2008年12月05日

イッツ・ユーのニュアンス フレンズ3-16その18

[Cut to Living Room]
ロス: Don't you realize none of this would've ever happened if I didn't think at that same moment you were having sex with Mark? (君はこのことに気づいてないの? あの同じ時に、君がマークとエッチしてるって僕が思わなかったのなら、こんなことは何一つ起こることはなかっただろう、ってことに。)
レイチェル: All right. Let's say I had slept with Mark. Would you have been able to forgive me? (わかったわ。じゃあ仮に、私がマークと寝てしまっていたとしましょう。あなたは私を許すことができていたかしら?)
ロス: (pause) Yes, I would. ([少し沈黙があって] うん、できていたと思うよ。)
レイチェル: You'd be okay if you knew that Mark had kissed me, and been naked with me, and made love to me? (マークが私にキスをして、私と(二人で)裸でいて、私とエッチした、ってことをその時知っていたとしても、あなたは大丈夫なのね。)
ロス: (less sure) Yes. ([さっきよりは自信なさげに] うん。)
レイチェル: You knew that our hot, sweaty, writhing bodies were.... (マークと私の、熱い、汗をかいた、身もだえする体が…)
ロス: (covering his ears and screaming) La-la-la-la-la-la-la-la-la-la! Okay, okay, yeah, I would have been devastated but, I would still want to be with you. Because it's, I mean it's you. ([耳を覆って叫んで]ららららら! わかった、わかった、そうだね、僕は(そんなことを知っていたら)ショックで途方に暮れていただろう。でも、僕はそれでもまだ君と一緒にいることを望んだだろう。だって、つまり、君だから。)
[Cut to Monica's bedroom]
全員: Ohhhhh! (おぉぉ〜!)

Don't you realize none of this would've ever happened.... について。
これは、レイチェルと仲直りしようとしてロスが電話をかけた時、レイチェルの部屋にマークがいたことを指しています。
マークと二人きりなのがわかったから、きっとマークとエッチしているんだろうと思った、だから僕は余計に頭が混乱してしまって、やけになって、あんな行動(クロエと寝たこと)に出てしまったんだ、ということですね。
僕が誤解するような行動を君がしたから、こんなことになってしまった、という感じでしょう。

マークと寝たと思ったから、という話題を持ち出したロスに、じゃあ実際に寝ていたとしたらどうなるかしら、あなたは私を許すことができていたかしら?と言っています。
恋人が他の人と寝た、という事実がどれほど辛いかをわからせるために、レイチェルは、もし立場が逆だったらどう思うかしら、と、マークと寝たと仮定して、ロスがどんな気持ちになるかを試そうとするのですね。

You'd be okay if you knew that Mark had kissed me, and been naked with me, and made love to me? は、knew 「知っていた」内容について、that 節以下で、過去完了形が使われています。
had kissed me, and (had) been naked with me, and (had) made love to me ということですね。
(もしマークとエッチした事実があるとして)その事実を知った時期よりも、エッチした行為の方が過去になるので、エッチした行為の方を過去完了形で表現しているわけです。

ト書きに less sure とありますが、それは、「こんなこと、あんなことがあったと知っても、あなたは大丈夫なのね?」と言われて、だんだん yes に確信がなくなってきていることを示していますね。
さっきよりは自信なさげに yes と答えた、ということです。

writhing の writhe は「もがく、身もだえする」。
ぱっと見た目の綴りは、writing 「ライティング、書くこと、書いている」に似ていますが。
ロングマン現代英英辞典では、
writhe: [intransitive]
to twist your body from side to side violently, especially because you are suffering pain
writhe in pain/agony etc

つまり、「右に左に激しく体をねじる・よじること、特に痛みに苦しんでいる時」。
用例として、「痛み(pain)にもがく、激しい苦痛(agony)にもがく」とありますね。
「特に痛みに…」とロングマンにもあるように、痛さのためにもがく場合が多いようですが、今回のレイチェルのセリフでは、エッチの時の身もだえとして使われています。
英辞郎にも、
writhe with pleasure=快感に身もだえする
というのが載っていますので(笑)、そういう使い方もアリのようですね。

