2008年08月30日

「使える英語すごいノウハウ」を読んで(その2)

前回 に引き続き、晴山陽一さんの最新刊、使える英語すごいノウハウ―「英語がスラスラ出てくる」ようになる本 (三笠書房) について語りたいと思います。

第4章では、英語の「音」の大切さについて述べられています。
p.66 実際の会話では、同じ文でも読み方によってまったくニュアンスが変わってしまう場合がある
p.67 文字からだけの学習は危険を伴う
p.73 何回聞けばいいか、という問いに対する私の答えは、「文字から音が流れ出るまで」ということになります。
p.74 スクリプトを見て音読した時に、耳に残っている音が文字から聞こえてきたらしめたものです。


この部分のお話は、ドラマという「生きた英語」を使って英語を学んでいる私にとって、とてもよくわかる部分です。

「スクリプトを見て、文字が聞こえてくる」という感覚、わかります。
時々、「フレンズ」の今扱っているエピソードとは別のエピソードのスクリプトを、調べ物のついでに読むことがあります。
ざっとスクリプトを見ることで、そのシーンやら、その時のセリフの言い方などを思い出す時があります。
レギュラーのキャラクターの場合は、声やイントネーション、言い回しをよく知っているだけに、余計にそれを思い出しやすいですね。
フレンズを何度も見ている人なら、わざわざDVDを引っ張り出して見返すこともなく、スクリプトだけで、実際にフレンズたちがやり取りしている様子が想像できる…自分の中に音声の記憶として残っているということですね。

「文字からだけの学習は危険を伴う」のも全くその通り。
ブログでネットスクリプトを使うようになってから、きちんとDVDの画面で実際のシーンを確認することなく、「スクリプトの文字だけ」で内容を判断していることが時々あります。
そういう場合は、セリフの解釈を間違えることが多い(笑)。
Come on! や Hello! などのような簡単なフレーズでも、その言い方が違うと、ニュアンスも全然違ってきてしまうのです。
相手につっかかるような言い方で言っているのを聞けば、例えそれが英語であったとしても、何となくニュアンスはわかります。
それが、come on や hello という文字でしか見ていないと、なかなか「カモン」「ハロー」のイメージから抜け出せません。

ある程度そのドラマやキャラのセリフに慣れて来た人が陥りやすい罠が、「何となくわかるから、ネットスクリプトという文字だけで学ぶ」ということかもしれません。
せっかく生の人間がしゃべっているドラマを利用して学習するんだったら、その「音」を聞かないともったいないです。
音源があるものであれば、その「音」は積極的に活用していくようにしましょう。


第5章の「3秒レスポンス」というのは、付属のCDを聞きながら行なうトレーニングです。
これは p.90 にも書かれているように、「日本語に訳して判断するのではなく、イメージを使って瞬時に判断する」訓練になります。
続けて読まれる5文の中に必ず2文、内容の間違った英文があり、その間違っているものはどれかを当てる、という訓練です。
ゆっくり読んで、それぞれの単語を日本語に置き換えたら、その間違いはすぐにわかると思うのですが、それを音として流れるのを聞いただけで、その間違いに気付くか?ということを確かめるテストです。

単語を「聞いた瞬間にイメージする」訓練はとても大切です。
TOEIC のリスニングなどでは必ずその能力が必要になってきますね。
「聞いたままの順番で、聞いた瞬間にイメージする」ということがどういうことか、今いちよくわからない、という方は、このトレーニングに挑戦してみて下さい。
TOEIC のような文章をいきなりイメージしろ、と言われても難しい、という方は、まずは簡単な短い文章でイメージ化する訓練をすべきです。
どんなに長い英文でも、結局は、切れ目切れ目でイメージしていくことになるので、まずは短い文から始めた方がいいですね。


第7章では、「補助輪付き英語学習法」について語っておられます。

p.140 聞き取れないものは100回聞いても聞き取れないケースが多く…

それには全く同感です。
わからない音は、いつまで経っても「音の洪水」でしかありません。
私のおすすめする Rach流DVD学習法では、一番最初に、「英語音声、字幕なし」でトライすることをすすめていますが、それを何回も繰り返すことはすすめていません。
「わからないものは、何回聞いてもわからない」からです。
わからないものをわかるまでひたすら聞くよりは、「内容やニュアンスをわかってそれをイメージしながら何回も聞く」方がずっといいですね。

