2008年10月24日

あなたをつらい目にあわせて フレンズ3-16その3

[Scene: Ross's Kitchen, Ross is taking some aspirin and checking his messages.]
ロスの台所。ロスはアスピリンを飲んで、留守電のメッセージをチェックしている。
レイチェル: (on answering machine) Hi, it's me. I've been trying to reach you all night. I feel awful. Please, Ross, you gotta know there is nothing between me and Mark. This whole breakup thing is just stupid. ([留守電で] はい、私よ。一晩中、あなたに連絡を取ろうとしたわ。最悪の気分よ。お願い、ロス。わかって欲しいの、私とマークの間には何もないのよ。この一連の「別れる」ってことは、ただバカなことだわ。)
ロス: Yeah!! (そうだよ!)
レイチェル: Eh, I'm just so sorry I put you through it. And, I y'know, I don't want to get back together over a machine. (あぁ、ただ、本当にごめんなさい。あなたをつらい目にあわせて[つらい経験をさせてしまって]。それで、私は、留守電で仲直りしたくはないの。)
ロス: Na-huh. (僕も、そんなことしたくないよ。)
レイチェル: So, I love you. (あなたを愛してるわ。)
ロス: I love you. (愛してるよ。)
レイチェル: And y'know what, I'm gonna, I'm gonna go to bed now, but ah, on my way to work tomorrow morning, I'm gonna stop by around 8:30. (それで、私は、私は今からベッドに入るわ。でも、明日の朝、会社に行く途中に、8:30頃、あなたのところに立ち寄るわね。)
ロス: Okay. (Ross starts frantically looking for a clock.) (わかった。[ロスは、必死に時計を探し始める。]
レイチェル: Bye. (さよなら。)
(Ross finds a clock, sees it's almost 8:30, and silently screams.)
ロスは時計を見つける。もう8時30分であることを知り、声にならない叫び声を上げる。

ロスはアスピリン(鎮痛剤)を飲んでいます。
昨晩のことはよく覚えてないようで、きっとベロベロに酔っ払っていたのでしょう。
それで今、二日酔いで頭が痛い、ということですね。
英辞郎にも、
Aspirin always works on my headaches. 私の頭痛にはいつもアスピリンが効く。
という例文が載っています(笑)。

reach は「届く」で、今回のセリフでは、「(電話などで)(〜と)連絡する」という意味で使われています。
こういう reach は TOEIC 頻出単語で、神崎正哉先生の 新TOEIC TEST ウルトラ語彙力主義 (ウーゴ)の Unit 43 (p.114) でも、
M: May I speak to Ms. Becket, please? (ベケットさんをお願いします。)
W: She's not in this deprtment anymore. You can reach her at 5874-****, extension 205. (彼女はもうこの部署にはいません。5874-****、内線 205 で彼女につながります。」

という例文が出ています。

レイチェルの "I've been trying to reach you all night." というのも、ロスの居場所がどこかわからなくて、一晩中、ロスのいそうな場所に片っ端から電話して、ロス(あなた)に連絡を取ろうとしていた、ということです。

put someone through は「人に…を経験させる」という意味で、今回のようなつらい思いをさせて、つらい経験をさせて、つらい目にあわせて、ごめんなさい、ということでしょうね。
ロングマン現代英英辞典では、
put somebody through something:
to make someone do or experience something difficult or unpleasant

つまり、「人に、何か困難なこと、または不愉快なことをさせる、または経験させること」。
through の後に来る something は、何かネガティブな内容になる、ということですね。
今回のセリフも、put you through it ですが、その it は、「別れる」といった今回の一連のいやな出来事を漠然と指しているのか、もしくは it と表現することで、it = something difficult or unpleasant であると自然に理解されるのかもしれません。

フレンズ3-1その17 で、go through 「(苦難など)を経験[体験]する、…に耐え抜く」、get through 「(困難などを)乗り越える、切り抜ける」なども説明しました。
through 「通り抜けて」という言葉のイメージが、「何かしら困難なことを切り抜ける、経験する」というニュアンスを生むようですね。
put someone through の場合も、目的語である誰かを「通り抜ける、切り抜ける状況に」置く(put)ということで、主語が目的語をそういう状況になるように追い込んでしまった、みたいな感じが出るのでしょうか。

また、「電話つながり」の話でいうと、put A through to B なら、「電話で、AさんをBさんにつなぐ」という意味になります。

ちょっと、脱線しますが、「24 -TWENTY FOUR-」シーズン1の第2話(1:00)で、ジャック・バウアーの上司リチャード・ウォルシュが、ジャックに、
I'm sorry to put you through this, Jack.
と言うセリフがあります。
DVDの日本語では、「こんな目にあわせてすまない。」と訳されていました。

