fish というのは、fishes という複数形もあるようですが、複数の場合でも、fish という形で使われることが多いようです。
ロングマン現代英英辞典では、
there are plenty more fish in the sea:
used to tell someone whose relationship has ended that there are other people they can have a relationship with
つまり、「海にはもっとたくさんの魚がいる」という文の意味は、「恋愛関係が終わったばかりの人に、恋愛関係を持つことができる人間は他にもいる、と言うために使われる。」
「世の中に男はゴマンといるって。星の数ほどいるって。」みたいなニュアンスの言葉ですね。
この fish も、1匹ではなくもっと多くの魚を指しているので、複数形なんだけど、見た目は単数形と同じ fish という形が使われている、ということです。
こういう単複同形の場合、定冠詞の the がついてしまうと、単数なのか複数なのかわかりません。
レスリーとフィービーはその場所を知っているので、二人の頭の中には、その the big fish のイメージが描かれているはずです。
でも、チャンドラーは、the big fish だけでは、それが単数なのか複数なのかわからないから、イメージすることができません。
俺がトイレに入ってる間に、今度話題に出て来たら、どっちかちゃんと聞いておいてくれよ、と言っているようです。
日本語には何とも訳しにくいセリフですね。
実際、それが単数であろうが複数であろうがどっちでも良いのですが、そういう些細なことが気になる、だって the fish だけじゃわかんないだろ?という感じのジョークですね。
魚を1匹だけ売っているということはないでしょうから、多分複数だと思うけど…(笑)。
ジョーイ: (to Leslie) So ah, Phoebe tells us you write jingles. ([レスリーに] それで、フィービーが教えてくれたんだけど、君はCMソング[ジングルズ]を書くんだってね。)
フィービー: Actually, I said she abandoned me to write jingles. (実際には、「彼女はCMソングを書くために私を捨てた」って私は言ったのよ。)
ジョーイ: (to Leslie) Ah, anything we might've heard of? ([レスリーに] あぁ、俺たちが聞いたことあるかもしれないのって何かある?)
レスリー: Ah, yeah, umm. (singing) Home is never far away (あぁ、そうね。うーんと。[歌って] ホームは決して遠くない)
モニカ、ロス、ジョーイ: (joining in) Home is Homestar Stew. ([一緒に歌って] ホームはホームスター・シチュー。)
レスリー: Yeah, but, I don't do that anymore. I got kinda sick of it, and then I couldn't come up with anything good, so they fired me. (そうね。でも、もうそれ[CMソングを書くこと]はしないの。ちょっといやになっちゃって。それで何もいいものが思いつかなくなって、それで首になったの。)
フィービー: Hmm, bummer. (あー、残念ね。)
レスリー: Well, I y'know, I was just, umm, I was just thinking and hoping, that umm, maybe you'd want to get back together? (そうね、ほら、私はちょっと考えていたの、そして願っていたのよ。あなたが、もしかしたら、元に戻りたいって思ってるんじゃないかって。)
フィービー: No, but, thanks. (ノーよ。でも、ありがとう。)
レスリー: Aw, come on, Phoebe. Would you just think about it? (あぁ、ねぇ。フィービー。ちょっとだけでも考えてくれる?)
フィービー: Okay. No, but, thanks. (わかったわ。ノーよ。でもありがとう。)
レスリー: Okay, ah, see you, Pheebs. (leaves) (またね、フィービー。[立ち去る])
ジョーイ: (to Phoebe) Wow, that was kinda brutal. ([フィービーに] わぁ。さっきのはちょっと残酷だったね。)
フィービー: Well, okay, let this be a lesson to all of you, all right. Once you, once you betray me, I become like the Ice Woman, y'know. I'm just very cold, hard, unyielding. Y'know, nothing, nothing can penetrate this icy exterior. (to Monica) Can I have a tissue, please? (そうね。これをあなたたち全員の教訓にしてね。一度でも、一度でも私を裏切ったら、私は「氷の女」になるわ。私はただただ、すごく冷たくて、きつくて、屈しない[譲歩しない]人間になるわ。この氷の外側[外を覆っている氷]を貫通できるものはないの。[モニカに] お願い、ティッシュをくれる?)
