[Scene: Monica and Rachel's, the whole gang except Chandler is there.]
モニカとレイチェルの部屋。チャンドラーを除くフレンズ全員がそこにいる。
チャンドラー: (entering, happily) Well, hello! ([幸せそうに入ってきて] やぁ!)
ジョーイ: Where have you been? (どこに行ってたんだよ?)
チャンドラー: The doctor. (お医者さんだよ。)
ロス: Is everything okay? (すべて順調?)
チャンドラー: Oh yes! Just had me a little nubbin-ectomy. Yep! Two nipples, no waiting. (あぁ、そうだよ! ナビンの除去手術を受けたんだ。そうさ! 2つの乳首、待つ必要なし、だね。)
モニカ: Well! It's like Rachel in High School. (そうね。高校の時のレイチェルみたいね。)
レイチェル: What? (何ですって?)
モニカ: Come on! Come on, I was kidding! It was such an obvious joke. (ねぇ、いいでしょ。冗談を言っただけよ! すごく明らかな冗談だったでしょ[誰が聞いても冗談だってわかるでしょ]。)
チャンドラー: That was an obvious joke. And I didn't think of it. Why didn't I think of it? The source of all my powers. Oh, dear God, what have I done? (今のは明らかな冗談だった? そして俺はそれを考え付かなかった。どうしてそれを考えなかったんだろう? 俺のパワー全ての源。あぁ、神様、私は何をしたのでしょうか?[大変なことをしてしまったのでしょうか?])
嬉しそうに入ってくるチャンドラー。
ロスは "Is everything okay?" と尋ねているので、チャンドラーが何をしに行っていたか知っているようですね。
nubbin-ectomy の ectomy は辞書には載っていません。
ecto- という接頭語がつく単語では、
ectoderm=(生物)外胚葉
ectoplasm=(生物)外部原形質
という単語があるようです。
ですから、ecto- という接頭語は「外」を意味するようですね。
ectomy の語尾は、anatomy 「解剖学、解剖術、解剖」のニュアンスでしょう。
ですから、ectomy は「外に取り出す・取り除く手術」→「除去手術」ということだろうと思います。
Two nipples, no waiting. について。
「2つの乳首で、待つことなし[いつでも準備オッケー]。」みたいな感じでしょうか。
3つ目の乳首のことで躊躇することはもうない。いつでも女の子とデートできちゃうよ、みたいなことでしょう。
Two nipples, no waiting. と言ったチャンドラーに対して、"It's like Rachel in High School." とモニカが言っています。
DVDの日本語音声では、
「高校のときのレイチェルみたいね。ほらよく透けてたじゃん。」
となっていました。
ノーブラで、わざと nipple (two nipples) が目立つような薄い服を来て、男子生徒を誘惑していた、みたいなニュアンスでしょうか。
そう言えば、少し前に「付け乳首」というものがはやりましたが(笑)、そういうものでセクシーさを強調する、という文化がアメリカにはあるようですね。
(日本で「付け乳首」を付けるのは、勇気が要ると思うけど…笑)
「聞き捨てならない」という感じで、What? というレイチェルに対して、「冗談よ。」と答えるモニカ。
obvious は「(疑問の余地がないほど)明白な、明らかな、すぐにわかる、見え透いた」なので、an obvious joke は「誰もがそれはジョークだとすぐにわかるようなジョーク」ということ。
そんなに怒ることないじゃん、誰だってジョークだってわかるじゃん、本当のことだなんて誰も思わないわよ、ジョークで言ってるだけだってわかるわよ、という感じですね。
その次のチャンドラーの、That was an obvious joke. And I didn't think of it. について。
think of は「…のことを考える」「…を思い付く」というような意味ですね。
チャンドラーは、モニカの方を指差して、That was an obvious joke. と言っています。
was を強調して、That WAS an abvious joke. という感じで発音されています。
「それは確かに明らかなジョークだった。」という事実を述べた上で、「俺は、think of しなかった」という流れになっているようです。
think of it が、「それをジョークだと思う」ことなのか、「そういうジョークを思い付く」ことなのか、わからないのですが…。
前者だとすると、みんながジョークだとわかることに瞬時に反応できなかった、それがジョークだと俺にはわからなかった。
後者だと、モニカに言われる前に俺がそのジョークを言うことができなかった、ということですね。
いずれにしても、そういう事実にチャンドラー自身が驚いている、というニュアンスでしょう。
ナビンを除去してしまったことで、ジョークに対する感性がおかしくなってしまった、という意味で、失われたナビンのことを、The source of all my powers 「俺の全てのパワーの源」と言っています。
Oh, dear God, what have I done? は、神に対して、「私は何をしてしまったのか?」と問いかける文章ですが、それはつまり、「神様、私は取り返しのつかない大変なことをしてしまったのでしょうか?」と言っているのですね。
…と心配しているチャンドラーですが、このナビンの除去のために、このエピソード以降のチャンドラーのジョークの冴えがなくなる…ということはありませんのでご心配なく(笑)。
こういうのを次のエピソードに引きずらないのが、一話完結形式のシットコムの良いところ、ですよね?(笑)
(Rach からのお願い)
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記事を読ませていただき大変感動しました。英語の表現が学べて,このドラマが持つ本来の面白さも理解させてもらえる最高のサイトだと思います。センテンスごとに細かく解剖してくださっているので,曖昧なところが残らず本当にすっきりします。
ところでフレンズを見ていて,フィービーのボーイフレンドの刑事さんの話し方がちょっと変わったアクセントに思えたんですが,あれはどこかの訛りなのでしょうか。ニューヨークの中でも色々なアクセントがあるんですかねー?
