2008年09月26日

ただの仕事にすぎない フレンズ3-15その13

レイチェル: Wh, Ross, what do you want from me? You want me, you want me to quit me job so you can feel like you have a girlfriend? (ロス、あなたは私から何を求めてるの?[私に何をして欲しいの?] あなたは私に、私に仕事を辞めて欲しいの? そうすればあなたは恋人がいるって実感できるから?)
ロス: No, but it would be nice if you'd realize that it's just a job! (違うよ。でも、もし君が、それはただの仕事にすぎないってことに[ただの仕事だってことに]気付いてくれたら、いいなと思う。)
レイチェル: Just a job? (ただの仕事、ですって?)
ロス: Yes. (そうだよ。)
レイチェル: Ross, do you realize this is the first time in my life I'm doing something I actually care about! This is the first time in my life I'm doing something that I'm actually good at! I mean. if you don't get that... (ロス、あなたは気付いてる? これが、私が本当に関心がある何かをしている、人生で最初の経験なの。これが、私が本当に得意な何かをしている、人生で初めての経験なの。つまり、もしあなたがそれをわかってくれないのなら…)
ロス: No, hey, I get that, okay? I get that big time. And I'm happy for ya, but I'm tired of having a relationship with your answering machine! Okay, I don't know what to do anymore. (いいや。ねぇ、それはわかってるよ。いいかい? 僕はその最高の時を理解してる。(→下に追記と訂正あり) そして、君のためにそれを喜んでるよ。でも、君の留守電と付き合うのはもうこりごりなんだ! そう、もうどうしたらいいかわからないんだよ。)
レイチェル: Well, neither do I! (そうね、私もわからないわ!)

あなたは私に仕事を辞めさせたいの? 辞めて欲しいと思っているの?というレイチェルに、it's just a job. だと気付いてくれたらいいと思うと答えたロス。
その just という言葉に、レイチェルはまたカチンと来たようです。
just a job は「ただの仕事、たかが仕事、単なる仕事」みたいなニュアンスですね。
今のレイチェルは仕事が全てみたいになっている、だから、仕事はあくまで仕事であって、人生の全てじゃないんだから、仕事はただの仕事にすぎない、ってことに気付いてくれたら嬉しい、とロスは言うのですが、それに対して、レイチェルは猛烈に反論します。

今のこの仕事が、"I'm doing something I actually care about" と言える、人生最初のことなの。
私の人生で初めて、"I'm doing something I actually care about" と言えることを今やっているのよ、という感じです。

今までは人の言いなりの人生で、自分が心からしたいと思うこと、大好きなこと、関心があることをしたことなんかなかった。
それが、今のこの仕事は、自分の大好きなファッション関係の仕事。
前のいやいややっていたウェイトレスとは違う、自分が本当に好きで関心があって(care about)、自分が得意なことで(be good at)、そういう分野のことをやっているのは、今回が人生で初めてなのよ!と訴えているのですね。
初めて面白いと思えることを見つけた、仕事を楽しいと思えた、天職を見つけたような気がする、人生で初めてそんな風に思えたその仕事を、just a job と言ってしまうの?、私の気持ち、わかってくれないの?ということです。

big time は英辞郎に以下の語義が載っていました。
big time=(the〜) 非常に楽しい時、愉快な時、大変楽しい時、絶好調

Merriam-Webster Online Dictionary には、
big time [noun]:
2 : the top rank of an activity or enterprise

語義の activity, enterprise はどちらも「活動」というニュアンスだろうと思うので、「活動のトップランク」という感じでしょうか?

日本語のビッグタイムというカタカナで想像されるようなイメージで、「最高の時」みたいな感覚でしょうね。
(2008.9.28 追記)
big time について、下のコメント欄でご指摘いただきました。
この big time は、名詞ではなく、「完全に、よく、大いに」という意味の副詞です。
ですから、I get that, okay? I get that big time. の訳は、「わかってるよ。いいかい? 僕は、よ〜くわかってるよ。」になります。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)

レイチェルにとって仕事が幸せなのはわかってる。でも、恋人である僕は、君と直接話すこともできなくて、いつも留守電相手にしゃべるだけ。
have a relationship with は「…と関係を持つ、…とつきあっている」という男女間の恋愛関係を指す言葉ですが、今の状態では「恋人が留守電」みたいになっていて、そういうのはもううんざりなんだ、ということです。


