[Scene: The Restaurant, after dinner.]
レストラン。夕食の後。
ミーシャ: (to Monica) And the vet said it was time. And so from half a world away, while my mother held the phone to his ear, I said goodbye to my dog ... in seven languages. ([モニカに] そして、獣医は「(お別れの)時間です。」と言ったんだ。それで、世界の半分離れたところから[地球の裏側から]、僕の母が彼の耳に電話をかざしている間、僕は僕の犬にさよならを言ったんだよ…7ヶ国語でね。)
モニカ: Oh. (to Phoebe) Could I have a tissue? (まぁ。[フィービーに] ティッシュをもらえるかしら?)
フィービー: Oh, yeah, sure. I just hope you, hope you don't accidentally suck it up through your nose and choke on it. (あぁ、えぇ、もちろん。あなたが誤って[ちょっとした事故で]、鼻からティッシュを吸い込んでしまって、それで窒息しないことを、ただ願うわ。)
from half a world away というのは、「half a world の距離を離れたところから」ということですね。
英辞郎には以下の語義が載っています。
half a world away=地球を半周した所に[で]、地球の裏側[反対側]に[で]
その語義にもあるように、確かに日本語では「地球の裏側、地球の反対側」と表現しますよね。
half a world away だと平面で地図的なイメージ、地球の裏側だと立体で地球儀的なイメージを感じます。
ミーシャの、"I said goodbye to my dog ... in seven languages." というのが面白いです。
グッバイ、さよなら、アデュー、アディオス…みたいに、いろんな言語で、さよならという意味の言葉を言った、ということですね。
彼が多ヶ国語を扱える通訳であることがわかります。(以前にも、モニカの言ったフランス語を訳しているシーンもありましたし。)
U.N. に勤務している通訳ですから、それが普通なんでしょうね。
悲しい話で、彼は別にジョークのつもりで言っているわけではないですが、最後に、in seven languages とつくことで、通訳ならではの逸話となるわけです。
そのミーシャとモニカの話を、退屈そーに、つまらなそーに聞いている二人がおかしい。
accidentally は「偶然に、うっかりして、誤って」。
フレンズ1-1その5 でも詳しく説明しています。
言葉では、「何かのアクシデントでそんなことにならないように願うわ。」と言っているのですが、その本音は、そのティッシュを鼻につまらせて窒息しちゃえばいいのよ、と願っているようです。
ほったらかされて会話を交わせない二人を差し置いて盛り上がっている二人が許せない!という感じです。
(Sergei says something to Mischa.)
セルゲイはミーシャに何か言う。
ミーシャ: (to Phoebe) Sergei would like to apologize for my behavior tonight. ([フィービーに] セルゲイは今夜の私[ミーシャ]の行いをお詫びしたい、と言ってます。)
フィービー: Well, tell him, "Apology accepted." (えぇ、彼に言って。「お詫びは受け入れたわ。」って。)
(Mischa does so.)
ミーシャはフィービーの言う通りにする[フィービーの言葉を訳して伝える]。
ミーシャ: (to Monica) Oh, he's unbelievable. I mean for the first time in three years, someone actually wants to talk to me, but do you think he would let me enjoy that? No!! (to Sergei) You silly diplomat. Why don't you learn some English, Sergei? ([モニカに] あぁ、彼は信じられないよ。3年間で初めて、誰かが本当に僕と話したいと思ってくれたんだ。でも、彼は僕にそれを楽しませてくれると思う? ノー!だよ。[セルゲイに] このばかな外交官め。英語を習ったらどうなんだ、セルゲイ?)
フィービー: Excuse me, but umm, isn't he paying for your dinner? (ちょっといいかしら。彼があなたの夕食代を払ってくれてるんじゃないの?)
モニカ: Hey, the man's dog just died. (ねぇ、その男性の犬が、ちょうど死んだところなのよ。)
(Sergei insults Mischa, and they get into a huge fight, in Russian.)
セルゲイはミーシャを侮辱する。そして二人はロシア語で大喧嘩に突入する。
ミーシャ: (to Monica) I have just resigned my post. Would you care to accompany me to the Rainbow Room? I have diplomatic coupons. ([モニカに] 私はたった今、ポストを辞めました[(通訳の)職を辞任しました]。レインボールームに僕と一緒に行ってくれませんか? 僕は外交(用)クーポンを持っていますから。)
モニカ: It would be my pleasure. (to Phoebe) My guy has coupons. Your guy can't even say "coupons." (they leave) (喜んで。[フィービーに] 私の彼はクーポンを持ってるの。あなたの彼は「クーポン」と言うことさえできないのよ。[二人は立ち去る])
セルゲイ: Uh, (picks up a plate) plate? (あぁ。[プレートを取り上げて] (これは)プレート?)