これからも教科書に載らないような英語の解説をよろしくお願いします!ありがとうございました。
こんにちは。ご訪問&コメントありがとうございます。
拙ブログに対するお褒めのお言葉、ありがとうございます。とっても嬉しいです。
フィービーのボーイフレンドの刑事さん、というのは、フレンズ5-16 に出てきた cop のことですね?(演じているのは、Michael Rapaport という俳優さん)
DVDを見返してみたのですが、フレンズたちに比べて、ちょっと聞き取りにくいですね。極端なブルックリン・アクセント、なのかなぁ?
私も訛りやアクセントにはあまり詳しくないのです。そういう部分も詳しく解説できると良いのですが…。あまり参考にならない意見で申し訳ありません。
フレンズで「生きた英語」を学ぶのは楽しいです。実際にフレンズたちが使っているから、自分もそれを応用して使える気がします。
これからも頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。
初コメントさせてもらいます。
ちょっと気になったのですが、That was an obvious joke. And I didn't think of it. の部分のthatはモニカがいった内容ではなく「第三の乳首」のことで、なのに自分はその第三の乳首がジョークになるなんて考えもしなかった。というような意味だと思いました。The source of all my powersとは失われたナビンというよりまさに「ジョーク」のことで、そのジョークにもなりえた第三の乳首を切り落としてしまった自分はなんていうことをしてしまったんだろう?=what have I done?という流れかと思いました。
微妙な解釈のずれで、たいした違いじゃないかもしれませんが…いかがでしょうか。
こんにちは。ご訪問&コメントありがとうございます。
また、一緒に解釈を考えて下さってありがとうございます!
私ももう一度、じっくり見直してみました。
あくまで私の受けたイメージに過ぎませんが、再度、順を追って書いてみますね。
上の会話の流れを見てみると、
モニカ: 「2つの乳首、待つ必要なし」っていうのは、高校の時のレイチェルみたいね。
レイチェル: 何ですって?
モニカ: 明らかな[誰にでもわかる]冗談よ。
チャンドラー: That は明らかな冗談だった。そして俺はそれを think of しなかった。
という感じになるでしょうか。
It was such an obvious joke. と自分の言ったことは冗談だと説明するモニカの後で、「その今モニカの言ったことは(本当に)冗談だったんだよな。」と確認しているセリフのように、私には思えました。
ですから、It も、That も、どちらも「モニカの言ったこと」を指しているように思えるのですね。(あくまで、「私にはそう思えた」というだけのことで、それが正しいと言っているのではありません。)
実際のシーンでも、That の時にモニカの方を指差していて、「今モニカの言ったのは」という感じが出ているような気がしました。
The source of all my powers. の時も、恐らくナビンが存在していただろう場所を指差しています。「除去してしまったこれは、俺のパワーの源だったんだ。」みたいに改めて気付いたように私には見えました。
第三の乳首のことであれば、That ではなくて、My nubbin などと、もう少しはっきり表現するかな、とも思います。この nubbin は、過去のエピソードでも、さんざんジョークのネタにされていたので、「ジョークになるなんて考えもしなかった」という意味であるとは考えにくいような気もします。
ナビンの除去手術をしたことを後悔するセリフであるのは間違いないですよね。その流れでは解釈は同じだと思います。
チャンドラーにとって、The source of all my powers がジョークである、という可能性はありますね。ジョークのネタを失った、と言って後悔しているのか、ジョークに対する感性がなくなってしまった、と言って後悔しているのか、という違いでしょうか。
セリフのイメージというのは、最初に受けた印象から抜け出るのが大変で、私もいったん思い込んでしまうと、そのイメージを変えるのが難しいです。
いろいろ考えてみたのですが、やはり、記事で書いたものが最終的な今の私の解釈となります。が、それほど確信があるわけではありません。
読者の方がいろいろな意見を聞いて、自分がそうだと思うものを選んでいただけたら、と思っているので、違う解釈を示して下さると嬉しいです。ありがとうございました!
