[Scene: Monica and Rachel's, Mark is there, opening Chinese food boxes.]
モニカとレイチェルの部屋。マークがそこにいて、中華料理の(テイクアウト用の)箱を開けている。
レイチェル: Oh, and then, we got into this big stupid fight. I just, it was awful. I told him he treats me like a park ranger, something, oh and then I told him I wanted to take a break. I don't want to take a break. (あぁ。それから、私たちは、ばかな大喧嘩に突入したのよ。私はただ…それはひどいものだったわ。私は彼に言ったの。ロスが私を公園管理人みたいに扱ってる、とか何とか。あぁ、それで、私は彼に言ったのよ。ブレイクをとりたいって。ブレイクなんてとりたくないのに。)
マーク: Wow. I'm sorry. Egg roll? (わぁ、大変だったね。春巻どう?)
レイチェル: No. (grabs an eggroll) And then I called him and he wasn't there. (いいえ結構よ。[春巻を掴む] それから私は彼に電話したけど、彼はいなかったの。)
マーク: Well, then he's, he's probably just out. (そうか。それなら、彼は、彼は多分、外出しているだけだよ。)
レイチェル: Oh, thank you, that's very helpful, I'm glad you came over. (まぁありがとう。今の言葉、とっても助かるわ。あなたが来てくれて嬉しいわ。)
中華料理のテイクアウトの箱がたくさん並んでいて、それを丁寧に開けながら、話を聞いているマーク。
この中華のテイクアウトは、フレンズによく登場します。
I told him I wanted to take a break. I don't want to take a break. というセリフに泣けますね。
つい勢いで、そう言っちゃったけど、ほんとはそんなこと望んでないのに…ということです。
彼女の顔も、「何であんなこと言っちゃったんだろう。」という表情になっていますね。
ここでも、実際にレイチェルが言った、take a break という表現が使われています。
egg roll は「春巻(はるまき)」。
egg roll を勧められて、それどころじゃないのよ、とでも言いたげに No! と言いながらも、春巻をさっと掴むレイチェルが面白いですね。
電話に出ないのは、留守だからだよ、とありきたりのことしか言ってくれないマークに、helpful だと言うレイチェル。
実際には「何の役にも立たないアドバイス、励ましをありがと」って感じの皮肉ですね。
(The phone rings and Rachel answers it.)
電話が鳴り、レイチェルがそれに出る。
レイチェル: Hello. (ハロー。)
ロス: Hi! It's me. (はーい。僕だ。)
レイチェル: Hi! Oh, I'm so glad you called. (ハーイ! あぁ、あなたが電話をくれて、とっても嬉しいわ。)
ロス: Really? I've been thinking this is crazy, I mean don't, don't you think we can work on this? (ほんとに? こんなことクレイジーだってずっと思ってた。つまり、僕たち、この件について努力することができるって思わない?)
マーク: Hey, what do you want to drink? (ねぇ、何を飲みたい?)
ロス: Who's that? (あれは誰?)
レイチェル: Nobody? (誰もいないけど?)
マーク: Is it okay if I finish the apple juice? (僕がそのアップルジュースを飲み終えちゃっても[全部飲んじゃっても]いい?)
(Rachel mouths 'Shoot!' or something similar.)
レイチェルは声に出さずに口で、Shoot! かそれに似たようなことを言う。
ロス: Is that Mark? (あれはマークなの?)
レイチェル: Umm, honey, look he just came over to.... (あぁ、ハニー。ねぇ、彼はただ来てくれただけなのよ…)
[Cut to The Philly.]