フィービー: Plate! Yes, plate. (プレート! そうよ、プレートよ。)
セルゲイ: Plate. Plate. Plate. (プレート、プレート、プレート。)
フィービー: See, we don't need them. (ねぇ、それは必要ないけどね。)
セルゲイ: (picking up a cup) Plate? ([カップを取り上げて] (これも)プレート?)
フィービー: Yeah. (えぇ。)
ミーシャがセルゲイの言葉を英語に直したセリフ、"Sergei would like to apologize for my behavior tonight." について。
my behavior の my は、セルゲイのことではなくて、ミーシャのことですね。
セルゲイがセルゲイ自身の行為を詫びるのであれば、his behavior となるはずです。
今回のセリフのように、ミーシャが発したセリフで、my と表現されているものは、「話者であるミーシャの、(今言葉を発している)私の」という意味になるわけですね。
let me enjoy that と let が使われていますが、これは、せっかくミーシャ本人の話を聞いてくれる人が現れたのに、それを「許す」どころか、こうやって非難してそれをやめさせようとする、そのことにミーシャは激怒しているわけですね。
3年間、人の言葉を訳し続けてきたんだ、これくらいいいじゃないか、許してくれてもいいじゃないか、と言いたいわけです。
resign one's post は「(職・ポストを)辞職する、退職する、辞任する」。
care to は「…したいと思う」という意味で、Would you care to...? のような疑問文の形でよく使われます。
Would you care to hold? だと、電話での決まり文句「少々お待ちいただけますか?」になります。
日向清人先生の 即戦力がつくビジネス英会話―基本から応用まで の p.85 には、この Would you care to hold? について、「秘書向けマニュアルなどでは、一番丁寧な言い方として推奨されている」と書いてあります。
Rainbow Room は、ニューヨークの高級レストラン。
Rainbow Room Dinner & Dancing
上の公式サイトに、Dress Code(ドレスコード、服装規定)が書いてあるのですが、
Dinner の場合、
Dress Code: Tuxedo or suit and tie for gentlemen; cocktail dress or evening gown for ladies
Sunday Brunch の場合でも、
Dress Code: Jackets are required; no jeans, sneakers, t-shirts
とあります。
そういうドレスコードがあることを見ても、高級な店であることは明らかですね。
過去記事 フレンズ1-17その1 のセリフにも登場しています。
coupon 「クーポン」は、TOEIC にもよく登場する単語ですね。
レストランなどのお店関係の話でよく出てきます。
辞書で発音を見ると、「クーポン、キューポン」となっています。
このシーンでは、セルゲイは「クーポン」、モニカは「キューポン」と発音していますね。
クーポンという日本語になっているので、「キューポン」と聞くと「何だ、そりゃ?」と思ってしまうかもしれませんので、注意が必要です。
外交官と一緒に仕事をしているからこそ、ここでおいしい料理も一緒に食べられるわけですが、実際に精算などの手続きをするのは通訳のミーシャらしく、ミーシャがクーポンを所持していることがここでわかります。
この人はごちそうを食べるためのクーポンを持っているけど、あなたの彼は「キューポン」とも言えない、英語を全く話せないから、その言葉を発音することすらできないのよ、とあざ笑っている感じです。
取り残されたセルゲイとフィービー。
英語を全く知らないように言われたので、皿が plate だってことは知ってるよ、と言っています。
一瞬喜ぶフィービーですが、本当にそれくらいの単語しか知らないと知って、"See, we don't need them." と言っていますね。
今、ここで plates なんて何の役にも立たない、その単語をわかったからって、今後会話が続くわけでもない、というあきらめですね。
カップを指して、これもプレート?と尋ねるセルゲイに、「もうなんでもいいわ。」みたいに投げやりな返事をするのも面白いです。
(2008.10.16 追記)
"See, we don't need them." について、下のコメント欄でご指摘いただきました。
them は plates のことではなくて、ミーシャとモニカという「彼ら」を指します。
正しい訳は、「ほら、(通訳である)彼らは必要ないわ。彼らがいなくてもこうやって話せるわ。」という意味になります。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)
それにしても、外交官でここまで英語がわからない人は実際には珍しいでしょうね。
どんなにえらそうにしている人でも、通訳がいないと一言も会話が続かない、ということを痛感させるエピソードでもありますね。
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の箇所ですが、このthemはモニカとセルゲイを指しているように思いました。
DVDをチェックしてみた訳ではないので不確かですが、二人が去った後、英語でプレートを知っていたセルゲイに、「ほらね、あの人たちなんて必要ないわ」と言ってるのかと思いました。
プレートを知っていれば会話ができるわ、という皮肉っぽい寂しさ(笑)であり、それがおもしろさであり、カップもプレートと問うセルゲイに、そうよ、と言うフィービーが気の毒で笑えます。
ご活躍をいつもお祈りしています!
