リビングで喧嘩しているロスとレイチェル、それを寝室で隠れて聞いている、モニカ、ジョーイ&チャンドラー。
画面が頻繁にカットするので、セリフとト書きが見にくいかもしれませんが、ご了承下さい。
(Cut to Living Room 「リビングに画面が切り替わる」、Cut to Monica's bedroom 「モニカの寝室に画面が切り替わる」の日本語訳は省略します。)
[Cut to Living Room]
レイチェル: (opening the door) Y'know what, I want you to leave! Get outta here! (ねぇ、あなたに立ち去ってもらいたいの! ここから出て行って!)
ロス: No!! (いやだ!)
レイチェル: Just get out! Now!! ((つべこべ言わずに)ただ出て行って! 今すぐ!!)
ロス: No!! No!! I wanna stay. I wanna talk about this. (いやだ、いやだ! 僕はここにいたい。この件について話したいんだ。)
レイチェル: Okay! All right! How was she? (えぇ、いいわ。彼女はどうだった?)
[Cut to Monica's bedroom]
チャンドラー: Uh-oh. (やばい。)
[Cut to Living Room]
ロス: What? (何?)
レイチェル: Was she good? (彼女は良かった?)
[Cut to Monica's bedroom]
ジョーイ: Don't answer that. (それには答えるな。)
[Cut to Living Room]
レイチェル: Come on, Ross! You said you wanted to talk about it, let's talk about it!! How was she? (さぁ、ロス! あなたがその件について話をしたいって言ったのよ。それについて話し合いましょう! 彼女はどうだったの?)
ロス: She was... (彼女は…)
[Cut to Monica's bedroom]
ジョーイ: Awful! Horrible! (オーフル! ホリブル![ひどい! ひどい!])
チャンドラー: She was not good. Not good. (彼女は良くなかった。良くなかった。)
ジョーイ: Nothing compared to you. (君と比べたら、物の数じゃないよ。)
[Cut to Living Room]
ロス: She, she was different. (彼女は、彼女は違ってた。)
[Cut to Monica's bedroom]
ジョーイ: Ewwwww! (うわぁ〜!)
チャンドラー: Uh-oh. (あっちゃ〜。)
[Cut to Living Room]
レイチェル: Good different? (良いように違ってたの?)
ロス: Nobody likes change. (変化が好きな人はいないよ。)
(Rachel picks up a newspaper and starts beating him with it.)
レイチェルは新聞を取り上げて、それでロスをたたき始める。
ロス: What? Okay, okay, okay, okay. (何? わかった、わかった、わかった、わかった。)
[Cut to Monica's bedroom]
フィービー: Should we do something? (私たちは、何かすべきかしら?)
チャンドラー: Yeah, never cheat on Rachel. (そうだな、レイチェルを裏切って浮気をするようなことは絶対にするな。)
How was she? というのは、寝てみて彼女はどうだったか、彼女のことをどう思ったか、She was .... と彼女の感想を述べる場合、... に入る部分の言葉を、how で尋ねている、ということですね。
文章の構造的には、How are you? と同じです。
How are you? / I'm fine. 「元気ですか?」「元気です。」は、中学校で英語を習う時にまず最初に覚えるでしょうか。
直訳すると、「あなたは(今)どんな感じですか?、どんな具合ですか?」と尋ねて、今の私の状態は fine であると答える、ということですね。
How are you? / I'm fine. という挨拶を丸暗記している人は多いかもしれませんが、主語をいろいろと変えることで、様々なものの状態を尋ねることができる、その主語が「どんな状態であるか?、どうであるか?」を尋ねることができる、ということです。
デートから帰ってきた相手に対して、"How was the date?" 「デートはどうだった?」と尋ねるのも同じパターンですね。
How are you? は知っていても、「彼女はどうだった?」「デートはどうだった?」という日本語をいざ英語に直そうとすると一瞬悩んでしまう… How are you? のような会話の決まり文句であっても、その基本的概念を理解しておくと、いろいろ応用が利きますよ、ということです。
Uh-oh. は失敗したり、まずい状況になった場合に発する言葉で、「おっとー、あれっ、やばい、まずい」みたいな感じですね。