モニカ: Yeah, sure. (うん、わかった。)
"You write [She writes] jingles." ってフィービーが言ったと言うジョーイに、正確には、"She abandoned me to write jingles." と私は言ったのよ、と訂正するフィービー。
私が言いたかったのは、CMソングを書くために「私を捨てた」ということなんだけど、と言いたいようです。
ここでは、ジョーイが tell、フィービーが say と使い分けているのがポイントかな、と思います。
ハートで感じる英文法 大西泰斗/ポール・マクベイ著 Lesson 11 「英単語もイメージだ」の p.163 に、4種類の「話す」動詞(speak, talk, tell, say)の使い分けが説明してあります。
フレンズ3-1その17 では、talk と tell のニュアンスの違いについて触れました。
今回も「ハートで感じる」大西先生の説明を引用させていただきますと、
tell のイメージは「メッセージを手渡しする」感覚
say のイメージは「(ことば)を言う」という感覚
tell には、tell someone that ... 「…だと人に言う」という間接話法の用法があります。
Phoebe tells us you write jingles. が間接話法だとすると、Phoebe says to us, "She writes jingles." と書き換えることは可能かな、と思います。
ただ、実際に発言した言葉を言う場合には、Phoebe told us, Phoebe said to us と過去形になるのが自然でしょうか。
ジョーイが現在形の tell を使っているのは、「君がジングルズを書いている」という情報をフィービーが教えてくれるんだ、フィービーの情報によると…という感覚、「メッセージを手渡しする、情報を伝える」感覚なのでしょうね。
それに対して、私が実際に口に出して言った言葉は、She abandoned me ... なんだけど、と、say の過去形 said を使って訂正している、という流れです。
DVD英語字幕では、ジョーイの Phoebe tells us ... の部分が、Phoebe says you write jingles. となっていました。(ジョーイは実際には tells と言っています。)
ここはやはり tell の方が、ジョーイとフィービーの言いたいことの違いがはっきりして、面白いと思うのですが…。
ジョーイは say ではなく tell を使って、フィービーが教えてくれた内容を語った。(だから、フィービーの言った言葉そのままではない。)
フィービーは、そんな風に人の発言を勝手に編集しないで、という意味で、実際の発言はこうだった、と訂正した…という感じがします。
jingles は「CMソング」のこと。
ロングマン現代英英辞典では、
jingle [noun]: [countable] a short song used in advertisements
つまり、「広告宣伝で使われる短い歌」。
bummer は「いやなこと、がっかりすること」。
フレンズ3-11その29 にも出てきました。
即答で No. というので、少しだけでも考えて、とお願いするレスリー。
それに対して、少し考える仕草をしただけで、また、No. というフィービーが面白いです。
まぁ、面白いと言うより、それだけ「捨てられた」ことにこだわっている、忘れられない、ということでしょう。
No, but, thanks. という言い方も面白いですね。
「また前みたいに一緒にやろう。」と言ってくれていることに対しては、お礼を言っているのです。
それはありがたいとは思うけど、でもダメなのよ、ということですね。
レスリーがあんなに下手(したて)に出ているのに、容赦のないフィービー。
ジョーイはそれを brutal だと言っています。
それに対してフィービーは、「私を裏切るとどうなるかこれでわかるでしょ? 今のこの出来事を教訓にするのね。」と言っています。
文字通り「氷の女」になって、その氷の殻を破ることはできないのよ、ということです。
exterior の反対語は interior。
インテリアは日本語になっていますね。
penetrate は「…を貫く」。
でもそんな風に言いながらもつい涙ぐんでしまう…複雑な心境のフィービーです。
(Rach からのお詫び)
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けんしろうと申します。
英語学習のブログに興味があり、こちらを訪問しました。
膨大な記事の量と、詳細な解説とても参考になりました。
また訪問させてください。
よろしくお願いいたします。
はじめまして。私は50代のお父さんです。子供たちも成人して、英語学習はとっくに卒業(あきらめていました)しているつもりでした。先日、早朝にケーブルTVをつけるとフレンズが放映されていました。くだらないと思いながら見ていますと、会話の内容が子供たちが話しているような内容と似ているのに気づきました。朝の4時に眼がさめるのは年寄りの仲間入りかと思いながら、こんな事やあんな事、そんな事をしているうちにこのサイトにめぐり合いました。さっそく、ツタヤでDVDをレンタルしました。単語はやさしいですが、訳すとなると私には結構むづかしいです。まして、聞き取るのはCNN以上に困難に思います。こんなおじさんですがRachさんのご指導で何とか頑張りたいと思っている次第です。宜しくお願いいたします。
はじめまして。ご訪問&コメント、ありがとうございます。
確かに、量だけは膨大なのですが(笑)、「詳細な解説」とお褒めいただき、光栄です。ありがとうございます。
お役に立てるかどうかわかりませんが、私なりに頑張って行きたいと思っています。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
アルクハイデルさんへ
はじめまして。ご訪問&コメント、ありがとうございます。
「くだらないと思いながら見ていますと」というコメント、よーくわかります(笑)。私は「くだらない」とまでは思わなかったのですが、最初に見た時、「これが全米視聴率 No.1 のドラマなの?」と、ちょっと拍子抜けした記憶があります。ただの日常を描いているドラマなので、ストーリーが波乱万丈、ということはないですからねぇ。
でも、アメリカ人も私たちと同じように、普段はこんな会話をしてるんだ、と思うと、アメリカという国がとても身近に感じられて、英語という異国語にも親近感が沸いてきます。普段、私たちが話しているような内容をアメリカ人に話す時は、こんな風に表現すればいいんだ、ということがわかってくると、楽しいです。
DVDをレンタルして見てみよう!と思って下さったこと、こういうサイトを運営している者として、とても嬉しいです。おっしゃる通り、出てくる単語はやさしいですよね。やさしい単語ほど、使い道が豊富で、いろんなニュアンスを持っているために、イメージを掴むことが難しいようです。またリスニングも、早口だし、話し方がラフなので、聞き取りにくいでしょうね。でもこれに慣れてくると、ニュースやリスニングテストでは聞き取るのが楽になると思います。
私も「アラフォー(around 40)のお母さん(まだ、30代後半だと言うことも可能…笑)」なのですが、希望を捨てずに(?)頑張っています。一緒に、フレンズで英語を楽しく学んでいけたらいいですね。こちらこそ、これからも宜しくお願いいたします。