[Scene: A Street, Phoebe is walking along with the diplomat (Sergei) and his translator (Mischa).]
ストリート。フィービーは外交官(セルゲイ)、そしてその通訳[翻訳者](ミーシャ)と一緒に歩いている。
セルゲイ: (something in Russian or Polish)
ロシア語またはポーランド語で何かを話す。
ミーシャ: He says that walking with you makes this strange city feel like home. (彼はこう言ったんです。君と歩くと、この見知らぬ町がまるで自分の家[ホームタウン]のように感じられる、って。)
フィービー: Me too. Although this city is my home, so. So that's dumb what I said. Don't tell him I said that. Umm, you make something up. (Mischa does so and Sergei kisses her hand.) Nice! (to Mischa) Thank you. This is me, here. (私もよ。この町は私のホームタウンだけどね。今、私の言ったことってバカみたいね。私がそう言ったって彼には言わないで。何か(適当に言葉を)作って。[ミーシャはそうする[適当にセリフを作る]、するとセルゲイはフィービーの手にキスする] ナイスよ! [ミーシャに] ありがとう。ここ、これが私の家なの。)
(Sergei goes up to her at her door and says something.)
セルゲイはドアのところで彼女に近づき、何かを言う。
ミーシャ: (leaning in) Your eyes are very pretty. ([身を乗り出して] 君の瞳はとてもきれいだ。)
フィービー: (to Mischa) Thank you very much! Oh! (to Sergei) Thank you! ([ミーシャに]ほんとにありがとう! あぁ! [セルゲイに] ありがとう!)
(Sergei says something and leans in to kiss her, but just as he's about to....)
セルゲイは何か言い、フィービーにキスするために身体を寄せるが、彼がキスしようとしたちょうどその時…)
ミーシャ: (leaning in) He would like to kiss you. ([身を乗り出して] 彼はあなたにキスをしたいと思っています。)
フィービー: (to Mischa) Okay, y'know what, you don't have to do that now. (Mischa translates that to Sergei) No-no-no-no!! Not him! No, you don't! (Mischa tells Sergei he can proceed and steps away) Well, the moment's over. ([ミーシャに] いいわ、ねぇ、あなたは今それをする必要はないわ。[ミーシャはそれをセルゲイに通訳する] 違う違う違う違う! 彼じゃなくて! あなたがする必要がないの! [ミーシャはセルゲイに続けてもいいと言って、離れる] あぁ、その瞬間は終わっちゃったわね。)
(Sergei says something and kisses her.)
セルゲイは何かを言い、彼女にキスする。
フィービー: Oh. (あぁ。)
ミーシャ: Oy! (オイ!)
通訳であるミーシャの英語は、ロシア語っぽいアクセントになっていると思います。
外交官のセルゲイは、この見知らぬ町も、君と歩いていると自分のホームタウンのように思えてくる、と言っています。
Me too. Although this city is my home.... について。
フィービーは、is my home の is をはっきり発音しています。
私にとっては「実際に」ここがマイホーム・ホームタウンなんだけど、という感じです。
相手が何か素敵なことを言ってくれた時に、「私も同じよ。私も同じように感じるわ。」と返すのはお決まりのパターンですが、今回は、マンハッタンはフィービーのホームタウンなので、「あなたといるとホームタウンのような気がする」という流れではおかしくなってしまいます。
そう言った後、「バカなこと言って、バカな女だと思われたくないから、適当にセリフを作っておいて。」と言っているのですね。
さすがは通訳。うまい具合に言葉を作ったので、セルゲイは喜んだようです。
ドアの前で語り合う二人の間に、さっと、通訳のミーシャが割り込んでくるのが面白いですね。