フィリーに画面がカット。
ロス: Yeah! Got it! (slams the phone down, and walks back to the bar.) (あぁ! わかったよ! [電話をガシャンと置いて、バーに歩いて戻る])
クロエ: Hey, Dinosaur Guy! Look at you, so sad. Come dance. (ねぇ、ダイナソー・ガイ! あなたのその姿、すごく悲しそう。こっちに来てダンスしよ。)
ロス: Ah, that's okay, thanks. (あぁ、いいんだ。ありがとう。)
クロエ: Hey, you don't have to smile. You just have to dance. (ねぇ、笑う必要なんかないのよ。ただダンスをすればいいだけよ。)
ロス: Look, I don't feel like dancing. I feel like having a drink, okay? (ねぇ、僕はダンスをしたい気分じゃないんだ。飲みたい気分なんだよ。)
クロエ: Oh, okay. (to the bartender) Hey, two beers! (sits down next to him) (あ、わかった。[バーテンダーに] ねぇ、ビールを2つ! [ロスの隣に座る])
ロスから電話がかかってきて嬉しいレイチェル。
ロスも今回は素直に正直な気持ちを伝えています。
work on は「…に取り組む、…にせっせと励む、…の努力をし続ける」。
「接触」を表す on が使われていることで、on 以下のことにじっくり取り組む感じが出ているように思います。
せっかく仲直りしかけたところなのに、電話を通して、マークの声が聞こえてしまいます。
ト書きには、Rachel mouths 'Shoot!' or something similar. とありますね。
実際の画面では、口をとんがらかして、sh の発音をしていることはわかりますが…。
私が画面を見た印象では、ここは、"Shoot!" と言うよりは、"Shush!" と言っているような気がします。
以下、会話に出てくる、shoot と shush という単語について説明します。
まずは、ト書きにあった shoot。
会話で相手に対して、Shoot! という時は、相手が何かを言おうとしている時に、それを促す意味で「どうぞ、言って・話して(ください)。」という感じで使うことが多いですね。
ロングマン現代英英辞典では、
shoot [verb]: (American English spoken) used to tell someone to start speaking
例) 'I have a few questions.' 'OK, shoot.'
つまり、「誰かに話し始めるように言うために使われる」。
例文は、「二、三、質問があります。」「わかりました。どうぞ(言って下さい)。」
また、shoot は、発音が似ている卑語である shit の婉曲語として、「くそっ!、しまった!、もう!」という意味で使うこともあります。
ロングマン現代英英辞典では、
shoot [interjection]: (American English informal) used to show that you are annoyed or disappointed about something
例) Oh, shoot! I forgot to buy milk.
つまり、「何かについてげんなりしている、あるいは失望しているのを示すために使われる」。
例文は、「あぁ、しまった! ミルクを買うのを忘れた。」
ここでのレイチェルの声なき発言が、Shoot! だとすると、「言って、話して!」ではおかしいですから、「もう!(こんな時にどうして声を出すの!?)」という感じでしょうね。
次に、shush について説明します。
「静かに!」という意味の日本語「シッ!、シーッ!」に当る英語が、"Shush!" です。
英語の発音は「シャシュ、シャッシュ」という感じ。
今回のシーンでは、話の流れからいって、「黙って!、静かにしてて!」というニュアンスが近いかな、と思ったので、Shoot! じゃなくて、Shush! の方かなと私は思った、ということです。
shush は過去にも出てきました。
フレンズ1-7 では、ジョーイがロスに、レイチェルへのアプローチの方法を伝授している時、当人のレイチェルが戻って来たので、シーッ!と言い合うシーンがありました。(過去記事、フレンズ1-7その2 では、セリフを一部取り上げています。)
[Rachel returns from the bathroom]
レイチェルがバスルーム[トイレ]から戻ってくる。
ロス: Shhhhh (シーッ)
ジョーイ&ロス: Shhhhh shhh shhhhh (シーッ、シーッ、シーッ)
レイチェル: What are we shushing? (何にシーッ!って言ってるの?)
