2008年11月19日

ナイスに扱われることを意図されたエリア フレンズ3-16その12

[Scene: Monica's Bedroom, Monica and Phoebe are removing the rest of their wax strips.]
モニカのベッドルーム。モニカとフィービーは残りのワックス片をはがしているところ。
モニカ&フィービー: Ow!!!!!!! Ow-ow-ow-ow! (あぁ! あーあーあーあー!)
(Hearing the screaming Chandler and Joey rush in. Joey has a pan, Chandler has a tea kettle.)
その叫びを聞いて、チャンドラーとジョーイが駆け込んでくる。ジョーイは鍋、チャンドラーはやかんを持っている。
フィービー: We're all right. (私たちは大丈夫。)
モニカ: It's okay, it's okay. (大丈夫、大丈夫よ。)
フィービー: We're all right. (大丈夫なの。)
モニカ: We were just waxing our legs. (私たちはただ、足にワックスを塗っていた[ワックスで脱毛していた]だけなの。)
チャンドラー: Off?!! (はがしてた(だけ)?)
フィービー: For your information, this happens to be a pain like no man will ever experience. (参考までに言っておくと、これは男性が決して経験することのないような痛みだったりするのよ。)
チャンドラー: Yeah, well, I don't think you can make that statement, unless you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely. (そうだな。そんな発言できないと思うよ。大切に[心地よく]扱われるように意図され(て作られ)た部分を蹴られた経験があるのなら、話は別だけどね。)
ジョーイ: Yeah, I-I think that women just have a lower threshold for pain than men, that's all. I mean, come on, it's just a little wax. (そうだよ。女性は男性より、痛みに対する限界点[線]が低いだけだよ、それだけだ。ほら、ほんのちょっとのワックスじゃないか。)
フィービー: Oh yeah, come here. (Puts a little wax on Joey's arm and puts a strip on it.) (あぁ、そうね。こっちに来て。[ジョーイの腕に少しのワックスを塗って、ストリップ[一片]をつける]
チャンドラー: Oh, that's mature. (おぉ、それって大人っぽいね。)
ジョーイ: Okay, fine, so now what, I just pull it off? (オッケー、よし。それでどうするの、ただ、引っ張りはがせばいいだけ?)
フィービー: Uh-huh. (そうそう。)
モニカ: That's right. (それでいいわ。)
(Joey laughs, pulls it off, then does a high-pitched whine.)
ジョーイは笑い、ストリップを引っ張りはがす。そして、甲高いすすり泣くような声を上げる。

二人でストリップをはがしては、アオアオ、アウアウ!と叫んでいるので、チャンドラーとジョーイが何事かと寝室に駆け込んできます。
ジョーイはミルクパンみたいな鍋、チャンドラーは黄色い三角のケトルを手にしています。
犯罪者でもいるのかと思って、武器を持って参上したのでしょうが、悪者を撃退するのにあまり役に立たなさそうなトンチンカンなものを持っているのがポイントですね。

ワックスで脱毛してただけよ、という二人に、チャンドラーは、大声で、"Off?!!" と言っています。
おそらくこれは「分離」を表す off で、足にはったそいつをただ「はがしてただけ」?みたいにあきれた感じで言っているのかなぁ?と思いました。
「はがす」だけで、あんな大声を出したのか?という感じかな、と思います。

this happens to be a pain like no man will ever experience. について。
no という否定語と ever との組み合わせで、「決して…ない」(=never)の意味になります。
研究社 新英和中辞典にも、
ever=(否定文で)かつて(…することがない)、決して(…ない)
(用法) not ever で never の意になる
例) I won't ever forget you. 決して君のことは忘れない。

という説明が載っています。

no man has ever experienced という現在完了形なら、「どんな男性もかつて経験したことがない」という過去から現在までの経験を言うことになるのでしょうが、この場合は、no man will ever experience と will が使われていますので、「どんな男性もこれから決して経験することのない」みたいなニュアンスになると思います。

I don't think you can make that statement, unless you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely. について。
英辞郎には、以下の語義が載っています。
meant to
1. (be 〜) (物が)〜であることを[〜するように]意図されて[作られて]いる
2. (be 〜) (人が)〜になるよう運命づけられている

mean to 「…するつもりである」が過去分詞で受身になった形ですね。
God only meant to となっているのは、意図したのが神である、「神がただ…であるようにと意図して作った」というニュアンスかな、と思います。
すなわち mean の主語が God である、ということだと思うのですが、ただ、その mean の主語の God がこの位置に来る理由を文法上うまく説明できません。