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posted by Rach at 11:57| Comment(7) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは

このbig timeは副詞的な意味(全く、完全に、よく、等)だと思いますよ。

このロスのセリフだったら「君の言ってることはよ〜く分かるよ」という感じでしょうか。
Posted by 長月 at 2008年09月26日 14:49
長さんに補足
(LDOCE)によるとto a very large degreeとあります。度合いが大きい事ですね。
1-13 Mr. Tribbiani: Joe, your dad's in love big time.(大恋愛中なんだ)
4-4 owe me big time.(大きな借りがある)
5-17 Chandler: a little?! You freaked out big time!(少しだって、超パニくってたよ)
Posted by catch at 2008年09月27日 07:59
長月さんへ
毎回、貴重なご指摘ありがとうございます!
最近、私、勘違いしてばっかりですね。夏バテの余波が今頃来ているのかも?(笑) ご指摘がなければ、こういう副詞が存在することに気付かずにいるところでした。感謝いたします。

catchさんの情報にもありますが、確かにロングマン現代英英辞典(LDOCE)にも載っています。

big time [adverb]: (spoken especially American English)
to a very large degree
例) Morris messed up big time.

英辞郎にも載っていました。
big time=(副詞1) 全くひどく、極めて、完全に、すごく、非常に、とても、大いに
例) He's screwed up, big time. 彼は全くひどいへま[間違い・失敗]をした。
(副詞2) 本格的に、真剣に

ロングマンや英辞郎を見た時に、副詞もあるんだなぁ、と一瞬思ったんですが、名詞だとばかり思い込んでいたので、スルーしてしまったようです。

I get that, okay? I get that big time. を見た時に、
that 「それ」をもっと詳しく、that big time 「その最高の時」と言い換えたのかと思ったんですよ。
でも、もしそういうことを言いたければ、
I get (that) you have the big time. とか、I get (that) you're in the big time. 「君は今、最高の時を迎えてる、って(ことは)わかってるよ。」などと表現するでしょうか?

If you don't get that... 「もしあなたにそのことがわからないなら」と言うレイチェルに対して、I get that. I get that big time. 「(わかってないなんてとんでもない。)わかってるよ。よ〜くわかってるよ。」とその「わかってる」具合を強調している表現なんですね。

私もよ〜くわかりました。まさに、I get that big time. です。(I got you big time. かな?) ありがとうございました!


catchさんへ
補足のご説明ありがとうございます!

ちゃんとロングマンにも載っているのに、探す時に、noun だと思い込んでいると、そちらに注意が向かない、というのが私の悪いクセですね。
フレンズでの他の例を出していただいてありがとうございます。すべて大変わかりやすい例です。
5-17 は、a little と big time が対比して使われているので、非常にニュアンスがつかみやすいですね。

3年前の過去記事、フレンズ1-13その2
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470087.html
で、そのセリフ、取り上げていますね。
パパ: Your dad's in love, bigtime. (お前のパパは、熱愛中なんだ。)
と私は訳しているのですが、bigtime という言葉については、全く触れていません。
この時の私もきっと、Your dad is in love, in the big time みたいに名詞のように考えていたような気がします。
これが副詞だったとは!

I owe you guys big time. です。お二人ともありがとうございました!
Posted by Rach at 2008年09月28日 05:58
東京のセミナー、是非行きたかったのですが、他用で行くことが出来ず、残念でした。
大変な盛り上がりだったみたいですね。次回東京にきていただくさいは是非参加しようと思います。

さて、質問ですが、
ロスのセリフの
No,but it would be nice if you'd realize that it's just a job.

ですが、
普通に仮定法過去だと思うのですが、
条件節で どうしてyou'd(would) となるのでしょうか?(条件法過去完了の had ではないとおもいますので)
普通に you realized ではないのかな?

wouldが条件節はいることもあるのでしょうか?