上の私の説明でわかりにくい箇所、それは違うんじゃないかという箇所があれば、どんどんご指摘下さいませ。
まったくもっておっしゃるとおりで、私も考えすぎたあげくに結局正解はわからず、「まあ、そんなにこだわるとこでもないよな〜」と無理やりスルーすること、多々あります。英語が外国語だからこそこだわりすぎてしまうのかな?
ともあれ、一言お礼を申し上げたく。
回答ありがとうございました。
こちらこそ、ご丁寧なお返事、ありがとうございます。
私もいろいろ考えてわからない場合は、「どこまでわかったか」とか「私はこう思うけど」とメモしておいて、あまりこだわりすぎずに次に進むようにしています。こだわることは大切ですが、「正解を見つける」ことが目的ではなく、解釈を考える過程で身に付く知識や考え方が大切だと思っているのですね。
どうしても一人で考えていると思い込みもあるし、視野も狭くなってしまうので、一緒に考えて下さる方がいるのは本当にありがたいです。
こちらこそ、ありがとうございました!
この it は、
it = the possibility that I lose the source of all my power in return for removing the third nipple
という可能性がゼロというわけではないかもしれません。(そうだとも言い切れませんが) そういった意味で興味深い英文ですね。
> ノーブラで、わざと nipple (two nipples) が目立つような薄い服を来て、男子生徒を誘惑していた、みたいなニュアンスでしょうか。
ノーブラは通常、ガチのフェミニストの代名詞みたいになっていたような気がしますので、そのようなことではないかもしれません。
BTW, feel free to drop by and make comments
Thank you so much for dropping by and making an informative comment!
Why didn't I think of it? の it は今の状況を漠然と指しているのかもしれませんね。「第三の乳首を除去することで、パワーの源を失ってしまう可能性」をどうして俺は考えなかったのか、という解釈も可能だと。「どうしてこのことを考えなかったんだろう、全てのパワーの源だったのに。」という倒置のようなニュアンスでしょうか。
>ノーブラは通常、ガチのフェミニストの代名詞みたいになっていたような気がします
Really? そうなんですか?
この場合のフェミニストは、日本語の「女性に甘い男性」という意味ではなくて、英語の feminist 本来の意味の「男女同権主義者、女性運動家」ということですね? 「男も女も関係ない!」という強い女性がブラをしない、というのは何となくイメージはわかるのですが、でも、高校時代のレイチェルのイメージとは違いすぎるというか、正反対というか…。「あり得ないような正反対のことを言って笑わせる」というジョークの可能性もありますが、やはり高校時代のレイチェルだと「女を武器」にしているような気がするので…。
BTW, thank you for the invitation. I know I'm allowed to make comments, but I don't have the guts to do so. I haven't changed much...
Medicine Net.Comの定義ではやはり外科的な除去の接尾辞だと説明されています。例としてlumpectomyはlump(こぶまたはしこり)、tonsillectomyはtonsilla(扁桃腺)、colectomy はcolon(結腸)、appendectomy はappendix(虫垂、俗に盲腸と呼んでいる)の除去が挙げられています。
英辞郎にも-ectomy は 〜の切除となっていて、外科以外の使用例でfacade-ectomy はファサード(建物の装飾を施した正面)を改築時にそのままとっておくことを意味するそうです。
「どんぴしゃり」と言っていただき、ありがとうございます。
医学のサイトにそういう事例が載っていたとの情報、大変ありがたいです。
私がPCにインストールしている英辞郎には、-ectomy は載っていませんでした。(バージョンが古いせいかも)
今、改めて英英辞典を調べてみると載っていました。
LAAD では、
-ectomy [suffix] [in nouns] : the removing of a particular part of someone's body by an operation
例) an appendectomy (=removing the appendix)
つまり、「手術で人体の特定の部分を除去すること」。
やはり、「外科的な除去、除去手術」を指すようですね。例にも「盲腸除去手術」が挙げられています。それが一番わかりやすい例ということなのでしょうね。
また、外科以外にも使われるのも興味深いです。
貴重な情報、ありがとうございました。