ご指摘ありがとう! まゆみさんのおっしゃる通りです。
DVDの日本語も「話せるもんね。」となっています。つまり、「二人がいなくても、こうやって話せるもんね。」、「彼ら二人は必要ないもんね。」という意味ですね。
この部分、実際のシーンを見ずにスクリプトだけで訳してしまったようです。私も自分の訳に何だか違和感を感じつつ、DVDを再チェックするのを怠ってしまいました。
See というのは、「ほらね」みたいな感じですよね。「ほらね、お皿は必要ないわ。」じゃ変だなー、と思いつつ、そのまま投稿してしまったのです。だから、まゆみさんからのコメントを見た時、「あ、それが正しい!」と瞬時にわかりました。
私の日本語訳だと、"See, we don't need them." と言った時に、フィービーにはすでにあきらめているように聞こえますね。でも実際は、「そうよ、プレートよ、プレートよ!」と喜んでいる流れのまま、「彼らなんて必要ないわ。」と一種の強がりを言っているんですよね。その後、cup を plate と言ったセルゲイを見て、「だめだ、こりゃ」という感じで、あきらめたような返事をしている、ということになるんですよね。
私が気を抜いてしまった部分を、ちゃんと見てくれてありがとう!
それから、日経の広告も発見してくれて、ありがとぉねぇ〜! これからもよろしくね、まゆみたん!
先週Rachさんの本を熟読し、先週「フレンズ」のDVDを2本買い、先週からRach流DVD学習法を始めました!(まだSeason-1の5までですが・・・)
私も大学卒業後10年経過してからの580点スタートから独学でTOEIC745点まで行ったのですが、そこから全然スコアが伸びずに、「字幕なしで洋画を楽しむ」という目標を諦めかけてた時に、Rachさんの本に出会い、「海外経験なし」の普通(なんて失礼!ですね♪)の主婦の方(と言っても京大!ですもんね、私とは脳みその作りが違うのかもしれませんが・・・)がここまで出来るなら私も!と心機一転、最スタートを切った者です。
Rachさんも最初はそうだったように、「英語音声-字幕なし」では全く訳が分からず、「何が面白いんだ?」「どうして笑ってんだ?」から始まり、「こんなんで大丈夫かな?」と半信半疑でのスタートですが、頑張れるだけ頑張ってみようと思います。少なくとも今まで読んできたどの英語学習手引き書?よりも、Rachさんのそれは説得力がありますので。
さて、5段階で1セット終了した後は、単語などをチェックしたり、こちらのブログにお邪魔して疑問点を解決してますが、その後は、とっとと次のエピソードに進んでしまってもよいものなのでしょうか?少なくともリスニングを鍛えることに主眼を置くならば、どんどんどんどん先に進んで(勿論、疑問点は解消し終えてから)も構わないのでしょうか?
お忙しいとは思いますが、何か良いアドバイスがありましたら宜しくお願い致します(^o^)丿
*私はTOEICではリーディングのほうがリスニングよりもいいスコアで長文はそんなに得意ではなく、単語力も低め(受験時代に覚えた単語を忘れまくってます!)ですが、文法は特に問題ないと思います。
はじめまして。ご訪問&コメント、ありがとうございます。さらには、拙著を読んでいただき、フレンズのDVDを使った学習法を始めて下さったとのこと、本当に嬉しいです! ありがとうございます!
