2008年07月01日

最後の瞬間まで我慢するゲーム フレンズ3-14その3

[Scene: Outside the bathroom, Chandler is pacing back and fourth, waiting to use it.]
トイレの外。チャンドラーは行ったり来たりして、トイレを使うのを待っている。
ガンター: (to Chandler) Someone in there? ([チャンドラーに] 誰か中にいるの?)
チャンドラー: No. This is just part of a daredevil game that I play called "Wait Until the Last Moment Before I Burst and Die." (いいや。これはただ、俺がやってる耐久ゲームの一部にすぎないんだよ。名前は「俺が爆発して死ぬ直前の最後の瞬間まで待つ」っていうゲームだ。)

最初のト書きの部分、ネットスクリプトでは、Chandler is pacing back and fourth, waiting is use it. と書いてあるのですが、waiting to use it ということだろうと思います。(ので、上のト書きは訂正してあります。)

back and forth は「前後に、行ったり来たり(して)」。
直訳すると「後ろに、そして、前に」ですから、「前後に」という日本語と順序が逆ですね。

誰かいるのか?と聞かれて、誰もいない、と答えるチャンドラー。
本当は中に人がいるから、その前をうろうろしてまだかな〜と待っているわけで、見れば誰でもわかることなのですが、そんな当たり前のことをわざわざガンターが尋ねるので、いつものジョークで返しているのです。
「そうなんだ、中のやつ、ちっとも出てこないんだよ。」と答えるのではなく、「中に人はいないけど、自分が最後、どこまで我慢できるかっていうゲームをやってるところなんだ。」と答えているわけですね。

daredevil は「向こう見ずの」
「デアデビル」(原題: Daredevil)というアメコミ・ヒーローの映画もありましたね。
Wikipedia 日本語版: デアデビル
Wikipedia 英語版: Daredevil (Marvel Comics)
「向こう見ず」のヒーローだから、その名前が Daredevil となっているようです。

dare は動詞で、dare to do だと「あえて…する、思い切って・恐れずに・大胆にも…する」という意味になります。
dare の後に直接、目的語を取った形だと、「…をものともしない、…に敢然と立ち向かう」という意味になります。
ですから、dare devil 「悪魔に立ち向かう」ことから、daredevil という単語ができたのでしょうね。(意外と辞書には語源が載っていないのですが、語源はこれしか考えられないというか…笑)

ここではそんな大げさな話ではなく、限界に挑戦するゲーム、みたいなニュアンスでしょう。
burst 「爆発する」という単語が、トイレを我慢していて我慢しきれなくなった(笑)時の日本語のイメージと重なるようで、面白いですね。


(The door opens.)
ドアが開く。
チャンドラー: Jeez, man! Did you fall...? (sees it's a beautiful woman coming out of the men's room) Hi! So ah, did ya, did-did-did ya fall high? (おい、お前! お前は落ちてたのか…? [男性トイレからきれいな女性が出てくるのを見る] はーい。それで、君は、君は、高いところから落ちたの?)
女性: Someone was in the lady's room. I couldn't wait. I left the lid up for you, though. (誰かが女性用トイレにいたのよ。私は待てなかったの。フタはあなたのためにあげておいたけどね。)

中から出てきた人に向かって、文句を言おうとしたら、きれいな女性だったので、とっさに言おうとしていたセリフを止めて、Hi! と挨拶しています。
Did you fall...? とは、トイレの便器の中に落ちてたのか、はまってたのか?みたいなことでも言いたかったのでしょうか?
洋式トイレであることを考えると、fall という表現もヘンな気がするのですが…。
とにかく、チャンドラーは「遅いなー」とイライラしていて、その怒りをジョークで表現しようとしたのですが、相手が女性だったので、その続きを言うのをやめたのですね。

