[Cut to Living Room, Rachel is trying to close the door on Ross.]
リビングに画面がカット。レイチェルはロスが入る前にドアを閉めようとしている。
ロス: (forcing the door open) Come on, Rachel, come on! Talk to me! Please!! (ドアをこじ開けながら) ねぇ、レイチェル、ねぇ! 僕と話をしてよ。お願いだよ!)
[Cut to Monica's bedroom, Chandler slowly closes the door, and we hear Rachel from the living room.]
モニカの寝室に画面がカット。チャンドラーはドアをゆっくりと閉める。我々(観客・視聴者)は、リビングからのレイチェルの声を聞く。
レイチェル: I can't talk to you. I can't even look at you right now! (あなたと話はできないわ。たった今は、あなたを見ることすらできないわ。)
モニカ: What? (何?)
チャンドラー: Nothing, nothing. (なんでもない、なんでもない。)
モニカ: (going over to listen at the door) Rachel said everything was okay. ([ドアのところで(ドアの向こうの音を)聞くために、ドアの方に行きながら] レイチェルはすべて大丈夫だって言ったのに。)
フィービー: (to Joey) What, what are they talking about? ([ジョーイに] 何、二人は何を話しているの?)
ロス: Rachel? (レイチェル?)
[Cut to Living Room]
リビングに画面がカット。
レイチェル: Just get away from me! (ただ、あっちに行ってよ![私のところから離れてよ!])
ロス: No, it was a mistake! I made a mistake! Okay? (違うんだ。間違いだったんだよ。僕は間違いを犯したんだよ、わかるだろ?)
レイチェル: A mistake?! What were you trying to put it in? Her purse?! (間違いですって? あなたは it を[あれを]どこに入れようとしていたの? 彼女のカバンだったかしら?)
[Cut to Monica's bedroom]
モニカの寝室にカット。
フィービー: Whe-where did he put it?! (彼は it をどこに入れたの?!)
[Cut to Living Room]
リビングに画面がカット。
レイチェル: Ross, you had sex with another woman! (ロス、あなたは別の女性とエッチしたのよ。)
[Cut to Monica's bedroom, both Monica and Phoebe gasp.]
モニカの寝室に画面がカット。モニカとフィービーが息をのむ。
モニカ: Oh my God. (なんてこと。)
フィービー: Oh, I knew something had to be wrong because my fingernails did not grow at all yesterday. (あぁ、何か悪いことに違いないとわかっていたの。だって私の指の爪が昨日全然伸びなかったから。)
チャンドラー: Yeah, well, I guess they had a fight and he got drunk.... (あぁ、二人はけんかして、ロスは酔っ払ってて…)
モニカ: Oh!! (hits Chandler and Joey in the head) You guys knew about this and you didn't tell us?! (まぁ! [チャンドラーとジョーイの頭を(ペシッと)たたく] 二人はこのことを知ってて、私たちに話さなかったの?)
チャンドラー: (to Joey) He has sex and we get hit in our heads! (ロスがエッチをしたのに、俺たちが頭をたたかれるのか!)
ト書きに close the door on Ross とあります。
先にレイチェルが入り、その後、ロスも入ろうとしているのですが、そのロスが入る前にドアを閉めようとしている感じですね。
「入ってこないで」ということです。
その後のロスのト書き、forcing the door open は、その閉められそうになっているドアを力ずくでこじ開けながら、みたいなことですね。
listen at the door は、「ドアのところに耳を当てて、もしくはドアのそばに立って、ドアの向こうの音を聞く」という感じ。
英辞郎にも、
listen at a keyhole=鍵穴に耳をつけて聞く
という表現が出ています。
at で、listen している「場所、地点」を表しているのですね。
あれはミステイクだったんだ、というロスに、「ミステイクだなんてとんでもない!」という感じで"What were you trying to put it in? Her purse?!" とレイチェルは言っています。
put it in を直訳すると「it を…に入れる」ということですが、put it in という表現だけで、「エッチする」という卑語になるようです。
put it in を英辞郎で調べると、そういう卑語の意味が書いてあります。
日本語でも(恥を忍んで書きますと)「あれ・それを入れる」みたいに言うと、そういう感じが出るでしょうか。
