前回の記事、ナイスに扱われることを意図されたエリア フレンズ3-16その12 で、
フィービー: For your information, this happens to be a pain like no man will ever experience. (参考までに言っておくと、これは男性が決して経験することのないような痛みだったりするのよ。)
チャンドラー: Yeah, well, I don't think you can make that statement, unless you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely. (そうだな。そんな発言できないと思うよ。大切に[心地よく]扱われるように意図され(て作られ)た部分を蹴られた経験があるのなら、話は別だけどね。)
というやり取りがありました。
その you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely について、ざっと以下のように説明しました。
(be) meant to は「(物が)〜であることを[〜するように]意図されて[作られて]いる」という意味で、mean to 「…するつもりである」が過去分詞で受身になった形。
過去分詞形 meant となっている mean の主語は God だと思うのですが、その mean の主語の God がこの位置に来る理由を文法上うまく説明できません。
その記事のコメント欄で、
you've been kicked in an area that was meant (by God) to be treated nicely
みたいなニュアンスだと思う、というご意見をいただいたのですが、私もそういうニュアンスを感じたのです。
ですから、その by God がどうしてこの位置に来るんだろう?と思ったんですね。
でも、考えているうちにあることに気づきました。
この meant は過去分詞形じゃなくて、「過去形」なのではないか?と。
コメント欄でいただいた文章 that was meant (by God) to be treated nicely のように、関係代名詞の that を使って書く場合は、that was meant となりますね。
そして、that was を省略すると、形容詞の後置修飾の形になって、in an area meant to be ... と表現することも可能ですよね。
でも、セリフでは、in an area that God only meant となっていて、「that があるのに be動詞がない」、もしくは「meant という過去分詞だけで後置修飾できるのに、that がついている」みたいなことになっています。
be meant to do 「(物が)〜であることを[〜するように]意図されて[作られて]いる」という決まった表現があるので、その (be) meant to だとばかり思ってしまったのですが、このセリフの meant を mean の過去形の meant だと考えると、文法上しっくりきます。
研究社 新英和中辞典の mean の項目を見ると、以下の用法があります。
mean=(+目+to do)(…に)(…するように)予定する、計画する (注 しばしば受身で用いる)
例) I certainly mean him to come. もちろん彼に来てもらうつもりです。
つまり、mean という単語は、"S+mean+O+to do" という形を取れる、ということですね。
その考えで行くと、元々、
God only mean an area to be treated nicely. 「神はある場所が nicely に取り扱われるようにだけ意図する、計画する」
という文があって、その mean を過去形にすると、
God only meant an area to be treated nicely.
になって、
その an area を先行詞として前に出して、that という関係代名詞を使って後ろから修飾すると、
(in) an area that God only meant to be treated nicely
になる、という仕組みなのかな、と思いました。
ですから、日本語訳としては、「神が nicely に扱われるようにとだけ”計画した・意図した”エリア」ということになるかなぁ、と思います。
つまり、「(神によって)意図された」という受身の意味の過去分詞 meant ではなくて、「神が意図した」というS+V(過去形 meant)のようだ、というのが今の私の結論なのですが、どうでしょう??