ジャック・バウアーと言えば、どきどきキャンプの 岸 学さんが、コントでジャックの真似(というか、吹替の小山力也さんの真似)をされていますよね。
あのコントでよく登場するセリフに、「君をこんなことに巻き込んでしまって…(鼻をすする)…本当にすまないと思う。」というのがあります。
あのセリフの英語バージョンも、もしかしたら、I'm sorry to put you through this. なのか、もしくは、「巻き込む」だったら involve という単語を使っているのか…?などと疑問に思って、とりあえず、24 の第5話までを見たのですが、ジャックのそういうセリフが登場しなかったんですよねぇ…。

あのジャックのセリフ、英語ではどう言っているのか、ご存知の方は教えて下さい。

時間があれば、24 の続き、すっごく見たいんだけどなぁ…これをずっと見ちゃうと、ブログ書く時間なくなりそうで…。
これまで見よう見ようと思って、なかなか手を出せなかった 24 に手を出したきっかけ、それは、どきどきキャンプのコントを見て、「ほんとに、ジャックはあんな風に鼻をすするんだろうか?」という疑問を抱いたからです(笑)。
英語のセリフでもやっぱり鼻をすすっているのを知って、何だか感動しました(?)。

脱線ついでに、英語と全然関係ないネタですけど、Wikipedia 日本語版: どきどきキャンプ によると、「岸は大のガンダム好きのため単独ライブのタイトルを必ずガンダムと関連付けたタイトルを用いる。」そうです。
その単独ライブのタイトルもウィキペディアに書いてあるのですが、全ての元ネタが瞬時にわかる私も、女性としては「かなりのもの」かな?と。
岸さんとなら、楽しくガンダム話ができそうだわ。(あと10年は戦える…笑)
(脱線はここまで)

get back together は「仲直りする、ヨリを戻す」。
break up の後、get back together というのは、恋愛の話をする時の決まり文句です。

フレンズ1-20その1 でも触れていますが、電話で machine と言うと、留守番電話(answering machine)のことです。
over a machine の over は、over the phone 「電話で」の over と同じ感覚ですが、今回は特に、「電話で仲直りしたくない」というよりも、「留守電で、留守電上で、仲直りしたくない」という意味ですね。
留守電の録音で「ごめんなさい。仲直りしましょう。」と言ってしまうんじゃなくて、仲直りは、直接会って(in person)、きっちり話をした上で…ということです。

フレンズ3-6その13 では、over the phone と in person との対比がありました。
エリック: But, he told me over the phone... (でも、チャンドラーは電話で僕に言ったんですよ…)
ヘッケルさん: He told me in person. (チャンドラーは私に直接言ったぞ。)

電話越しよりも、直接言う方が大切、ずっと意味がある、ということですね。

I don't want to get back together over a machine. と言うレイチェルに対して、ロスは首を横に振りながら、"Na-huh." と言っています。
これは、"No." という意味です。
英辞郎には、
Nah=(副詞)いいえ、そうではない、それは違う (No よりもカジュアル)
と出ています。

議会での賛成、反対では、賛成を yea、反対を nay と表現することもありますね。
ABCニュースなどで、画面に「YEA 150, NAY 130」などと出ているのを見たような気がします。

日本語の「はい、いいえ」と、英語の "Yes, No" の違いについては、過去に何度も説明しましたが、相手が否定文を使った時に、No. と返す場合は、自分もその否定文と同じことを思っている、ということで、つまりは相手に同意していることになります。
ですから、ここを機械的に「いいえ」とか「だめだよ」などと訳してしまわないようにしましょう。
レイチェルの発言を否定しているのではないのです。
今回のセリフは、"Of course, not!" 「もちろん、僕だって、留守電で仲直りしたくなんかないよ!」という感じですね。

almost は「ほとんど、もう少しで」という意味で、後に続く時間に接近していることを表します。
ですから、almost 8:30 というのは、もう少しで 8:30 だということで、レイチェルが来る時間がすぐに迫っていることに気付いて焦っているわけです。

silently scream というのは、フレンズでよくある動作ですね。
キャー!と叫びたいんだけど、叫ぶわけにはいかない、今回は、別の部屋にクロエもいることだし、レイチェルがすぐそこに来ているかもしれないし、余計に声を出せないわけです。
声にならない叫び、というか、声を押し殺して叫ぶ、というか、その様子がロスがパニクっていることを表していますね。


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posted by Rach at 13:29| Comment(5) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。