レイチェルが怒っているのに、ロスが帰ろうとしないで、この件についてもっと君とじっくり話をしたい、みたいに言ったものだから、「じゃあ、じっくり話をしましょう。それで、彼女はどんな感じだったの?」という、非常にまずーい質問をされる展開になってしまったのですね。
ロスにとっては、一番答えにくい質問で、それを察したチャンドラーは、「こりゃやばい」という感じで、Uh-oh. が口から出たわけです。
言いよどんでいるロスに対して、隣の部屋ではジョーイが、Awful! Horrible! だって言え!と言っています。
awful も、horrible も日本語にするとどちらも「ひどい」になってしまって、ニュアンスが出せませんが、そういう、けなす意味の悪い形容詞を言え!と言っているのです。
awful も、horrible も、良い意味の褒め言葉としては使えない言葉なので、どちらでも構わないですし、この場合は terrible も使えそうですね。
少々脱線しますが、terrible によく似た単語に terrific という単語があります。
terrific は「恐ろしい、ものすごい」という意味もありますが、「すばらしい、素敵な」という意味もあります。
この辺りが、日本人にとっては紛らわしいかもしれません。
日本人の場合だと、ここで、クロエをけなそうと思って terrible と言おうとして、間違って terrific を使ってしまう、という可能性もあるかもしれません。
すると、「彼女は(良い意味で)すごかった!」と褒めていることになり、とんでもない結果になりそうです。
ロスのようなネイティブの場合は、terrible と terrific を間違えることはないと思いますが…。
terrible と terrific については、過去記事、フレンズ2-17その5 でも解説しています。
ちなみに、awful は、awe 「畏(おそ)れ、畏怖(いふ)、畏敬」から来た形容詞、horrible は horror 「恐怖」の形容詞形です。
terrible や terrific は、なぜか手持ちの辞書には書いていないけれど、恐らく terror 「(非常な)恐怖」の形容詞形、もしくは関連語でしょうね。
そう言えば、日本語の「すごい(凄い)」も、広辞苑によると、
すごい(凄い)=
2. ぞっとするほど恐ろしい。気味が悪い。
4. ぞっとするほどすばらしい。
5. 程度が並々でない。
とあります。
「ぞっとするほど恐ろしい」という「程度が並々でない」様子が、「ぞっとするほどすばらしい」意味になる、という流れは、terrific と同じかな、と思いました。
ロスに聞こえないのはわかっていながら、こう言え、ああ言え、と隠れたところから助言をしている男性陣に笑ってしまいますね。
「そう答えないとまずいぞ、どうかそう答えてくれ!」という気持ちでしょう。
それなのにロスの返事は、she was different.
ジョーイとチャンドラーの反応を見たら、それが「最悪の返事だ」ということがわかります。
チャンドラーはまた、Uh-oh. と言っていますね。
「違う」とはつまり、レイチェルとは違う、ということですが、違うと言ってもいろいろあるでしょ、good different つまり、良い方に違っていたの?と問い返すレイチェル。
それに対して、"Bad different, of course! Very bad. Very very bad." とでも言ってフォローすれば良かったのに、Nobody likes change. という、何だか普遍的な回答になってしまっています。
change を好きな人は誰もいない、誰も change を好きじゃない、つまり、いつもと違うのは好きじゃない、人は自分に慣れたいつものが好きなんだ、みたいな意味で言ったようですが、これでは全くフォローになっていません。
二人の喧嘩がますますひどくなってきたので、間に割って入って二人を止めるべきかしら?みたいなニュアンスで、フィービーは、"Should we do something?" と言っています。
こんなところで、二人の喧嘩をただ見ていたらだめなんじゃない?ということですね。
それに対して、「何をすべきか、何をすべきじゃないか、という話で言うと、レイチェルを裏切って他の女の子と浮気するようなことは絶対にしちゃいけない」とチャンドラーは答えています。
彼女に対して浮気をしないことだな、じゃないとあんな風にキレられて、たたかれてしまうから、ということですね。
cheat on は「(配偶者などに隠れて)浮気をする」という意味で、on の次には配偶者や恋人などの名前が入ります。
フレンズ2-2その1 にも出てきました。
(Rach からのお願い)
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awful - awesomeとか、terrible - terrific (horrible - horrificも)とか、ちょっと違うと大違い、というのが困りますよね。子供をほめるのに、ちょっと大げさに言ってやろうとして「どっちだったっけ?」と一瞬口ごもったり。
differentという言葉は、すごく便利なことがあります。持ち寄りパーティーみたいなとこで、「お国の名物」を持って行くことって、ありますよね。で、薦められて食べてみたものの大して美味しくはない、でも何か肯定的なこといわないと・・・というとき、Uh, it's....different. となりますね。「んー、独特だよね」みたいな。