TOEIC は、「点数」という形で結果が出るので、学習の目安にするのにいいですよね。でも、点数が伸び悩んでしまうと、そこで英語学習に対する熱意も薄れてしまう、というマイナス面もあります。
「字幕なしで洋画を楽しむ」というのを目標にされている方は多いですよね。それが一番の目標であるならば、やはり、映画やドラマで実際に生きた英語をたくさん浴びた方が、その目標に到達するのは早いはずです。
また、TOEIC の点数を上げていく過程で、多くの問題集をこなす中で身につけるたくさんの知識、単語や文法などが、セリフを理解するのに役立つ、ということもあります。
ドラマで生きた英語を学びつつ、試験問題をこなすことで知識を増やしていく、という二本立てが、一番効果的に英語を学ぶ方法なのかな?と今は思っています。
「とっとと次のエピソードに進んでしまってもよいか?」については、「とっとと進んで下さい!」(笑)というのが私の答えです。
一つのエピソードを繰り返し見て、それを全部暗記するよりも、フレンズのエピソードをいくつも見て、何度も出てくるフレーズ、つまりは日常会話の頻出フレーズを、「あ、これまた出てきた!」と自然と覚える方が、実際の英会話でも使えるようになると思っています。
フレンズのようにキャラ立ちした登場人物が出てくるドラマは、そのキャラクターの性格や状況に合わせたセリフが出てきます。チャンドラーっぽいジョークだとか、ジョーイやフィービーらしいおとぼけだとかは、やはり、複数のエピソードを見るからこそ、掴めるのだろうと思います。そういう意味でも、あまり1つのエピソードに立ち止まることなく、どんどん次のエピソードに進んでいって、同じ単語でも違ったバリエーションで使われているのを見たり、have, get, make, take のような基本単語がさまざまな意味で使われているのを感じたり、前置詞のニュアンスをセリフから読み取ったりすることで、「英語力」みたいなものがだんだんついていくのだろうと思っています。
できるだけ、疑問点は解消してから進んだ方がいいとは思うのですが、私の経験から言っても、この学習法を始めたばかりの時は、「何が疑問点かわからない」「疑問に思ったところを、何を使って調べたらいいのかわからない」ということも多かったです。ですから最初は、「自分で調べられそうなところは調べてみる」という姿勢で良いかなと思います。
とりあえず、辞書や文法書、場合によってはネットで調べて、それでもよくわからない場合は、「わからない」とメモして次に進む。そういう思い切りの良さも必要なんですよね。ある程度、この学習法を進めていって、フレンズの英語に少しずつ慣れてくると、セリフのパターンがわかってくるようになり、調べ方にも慣れてくるようになります。
さるっちさんは、文法がお好きなようなので、そういう方は、文の構造などを掴む訓練もきっとお嫌いではないと思います。結局、英語を理解するのは単語力ではなくて、文の構造を把握する力だと私は思っています。受験時代に学んだような文法知識のストックがある方は、その持っている文法知識を、実際の生きた英語のセリフに適用してみて、「あぁ、そういうことか!」と納得することも可能だと思います。大人になってから英語を学ぶ人にとっては、文法的なアプローチからセリフを見ることができることは、大きなアドバンテージになります。学生時代のように、がむしゃらに丸暗記、記憶力で勝負、というわけにはいかない分(笑)、その英語のセリフを、どう体系づけて覚えることができるかが重要になってくる、そのために文法は大きな武器になる、と思うからです。
上の説明でわかりにくいところがありましたら、ご遠慮なく、お尋ね下さいませ。
これからもよろしくお願いいたします!
仰る通りに「とっとと次のエピソードに進んでみます」(笑)。
そしてある程度までやってみて、自分なりにプラスマイナスしていって自分に合った勉強法を探してみようと思います!
でもあくまでベースとなるのはRach流DVD学習法です(^o^)丿
またちょくちょう遊びに来ます。
途中で躓きそうになりましたらまた貴重なアドバイスをお願い致します♪
追伸:
本の表紙もさることながら、挿絵の赤ちゃんとかほのぼのしますねぇ。
私みたいにこの本に出会って、「フレンズ」のDADを大人買いした方も結構いらっしゃるのでは?と思います。
Rachさん、ワーナーに印税もらうべきです!
主婦業との両立、大変でしょうが頑張って下さい。
ランキングサイト、連打しておきました!
こちらこそ、お返事ありがとうございます。
Rach流DVD学習法は、あくまでも「私はこうやってみたんだけど…」というものに過ぎませんので、とりあえずはそのやり方で始めていただいて、自分なりにカスタマイズし、アレンジしていって、ご自分のペースに合ったやり方にどんどん変えて行って下さいね。
本のイラストもお褒めいただきありがとうございます。嬉しいです。
それから、「フレンズ」というアメリカの人気ドラマのスクリプト(脚本)を「お借りし、使わせていただいている」のは、私の方なので、私がワーナーなどの著作権者の方々に御礼を言うべきなのです。
フレンズはドラマとしてももちろん面白いけれど、それを「英語学習の教材」として見てみる、という別の魅力を提案したい、と思って、このブログを始めました。私が「フレンズのセリフを英語のまま理解することの楽しさ、面白さ」を訴えることで、さるっちさんのように、フレンズに興味を持ち、フレンズのDVDを買って下さる方が増えることは、本当にありがたいです。
そうして、多くの人にフレンズのことを知ってもらうことができたら、このブログをこうして続けることを大目に見てもらえるかな?という気持ちでやっています。
また、激励のお言葉、ランキングサイトの連打(!)もありがとうございます。これからも頑張りますので、どうかよろしくお願いします。