神によって、be treated nicely であることを意図されて作られた、神様が本来、そこを nicely に扱うようにとお作りになった部分、つまり、男性の大事な部分(笑)を、乱暴に蹴られた経験がないのなら、みたいなことですね。
nicely のニュアンスは、ロングマン現代英英辞典では、
nicely:
1. WELL
in a satisfactory, pleasant, or attractive way
2. IN A FRIENDLY/PLEASANT WAY
in a pleasant, polite, or friendly way

つまり、1. は「満足な、心地よい、または魅力的な方法で」、2. は「心地よい、丁寧な、または親切な方法で」。
いずれにしても良い意味ですが、デリケートで敏感な部分であるということで「大切に扱う、優しく扱う」という意味で言っているのか、それとも、エッチの時に快感を感じる部分だということで「心地よく(なるように)扱う」という意味で言っているのかがよくわかりません。
多分、蹴られるというような乱暴なことは想定されていない部分である、という意味で「大切に優しく扱われる」という意味だとは思うのですが…。

Unless はこれまでに何度も出ているように、否定の条件を表して、「もし…でなければ、…でない限り、…なら話は別だが」という意味になります。
ですから、「こんな痛み、男性は経験したことないでしょ、みたいに言うけど、それは、大事な部分を蹴られる、という男性の一番痛い経験をしてから言って欲しいな。」という意味になり、女性はそういうのを最高の痛みみたいに言うけど、男性には男性にしかわからない究極の痛みというのがあるんだ、あそこを蹴られた経験がないものにはそれがわからないんだよ。あれを超える痛みなんてないよ。あれを経験してから、そういうことを言ってくれよ。」ということが言いたいのですね。

そういう「男性の大事な部分」を説明するのに、that God only meant to be treated nicely という表現を使っているのが笑えるのです。
あそこは本来、大事に、大切に扱ってもらうべきところなんだ、ということですね。

threshold は「敷居、入り口」で、そこから「出発点、発端」「限界、境界」という意味にもなります。
women just have a lower threshold for pain than men は、耐えられる痛みのレベルが低い、ちょっとの限界を超えるとすぐに女性は痛がるんだよ、みたいなことですね。

どれだけ痛いが試しにやってみる?ということで、腕にワックスを塗られたジョーイ。
それを見て、チャンドラーが "Oh, that's mature." と言っているのですが、それは、男性なのに脱毛をしているところが、成熟した大人みたいだ、と言っているのでしょうかねぇ?
それとも、「ワックス塗ってみろよ、俺は痛がらないからさ。」と、実際に痛みを経験するために、腕にストリップをつけている姿が何だか子供っぽいので、皮肉っぽく「お前、大人だねぇ…」と言っているのでしょうか?

ストリップをはがした後の様子、ト書きでは、does a high-pitched whine と書いてあります。
whine は「すすり泣きの声」。
ンンンー!と一瞬、小さな甲高い声を上げて、口はギュッと閉めたままで、でも涙がちょちょぎれそうな感じ。
耐えられないような痛みじゃないよ、と言って試しているわけですから、痛い!とか、ギャー!とか言うわけにもいかず、a high-pitched whine になってしまったのですね。

それを試す前、ジョーイは、it's just a little wax. と言っていました。
ペインフリーとペインフル フレンズ3-16その9 で、「ペインフリー(無痛)だなんてとんでもない、ペインフルよ。」と言った後、
モニカ: ... they should call it "Pain-zine, now with a little wax." (こう呼ぶべきよ、「ペイン・ジーン。今、少しのワックスで。」)
と、言っていました。
ジョーイの一瞬の whine が、そのモニカの考えた新しいキャッチフレーズを図らずも証明してしまった感じです。


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posted by Rach at 10:44| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
モニカ: We were just waxing our legs. (私たちはただ、足にワックスを塗っていた[ワックスで脱毛していた]だけなの。)
チャンドラー: Off?!! (はがしてた(だけ)?)