meant something to be treated という文章で、目的語の something が先行詞として前に出たために、meant と to がくっつく形になってしまい、meant to be treated という一続きの過去分詞表現に見えてしまった、という間違いかな、と思うのです。
わざわざ一つの記事として投稿したのは、この meant に関しての興味深い話が、ある本に載っていたからです。
その本とは、マーク・ピーターセンさんの 続・日本人の英語 (岩波新書) です。
p.8 で、映画「雨に唄えば」の中の曲、You Were Meant For Me について語られています。
mean という単語を語る中で、I guess it just wasn't meant to be. (まあ、もともと縁がなかったんだろう。)という表現も出てきます。
以下、一部引用させていただきますと、
p.10 隠れた主語は「神」
"were meant for" という英語は、受動態である。ということは、能動態の "meant for (mean for の過去形)もあるはずである。それに、その主語もどこかにあるはずである。つまり、
Who meant you for me? という問題になる。
p.11 "mean" の受動態の多くの場合、その「つもり」をもつ、背景にある主語は「運命」、あるいは、もっと厳密に言えば「造物主」である。「神」である。
上の例文では、mean someone for という形になっていますが、まさに mean の過去形の能動態(meant)の話が出ています。
be meant to という受動態がよく使われ、その隠れた主語は神である、ということは暗黙の了解のようです。
ですから、今回のセリフも、
in an area that was meant to be treated nicely
または、that was を省略して、
in an area meant to be treated nicely
と表現することも可能だと思います。
ですが、チャンドラーはその「隠れた主語」である神をはっきりと出すために能動態の形にした、それが、
in an area that God only meant to be treated nicely なのだと思いました。
実際の発音も God にアクセントがきていて、「神様がただただ、そこが nicely に扱われるように…と思って作ったエリアを蹴られる」という対比、その神の思し召しに反して、大切な部分を蹴られてしまう、という不幸な出来事、想定外の出来事、という感じがより出るのかな、と思いました。
文法的に考えると、目的語が前に出た関係代名詞の形だと理解しやすいのですが、be meant to という過去分詞を使った表現が有名でそれが頭にあったために、「meant は過去分詞」という考えから抜け出せなかったようです。
普段は過去分詞 meant を使うことで隠れている by God が、素直に能動態を使うことで、SVの形ではっきり God が主語だと明示できた、ということだと思います。
この解釈、いかがでしょうか??
(Rach からのお願い)
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ぼく自身は、Veronica MarsやThat '70s Showの方が好きで、何度も繰り返して観ています。最近は、Californicationというドラマを観ました。これは、Friendsなどと違ってかなり下品です。まあ、それが面白いのですが。
さて、上の項目ですが、Godが主語でmeantはmain verbとしての過去形という新しい解釈が正しいと思います。音声を聞いてみれば、meantとtoの間に本の少しポーズを取っているかどうかで解るはないでしょうか。
I want to help you.
The company sometimes fires some coworkers I want to stay.
下の例文では、どんなに早く発音してもwant toがwannaにはならないように、
God only meant an area to be treated nicely.
が元型の文であるならば、meantが/t/で終わり、toが/t/で始まっていてもくっつかないはずです。
ただ、ぼく自身はこのエピソードを観たがどうか定かではないのでいい加減なことを云うのもよくないのですが、以上私見を述べさせていただきました。
2年前ほどにここのサイトと縁が出来、
ずっと参考にさせてもらってる大学生です。
いつもありがとうございます☆
勉強法について一つ質問させていただきたく、
コメントさせていただきました。
僕はこれまでTOEICの勉強を続けてきて、
ようやくこの前の夏に800点取ることが出来ました。
そしてこれからも英語の勉強を続けていこうと考えてるんですが、
どのように勉強していこうか試行錯誤してます。
特に英語(語学)は勉強の仕方が多岐に渡るので、
少しでも効率よく出来ればと思って最近ずっと考えてます。
これからはTOEICに焦点を当てる勉強はもういいかなと思っており、
将来的に映画を見れたり英文をスラスラ読めたり出来るように
なりたいと思ってます。
リスニングに関しては、フレンズを見続けていこうかな。と。
またリーディングに関しては、
知らない単語が全体の10%以下くらいの簡単な英語の本を、
少しでも早く読めてかつ内容を要約出来るように、
どんどん読んでいくのがいいかな。と考えてます。
Rachさんが800点前後のときから、
今のレベルになるまでどのような勉強をしてきたか、
もしくは今だから思う、どのような勉強が効果あったかなど、
簡単に少しでも教えていただけないでしょうか?
過去記事を読ましてもらいましたけど、
特にシャドウイングとディクテーションに関しての記事は
なかったようにおもうのですが、
それに対してはどのように思われてますか?