英語の it は、あえてはっきり名前を出さなくてもお互いに「それ」だと「あれ」だとわかる、みたいな感覚ですよね。
ここで、it と that の違いについて。
中学校で英語を習う時に、that=あれ、it=それ、という訳語で覚えたのですが、その感覚は少し違う気がします。
少し離れた場所にあるものを指す場合は、日本語の「あれ」と同じ感覚ですが…。
研究社 新英和中辞典では、
that=[前に言及しているか、場面上了解されている物事をさして] そのこと
という語義が載っています。
また、it については、
it=[心中にあるかまたは問題になっている人・もの・事情・出来事・行動などをさして]
と説明されています。
イディオムなどでは、目的語をはっきり言わず、it と表現することが多々あります。
それは「心中にある」、つまり、何であるかをはっきり単語として言わなくても、会話している両人の頭の中に it が何をさしているかのイメージがはっきり浮かぶから、なんでしょうね。
日本語ではそういう頭に浮かんだイメージを指す時には、「あれ」という言葉を使う気がします。
「”あれ”だよ、”あれ”!」「ははーん、”アレ”ね。」みたいにお互いが了解している感覚でしょうか。
it は訳さず it のままの方がニュアンスが出ると思うのですが、あえて訳すとすると「あれ」になるのかなぁ、と。
「それ」と言ってしまうと、目の前にある何かを指しているように聞こえてしまうような気がします。
実際にレイチェルが言及しているものは、ロスの一部(笑)であるので、確かに目の前に存在しているものではあるのですが、本当に「その目の前にあるもの」を指しているのであれば、that を使うでしょうね。
今回は「頭に・心に浮かんだもの」を指しているので、「それ」と訳すと少しニュアンスが違ってしまうように思いました。
it というだけでお互いの頭の中にイメージが浮かぶ「あるもの」を指している、という感じですね。
レイチェルのセリフでは、put it in が「it (お互いにわかっているあるものを指す)を…に入れる」という表現で使われていて、この put it in というフレーズだけで、直接「エッチする」ということを表現しているのではありません。
「あなたは it をどこに入れようとしていたかしら? her purse (彼女のカバン)だったかしら?」と言うことで、あなたはある場所に it を入れようとしていたわよね、それは、彼女のカバンとかじゃなくて、もっととんでもない場所(つまり、クロエの…これ以上は言えません…笑)だったわよね。」と言っているのです。
ミステイクだなんて、まるで彼女のカバンに何かを入れちゃった、みたいな簡単な間違いのように言っているけれど、ミステイクで済まされるようなことじゃないでしょ、と言いたいわけでしょう。
そのやり取りを聞いてフィービーが、"Whe-where did he put it?!" と言っていますが、フィービーだけが、そのレイチェルのセリフの意味をわかっていない感じです。
チャンドラーとジョーイはロスとクロエが寝ていることを知っている、モニカは、put it in という表現を聞いて、何かそういうエッチ関係のトラブルがあったであろうことは察しがついたんじゃないかと思います。
でも、フィービーだけは卑語のニュアンスがある put it in を使っていることに気づかずに、文字通り、「it をどこかに入れる、彼女のカバンじゃないところに入れる」と言っているのを受けて、「her purse じゃないなら、一体どこに入れたの?」「入れた、って一体どこに?」と疑問を口にしているのです。
観客もここで笑っていますし、3人も「フィービーはわかってないの?」みたいな顔をしているので、きっとフィービーだけがそのメタファーみたいなものに気づいていない、ということでしょう。
その後、レイチェルは、"Ross, you had sex with another woman!" とはっきり、sex という言葉を使って言っています。
put it in みたいなメタファーでもなくて、slept with 「寝た」という表現でもなくて、はっきり、had sex with と言っているのは、「ミステイクで済まされる問題じゃない」ということをロスにはっきり認識させるためでしょう。
モニカは話の流れからうすうす気づいていたとは思いますが、ここでレイチェルがはっきり言ったのを聞いて、全てを悟るのですね。
Everything is okay. と言っていたのがこんなケンカに発展したのは、それが理由だったのだ、と。
びっくりして息をのみつつも、「昨日は爪が伸びなかったから、不吉な予感がしていたのよ。」みたいなピントはずれなことを言うフィービーです。
チャンドラーの話しぶりと二人の態度から、男性陣二人がロスの浮気を知っていたのを知って、モニカは、二人の頭を手のひらでペシッ、ペシッ、とはたきます。
ママが子供にするみたいなたたき方ですね。
浮気をしたのはロスだ、たたくならロスだろ、どうして俺たちがたたかれないといけないんだ、ということです。
(女の私が言うのもなんですが)本音としては、おいしい思いをしたのはロスなのに、どうして俺たちがはたかれるの?…というところでしょうか。
(Rach からのお願い)
このブログを応援して下さる方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気ブログランキング
にほんブログ村 英語ブログ
皆様の応援クリックが、とても励みになり、ブログを続ける大きな原動力となっています。心より感謝いたします。
2008年11月27日
この記事へのコメント
コメントを書く