2008年08月01日

悪くなって車を盗む フレンズ3-14その14

[Scene: The lecture, Ross passes out against Rachel's shoulder.]
講演。ロスはレイチェルの肩にもたれて意識を失っている[眠っている]。
講演者: ....oversized bracelets, oversized earrings, oversizing of accessories, in general, is very popular now. (…特大のブレスレット、特大のイヤリング、アクセサリー(のサイズ)を特大にすることは、一般的に、今はとてもポピュラー[人気]となっています。)
(Ross wakes up with a start and startles Rachel. The guy next to him starts laughing, which starts Ross laughing, Rachel gives him a look and he stops.)
ロスはびっくりして目が覚めて、レイチェルを驚かせる。ロスの隣の男性は笑い出し、それがロスを笑わせる。レイチェルはロスに視線をやり、ロスは笑うのをやめる。

ト書きの最初の部分ですが、ネットスクリプトには、
The lecture, Ross is passed out against Rachel's shoulder.
と書いてあります。
is passed out は、passes out の間違いかな?と思うので、上では訂正しました。
pass out は「意識を失う」という意味ですから、be passed out と受動態にする必要はないように思います。
ロングマン現代英英辞典では、
pass out (phrasal verb): to become unconscious
例) I nearly passed out when I saw all the blood.

つまり、「意識がない状態になること」。
例文は、「その血を見た時に、私はほとんど気を失いそうだった。」

pass away だと「死ぬ」の婉曲表現になりますね。

against Rachel's shoulder の against は「…にもたれて、…によりかかって」。
lean against (be leaning against) や be propped up against だと、「(はしごなどが)(ビルなどに)立てかけられている、寄りかかっている」という意味になります。
このフレーズは、TOEIC Part 1(写真問題)の頻出フレーズですね。
(新公式問題集 p.90、新公式問題集 Vol.2 p.94 にも出ています。)
lean on となる場合もあるようです。on の場合は「接触」のニュアンスが強まるでしょうか。

そういえば、ト書きというのは映像を文章にしたものですよね。
あの TOEIC の写真問題も、「写真で描写されている内容を文章にするとどうなるか?」を問う問題なので、ネットスクリプトを使って、映像とト書きを見比べるクセをつけることは、あの手の問題に強くなることに繋がる…ような気もします。

oversized について。
ロングマン現代英英辞典では、
oversized [adjective]: bigger than usual or too big
つまり、「通常よりも大きい、または大きすぎる」。

ですから、oversized earrings は、ただの大き目のイヤリング、というよりは、「でかっ!」と言いたくなるような、過剰にでっかいイヤリングのイメージなのかな、と思います。
やたらとデカいアクセサリーをつけるのが、今の流行ですよ、という内容ですね。
このエピソードの放映は 1997年なのですが、当時、そういうのが流行だったかどうかは…私は知りません(笑)。

Ross wakes up with a start and startles Rachel. というト書きがちょっと興味深い。
この名詞の start は「驚いてハッとすること、びっくり、飛び[跳び]上がり」という意味です。
そして、動詞の startle は「人をびっくりさせる、飛び上がらせる」という意味。
研究社 新英和中辞典には、
startle (語源) start+-le
と書いてありますので、start と startle は関連語ということのようです。

その後も、偶然なのか意図的なのかわかりませんが、The guy next to him starts laughing, which starts Ross laughing.... と start という動詞が2回使われていますね。
この start は我々がよく知っている「始める」という意味で、「隣の人が笑い始めて、それがロスを笑わせ始める」みたいなことですね。

give him a look は「ちらっと彼を見る、彼女に視線を向ける」。
フレンズ3-11その9 にも、give her a look というト書きがありました。
どちらも、「あえてはっきりと不満の内容を口には出さないけれど、何かしら言いたげな視線を向ける」という感じです。
その怒っている目を見て、ロスは笑うのを止めるのですね。