セミナー準備でお忙しいなか恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
Posted by katuo at 2017年10月01日 14:36
katuoさんへ
コメントありがとうございます。
おかげさまで先日の青山セミナーは、講師の私自身もとても楽しい時間を過ごすことができました。
「次回は是非参加しようと思います」とのお言葉も、大変光栄で嬉しいです(^^)
「セミナー準備でお忙しいなか恐縮ですが」との温かいお心遣いもありがとうございます。
10月14日の梅田以降は、セミナーの予定は全くないのですが、また東京に行かせていただけた時には、是非ともよろしくお願いいたします。

それではご質問について。
もし過去完了なら、you had realized = you'd realized のように、realized になるはずですから、おっしゃるようにこれは you would realize ですね。

研究社 新英和中辞典に、if S would の形が以下のように説明されていました。

would=[主語の意志を表わす条件節で] もし…する意志さえあれば
I could do so if I would. したければそうできるのだが(したくない) (比較 …if I wanted to. よりやや文語的)
I should be most obliged if you would grant my request. お願いをかなえていただけましたらこの上もなくありがたく存じます。
用法:丁重な依頼を表わす文に用いる; ただし I would be (very) grateful if… のように言うことが多く、should を用いるよりくだけた言い方


if you would のように主語が you の場合は「相手にその意志さえあれば、〜しようと思う意志があるならば」という言い回しになるため、「相手に意志があってそうする」→「こちらのためにそうしてくれる」という流れから、「〜していただけたら、〜してもらえたら、〜してくれたら」のような日本語訳になるように思います。


私が記事中に付けた訳は、
「もし君が、それはただの仕事にすぎないってことに[ただの仕事だってことに]気付いてくれたら、いいなと思う」
となっていました。
恐らく、当時の私は、would を特に意識して訳したわけではなかったと思うのですが、「もし君が気付けば」ではなく、「もし君が気付いてくれたら」のように訳した感覚が、上の研究社の語義に通じる部分があるように今は感じます。

if you would のように if 節で would を使うものとしては、
I'd appreciate it if you would... 「もしあなたが〜してくれたら、ありがたい(と思うだろう)」
というのがありますね。
これも「あなたにそうしようと思ってくれる意志があるのなら」というニュアンスですね。

このエピソードより先になってしまうのですが、
フレンズ7-16 に、
チャンドラー: I'd love it if you would do it. (お前がそうしてくれたら、俺は嬉しいよ。)
というセリフが出てきます。
これも「お前がそうすれば」ではなく、「お前がそうしてくれたら」「お前がそうしようと思ってくれたら」というような「意志を持ってそういう行動をしてくれる」という感じが出ている気がします。

今回のロスのセリフも、if you realized なら「君が realize すれば、君が気付けば」のように単に「気付くか気付かないか」という動詞の行為のみを語っている感じになるけれども、if you would realize にすることによって、「相手が意志を持って、進んで realize する」という「話者にとってそうしてくれたらありがたい」という条件が含まれる結果になるような気がするのですね。

決まり文句の I'd appreciate it if you would...
フレンズ7-16 の I'd love it if you would do it.
今回の it would be nice if you'd realize...
は全て、「もし君が〜してくれたら、ありがたい/嬉しい/いい」という意味で、「相手がそういう行為をすれば話者にとってはありがたい」という文脈ですよね。
話者にとってありがたいことなので、日本語にすると「〜してくれたら」のような訳になるということで、逆に言うとそういう「君が〜してくれたら(話者は嬉しい・ありがたい)」という日本語を英訳する場合には、if you would のように would を使えば「してくれたら」のニュアンスが出せるということになる気がしました。

ネイティブは would を使うことで微妙なニュアンスを出しますが、ノンネイティブにとっては理解が非常に難しい言葉でもありますね。
興味深いご質問、ありがとうございました!(^^)
Posted by Rach at 2017年10月02日 21:57
Rachさん

お忙しい中、ご丁寧な回答ありがとうございました。
clearlyに理解できました。(笑)

ほんとうにフレンズにはwouldが出てきますよね。
こんなにネイティブの人たちはwouldを使うのかと驚きでした。
それが一つ一つ、仮定法の意味だったり、意思だったり、丁寧な言い回しだったりと、使い分けているわけですね。
そういうネイティブの感覚を理解して楽しめたらと思います。
ありがとうございました。
Posted by katuo at 2017年10月04日 12:11
katuoさんへ
こちらこそご丁寧なお礼のお返事ありがとうございます。
clearly(!)に理解できたと言っていただき、光栄で嬉しいです(^^)

学校英語、受験英語では、あまり would を意識していませんでしたが、ドラマなどで学ぶようになってからは would がたくさん出てくるので驚いたものでした。would を理解すると、ネイティブの感覚に近づけた気がして、本当に嬉しいですよね♪
Posted by Rach at 2017年10月05日 16:27
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