お忙しいところ申し訳ないですが、
少しでも英語学習のパイオニアであるRachさんに、
ご意見いただきたいと思って質問させていただきました。
これからも更新楽しみにしてます♪
がんばってください☆
ご訪問&コメント、ありがとうございます。
いろいろなドラマを見ておられるのですね。挙げて下さったドラマ、私はどれも知らないのですが(泣)、いずれも面白いのでしょうねぇ。Veronica Mars はテレビでやっているCMをたびたび見ます。
さて、meant は main verb としての過去形である、という解釈に賛成して下さり、ありがとうございます。
その want to を使った例文、わかりやすいですね。確かにそういう場合は、want to が wanna にはなりませんよね。
そう思って、チャンドラーのセリフを聞き直してみました。かなり早口なので、meant と to の間にポーズがある、というほどには間があいていませんが、to はわりとはっきり聞こえます。
be meant to という連続したフレーズなら、to はこれほどはっきり発音されないのかな、という気もします。
want to が wanna になるように、meant to が連続したフレーズであったのなら、meanna みたいに聞こえて、to ははっきり発音されないだろう、ということですよね? そういう意味では、今回のセリフは、meanna みたいにくっついてはいないようなので、やはり、いわゆる be meant to とは違う、ということになるのだろうと思います。
文字だけのスクリプトを見ていてもよくわからないけれど、実際に発音されているイントネーションなどから、意味の切れ目がわかる、ということありますよね。有益な情報、ありがとうございました!
tomokiさんへ
拙ブログをずっと見て下さっているとのこと、ありがとうございます。
TOEIC で800点取られたのですね。おめでとうございます。それくらい取れるようになった上で、「映画を見れたり英文をスラスラ読めたり出来るようになりたい」ということだと、やはり、これからは「生きた英語」に大量に触れていき、いろんな表現を自分の中に溜めていくようにされたらいいのでは、と思います。
おっしゃるように、リスニングに関しては、生きた英語の宝庫であるフレンズなどの海外ドラマを見ることが有効ですし、リーディングに関しては、簡単な本をイメージしながら読んでいくようにする、ということも有効ですよね。
英文をリーディングする、ということは、出てきた単語を、単語ごとに日本語に置き換えていく、という作業ではないんですよね。スラスラ読めるか読めないか、というのは、知っている単語の量にももちろん左右されるのですが、たとえ知らない単語があったとしても、英文を左から右に読みながらイメージする訓練ができているかどうか?が実は大事なのだと思っています。そういう訓練をするためには、簡単な文でもいいから、とにかく「読んだまま、読んだ順番に、イメージしていく」という感覚を身に付けるべきで、日本語を思い浮かべずにイメージしていく練習が必要なんですね。
私の場合は、「TOEIC 900点超え」を一応の目標にしていましたが、それと同時に、英語のドラマを理解できるようになりたい、という気持ちも持っていました。でもそれは自分の中では、ベクトルの違った目標だと思っていました。
TOEIC に関しては、公式問題集などの問題集をとにかくこなすことで試験慣れし、そういう問題をクイズ形式でこなす中で、日本人が間違えやすい文法事項などを学んでこられたのだろうと思っています。
フレンズのDVDを見て、英語のセリフを理解しようと試みていたこと自体は、ある意味「趣味の領域」で(笑)、それが直接、TOEIC の点数や自分の英語力を伸ばすことにつながるかどうかは未知数だと思いながらやっていました。ただ「知りたかっただけ」なんです。
でも、結果としては、「このセリフはどんな意味なの? どうしてこういう意味になるの?」と思いながら、英文の構造を掴む訓練を続けることになり、「英語の語順」というもの、「英文の構成」というものを理解できるようになってきたのかな、と思っています。