なぜ、fall high と言ったかというと、上のセリフでは、間にト書きが入っていてわかりにくいのですが、実際のチャンドラーのセリフは、"Jeez, man! Did you fall... Hi!" のようになっていて、それが fall high と同じ発音になるのですね。
音声を聞いてみるとよりはっきりするのですが、
Did you fall... Hi!
Did you fall high?
が同じ感じに聞こえます。
ですから、俺が言おうとしたのは、Did you fall high? なんだよ、という感じで、言い直しているのです。

fall high というのもよくわからないのですが、恐らく、「高い所から落ちる」という意味だろうと思います。
「fall high したの?」というのもよくわからない質問で、高いところから落ちて、中で気を失ってたの?とでも言いたいのかなぁ?
ここでは慌てたチャンドラーがとっさに、fall... Hi! を、fall high と言い換えただけ、と解釈すればそれでよいのでしょうが。

相手はチャンドラーの言いたいことがわかったようですね。
なぜ男性用トイレに入っていたかの理由を述べています。
「待てなかった」という発言は、えらく正直というか、女性がそこまで言わなくてもいいのに、みたいな感じもしますが、彼女が気取らない性格の人であることを表してもいるのでしょうか?


(Gunther walks up)
ガンターが歩み寄る。
チャンドラー: (to Gunther) Y'know what, Gunther? Go ah, go ahead, I'm-I'm talking to ah, (tries to get her to say her name). (to her) This is the part where you say your name. ([ガンターに] ねぇ、ガンター。ど、どうぞ。僕は話をするから… [彼女が名前を言うように試みる] [彼女に] ここが君が自分の名前を言うところだよ。)
女性: Ginger. (ジンジャーよ。)
チャンドラー: Ginger. I'm talking to Ginger, so.... (ジンジャー。僕はジンジャーと話をするから、だから…)
ジンジャー: Don't you have to use the bathroom? (あなたはトイレを使わなくてもいいの?)
チャンドラー: Nope, nope, I'd just ah, I'd rather talk to you. (pause) Yes, I do. Yes, I do have to go to the bathroom. (knocks on the door) (いや、いや(使わなくてもいいんだ)。 俺はただ、俺は君と話す方がいい。[一呼吸あって] そうだ、やっぱり使わないと。そうだ、俺はトイレに行かないといけない。[ドアをノックする])
ガンター: Someone in here. (入ってますよ。)

ガンターは、さっきチャンドラーが「我慢するゲームをしてるんだ」と言っていたのを素直に受けて、トイレに入ろうとします。
それを止めるわけにもいかず、僕はこの人と話をするから、と、talking to ... と言った後、沈黙しています。
普通は、そこで、彼女が察して、talking to... ○○. I'm ○○. と名乗るはずなのですが、そういうリアクションがないので、チャンドラーは率直に、「ここで君の名前を言うんだよ。今、名前を言う時だよ。」と言っています。

せっかく美女と知り合えたチャンス、と思って、おしゃべりしようとするのですが、やっぱりトイレが我慢できないことに気付くチャンドラー。
さっきは Nope と言ったけど、つまり、
No, I don't have to go to the bathroom.
だと言ったけど、やっぱり、
Yes, I do. Yes, I do have to go to the bathroom.
と言い直しているのが面白いですね。
have to を do で強調しているのもポイントです。

「コンコン」「入ってます」と言いますが、英語ではこのように答えるんでしょうか?
「誰かがここにいますよ。」ということですね。
I'm in here. 「私はここに入ってます。」とは言わないんですね。
「私が」という主語が誰であるかが問題ではなくて、「今、使っている人間がいますよ。」ということがポイントだからでしょうか。
日本語でも、「私が(今)使ってます」とは言わずに「入ってます」と言うので、感覚は同じでしょうか?