ロス: We're shushing, because we're, we're trying to, to hear [quietly] something. (僕らがシーッて言ってるのは、それは、僕らが、僕らが、聞こうとしているからだよ [静かに] 「ある何か」を。)
レイチェルの話をしてたからシーッ!と言った、という事実に気付かれないように、何か別の音を聞こうとして耳を澄ましていたんだよ、とごまかしているのですね。
その他にも、フレンズ2-22その4 では、
レイチェル: Bishop Tutu actually had to stop and shush them. (実際、ツツ大司教が二人を止めて、シーッって言って黙らせないといけなかったのよ。)
というセリフもありました。
shoot と shush の話は以上です。
冷蔵庫を覗きながら、電話中のレイチェルに話しかけるマークですが、その無神経ぶりがちょっと不思議。
マークはロスよりもずっと恋愛の機微みたいなものがわかっているだろうと思うのに。
この電話もロスからの可能性が高いとわかりそうなものだし、マークはロスがヤキモチ焼きであることもよく知っているので、普通なら、自分がいることを気取られないようにするものですが…。
マークにはラブラブの彼女がいて、レイチェルに対して下心はないようでしたが、やっぱりレイチェルに気がある、とか、ロスと別れた方がいいと思っている、とかじゃないと、この行動は説明がつきませんね。
(もはや、英語の話ではなくなっている…笑)
レイチェルに電話がかかっているとは知らずに、何かに驚いて大声を出してしまった…というようなアクシデントであれば、こんな違和感は感じないと思うのですが…マークが何だかイヤなヤツに見えてしまうのが残念です。
ロスのいる店フィリーに画面が切り替わります。
クロエは、ジョーイやチャンドラーのことはうまくあしらっているのに、ロスに対してはいろいろとお世話を焼きたがっています。
好意を持っていることがわかりますね。
彼は彼女にとってヒーローですから。
気分が落ち込んでいるのがわかるので、Hey, you don't have to smile. You just have to dance. と言っています。
「気持ちがブルーなのに、無理に笑う必要はないのよ。ただ踊ればいいのよ。」というのは、元気のない人にかける言葉として優しいものですね。
一緒に踊れないとわかって、お酒に付き合うことにしたクロエ。
どこまでも積極的です。
(Rach からのお願い)
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僕も同意ですよ。その文脈では「Shoot」というのは不自然で間違いのではないかと思います。レイチェルがマークに向かってしているのなら「Shush!」あるいは「Shh!」のほうが適当ですね。
私の意見に同意して下さってありがとうございます!
日本語でも、「静かに!」という場合は「シッ!、シーッ!」と言うのですが、その音は Shh の音にとても近いです。
同じような音が同じような意味を表す、というのが、とても興味深いですよね。
そんなこともあって、Shush! だろう、あるいは、ジョンさんのおっしゃるように、(フレンズ1-7 でも使われていた)Shh! だろう、と思っていたら、ト書きに Shoot! とあったので、アレ?と思ったのです。
ジョンさんのようなネイティブスピーカーの方に同意していただけて安心しました。
いつも、私の長い日本語の記事を読んでいただけて、とても嬉しく思っています。ありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします!
shitは放送禁止用語なので、レイチェルは口を動かすだけで、はっきりと言葉を言っていないというセッティングなら、本当はまさにシュートじゃなくてshit(まさにsomething similar)と声を出さずにいっているのでは?と考えることもできますね。
もちろん、マークに向かって言っているのであれば、「shush」のほうかなとおもいますが、レイチェルとマークの間柄でshush!はちょっと失礼な言い方なのでは、とも思えるんですよ。いくらあせっていても。
スクリプトを読んだだけではshoot!でもおかしくないのでは、といいたかっただけでした。(笑)
レイチェルの顔ははじめに「あち〜(あちゃ〜)」のような顔で、そのあとは「シィ!shhh」の口に見えますね。
マークに直接に静かに!といっているより、どっちかというと一人で「やっべ〜、静かにしてよ〜」とやってる感じにとれました。
でも確かにあの口の動きではト書きが難しくなるのは理解できますね。
ということなので、さきほどのコメントは無視してください!
面白いコメントを読ませていただいてありがとうございます。
まとめレスになり、申し訳ありません。
お二人とも、YouTube をチェックして下さったようで、ありがとうございます!
やはり、実際のシーンを見てみないとわからないこと、ってありますよね。私ももう一度、シーンを見直してみたのですが、テリトリーさんが表現されたように、
>レイチェルの顔ははじめに「あち〜(あちゃ〜)」のような顔で、そのあとは「シィ!shhh」の口に見えますね。
という描写が一番適切だと思います。
ジョンさんも同意して下さっていますが、まさに、
>一人で「やっべ〜、静かにしてよ〜」とやってる感じ
ですね。
shhh の時には、顔はマークの方を向いてないですものね。マークに「シッ!黙って!」と注意したのではなくて、「静かにしてくれないと、まずいのよ、やばいのよ〜」という気持ちから出た、自分自身への言葉なんでしょうね。
そういう意味では、やばい!というニュアンスの Shoot! と、静かにしてよ!というニュアンスの Shush! が混ざったような感じで、「Sh... だけで以下、絶句」みたいな口の動きになっているのかもしれませんね。
「やっべ〜、静かにしてよ〜」…素晴らしい訳(やく)だと思いました。さすがです。ありがとうございます!
また、「やっべ〜」のニュアンスがわかるジョンさんも素晴らしいです。日本語に堪能なネイティブの方のご意見を伺えること、いつも感謝しております。
こちらこそ、面白いコメント、ありがとうございました! 今後ともよろしくお願いいたします。