マークとレイチェルが激しく愛し合っているかのような描写をするので、ロスは「聞きたくない!」という風に、耳を押さえながら、La-la-la-la-la.... と言っています。
フレンズ3-13その31 では、ジョーイがシャイニングのあらすじを話そうとした時、
レイチェル: Oh, no, meh-nah-nah-nah, come on, you're gonna ruin it! (あぁ、だめ。だめだめだめ。やめてよ。台無しにするところよ。)
と言っていました。
相手の言うことを聞きたくない、という感じで「マナナナ!」と言っていたのですが、今回のロスの La-la-la-la... もこれに似ていますね。

La-la-la... というのは歌を歌う時の音に似ていますが、これは大声で歌を歌うことで、レイチェルのそれ以降のセリフが聞こえないようにする、という心理から来たものなのかな?と(私個人の印象では)感じました。
相手の発言を止める、のではなく、自分の耳を外部の音から遮断するために大声を張り上げる、とでもいいましょうか。

ロスは、そんなことを知ってしまったらもちろん平気ではいられない、と認めます。
でも、レイチェルが他の男性と寝たと知っても、それでも僕は君といたいと願うだろう、と言っていますね。

It's you. という表現は、英語っぽい表現、という気がします。
この It's you. というフレーズは、歌詞によく出てくる表現です。
ビートルズがカバーしていた曲にも、Baby It's You というタイトルの歌がありましたよね。

以前にNHKで放送していた「ジュークボックス英会話〜歌詞から学ぶ感情表現〜」の第2回「Every Breath You Take (The Police) 」で、It's you. というフレーズについて、詳しい解説がありました。
Every Breath You Take の歌詞の中に、
I look around but it's you I can't replace
というのがあって、その流れで、「今日の感情表現」として、it's you のニュアンスが取り上げられていたのです。

テキスト p.32-33 に書いてある佐藤良明先生の解説を一部引用させていただきますと、
that は何かを「指さす」言葉。これに対して it は基本的に何も指さない。あれだ、これだとは意識せずに、でも何か1つ入れないと文の作りがヘンになるから入ってくる、そんな、*印みたいな存在が it だと言えるでしょう。

番組中で、マーティ・フリードマンさんも以下のようにコメントされていました。
答える、んですよね。It's の後は「答え」です。It's と「です」はほぼ同じ意味ですよ。ネイティブだから、It's とかいうことは全然考えないんですけど、完全に無意識に出るんですけど、考えたら、答えの前に It's をつければ確実だと思います。

それはつまり、「君だ。君なんだ。」ということが言いたい場合に、You. じゃなくて、It's you. と言う、という感覚ですよね。

ロスのセリフは何度か言い直して言っていますが、結局ズバリ言いたいことは、「君が他の男と寝ていたとしても、それでも僕はまだ君と一緒にいたい。」… Because it's you. ということですね。
「何か」が you である、と言っているのでなくて、「君と一緒にいたい理由は、君が「君」だからだ。「君」だから僕は何があっても一緒にいたいんだ。」というニュアンスだろうと思います。
別れたくない理由は「君だ」という感じでしょう。

