ジョーイ: So, Pheebs, what's this guy like? (それで、フィービー。その人はどんな感じなの?)
フィービー: Umm, well, he's very dashing, y'know, and umm, very, very sophisticated, and he doesn't speak any English, but according to his translator, he totally gets me. (そうねぇ。彼はとってもさっそうとした人なの。それで、とってもとっても洗練されているの。そして、彼は英語を全くしゃべれないんだけど、彼の翻訳者によると、彼は私のことを全部わかる、って。)
モニカ: 'Kay, here you go. (Hands her this tiny little globe.) (さぁ、どうぞ。 [フィービーに小さな小さな地球儀を手渡す])
フィービー: What is this? (これは何?)
モニカ: It's a globe. And a pencil sharpener. (地球儀よ。と同時に、鉛筆削りでもあるけど。)
(Phoebe puts the globe right up next to her eye to try and find the country.)
フィービーは自分の目のすぐ横に地球儀を持ってきて、その国を見つけようとする。
dashing は「威勢のよい、さっそうとした、(衣服が)めかした」。
ロングマン現代英英辞典では、
dashing [adjective]:
a man who is dashing wears nice clothes and is very attractive and confident
つまり、「dashing な人というのは、素敵な服を着ていて、とても魅力的で、自信に満ちている」。
dash は日本語のダッシュのイメージのように「突進する、急行する」という意味がありますね。
「威勢のよい」という日本語訳はそのイメージから来ているのだろうと思います。
そういう「勢いの良さ」が、見た目をスッと見せる、スマートに見せる、という意味で、かっこいい人を指すようにもなっているのでしょうね。
後からその本人が出てくるのでわかるのですが、「威勢のいい人」というのとはちょっと違います。
職業通りの知的なインテリ、という感じの人ですから。
dashing は「かっこいい、おしゃれな、めかした、さっそうとした」という褒め言葉だということです。
sophisticate(d) は日本語でもソフィスティケートとカタカナで使われることがあり、それは「洗練された」という意味として理解されていますね。
英語ではそのような意味で使う場合と、「機械などが最先端の」という意味でも使われます。
he doesn't speak any English. は、not any で「少しも…ない」ですから、彼は英語が全くしゃべれないのですね。
日本語では、translator 「翻訳家、翻訳者」、interpreter 「通訳」と訳語を使い分けているように思いますが、フィービーは translator を「通訳」の意味で使っているようです。
その translator が後で登場します。
ロングマン現代英英辞典で比べてみると、
translator [noun]: [countable]
someone who changes writing into a different language
(see also interpreter)
つまり、「ライティング[書いたもの]を別の言語に変える人」ですから、やはり書かれたものを変換するというニュアンスで、「翻訳」に近いですね。
interpreter [noun]: [countable]
1. someone who changes spoken words from one language into another, especially as their job
(see also translator)
つまり、「話された言葉を一つの言語から別の言語に変える人、特に仕事として(それをしている人)」。
writing と、spoken words という言葉が語義にあるように、本などを訳すのが翻訳で、人がしゃべっているのを訳すのが通訳という感覚が日本語にもあります。
ですから、その日本語訳の使い分けは、ロングマンの語義に合っている、ということですね。
ただ、上のフィービーのセリフでは、明らかに spoken words を訳す「通訳」を指しているのに、translator という言葉を使っていますので、その違いはさほど厳密ではないのかもしれません。
もしくは、フィービーがその違いをあまり気にしていないのかもしれません。
he totally gets me. について。
get me のニュアンスがよくわかりません。
get には「…を理解する」という意味があります。
Do you get me? だと「私の言うことがわかりましたか?」という意味になります。
そういうニュアンスで、「英語が理解できないのに、私のことはすっかり理解している。」、つまり、言葉を超越して、「君のことは何もかもよくわかってるよ。」と心が傾いている様子、すっかり君の虜(とりこ)になっている様子を言っているのかな、とか。
あるいは、研究社 新英和中辞典に、
get=(口語) (思想などに)夢中になる、かぶれる
get socialism 社会主義にかぶれる
get religion 入信する
という語義が載っています。
そのニュアンスで、「フィービーに夢中になる」ということかもしれません。
It's a globe. And a pencil sharpener. の、"It's a ... and a ...." は、「…であると同時に〜でもある」という感じですね。
「兼」みたいなことで、地球儀でもあるし、鉛筆削りでもあるのよ、と言っています。
鉛筆削りについている地球儀があまりに小さすぎて見えないので、思いっきり目に近づけているのですね。
チャンドラー: (entering) Hey, does anybody need anything copied? I'm going down to the Xerox place. ([入ってきて] ねぇ。誰か何かをコピーする必要ない? 俺はコピー屋に行く予定なんだ。)
モニカ: Oh, no thanks. (あぁ、いいえ、結構よ。)
チャンドラー: Okay listen, just give me anything I can make two of. (いいか、聞いてくれ。ただ、複製することができる何かを俺にくれよ。)
モニカ: Well, if you don't have anything to copy, why are you going down there? (ねぇ、もしあなたがコピーすべきものがないのなら、どうしてそこに行くつもりにしているの?)
