2008年08月03日

望み薄だけどひょっとして フレンズ3-14その15

モニカ: So umm, how was your date with Ginger? (それで、ジンジャーとのデートはどうだった?)
チャンドラー: Great. It was great. She's ah, she's great. Great looking, great personality. She's greatness. (最高。最高だったよ。彼女は、ルックスも最高で、性格も最高なんだ。彼女は(まさに)「最高」だよ。)
モニカ: Sounds like she's got the ah, whole package. (まるで、彼女は全部揃っているパッケージを持ってる、みたいな言い方ね。)
チャンドラー: Joey told you about the leg, huh? (ジョーイは足のことを話したんだな?)
モニカ: Uh-huh. (えぇ。)

チャンドラーがジンジャーについて語る言葉について。
She is great. だけでは物足りなくて、looking も personality も great だと言った後、She's greatness. とまで言っています。
彼女が greatness という抽象名詞が象徴するそのものなんだ、みたいな感じでしょうね。

チャンドラーがベタ褒めするのに対して、モニカは、"Sounds like she's got the ah, whole package." と言っています。
それを聞いて、チャンドラーは、ジョーイが一連の義足に関することを話したことに気付きます。
モニカが意味ありげに、the whole package という言葉を使ったからですね。

研究社 新英和中辞典では、
package=一括して売られる[提供される]もの
という語義があります。
そこに whole 「全ての、完全な」という形容詞もついていますので、the whole package は、そういう「必要なものが全てセットになった、まとまり」みたいな感じでしょうか。

「ルックス良し、性格良し」で、理想の恋人となる条件が全てパッケージの中に入ってる、揃ってる、みたいに言うのね、というニュアンスのセリフになるわけです。
それを聞いてチャンドラーは、ジンジャーが義足であることをモニカが知っている、ということに気付くわけです。
このやり取りもまた、ここで笑ってしまったらマズいんじゃないか的な「ギリギリ」な感じがするので、上手く説明できないのですが、このモニカのセリフで、「モニカはもう知っている」ということに気付いた、というのは重要なポイントかな、と思います。


チャンドラー: Oh God! It freaked me out. Okay, I know it shouldn't have, but it did. I mean, I like her. I don't want to stop seeing her, but every so often it's like: "Hey, y'know what? Where's your leg?" I mean, I'm the smallest person in the world, aren't I? I'm the smallest person in the world. (あぁ、なんてこった! それが俺を混乱させたんだ。よし、そんなことでパニクるべきじゃなかったのに、ってわかってる。でも(実際)そうなっちゃったんだ。俺は彼女が好きだ。俺は彼女と付き合うのをやめたくない。でも、時々、こんな感じなんだ。「ねぇ? 君の足はどこにあるの?」 つまり、俺は世界で一番小さい男だよね。俺は世界で一番小さい男だ。)
ジョーイ: (entering from his bedroom) Morning. ([ベッドルームから入ってきて] おはよう。)
チャンドラー: (to Monica) Actually, he's the smallest person in the world. ([モニカに] 実際には、彼が世界で一番小さな男だな。)
ジョーイ: (to Chandler) Heard about the leg-burning, huh? ([チャンドラーに] 足を燃やしたことについて聞いたな?)
チャンドラー: It came up. (話題に出たよ。)
ジョーイ: Listen, I ah, I know it's a long shot, but, by any chance, did she find that funny? (聞いてくれ、望み薄だと思うけど、ひょっとして、あのこと[誤って義足を燃やしてしまったこと]を彼女は面白がってなかったか?)
(Both Chandler and Monica walk away in disgust.)
チャンドラーとモニカは嫌悪の表情をして立ち去る。

ジンジャーが義足だ、という話を聞いて動揺するなんて、そんな差別的なことを考えちゃいけないはずなのに、それが気になってしまうんだ、というチャンドラー。
"Hey, y'know what? Where's your leg?" と何度も考えてしまう、と言っていますね。
これも、DVDの日本語訳では、別の意味に置き換えられていましたが、これをこのまま訳すと、確かに日本では問題になりそうな感じがします。
義足の人に対して、言ってはいけないセリフのような気がしますので。

でも、今回、こうしてゲストに義足の人が出てきている以上、その義足と関係した話になるのは自然な流れです。
日本とアメリカとでは、そういう差別的な事柄に対する感覚が少し違うのかもしれない、と思うこともあります。
アリー My Love(Ally McBeal)は、弁護士のドラマなので、様々な問題を抱えた人、つまり、差別される側の人の話もよく出てきました。
それをオリジナルの英語で見ていると、結構ダイレクトな表現が出てきて、「これはこのまま日本語には出来ないよなぁ、直訳したところでテレビで放映できないかもなぁ」と思っていると、やはり日本語訳ではその辺を上手くオブラートに包んだり、少し違うニュアンスに訳出したりしていました。

障害や差別に関する話題は、言葉一つで当事者を傷つけることになるので、細心の注意を払わなければなりません。
ただ、今回のようなセリフが出てきた時にいつも思うのは、「実際の英語のセリフでは、こういうことを言っていた」ということを知ることの大切さです。
そこから、「どういうことが差別で、どういうことが差別でないか」というその国の価値観が見えることもあるかな、と。

差別的表現や、politically correct という概念については、過去記事、フレンズ2-21その14 で語ったことがありますので、興味のある方は、合わせてお読み下さい。

every so often は「時々、時折」。
そういうことを気にするのは差別的になるから、そんなことは気にしちゃいけない、でも、気になってしまう。俺はなんていけない男なんだ、心の狭い男なんだ、と自分で反省しています。
この場合の small は「狭量の、度量の狭い」という意味。
日本でも、器量が大きい、小さいという意味で、「彼は大きな男だ/小さな男だ」といいますが、英語でもそうなんですね。

そうやって自己嫌悪するチャンドラーですが、ジョーイを見て、でも、本当に器量が小さいのはあいつの方だ、と言っています。
義足を燃やしてしまった上、ジンジャーを置き去りにして逃げたんだから、あいつよりは俺の方がまだましだけどな、という感じですね。

come up は「話題になる、話題に上る」。
研究社 新和英中辞典には、
その話題が朝食の時にもまた出た。 The subject came [was brought] up again at breakfast.
という例が載っています。
bring up は「(問題・話題など)を持ち出す」という意味ですから、「話題」が主語になった場合は受動態になり、come up = be brought up ということですね。

a long shot は「見込みがなさそうなこと、望みの薄い企て」。
恐らく「遠距離から射撃する(だからなかなか当たらない)」というのが語源なのだろうと思うのですが…違うかな?(意外と語源が載っていない…)

by any chance は「ひょっとして、万が一」。
「もしかしてそういうことがあったりするかなぁ?」みたいに、あることを期待する表現のようです。

I know it's a long shot, but, by any chance, と「二段構え」で、可能性が低いのはわかってるけど、と前置きしています。
英語は日本語と比べて、表現がストレートでダイレクトだ、という意見がありますが、英語にもこういう「言いにくいことを言うための前振り、前置き」の表現がいくつもあります。
そういうものを増やしていくのも、円滑なコミュニケーションには必要なことですよね。

ひどいことをしたってわかってるけど、「ジョーイったら、義足と薪とを間違って燃やしちゃったのよ〜」みたいに笑い話のように言ってなかったか?と尋ねているのですね。
funny なわけないだろ、という感じなのですが。


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posted by Rach at 13:28| Comment(0) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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