そのロスのセリフを聞いて、いいこと言うなぁ、と隣室で聞き耳を立てながら感動している4人に笑ってしまいますね。


[Later, Ross and Rachel are sitting in the kitchen.]
その後、ロスとレイチェルは台所に座っている。
ロス: What? Come on Rach, tell me what you're thinking? (何? ねぇ、レイチェル。何を考えているか言ってよ。)
レイチェル: I'm thinking, I'm gonna order a pizza. (私が考えてるのは、ピザを注文しようかな、って。)
ロス: Order a pizza, like, "I forgive you"? (ピザを注文、っていうのは、「私はあなたを許す」って感じ?)
(She turns around and glares at him, he turns away.)
レイチェルは振り向いて、ロスをにらみつける。ロスはそっぽを向く。)
[Cut to Monica's bedroom]
ジョーイ: Oh, man, pizza? I like pizza. (makes like he is trying to send a telepathic message to Rachel) Put olives on the pizza. (あぁ、なんてこった、ピザ? 俺はピザが好きなのに。 [レイチェルにテレパシーのメッセージを送ろうとするような仕草をする] ピザにオリーブを乗せろ。)
フィービー: We could eat the wax! It's organic! (私たち、そのワックスを食べることができそうよ! オーガニック[天然有機物]だもの!)
チャンドラー: Oh, great. Food with hair on it. (あぁ、最高だね。上に毛がついてる食べ物だなんて。)
フィービー: No, not the used wax. (違うわ。使ったワックスじゃない方よ。)
チャンドラー: Because that would be crazy? (使ったワックスを食べるのはクレイジーだろうから?)

Order a pizza, like, "I forgive you"? について。
これは、とりあえず相手を非難することから離れて、ピザを注文、という食べ物・食欲の話になったので、もう僕に対する怒りは消えたの?、ピザを注文する、ってことは、僕を許す、って意味かな?と尋ねているようです。

少し前に、"I'm hungry." と言って部屋を出て行こうとしていたジョーイですから、隣室でピザを取る、という話が出たのに反応しています。
おでこの上で指をうにうに動かした後、テレパシーを飛ばすような仕草をしています。
カーッ、カーッ!という顔で「このテレパシーよ、飛んで行け!」みたいに思念を投げるので、チャンドラーがあきれてヒイているのに笑えます。
こういう子供っぽいところが、ジョーイの魅力なのですが(笑)。

お腹がすいたのなら、ワックスを食べることができるんじゃない? だってあれはオーガニックだから、と言うフィービー。
脱毛に使ったやつだから、上に毛がついてるよ、と言うチャンドラーですが、その後、"No, not the used wax." "Because that would be crazy?" と会話が続きます。

脱毛に使って毛がついてるものを食べろっての?と言ったチャンドラーに対して、「使ったやつだなんて言ってないわ、未使用のを食べるってことよ。」とえらそうに言い返したフィービー。
そんなこともわかんないの?という口調ですね。

チャンドラーの that は、使用済みのワックスを食べること、つまり、eating the used wax の意味かな、と思います。
「使用済みのじゃないわよ!」とフィービーがえらそうに言ったことに対して、チャンドラーの Because that would be crazy? は、「(そんなにえらそうに非難する理由は)使用済みを食べることはクレイジーだから?」みたいなことだと思います。
それはつまり、「使用済みでなければ、未使用のワックスならクレイジーじゃない、とでも言うのか?」みたいな意味で、使用済みでも未使用でも、どっちにしても、オーガニックだからという理由でワックスを食べるなんて、尋常じゃないだろ、と言い返している、ということだろうと思います。


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posted by Rach at 11:08| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。

最近、英語の勉強をはじめました。
まだまだわからない事だらけです。

文法の解説とかもされててすごいですね。
参考にさせてもらってます。
完了形がよくわからないので、
今、こちらの完了形の記事を読んでいます!!

ブログ更新がんばって下さい。
Posted by Mimi at 2008年12月06日 15:39
Mimiさんへ
はじめまして。ご訪問&コメント、ありがとうございます。

完了形は日本語訳だけではなかなかわかりにくい概念ですよね。私も過去記事で何度か語っていますが、これからもできるだけわかりやすく解説できるように心がけたいと思います。

