2008年12月19日

戦うか逃げ出すか フレンズ3-16その21

[Cut to Living Room]
ロス: Y'know what, y'know what, I'm-I'm not the one that wanted that, that break, okay. You're the one that bailed on us. You're the one that, that ran the moment things got just a little rough! (ねぇ、あんな、あんなブレイクを望んだのは僕じゃない。僕たち(の関係)から逃げ出そうとしたのは君だ。物事がちょっと辛くなった途端に、逃げ出したのは君だ。)
レイチェル: That's.... (それって…)
ロス: That's what?! (それって何だよ。)
レイチェル: That is neither here nor there. (そんなの、重要なことじゃないわ。)
ロス: Okay, well, here we are. Now we're in a tough spot again, Rach. What do you want to do? How do you want to handle it? Huh? Do you wanna fight for us? Or, do you wanna bail? (sits down next to her) Look, I, (on the verge of tears) I did a terrible, stupid, stupid thing. Okay? And I'm sorry, I wish I could take it back, but I can't. (We see Monica and Phoebe are almost in tears.) I just can't see us throwing away something we know is so damn good. Rachel, I love you so much. (わかった。じゃあ、今僕たちはここにいる。今、僕たちは再び困難な位置[状況]にいるんだよ、レイチェル。君はどうしたいの? それをどうやって対処したいの? ねぇ? 僕たちのために戦いたいの? それとも、逃げ出したいの? [レイチェルの隣に座る] ねぇ僕は[今にも泣き出しそうになって] 僕はひどい、ばかなばかなことをしたんだ、そうだろ? ごめんよ。できることならそれを取り消したい、でもできない。 [観客・視聴者はモニカとフィービーがほとんど泣きそうになっているのを見る] ものすごく素敵だって僕たちがわかっていることを、僕たちが捨ててしまうのを見ることは僕にはできないよ。レイチェル、君をとても愛してるんだ。)

You're the one that, that ran the moment things got just a little rough! について。
君は、ran the moment things got just a little rough する人だ、ということで、関係代名詞 that 以下が、the one を修飾しています。
ran から rough までの文の切れ目は、ran / the moment... だと思います。
the moment は「…した瞬間に、…するやいなや」という意味。
つまり、「物事がほんの少し rough になるやいなや(すぐに)逃げ出す」ということかなぁ、と思います。
break を切り出した時のことを言っているようですね。
問題が起こった時に、それにじっくり取り組もうとせず、break を持ち出してそこからとりあえず逃げようとする、そのレイチェルの姿勢をロスは非難しているようです。

bailed on us と言っていますが、bail は「手を引く、逃げ出す」という意味。
ロングマン現代英英辞典では、
bail [verb]: (also bail out) (informal) to escape from a situation that you do not want to be in any more
つまり、「もうこれ以上そこにいたくないという状況から逃げ出すこと」。

今回のセリフでは、bail on として、前置詞 on が使われていますが、辞書には、bail on という組み合わせは載っていませんでした。
この on のニュアンスは、以下の研究社 新英和中辞典の語義が当てはまるでしょうか。
on=[不利益を表わして] …に対して
The joke was on me. そのジョークは私にあてつけたものだった。
She hung up on me. 彼女のほうから電話を切ってしまった。
He walked out on his wife. 彼は妻を置いて出ていってしまった。


このエピソードで何度か出てきている、cheat on 「(配偶者などに隠れて)浮気をする」の on のニュアンスもそれと同じかな、と思います。
他には、フレンズ1-1 で、妻が自分を捨てて出て行ったことを説明する時に、
ポール: Ever since she walked out on me, I, uh... (妻が僕を見捨てて出て行ってから、僕は…)
という表現を使っていました。
フレンズ2-9その5 では、
フィービー: No, that's my stepdad. My real dad's the one that ran out on us before I was born. (いいえ、あれは育ての親よ。私の本当のパパは、私が生まれる前に私たちを捨てた人よ。)
というセリフもありました。
walk out on も run out on も「(家族・友人などを)見捨てる、見捨てて出て行く」という意味ですね。
今回の bail on us もそれと同じ感じで、「僕たちを見捨てて、”僕たち”という関係を捨てて逃げ出す」みたいなことでしょう。

That is neither here nor there. について。
neither A nor B 「AでもなくBでもない」という否定形なので、ロスの言っていることを否定している、というのはわかりますね。
ロングマン現代英英辞典に、この表現の語義が載っていました。
be neither here nor there: (spoken) used to say that something is not important because it does not affect a fact or situation (synonym irrelevant)
例) The fact that she needed the money for her children is neither here nor there - it's still stealing.

