2008年07月03日

晴山陽一氏の「英語ベストセラー本の研究」を読んで(その1)

日経新聞の中面広告を見て、面白そうな本だな、と思い、購入しました。
それが、晴山陽一氏の「英語ベストセラー本の研究」です。
アマゾンではこちら(↓)。
英語ベストセラー本の研究 晴山陽一 (幻冬舎)

思った通り、実に面白い本でした。
戦後60年のベストセラー英語本を取り上げ、その中の印象的な箇所を取り上げる、という形式になっています。
晴山氏がプロローグで、「先人の労作から英語学習のヒントを拾い集め」と表現しておられますが、まさにそういうヒントが満載の本です。

私の言葉と比較するのもおこがましいのですが、私も過去記事、学習法から何を学ぶか? (私が著書で訴えたかったこと その2) で、「人が語る勉強法・学習法は、自分の学習法の参考にするためのヒントでしかない。」と述べています。
でもそのヒントが、自分の学習法を見つけるのに大いに役立つのです。

晴山氏の本の p.201 に野口悠紀雄氏の言葉が引用されているのですが、

第二に重要なのは、英語勉強本の本など読まず、ただちに英語の勉強そのものを始めるべきことである。

この部分を読んで、声に出して笑ってしまったのですが、本当に「全くその通りです!」と言うしかありません。
この本に紹介されているような、多くの有用な英語ベストセラー本が登場したにも関わらず、日本人全体の英語力が飛躍的に伸びた感じがしないのは、そういう本を読んだ後、「ただちに英語の勉強そのものを始めた人の割合が少ないから」なんでしょう。
そしてそれを「一定期間続けた人」となるとさらに少なくなる、と。

「ある学習本を1冊読めば、英語ができるようになった!」ということはあり得ません。
学習法のやり方を述べているだけで、実際に本人がやってみないことには始まらないのです。

このようなベストセラー英語本を読んで気付くこと、それは、こんな本を出しておられるような英語の大家(たいか)の方々も、皆さん、ものすごい時間と労力をかけて英語を学んで来たのだ、という事実です。
それを思うと「私はこんなにやってきたのに…」と思うことすら恥ずかしい。
そのことに気付くだけでも、大きな意味があるかもしれない、と思います。

p.130 に「日本人の英語」のマーク・ピーターセン氏の言葉が載っています。

"I hate English!" とつい英語で叫んでしまうくらい、英語の「頭脳環境」に入ってみてほしいと思う。

ピーターセン氏は、「日本人の英語」の「はじめに」の部分で、「日本語を書く」ことについて述べておられます。
その部分がまた非常に印象深いので、これは、「日本人の英語」(p.8)から直接引用させていただきます。
(晴山氏が引用しておられる部分の直前の文章になります。)

ところで私自身は、この2年間、日本語を書く仕事が多かったが、まだそれに慣れていない。いまだにフラストレーションばかり感じている。語彙が限られているし、言い方が自然であるかどうかは、自分の判断力だけでは自信が全然ない。いくら時間をかけて書いたとしても、書き上がったところで、「いいものが書けたな」という満足感を得たこともない。

これは、日本人お得意の「謙遜」ではなくて、ピーターセン氏の「実感」なんだと思います。
晴山氏の表現(p.129)をお借りすると、ピーターセン氏は、
日本語で岩波新書が書けるほど日本語に堪能なアメリカ人の著者
なのです。
その人をして、「フラストレーションを感じる、自信がない、満足感を得たことがない」と言わしめるほど、外国語で書く、ということは難しいことなのですね。

だからと言って私自身の英文ライティングの出来が悪いことを開き直るための理由として使うつもりはありません。
ピーターセン氏ですらそうなのだ、だから私はそういうことを感じるのは当然なんだ、そう感じたからって英語を学ぶことをあきらめる必要はないんだ、むしろそこであきらめてはいけないんだ、と思えるのです。


ちょうど「英語ベストセラー本の研究」の発売に合わせて、日経ビジネスオンラインで、
晴山陽一の「本で変わる、あなたの英語」 ベストセラー英語本から見えてきたもの
というコラムが集中連載されています。
それをご覧になると、この本の概要がわかります。

第1回 ベストセラー英語本は語る〜 最初の課題は「学習への抵抗感」なのだ に「英語学習のコツ」が5項目書いてあります。
また、その項目をあえて逆の言い方にして、ポイントをわかりやすく説明しておられます。