[Scene: Chandler and Joey's, Chandler is reading the newspaper.]
チャンドラーとジョーイの部屋。チャンドラーは新聞を読んでいる。
モニカが部屋に入ってきて、
モニカ: Oh, can I borrow this? (points to his milk) My milk's gone bad. (これ借りてもいい? [彼のミルクを指差す] 私のミルクは悪くなっちゃって[腐っちゃって/品質悪くなっちゃって]。)
チャンドラー: Oh, I hate that. I once had a thing of half-and-half. Stole my car. (あぁ、それっていやだよね。俺もかつて、ハーフ・アンド・ハーフ[ミルクとクリームが半々のもの]が嫌いだった。俺の車を盗んだんだ。)

half-and-half について。
英辞郎に
half-and-half=(名詞2)ミルクとクリームを半々に混ぜた飲料
という語義が載っています。
ミルクの話題なので、多分、この意味だろうと思います。

have a thing of がよくわかりません。
have a thing for や have a thing about は辞書に載っているのですが…。
of を使っているのが、よくわからないのです。

ざっと英和辞典を見たところ、
have a thing for は「…が好きだ」で、
have a thing about は「…が好きだ」と「…が嫌いだ」という意味の両方があるようです。
ロングマン現代英英辞典では、have a thing about のみ載っていて、
have a thing about somebody/something:
(informal) to like or dislike someone or something very much, often without a good reason

つまり、「しばしば、もっともな理由もなく、誰かや何かをとても好き、または嫌いであること」。

英辞郎には、
have a thing about=〜について独特の[特別な]考え方[感情]を持っている
という語義も載っています。
その a thing は「とあること」という感じで、「好き」とか「嫌い」とか、その対象物に対して、何かしらの感情・考え(あるいは「こだわり」)を持っている、というようなニュアンスなのでしょう。

辞書とは異なり、今回のセリフでは、have a thing of と of が使われているのですが、その have a thing のニュアンスはやはり同じなのでしょうか?

もしくは、have a thing of で、「…の”あること”を持つ」、つまり、of 以下のことに関して、何らかの出来事があった、「ハーフ・アンド・ハーフで、(俺もそんな感じの)ある出来事があったんだ。俺の場合は、ハーフ・アンド・ハーフでちょっとしたことが起こったんだ。」みたいなニュアンスを表している、という可能性もあるのかなぁ??

このチャンドラーのジョークは、go bad 「品質が悪くなった、腐った」を、「品行が悪くなった、ぐれた」という風に解釈して、ミルクという食品を擬人化して語っているのですね。
恐らくチャンドラーの言いたいことは、
「モニカはミルクか。俺の場合は、ハーフ・アンド・ハーフで、そいつには困ったよ。」
My half-and-half had gone bad and he stole my car. 「俺のハーフ・アンド・ハーフは悪くなって、俺の車を盗むことまでしたんだ。」
みたいな感じでしょうか。

日本語でも「悪くなる」には「ぐれる」というニュアンスがありますので、ジョークの意味は何となくわかる気がします。


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posted by Rach at 06:40| Comment(3) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは! 毎日、暑いな〜

さて、"I once had a thing of half-and-half." ですが、私は単純に、a thing を、悪くなること(腐ること)と受け取って、「俺もかつて、ハーフ・アンド・ハーフの『そういうこと』あったよ。/ うちにも前、悪くなったハーフ・アンド・ハーフがいたよ。」で、「俺の車を盗んだんだ。」と続くのではないでしょうか。

なので、Rachさんが後半述べられている
>もしくは、have a thing of で、「…の”あること”を持つ」、つまり、of 以下のことに関して、何らかの出来事があった、・・・
と同じかな、と思います。
Posted by まゆみ at 2008年08月01日 11:40
はじめまして。私も最近フレンズで英語学習しているので、Rachさんのブログ訳を参考にしています。

ところで、フレンズをシーズン1から学習用に見始めてだいたいシーズンいくつぐらいで英語がわかるようになってきましたか?
私は物語が面白いので先に見てしまっていてシーズン6なんですが、解釈はRachさんに合わせて3です。解釈(RachさんのいうところのDVD学習法5の段階)が終わってからもう一度見たりしてるんですが、全然わかりません(涙)全く光が見えてこない・・・

Rachさんはどれぐらいでわかってきましたか?
Posted by mika at 2008年08月01日 15:37
まゆみさんへ
コメントありがとう! ほんまに毎日、暑いよねぇ〜?