その「補助輪付き英語学習法」の一つとして、
p.153 「洋画・海外ドラマ」を徹底活用!
という項目があります。
p.157 に、私がこのブログで扱っている海外ドラマ「フレンズ」の名前が出てきます。

一方、テレビドラマでおすすめなのは『フレンズ』あたりでしょうか。シリーズを追って見ていると、登場人物が隣人になったような親しみを覚えます。キャラクターが立っているので、「この人だからこの表現だよな」といった納得もできるようになります。

私も拙著、シットコムで笑え! 楽しくきわめる英語学習法 の 1.3 ドラマを使う意義 の p.14 に、「キャラ立ち」してくる。 という項目で、同じような内容を述べています。

セリフもより「らしい」セリフになり、キャラに合わないセリフを言っているのは、あまり聞きませんね。
「こんなの、チャンドラーらしくないよ」とか言って、スタッフの誰かがダメ出しをするのでしょう。
そうして、英語のセリフが「彼ららしい」と思えるところまできたら、英語を日本語と同じような感覚で受け止められている、ということになるのです。


言葉は、その言葉を発した人間と密接な関係があります。
ですから、その人間のキャラクターがはっきりしているほど、そのセリフのニュアンスも掴みやすいはずです。
理屈っぽい人、ちょっと人と感覚がずれた人、誰かの言葉にチャチャを入れずにはいられない人、など、いろんなキャラがいるからこそ、バラエティーに富んだセリフが生まれ、聞いている方もいろんな種類の言葉を覚えることができるのですね。
キャラクターが立っている、キャラ立ちしている、ということは、その人の発する言語を深く理解するのに、大いに役立つのです。
何かしらの構文やキーワードを覚えるために、よくありがちな一般的な設定で作ったスキットよりも、ずっと言葉が「生きて」いる、だから、覚えやすいのですね。


p.159 多くの人は、自分が上達していることを知らずに、無用な失望を味わい、学習意欲をなくしているように思います。
p.172 一番大事なのは、少しずつでも学習が進んでいるという充実感と期待感ではないでしょうか。


全くその通りだと思います。
私も拙著の p.79 で以下のように述べています。

あの頃(初めてフレンズを見た頃)に比べれば、随分わかるようになった……その思いの積み重ねがあって、今の私があります。
大切なのは、試験の点数ではなくて、自分で「わかるようになった」という実感です。人にそれが上手く説明できなくてもいい、自分で「あの頃よりもわかるようになった」と思えることが大切です。


ですから、私は TOEICという試験の点数以外にも、自分で上達しているのを実感できる部分があるから、こうしてブログも英語学習も続けていられるのですね。
「TOEIC の点数だけ」を指標にしていると、点数が頭打ちになったり、下がったり、もしくは逆に、もし万が一、満点を取れた場合に(笑)、そこで英語学習をやめてしまうかもしれません。
「自分が英語を使えるようになるかどうか」が問題なので、自分の中での実感が一番大切な判断基準なのです。
こうして、ブログを続けて行って、もっともっとフレンズのセリフを深く分析できるようになったら、もっと英語力が上がっているはず…という期待感で続けているのですね。


相変わらず、晴山さんの本を語りながら、自分の本の話もたくさん混ぜてしまいましたが(笑)、「人が書いた本を読む」ことは、自分のやり方を見つめ直すことでもあります。

私の本のタイトルのキーワードである「楽しく」という部分は、晴山さんの本にも溢れています。
(おこがましいですが)物事に対する価値観も似ているのかな、と思います。
ですから、晴山さんの本を読ませていただいて、「すごく”晴山さんらしい”本だわ!」と思いつつ、自分の方向性が間違っていなかったことも再確認できました。
晴山さん、ありがとうございました!

また、来週くらいに、もう1冊いただいた本、「知的生産のためのすごい!仕事術」をご紹介したいと思います。


(2008.8.31 追記)
晴山陽一さんのホームページ、晴山陽一オフィシャルサイト の INFO に、
2008.8.30 『使える英語 すごいノウハウ』が刊行されました。もうすぐ『英語にもっと強くなる本』が刊行されます。『英語ベストセラー本の研究』を課題図書に選んでくださった出版社があります。
という記事が追加されました。
そこで、私がこのブログで「使える英語すごいノウハウ」の紹介記事を書いたことを紹介して下さっています。
このブログへのリンクもはってくださっています。
晴山さん、いつもありがとうございます!
(追記はここまで)


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posted by Rach at 07:45| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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