その逆の言い方の中では、

1. 英語に抵抗感を持っていたら、学習は続かない。
4. 一朝一夕に英語力がつくというのは幻想に過ぎない。


という部分に激しく同意します。
さらには、その後に書いてある「文法も大事だ!」という部分にも共感します。

自分の学習法と比較するのは、これまたおこがましいのですが、やはり、英語の堪能な方と方向性が同じである、ということは大きな自信となります。
自分のやり方をこのまま続けて行っていいんだ、と信じることができます。

私は私なりの方法を確立し、それを元にこのブログを3年間書いてきました。
そしてその学習法を1冊の本 シットコムで笑え! 楽しくきわめる英語学習法 にもまとめました。
いつも言っているように、私は「英語を職業としている英語のプロ」ではないし、私が何を言ったところで「いち英語学習者」としての意見でしかありません。
でもその中にも「英語を学んで来た者」としての真実が必ずある、と思っています。

受験勉強のように勉強することに対しては、どうしても抵抗感が生まれます。
だから、私は「難しい」ことを承知で、海外ドラマ、それも笑い声の入るシットコムを題材に選んでいます。
作品として魅力的なものであることが重要なのです。
英語を学ぶには必ず「続ける」ことが必要、だから、「続けられるような魅力的な題材」を選んでいるのですね。
その部分が、晴山さんの挙げられた 1. と 4. に通じるものがあると自分では思っています。

実際に自分が時間をかけてやらないことには身に付かないものであるからこそ、間違った方向に時間を費やしてはいけません。
その方向を間違えないための、自分に一番合った方法を探すための先人の言葉、それが凝縮された本が、今回ご紹介した晴山氏の本です。
皆さんも、是非読んで下さい。

この本については語りたいことがありすぎるなぁ(笑)。
次回 も、この本について語らせて下さい。


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(追記1)
超有名な書評ブログ、聖幸さんの 俺と100冊の成功本 でも、この本が紹介されています。
「英語ベストセラー本の研究」英語学習法の黄金律とは:俺と100冊の成功本
本の内容を詳しく書いて下さっていますので、興味のある方は是非ご覧下さい。

(追記2)
この記事を書いたことで、著者の晴山陽一さんご本人とコメント欄でお話させていただけるようになりました。
また、大変光栄なことに、晴山さんご自身のサイト 晴山陽一オフィシャルサイト私の本棚から のページで、私が書いた本、シットコムで笑え! 楽しくきわめる英語学習法 を紹介して下さっています。

晴山さんがコメントを入れて下さった記事はこちら(↓)。
晴山陽一氏が拙著を紹介して下さいました
そうだったら良かったのに フレンズ3-14その8
ここは笑うべきところ? フレンズ3-14その10

そして、とても嬉しいことに、私にサイン本(!)を送って下さいました。
その本について語った記事はこちら(↓)。
晴山陽一さんの「使える英語すごいノウハウ」を読んで(その1)
「使える英語すごいノウハウ」を読んで(その2)
「知的生産のためのすごい!仕事術」を読んで

晴山さん、本当にありがとうございます!
posted by Rach at 11:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お世話になっております。
以前コメントさせていただいた、けんしろうと申します。
こちらのブログをあらためて拝見させていただきました。
やはりその詳細な解説がとても役に立ちます。
今回の記事もとてもわかりやすく、英語の勉強はただちに始めるというところもとても参考になりました。
こちらのブログは相互リンクをされていないというのが、とても残念です。
私のブログでRach様のブログのリンクをさせていただいてもよろしいでしょうか?
URLを登録いたしましたので、ブログを見ていただけるとこれほどの光栄はございません。
今後もよろしくお願いいたします。
Posted by けんしろう at 2008年07月03日 22:00
けんしろうさんへ
またお越しいただき、ありがとうございます。また、ブログの内容についてお褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。

サイドバーに書いてありますように、当ブログは相互リンクを行っていないのです。その点については誠に申し訳ありません。
けんしろうさんのブログから私のブログへリンクしていただけるとのお話は、大変光栄に思います。ありがとうございます。

けんしろうさんのブログには、後ほどお邪魔させていただきます。こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by Rach at 2008年07月05日 09:12
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