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posted by Rach at 17:28| Comment(4) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
楽しく拝見しています。ありがとうございます。

ところで質問があります。
今のような学習をされて、リスニングやライティング、リーディングの力が向上されたようなのですが、もう一つ大切な言語運用能力である『スピーキング』の方はどう変化があったかもしよろしかったら教えてくださいませんか?
DVDによる学習の中では、自分から声を発してだれかと英語でコミュニケーションはしていないと認識さえていただいたのですが、
普段から口語を耳に親しんでいることで、アウトプットも得意になりましたか?(もちろん向上が0か1かと言われたら1だとは思うのですが)

というのも、通常の早い会話の中にまぎれても、対応できるようなスピーキング能力は、口によるアウトプットのない学習環境でも身につくのか、お聞きしたいと思ったのです。こうお聞きしたかったのは、私自身は、自分の過去の学習のなかで、「聞いて同時に回答を考えて、さらにその予測できない応答に対応していく」スピーキングというものは、かなり『慣れ』=スピーキングを行える環境にいること、が大切だと思うにいたったからです。
実際に、「知って」いても試験でよい点が取れても、それを「アウトプット」できるかは、やはり慣れにかかってくると思っているのですが、ご自身の経験を踏まえてどう思われますか?もしよかったら教えてください。よろしくお願いします。
Posted by amako at 2008年07月03日 13:27
amakoさんへ
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、スピーキング力を身に付けるのは難しいですよね。こればっかりは、やはり「話す」という行為の場数を踏まないと、なかなか伸びないのかなぁ、とは思っています。

英検1級を受験した時も、一番ネックとなったのはそこでした。どうやってスピーキングを訓練したら良いのかなぁ?と。いつも複数の会話であるドラマを聴いているお陰で、「会話のイメージ」とか、「言いたいことを文章として組み立てるイメージ」みたいなものはできるようになってくるようです。ただそれをきちんとクリアな音声として、相手にわかるような形でよどみなくスピーキングできるか、というと、これはやはり何かしらの訓練が必要なような気がします。

私は普段の日常生活では、ネイティブの方と話す機会がないので、とりあえずは英検二次面接試験に通るためのスピーキングができるにはどうすれば良いか?を考えました。それで、普段から、「家で独り言をぶつぶつ英語で言う練習」をしました。家事をしている時などに、考え事をしますよね。その時に、考えていることをあえて口に出して英語で話すのです。誰かが傍で聞いていると仮定して、その人相手に自分の考えを披露する練習、というか。
これは、独りよがりな練習なので、誰かに間違いをチェックしてもらうこともできませんし、相手の反応を確かめることもできませんね。そういう意味では効果はいかほどか?とも思うのですが、「すっと言葉が口から出る」ためには、そういう練習も効果的だったかな、と思っています。

英文ライティングの場合も、その書くスピードが上がってくると、スピーキングの上達に寄与するような気はします。ラフながらも、書くことがそれなりに思いつくようになってくると、多分それを口に出してもしゃべれるだろうと。ですから、私のように独学で、とりあえずしゃべる相手が傍にいない場合は、とにかく自分の考えをライティングできるようにして、そのスピードを上げていく、というのも一つの手かな、と思っています。
Posted by Rach at 2008年07月05日 09:06
Rachさん

ご丁寧なお返事、大変うれしく思います。ありがとうございます。

たしかに、そうですよね。スピーディにライティングできるようになってスピーキングがあがるのか、スピーキングできるようになってスピーディにライティングができるようになるか、どちらにせよスピーディに考えを示せるようになれば声か書くかの違いでアウトプットできますよね。
英検の2次に通られたということは、すごく高いスピーキング力があるのだと思います。

これからもブログ楽しみにしています。本当にありがとうございました!! ^-^
Posted by amako at 2008年07月08日 09:32
amakoさんへ
こちらこそ、ご丁寧なお返事ありがとうございます。
英検の二次試験は合格点の60点ギリギリだったので(笑)、あまり自慢できたものではありません。ただ、合格した時は、それなりのスピードで、それなりに自分の意見は言えたような気がしました。
やはり、アウトプットの練習は実際に書いてみるか、声に出してみるかをしてみないといけないようですね。
Posted by Rach at 2008年07月12日 08:03
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