ト書きでは、leaning in とありますが、これは「身を乗り出す」ニュアンスです。
lean は、「まっすぐな姿勢から体を曲げる、傾ける」イメージですが、そこに in がついて、「入ってくる」感じが出ますね。
lean on や lean against だと、「…にもたれる、寄りかかる」というニュアンスになります。
通訳の人、というのは、通訳をやっている時は「個人」を出してはいけませんよね。
自分が話している言葉はすべて、通訳する対象となっている人の発言なわけです。
通訳を使って人と話をするのに慣れている人は、それをよくわかっていますが、フィービーは通訳を挟んで会話したことなどないのでしょうね。
だから、通訳であるミーシャが、"Your eyes are very pretty." と言った時、その素敵な言葉を言ってくれた人であるミーシャに対して、つい感謝の気持ちを述べてしまったのですね。
お礼を言う相手はミーシャではなく、セルゲイであると気付いて、お礼を言い直すのが面白いです。
ムードが出てきて、もう「言葉なんていらない」(笑)状態になってきたのに、それでもいちいち言葉を訳してくれるミーシャ。
フィービーの you don't have to do that now. はミーシャに向けたセリフで、「もうそんな風に通訳する必要がないのよ。通訳しなくていいのよ。」という意味で言っています。
意味は、you don't have to translate. ということですが、translate という動詞は使わずに、do that と表現しているので、それをセルゲイの言語に訳して伝えてしまうと、セルゲイにとっては、「あなたは今それをする必要がない。」→「キスはしなくていい」という風に聞こえてしまいますよね。
その面白さを出すために、ここでのセリフはわざと、translate という言葉を使っていないわけです。
「そんなことしなくていい」と言った場合に、それが通訳のミーシャに対する言葉なのか、セルゲイに対する言葉なのかで、「そんなこと」の内容が変わってしまう、そこが面白いわけですね。
the moment's over. について。
この moment は、「瞬間」というより、「グッドタイミング」とか「チャンス」みたいな感じでしょうか?
ロングマン現代英英辞典では、
moment: OPPORTUNITY
[usually singular] a particular time when you have a chance to do something
つまり、「何かをするチャンスを持った時の特別な時間」。
いいところだったのに、そのチャンスが終わっちゃったわね。とんだ邪魔が入ってムードがぶち壊しになっちゃったわね、というところでしょうか。
つい職業病で、何でもかんでも訳してしまいたくなるミーシャに笑えます。
最後の部分、フィービーの Oh. の後、ミーシャは Oy! と言っていますが、これも多分、英語の Oh. のニュアンスを、セルゲイのためにセルゲイの国の言葉に言い換えたのだろうと思います。
例えば、うっとりしている時の、"Oh, good!" のようなセリフをわざわざ「あぁ、いいわ〜!」と訳してしまうようなものかなぁ、と。
そういう感覚的なセリフは、あえて訳してくれなくてもニュアンスは伝わるのに、それを律儀に訳すことで、現実に連れ戻されてしまう、我に返ってしまう、他人が傍にいることを思い出して恥ずかしくなってしまう…というマイナス要因になるわけですね。
余計なことをしてしまったと恥ずかしそうにキョロキョロしているミーシャがかわいいです。
(Rach からのお願い)
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この度は、わざわざコメントして頂きまして
誠にありがとうございました。
英語のプロの方からコメントを
頂くとはうれしくもちょっと恥ずかしいですね。
では、今後ともよろしくお願い致します。
こちらこそ、拙ブログをご訪問下さり、誠にありがとうございます。
私は、英語を教えるような職業には就いていないので、「英語のプロ」ではないのですが…(笑)。
これまでは、他分野の方とお話することもあまりなかったのですが、吉澤様のようにバリバリと活躍されている税理士の先生が、英語や TOEIC という試験とどのように向き合っておられるか、というお話は、とても参考になりました。ありがとうございます。
点数として数値化される TOEIC という試験は、自分の目標を設定する際に利用しやすいツールですよね。
こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します。吉澤様の、今後ますますのご活躍をお祈り申し上げております。
あかねさんへ
コメントありがとうございます。拙ブログを読んでいただいて、「フレンズをまた見たくなった」と言っていただけること、本当に嬉しいです。これからも頑張ります。