辞書を見ると、have a thing for/about というのが「好き嫌いの感情」を表す表現として載っているので、今回もそんな感じなのかな?と思ったのですが、「悪くなること」という「こと」を表すと考えた方が、文脈上もしっくり来る気がしますよね。

私も今は、私が書いた後半のニュアンスなんだろうなぁ、と思っています。それを支持するコメント、ありがとうね!


mikaさんへ
はじめまして。ご訪問&コメント、ありがとうございます。

「どれくらいで英語がわかるようになったか」というのを説明するのは難しいんですよね〜。少なくとも私の場合は、「このエピソードから、ものすごくわかるようになった」という劇的なものではなかったのです。

私の学習法は、
第1段階で、「前よりもどれだけわかるようになったか」というのを「自分の中で」感じる。
第5段階で、セリフを深く解釈することで自分の中にインプットを増やしていく。
という、ある意味「2本立て」なのかな、と思っています。

「解釈して初めてわかる」のと、「予備知識なしで聞いて問題なくわかる」との間はとても遠いです。でも、「ネイティブのように普通に理解できる」ようになる前にはまず、「解釈してそれなりにニュアンスを掴める」ようになることが先決です。

私の中では、シーズン1が終わってシーズン2に進む頃に、何となく光が見えてきた気がしたかなぁ?
その「光が見える」というのは、「バッチリわかる」という意味では決してないのです。ところどころ、英語のセリフのままでも、彼らの言いたいことがわかる、というような感覚的なことですね。

セリフには短いものと長いものがあって、シンプルなものと複雑なものがあります。まずは短くてシンプルなものを、英語を聞いた瞬間にパッとイメージできるようになっていくことから始めるべきだと思っていて、そうやって、少しずつわかる部分を増やしていく感覚なのですね。
そして、聞いただけではわからない部分は、そのセリフのニュアンスや感覚を、自分なりに調べて分析する、その分析の積み重ねが、自分の中にインプットとしてたまっていく、ということでしょうか?

やはり「見たことも聞いたこともない言葉」を理解することはできません。自分の中に蓄積されているインプットと繋がって初めて「わかる」という感覚に繋がるのだろうと思います。ですから、インプットが少ない間は、わからなくて当たり前だし、インプットが増えるにつれてわかる部分も増えてくる、ということです。
ですから「わからない」と涙するのではなく、まずはじっくりそのセリフを分析して、「この英語はこういう感覚になるのかぁ〜」と理解することをポイントに置かれた方が良いかなぁ、と。

私自身、「すぐにわかるようになるわけない」と思っていたので、「わからない」ことでヘコんだりはしませんでした。ただその英語のセリフの仕組みを紐解くのが楽しかっただけで、その「紐解き方」みたいなことがわかるようになった結果、英語のセリフがわかるようになってきた…「わかる」ということは結果として付いてきた、という感じなのです。

何だか抽象的な説明になってしまって申し訳ありません。「いつになったらわかるようになるのか?」という部分は、学習者が一番気になるところですよね。「短期間でTOEICの点数を上げた人」の勉強法を知りたい、という気持ちもそれと同じでしょうか。
TOEICもそうですが、結局、問題が解ける、ということは、テクニックうんぬんよりも、「問題を解くための知識があったから解けた」という結果ですね。コロケーションを知っていたとか、動詞を修飾するのは副詞だという文法事項を知っていた、とか。
ドラマのセリフもそうです。そのフレーズを別のところで聞いたことがあるから、次に聞いた時にわかる、ということの積み重ねだと思っています。

ですから、「いつ」という時期にはあまりとらわれずに、自分の中で知識を整理しつつインプットをためていくことを中心に学習を進めて行かれた方が良いのではないかと思います。

あまり参考にならない意見で申し訳ありません。わかりにくい部分があれば、ご遠慮なくお尋ね下さいね。
Posted by Rach at 2008年08月03日 13:02
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