ですから、私が今のレベルになるまでやってきたことは、TOEIC 用の問題集をこなすこと、と、フレンズなどのDVDを見ながらセリフの意味を掴もうとすること、と、後は週刊STという抄訳付英字新聞を読んでいたこと、くらいでしょうか。
いきなりオール英語の The Japan Times ではあまりにハードルが高すぎるので(笑)、抄訳付のものを読んでいたのですが、そういうのを読んでいると、時事英語に強くなります。ニュース、文化など、最新の話題を扱っているので、時代遅れの表現を学ぶ危険性も少ないし、英語のニュースも聞き取りやすくなるかもしれません。
おっしゃる通り、私の過去記事では、「シャドーイング」「ディクテーション」については触れていません。もちろん、シャドーイングやディクテーションが効果があることは間違いないと思うのですが、たまたま私はそれをやらなかった、ということですね。
「意識した訓練」としては確かにそれをやっていませんが、セリフのニュアンスを掴むために、わからないセリフを何度も聞き返し、自分で実際に口に出して言ってみた、ということはやってきました。また、DVDの英語字幕はかなり省略されていて、ネットスクリプトも聞き取り間違いや誤植も多々あるので、「なんか違う気がする」と思った時は、何度も音声を聞き直し、ディクテーションしたりもしています。
私はフレンズを「教材」として見ていたというよりは、とにかく「フレンズの英語のセリフの本当の意味を知りたい!」という気持ちだけで学習を進めていたので、あるエピソードを使って、それを徹底的にシャドーイング、ディクテーションする、という風に、「トレーニング」「訓練」として使ったことがなかった、というだけのことですね。
フレンズのように生きた英語は、早口だし省略も多いし、話し言葉であるために文章の構造がわかりにくいものも多いです。もしシャドーイング、ディクテーションをされるのであれば、それこそ、TOEIC の問題集に出てくるようなスタンダードで標準的な英文を使って練習されれば、「自分はどこが聞こえなかったのか?」という部分が明確になっていいかもしれませんね。問題集には完全なスクリプトもついていますし。
もちろん、生きた英語のセリフであるフレンズを使ってみるのも一つの方法です。ただ、あまりに訓練の材料として使い過ぎないで、1つのエピソードで立ち止まり過ぎない方がいいと個人的には思っています。同じシリーズのドラマをどんどん見続けていくことで、同じ表現が何度も登場したり、少しバリエーションの違った形で出てきたり、そういうものを次々と浴びることで、自分の中の知識が、より英語らしい表現へと修正されていくのだと思っています。
私の英語学習の基本はフレンズを使ったDVD学習でしたが、フレンズのセリフの構造がわかるようになると、自然と英文も聞こえるようになる、英文もそれなりのスピードで読めるようになる、ということだと思っています。構造がわかる、というのは、英語の語順の感覚が掴める、ということで、語順の感覚が掴めれば、聞くのも読むのも、聞こえたまま読んだままイメージできるようになる、ということかな、と思います。
長くなったわりに、ご質問の答えになっているかどうかわかりません。わかりにくい部分があれば、ご遠慮なくおっしゃって下さいね。
一字一句何回も読まさせていただきました。
相談してすごく良かったと読んだあと素直に思いました。
ありがとうございます。
japan timesは難しいですよね。
大学の図書館にあるのですが、知らない単語とかが多くて
難しかったです笑
Rachさんがお勧めしてる週刊STも調べてみました。
すごく良さそうだったので、
また今度試読してみようと思います。
ありがとうございます。
これからもブログ楽しんで続けていってください^^
こちらこそ、ご丁寧なお返事ありがとうございます。
ながーい文章でしたのに、きっちり読んで下さったようで、とても嬉しいです。
週刊STはいいですよ。The Japan Times のような英字新聞を毎日読む、ということはなかなか敷居が高くて出来ないと思いますが、STは週1ですし、英語学習について書かれた日本語のコラムもありますし、そういうものを楽しみながら、トップニュースでまずは時事英語に触れてみるだけでも十分価値があると思います。
また温かい激励のお言葉ありがとうございます。これからも楽しくブログを続けていきたいと思います。頑張ります。