「日本もの」では、梅干しとか甘納豆とかがこのリアクションをもらってました。plumなのにsaltyなんて信じらんない、Ugh!というのと、beansを甘くcandyにするの?!Ewww!!!!というのを言えなかったんだろうなぁ、きっと。
differentを使おうというのは、そのもの(人)を肯定的にとらえようと言うココロの表れだととれるかも。ロスは単純に、事実として「違った」と言いたかっただけかも知れませんが、肯定的に何かを言おうというココロの方向性が見えるので、言い訳としては、まぁ、最悪の部類でしょうねぇ。
How はto go と結びつくときの表現がけっこうありますね。結果をきくときの How did it go? とか、How's it going?(このitが殆ど聴き取れない)とか。
Should we do something? は典型的なアメリカ英語かなと思います。学校で習ったShall I/we...? はほとんど聴かず、Should I/we...? が代用されるようです。
言葉をいい加減に使うネイティヴは、terrificとterribleの違いは気にとめないかもしれませんね。ぼくは、/l/と/r/の違いがわからず、You look elegant.の代わりに、You look arrogant.と女性に行ってしまって、変な顔をされてしまった、どうしよう、と困っている台湾人に"To me they are pretty much same."(俺にはどっちの単語も同じ意味だけどな)とアメリカ人が云っているのを聴いたことがあります。そんな馬鹿な……。
コメントどうもありがとう!
程度が激しく強烈な意味の形容詞を、良い意味に使ったり、悪い意味に使ったり、ということはよくありますよね。日本の若者言葉(?)でも、「やばい」を褒め言葉に使う例がありますが、私の年齢では(泣)やはり「やばい」というとネガティブなイメージしか浮かばないので、私が褒め言葉として使うことはないですねぇ。でもまぁ、自分で使わないだけで、ニュアンスがわからんでもないです。言葉って面白いなと思います。
とりあえず、フレンズでは、terrible (悪い意味)と terrific (良い意味)は明確に使い分けされているようです。
それから、different の例、どうもありがとう。そうやって説明してもらえると、different と表現した人の気持ちがよくわかりますね。けなすわけにはいかない場合、コメントしにくい場合、「独特だ、ユニークだ、今まで知らない感じ」みたいに言うのに、different は使えるんですね。
おちかちゃんがおっしゃるように、ロスのセリフも、「肯定的」に捉えた結果の differnt なのかな、と思います。ロスは基本的に「いい人」なので、クロエのことを悪く言えなかったのかもしれませんね。これがズルい男なら、レイチェルの前ではさんざんけなしておいて、後で男性陣と「あの子は良かったよ〜!」などと盛り上がるのかもしれませんが、ロスはそういう人ではないですからね。そういうロスの誠実で嘘をつけない部分が、different に出ていたのかもしれません。だから、聞いているレイチェルとしては、余計に許せないわけですよね。ここでは全面的に否定してもらわないとねぇ、と、ダンナを持つ身としては思いますよねぇ、奥さん!(笑)
outrageous2007さんへ
こちらこそ、またお越しいただきありがとうございます。
How と be動詞で、「状態」を尋ねるだけではなくて、go と結びついて「結果はどんな具合?」と聞く例もよくありますよね。フレンズでもジョーイに、"How did the audition go?" 「オーディションはどうだった?」と聞くことがよくあります。
アメリカではあまり、Shall I ...? を使わない、というのはよく聞きますね。
フレンズ3-7その17
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470962.html
で、
ドクター・グリーン: You know what's really good here? The lobster. What do you say? Shall I just order three? (ここでは何が名物か知ってるか? ロブスターだよ。どうだい? 3つ注文しようか?)
ロス: Yeah, if you're really hungry. (えぇ、もしあなたがとてもお腹がすいておられるのなら。)
というやり取りがありました。
その Shall I...? という表現について、
フレンズ3-7その19 のコメント欄で、
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470964.html#comment
「Should I....? の方がアメリカ英語らしいと思う」というコメントをいただいたのですが、それに対してアメリカ人の方が「僕もこんな時には shall を使います」というコメントを下さったりして、へぇ〜!と思ったことがあります。
上のフィービーのセリフでの Should we...? は、「すべきかしら?」というよりは、Shall we...? のニュアンスで、「何かしましょうか?」みたいな感じなんですね?
elegant と arrogant が同じ、とはまた極論ですね(笑)。エレガントぶってる人は傲慢だ、ということでしょうか?? 失敗した人を慰めているつもりか、一種のジョークか…??