温かい激励のお言葉ありがとうございます。これからも頑張ります!
Posted by Rach at 2008年12月07日 12:24
仮定法の理解度を試すには最適の会話文ではないでしょうか? 私は勝手にこのパートを読者への問題提示文と認識し、レイチ・チャレンジと呼ばせてもらっています。
Ross: Don’t you realize none of this would’ve ever happened if I didn’t think at that same moment you weren’t having sex with Mark?
これには、Ross thought Rachel was having sex with Mark. But she wasn’t. という前提があるので、
None of this would’ve ever happened if I didn’t think というのは仮定法ではないわけですよね?
仮定法なら、None of this would’ve ever happened if I’d thought you weren’t having sex with Mark.
になるのでしょうか? レイチさん?
ここでの if I didn’t think というのは、あくまで過去における I think つまり I thought の否定であって、現在において起こりえない状況を示す、仮定法過去(?)ではないわけですよね? 事実なわけですから。 でしょう?

Rachel: All right. Let’s say I had slept with Mark. Would you have been able to forgive me?
でこれは、Would you have been able to forgive me if I had slept with Mark?
となるので、つまり、仮定法なわけですよね? 仮定法過去完了というものですか?
ここでの I had slept with Mark というのは過去の事実に反するわけですよね?
この文はまた、前出のロスの言葉のように
Would you’ve been able to forgive me if I didn’t sleep with Mark?
とすることも可能なのでしょうか? また、これは意味的には、
(I know) you wouldn’t have been able to forgive me if I had sleep with Mark.
でしょうから、ちょっと簡略化すると
You were able to forgive me only when (you knew) I didn’t sleep with Mark.
も可能なのでしょうか? 疑問文って、仮定法の意味がさらに逆になるのでさらにやっかいですよね?

Rachel: You’d be okay if you knew that Mark had kissed me, and been naked with me, and made love to me?
これは Would you be okay if you knew that だと思うのですが、
今現在、ロスはレイチェルがマークとキス云々をしていないということを知っているので、仮定法ではないわけですよね?
仮定法だとすると、
You are ok because you don’t know that . . .
という意味になってしまいますよね?

このように、事実背景がわからないと仮定法というものを理解するのは不可能ですよね? きっと、if文を日本語に訳した場合、仮定法とそうでない場合の区別をつけるのが非常に難しいからだと思いますが。 そう意味で、この会話文はすばらしい例題を学習者に提供してくれていますよね? 

また時制の区別を含め、質問文における逆説的な意味をなんでもないように訳されているレイチさんの力量は尊敬に値しますが、なんか、ちょっと優しくなくなってません? 英文法ど素人のわたしのようなものが長々と「質問」して申し訳ございません。 目障りでしたらざっくり削除してくださいね。 (また「質問」するかも知れませんがその際も御同様に。) ちょっと、3年前のちょうどこの時期を思い出して、ノスタルジックになったものでつい、、、
Posted by FaDED dEAD JaDEd at 2008年12月29日 17:45
FaDED dEAD JaDEdさんへ
(FDJさん、と省略してもいいですか?…笑)

「ご質問」ありがとうございます。「ご質問」というよりも、私が気付かずスルーしていた点について、ヒントを下さり、「もうちょっと考えてみぃ?」と言って下さっているんですよね。ありがとうございます。

まず最初に、一つ確認しておきたいのは、ネットスクリプトが間違っていると思われる点です。
最初に引用して下さっているロスのセリフ、ネットスクリプトからの引用ですよね。
ネットスクリプトでは、you weren’t having sex with Mark つまり、weren't となっていますが、DVD英語字幕では、
None of this would've happened if I didn't think... you were having sex with Mark?
と書いてあります。セリフが一部省略されていますが、やはり実際の発音も、weren't ではなく、were と言っているように聞こえます。
それで、上の記事でも、ネットスクリプトの weren't を were に修正したものを使いました。
ですから、ここでも、you were having sex with Mark が正しいものとして、話を進めたいと思います。

3つの部分に分けて説明して下さっていますが、1番目の文が一番難しい気がします。

まず1番目の、Don't you realize none of this would've ever happened if I didn't think at that same moment you were having sex with Mark? について。

まず、If I didn't think と、「見た目、過去形」になっているので、可能性としては、「仮定法過去」(現在の事実と反対のことを仮定)か、「直説法の過去形」(もし…だったなら、という単なる仮定(実際にどうであったかは関係ない))かのどちらかになるのでしょうか?