ジョーイ: Yeah, are you just going down there to gawk at that hot girl with the bellybutton ring again? (あぁ、お前はただ、へそにリングをつけたあのホットな女の子をぽかんと見つめるために、またそこに行くつもりなんだな。)
チャンドラー: Yeah! You wanna come? (そうだよ! お前も行きたい?)
ジョーイ: Yeah! (あぁ!(もちろん!))
need anything copied は、「need+目的語+過去分詞」で、「(目的語)が…される必要がある、(目的語)を…してもらう必要がある」。
ですから、does anybody need anything copied? は、「書類か何かをコピーする必要はないかな?」と尋ねているのですね。
make two of ... は「…を二つにする」ですから、コピーできるもの、複製できるものを何でもいいからくれよ、とチャンドラーは言っています。
コピー屋に行くための口実として、コピーできるものを何でもいいからちょうだい、と言っているのがわかるのですが、モニカはそれに気付かず、「コピーするものもないのに、コピー屋に行くつもりなんてヘンね。」と言っています。
gawk は「…をぽかんと見つめる、…にぽかんと見とれる」。
ロングマン現代英英辞典では、
gawk [verb]: [intransitive] (informal)
to look at something for a long time, in a way that looks stupid
(synonym stare)
gawk at:
例) Don't just stand there gawking at those girls!
つまり、「何かを長い間見る、愚かに見える方法で」。
例文は、「ただそこに立って、その女の子たちをぽかんと見つめるのはやめなさい。」
この例文でも、girl が使われていますね(笑)。
男性が、きれいで魅力的な女の子をじーっと見つめているのに使われる動詞で、その in a way that looks stupid という英語の語義が、日本語の「ぽかんと」に繋がるのですね。
口をあんぐり開けて、ただ見とれて、何も考えられていない、もしくは下心しかない(?)状態、みたいな感じです。
that hot girl with the bellybutton ring について。
この女の子は、フレンズ3-1その24 のセリフにすでに登場しています。
"that girl at the Xerox place?" 「コピー屋のあの子」、"With the bellybutton ring?" 「へそにリングをしてる(あの子か)?」というやり取りでした。
その子を見に行きたいだけなんだろ?と難しい顔をして怒ってるのかと思ったら、コロっと笑って、「行く行く!」みたいなジョーイ。
予想されたオチですね。
(Rach からのお願い)
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「Get」のことなんですが、この文脈では、「わかる」「理解する」みたいな意味だと思います。例えば:
"I like him because he GETS me."(「get」はよく強く発音されます)
「私は彼が好きなのは、彼が私のこと(心)を(深く)わかってくれるからだ。」
"Why don't you just ask him out?"
"Ugh! You just don't get it at all!"
「どうして彼を誘ってみないの?」
「もう!全然わかってくれないよね!」
という感じだと思います。解説が短いのですが、わかっていただいたでしょうかな。〈汗〉
いつもながら、ご丁寧な日本語でのコメント、ありがとうございます。ジョンさんのコメントを読ませていただくと、ジョンさんがアメリカ人であることを忘れてしまいます。
このセリフの get は「わかる」「理解する」、つまり、understand という意味なんですね?
「英語はわからないけど、その英語を話しているフィービーのことはよくわかっている」というような感じでしょうか?
「言葉を超越した愛」みたいなものを表している、ということでしょうかねぇ?
ジョンさんの解説、とてもわかりやすかったです。
Thank you so much. I got it!
「言葉を超越した愛」といえるでしょう。そういう感じですね。 I'm glad you got it!
「いえいえ、こちらこそ」だなんて、ジョンさんの語彙力は素晴らしいですねぇ…。
そんな日本語の堪能なジョンさんに、記事を褒めていただいて大変光栄です。これからも頑張りますので、よろしくお願いします!
translatorとinterpreterについて気になったのでコメントさせていただきます。
この2つの違いをイギリスの友人に質問したところ、
translator:訳す人
interpreter:仕事として訳す人
と説明してくれました。
彼曰く、「訳す」ことに書くも話すも違いはない、とのことでした。
私が英語の本を訳したり、友人が話す英語を訳せば、私もtranslatorになりますし(私はただの会社員です)、翻訳家や外交の場で通訳している人たちなんかはinterpreterなのかなーというのが私の解釈です(もちろん彼らはtranslatorでもあります)。
translatorという大きな枠の中にinterpreterがいるイメージです。
なのでそれら名詞以外でも、interpretという動詞よりtranslateという動詞の使用頻度の方が高いんじゃないかなーと想像しています。
説明下手ですみません・・・。
これからもFriendsで英語の勉強を続けていきたいと思います♪
イギリスのご友人に確認して下さったという貴重な情報、ありがとうございます。
上の記事で紹介したロングマンの語義でも、especially as their job という説明がありましたが、やはり、「仕事として」が interpreter という言葉のポイントなのですね。
ロングマンでは、translator の語義の中に、writing という言葉があったのですが、そのイギリス人のご友人がおっしゃるように、書き言葉限定ではない、という解釈の方が、上のセリフの translator のニュアンスをうまく説明できますよね。
フィービーがデートすることになるその彼は、その場で言葉を訳すことを仕事とする「通訳」なので、interpreter と言っても良いのでしょうが、もっと大きな括りの言葉として、translator と言っているのでしょうね。
貴重な情報、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします♪