わたしのシェアメイトがフレンズ好きで、

気がつけば自分もはまってます。

結構早口で解らない部分とかあって、

まあ字幕つけりゃいいだけなんですけど。

なんかそれも嫌で、、

こうやってブログで後から確認できるのいいですね。

まだシーズン1なので、

ブログの更新にどんどん追いつけるようにしようと思います。
Posted by D at 2008年10月26日 15:35
ジャックバウアーの鼻すすりについてですが、キーファー・サザーランドの薬のやりすぎ(コカインを鼻で吸い上げる)で鼻がおかしくなったとか。僕も24を見ましたが、ジャックの鼻すすりには気が付きませんでした。花粉症?それかアクションが多すぎて蒸気で鼻がたれるとか?(笑)
Posted by テリトリー at 2008年10月26日 22:50
Dさんへ
はじめまして。ご訪問&コメント、ありがとうございます。
海外ドラマはやはり、ネイティブが普通に楽しむものですから、結構早口で解らない部分も多いですよね。モニカは特に早口で有名ですし(笑)。

私のブログで確認していただけるとのこと、光栄です。今はシーズン3を解説していますが、進度が非常にトロいので、すぐに追いついていただけると思います。
これからもよろしくお願いします。


テリトリーさんへ
コカインを鼻で吸い上げる、という描写は、映画「グッドフェローズ」(原題: GoodFellas)で見たことあります。キーファー自身は、飲酒運転での逮捕歴はありますが、麻薬問題はなかったような…。
hay fever という英語もあるくらいですから、花粉症は、アメリカにもあるんでしょうね?
手に汗握るアクションは確かに多いです。そういうシーンはセリフが少なくて、あまり英語の勉強には使えないのですが(笑)、謎が多いので、「次、見たい!」と思わせるのが上手い展開になっていますね。評判通り、面白いドラマだと思いました。

えーっと、ジャックの鼻すすりは、ちょっと「スッ」という感じで、すするだけなのですが、タメ(溜め)の演技の一環、という感じでしょうか。
ちょっとセリフに間があく時に、本人のためらいや悩みみたいなものを出すために、視線をあちこちに動かして、ちょっと一呼吸入る感じで、鼻をすするんですよ。

24で初めてその「鼻すすり」(?)が登場したのは、シーズン1エピソード1(MIDNIGHT)の 12分30秒頃、確か、電話している時だったと思います。
普通なら、そんなこと、スルーしてしまうと思うのですが、その「どきどきキャンプ」のコントでは、それがお決まりの仕草みたいになっているので、DVDを見る時に、その仕草に注目してみた、ということです。

コントでは、携帯で電話するシーンもよく出てくるのですが、実際のジャックも、"Let me give you a call back in a little while." 「少し後でかけ直す。」みたいなセリフがしょっちゅう出てきます。
It's Jack Bauer at CTU. 「CTU のジャック・バウアーだ。」(Counter Terrorist Unit は「テロ対策ユニット」のこと)などと言いながら、そういう携帯ネタを英語で言うと、アメリカ人もウケてくれるでしょうか? 深刻そうな顔で言うのがポイントかな?(笑)
Posted by Rach at 2008年10月27日 10:32
キーファーサザーランドはコカインを一年くらいやっていたそうで、それを「一年も」ととるか「一年だけ」ととるかですね。一年も鼻から吸引してこすっていたらそうとうなダメージになるのでは、とおもいますが。(やったことがないのでなんともいえません。笑)

ちなみにアメリカ英語では、いわゆる日本でいう花粉症を「seasonal allergy」というそうです。たしかにhayはあんまりまわりにありませんね。いちおうhey feverも季節的なアレルギーの部類に入るんだと思います。家のダニとかペットの毛とかカビに対する家の中のものへのアレルギーは「in-door allergy」というそうです。

ジャックは携帯の充電をいつやっているのだろうと、くだらないことを考えてみました。24は一シーズン見て非常に疲れたのでそれ以降は借りませんでした。(笑)それものめり込んだ末のことで、それだけ人を惹きつける要素がある番組ですね。
Posted by テリトリー at 2008年10月29日 05:44
テリトリーさんへ
情報ありがとうございます。そうなんですか、彼はコカインをやっていたことがあるのですね? あの仕草は、そのイメージなのかなぁ???
私はコカインと言えば、シャーロック・ホームズを思い出してしまうのですが。

花粉症は、hay fever だと丸暗記で覚えたのですが、seasonal allergy と言うのですね? 英辞郎には「季節性アレルギー」という訳が載っていますが、確かに、春になると出てくるアレルギーなので、ニュアンスはそちらの方が合っていますね。
アレルギーと言えば、ロスは、キウイアレルギーだったなぁ…。

携帯の充電かぁ。車に乗っている時は、何らかの機器にセットして使っているようだったので、その時に充電できてるんでしょうかねぇ?(笑)。
確かに見ていて疲れるドラマではあります(笑)。話が深刻でもあるし、毎回クリフハンガーみたいな感じで、次回以降に引き続く謎が多すぎるからでしょうか。でもやっぱり面白いですよね。
Posted by Rach at 2008年10月29日 13:30
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