「現在の事実と反対のことを仮定」する仮定法過去だと考えるのは無理がありますね。それだと、「レイチェルとマークがエッチしていると、現に今思っている」みたいなことになってしまいますよね。at that same moment のニュアンスがいまいちよくわからないのですが、やはりそれは、「電話をかけたあの時」「ちょうどクロエが近くにいた時」という感じですよね?
だからやはり、If I didn't think というのは過去の話をしている、と考えるのが自然でしょう。

FDJさんがおっしゃるように、"Ross thought Rachel was having sex with Mark. But she wasn’t." という「前提」がある、と私も思ったのですが、もしそうであれば、本来なら、やはり「仮定法過去完了」、つまり「過去の事実と反対の仮定」を使って、if I hadn't thought you were having sex with Mark という形にならないといけないような気がします。
None of this would have ever happened if I hadn't thought you were having sex with Mark. という形なら、「もしあの時…だったら、〜しただろうに」という、仮定法過去完了の典型的な形になりますよね。

でも、ロスのセリフはそうではない。となると、もしかしたら、その前提だと思える、Ross thought Rachel was having sex with Mark. が「過去の事実」とまでは言い切れない、ということなのかもしれません。ロスははっきりと「レイチェルがマークとエッチしたと思ってたんだ」と言ったわけではなくて、過去の時点でのただの仮定の話をしているだけかもしれない、と。

「(実際にその時思った事実に反して)もしあの時、マークとエッチしてると思わなかったとしたら」ではなくて、「仮にあの時、君がマークとエッチしていると思わなかったとしたら」という「単なる例え」を言っている、という解釈は可能でしょうかねぇ?
「エッチしている」と確信したわけではなく、エッチしたかもしれない、という「疑念レベル」の考えを持ったことが、今回の不幸な出来事に繋がった、そんな疑惑を持たせるような「マークを部屋に入れる」という軽率な行動をした君にも責任がないとはいえない、とロスは言いたいような気がします。
繰り返しになりますが、仮定法過去完了を使うと、実際に「レイチェルがマークとエッチしたと思った」ということが「過去の事実」となるけれど、ロスは「思った」と断言できるほど確信していたわけではなかった、だから、仮定法過去完了を使わなかった、という解釈も可能なのかな?という意見です。

で、2番目の、Let's say I had slept with Mark. Would you have been able to forgive me? について。
I had slept の had の部分を、レイチェルは強調して言っています。
それは、ロスが単なる過去形の didn't think を使ったことに対して、それに対比する形で、had slept という過去完了形を使うことを強調しているように聞こえました。
「レイチェルとマークが寝た」という話題が出たので、じゃあ、そういう「単なる仮定」の話じゃなくて、(本当は寝てないけどその過去の事実に反して)私が実際にマークと寝ていたとすると、あなたは私を許すことができていたかしら?と、ロスに返しているのですね。
ここで仮定法過去完了が使われているのは、「私は断じてマークとは寝ていない」ので、寝たと仮定することは過去の事実に反することだから、仮定法過去完了を使っている、という流れになるのでしょう。
ここで、前出のロスの言葉のように、If I didn't sleep with Mark と言ってしまうと、過去に実際にマークと寝たという事実のあるなしがあやふやになってしまう、まるでマークと寝た可能性もあったかもしれない、ということになってしまう。そういう意味でも、きっとここは、身の潔白を強く訴えるレイチェルとしては(実際、ロスは現場を見たわけではないから、レイチェルの言葉を信じるより他ないわけで)、誤解を招くような If I didn't sleep with Mark という表現は絶対に使わない、ということになるのでしょうか?