チャンドラーの「オフ?!」というのは「waxing your leggs off?!」の意味で、オフをつけることで、足の毛をはがしてたんじゃなくて、ワックスで足(自体)を引っこ抜いてたのか?!と言っているんだと思います。あまりにもひどい悲鳴を聞いたので、ただの脱毛でそんなに痛い分けないだろう、足でも引っこ抜いてるような悲鳴だったぞ、と言っているんだと思います。

you've been kicked in an area that was meant(by God)to be treated nicely という形から「神さまからのお召し」を強調するということで神を主語として使ったので that was meant by God がthat God only meantになって、そのあとto be treated nicelyと続いている形だとおもいますが、文法用語で説明となると、僕も???です。

That's matureというのは、レイチさんの仰るとおり、子供じみた態度、意地悪や仕返し、挑戦などを見たときに「お前って大人だな」という呆れた感じですね。

しかしワックスというのはそんなに痛いもんなんでしょうか?(笑)
Posted by テリトリー at 2008年11月20日 11:05
テリトリーさんへ
いつも貴重なご意見ありがとうございます。
項目の順番が前後しますが、ご了承下さい。

まず、That's mature. は、やっぱり「子供じみた」部分を見て、呆れて言っている、という皮肉の方なんですね。
今回は「なら試してやるよ。」という挑戦が子供じみているのですね。

ワックスって痛いのかなぁ? 脱毛ワックスというのを試したことがないので知らないんですよ、私は。
でも、涙がちょちょぎれそうな感じは想像できます。

次に、Off?! について。
テリトリーさんのご意見に賛成です。
waxing our legs と言った後に、Off を追加する形で言っているので、それは、テリトリーさんがおっしゃるように、waxing your legs off?! という意味として理解するのが自然ですね。
wax your legs なら、「足にワックスを塗る」だけになりますが、wax your legs off だと、「ワックスで足を(引っこ)抜く、足を取り外す」みたいな意味になる、ということですね。

私は off という言葉にだけ注目してしまいましたが、誰かの言葉の後に続いて何か短い言葉を言った場合、そこには前の人の言った言葉が省略されている、と考えるのが英語らしい考え方だと思いました。

そんな風に単発の動詞に副詞や前置詞をプラスして句動詞にすることで、意味の違いを出す、というジョークって英語にありますよねぇ。

今ふと思い出したのが、「007 ドクター・ノオ」のワンシーン。テレビで放映していたのを一瞬見ただけなので、シーンはうろ覚えですし、何か勘違いしているかもしれませんが…(解釈を間違っていたら、どなたかご指摘下さい。)
セリフは、IMDbから引用しました。
Memorable quotes for Dr. No (1962)
http://www.imdb.com/title/tt0055928/quotes

海から、水着姿のグラマーな女性(Honey Ryder)があがってきて、それをじっと見ているボンド(ショーン・コネリー)。
Honey Ryder: Are you looking for shells too? (あなたも貝を探してるの?)
James Bond: No, I'm just looking. (いいや、ただ見ているだけだよ。)

I'm just looking. というのは、ウィンドー・ショッピングをしていて店員さんが寄ってきた時の決まり文句ですが(笑)。
この上のやり取りは、look for 「探す」という言葉を使った女性に対して、look for じゃなくて、look していただけだ、と返しているのですが、それは、海から色っぽい女性が出てきたのでそれを見ていた、貝を探してたんじゃなくて、女性(君)に見とれてたんだ、ということですよねぇ?
この後の展開を私は知らないのですが、女性はその言葉の意味に気づかなかったかもしれないけれど、観客はその意味がわかってクスッと笑ってしまっただろうと思います。ボンドがにやにやというか、いつものちょっとエッチな視線で見ていたような気がするので。セクシーな女性に心奪われる、というのが、007という映画のお楽しみの一つですからねぇ。

ということで、007の場合は、相手の look for を、look と言い直した、チャンドラーの場合は、wax (our) legs を、wax your legs off と聞き返した、という感じですね。それぞれ、for や off を付けたりはずしたりすることで、別の意味に変えている、ということですよね。

最後に、you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely なんですが、私も、was meant by God to be treated... のニュアンスを感じたので、その by God がどうしてこの位置に来るんだろう?と思ったんですよ。
でも、考えているうちにあることに気づきました。
この meant は過去分詞形じゃなくて、「過去形」なのではないか?と。

説明が長くなったので、今日、一つの記事として投稿します。
間違いなどあれば、ご指摘よろしくお願いいたします。
Posted by Rach at 2008年11月21日 12:32
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