最後の3番目の、You'd be okay if you knew that Mark had kissed me, and been naked with me, and made love to me? について。
私は上の記事中の訳で、「…ってことをその時知っていたとしても、あなたは大丈夫なのね。」と knew を過去の時点として訳していますが、これは「仮定法過去」、つまり、「現在の事実に反対の仮定」を表す文章のような気がしてきました。
「あの時それを知っていたとしても大丈夫だったかどうか」を尋ねているのではなくて、今まさにこの時、それを知っているとしたらどうなるか?ということを試しているのかもしれません。

もしあなたが、過去に私がマークとキス云々をして…ということを、今知っているとしたら、という「現在の事実の反対の仮定」かなぁ、と。実際には、キス云々の事実はなかったわけだから、そういうことを知るはずもないのだけれど、事実に反して今そういうことを知っているとしたら、あなたは今、okay でいられるかしら? と、今現在それを想像させて、どういう気持ちになるかを試しているように思えます。
それで、レイチェルはあることないことをいろいろリアルに想像させて、とうとうロスが負けを認めるのですね。やっぱりそんなことがほんとにあったと知っていれば、とても普通じゃいられない、と。

ということで、Let's say も if 節の一種と考えると、今回の3つの if 節は、全て違ったニュアンスを持っているように思えます。FDJさんがおっしゃるように、「if 文を日本語に訳した場合、仮定法とそうでない場合の区別をつけるのが非常に難しい」ことから、「実際のところ、事実はどうであるか?」という事実背景を知った上で、if 節の中身を見ていかないといけない、ということですね。それはよくわかります。そういう意味で今回は仮定法を学ぶのに最適なパートなわけですね。あくまで私の仮説なので、また不備、不明な点があれば、ご指摘下さい。こんだけ長々と書いて、全然ピントはずれなことを書いていたらどうしましょう(笑)。

BTW, 「優しくなくなってません?」というのは、今回の仮定法のように重要な部分の説明をはしょって逃げている感じがする、ということでしょうか?(笑)(今回の仮定法は、コメントでいろいろ言っていただくまで、あまり何も疑問を感じなかったので、気付かずスルーした、というのが正しいです。)
それとも、以前の私のように、誰かのコメントにひつこく(←関西風表記)食い下がったり、「…と思うのですがどうでしょう??」と意見を求めることが減った、ということも関係あるのでしょうか??

3年前のちょうどこの時期ですか。懐かしいですねぇ、、、。私は自分の過去記事にリンクするたびに、過去のやり取りを見て、ノスタルジックになるのですが、FDJさんもそのように思って下さったと知って、とても嬉しく思います。3年も経つというのに、私はあの頃からあまり成長していないのかもしれませんねぇ。またこれに懲りずに、お越しいただけると嬉しいです。
Posted by Rach at 2008年12月31日 07:44
It's you. という表現

この説明すごく判りやすかったです♪
いつもitやthis,thatが出てくる度に、これは何を指してる?と考えるので(私だけ?)、そうか、そうなんだ!って霧が晴れたよう〜!いつもいつもRachさんには感謝しっぱなしですが、本当に丁寧な解説ありがとうございます!
Posted by やっちん at 2014年03月02日 19:04
やっちんさんへ
コメントありがとうございます。
「すごく判りやすかったです♪」と言っていただけて、私もすごく嬉しいです♪

it, this, that などは、中学校で真っ先に習う超簡単な単語だけれど、その本質をつかむのは難しいなぁ、という気がいつもしています。

私もいつも「これは何を指してる?」と考えます(^^) ちょっとめんどくさくても、毎回そういう意識で英文を見ることで、だんだん何を指しているのか、何をイメージしているかがわかってくるように思うのですね。

解説をお褒めいただけると、ますますやる気が出てきます^^ こちらこそいつも温かいコメントありがとうございます。これからも頑張りますね!(^^)
Posted by Rach at 2014年03月03日 15:06
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