つまり、「ある何かが事実や状況に影響を及ぼさないので重要ではない、ということを言う時に使う。同義語・類義語は、irrelevant」
例文は、「彼女が自分の子供のためにそのお金が必要であったという事実は重要ではない。−(どんな理由があったにせよ)やはりそれは窃盗(盗み)である。」

直訳すると、「ここにもないし、そこにもない」、つまり、メインのトピックとは関係のないものである、というニュアンスでしょうね。
それを受けて、ロスは、here we are. と言っています。
それなら、”あの時”ブレイクを切り出したのは逃げ出したのはどっちか…という話はもういいよ。今、現時点で、僕たちはここに存在しているんだ。過去のことはともかく、今、困難な状況にいるんだ。それを君はどうしたいと思ってるの?と、現実を直視するように言っているのですね。

Do you wanna fight for us? Or, do you wanna bail? について。
fight というと「殴り合いの喧嘩」というイメージが強いですが、恋人同士が喧嘩をする時も fight という単語を使います。
フレンズ3-15その14 でも、
レイチェル: I cannot keep having this same fight over and over again. (こんな同じ喧嘩を何度も何度も繰り返し続けることはできないわ。)
というセリフがありました。
ただ、ここでロスが言っているのは、「僕と君が喧嘩する」ということではなくて、「僕たちのために戦う」「僕たちの関係を守るために、困難や問題と戦う」というニュアンスです。
fight for は「…のために戦う」という意味で、研究社 新英和中辞典には、
He died fighting for his country. 彼は祖国のために戦って倒れた。
という例文も載っています。

fight or bail という風に、or で結ばれていますので、「僕たちの関係を守るために戦いたいのか、それとも、戦わずにただ逃げるのか?」というニュアンスになります。
bail という言葉を言う時に、ロスは外の方、ドアの方を指差していますね。
このことからも、bail は「逃げ出す」というニュアンスであることが確認できます。

take back は「元に戻す」「取り消す」。
I wish I could take it back. という仮定法過去は実現不可能な願望を表す表現で、「元に戻せたらいいのにと願う(けどそれはできない)。」ということですね。
日本語で言うと、「やり直せるものならばやり直したい。」ということです。

I just can't see us throwing away something we know is so damn good. について。
この文章の構造は、「僕ら二人が something を捨てているところをただ見ることはできない」で、「何かを捨てるのを見たくない」ということですね。
何を捨てるか、というのが、something we know is so damn good なのですが、something is so damn good であることを僕らが知っている、というニュアンスです。
so damn は強調で「ものすごく」。
このまま別れてしまったら、僕たちのこのものすごく素敵で素晴らしい関係を捨ててしまうことになる、ということを、改めてレイチェルに気付かせようとしてるのです。
"Rachel, I love you so much." というセリフに泣けますね。
最後はもう、ただこう言うしかないのですね。


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posted by Rach at 09:44| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ゲゲ!ついに結ばれたと思ったらまさかの急展開。まあ今回は100%ロスに落ち度があるわけなので自業自得と言ってしまえばそれまでですが、シーズン2で結ばれて3でもう破局とは...。それにしてもマークも明らかに電話の相手がロスだと判っててレイチェルに話しかけるとは悪い奴だなぁ。

でもクロエっていいキャラしてますね。できることなら今後もジャニスみたいにちょくちょく出てきてほしいところですが、もう出番が無いとは残念。でも盗癖があるのは困ります(笑)。

不謹慎ながらラストのレイチェルの泣いている姿の美しさに見とれてしまいました。モニカもフィービーもよく見れば(失礼)美人なのでしょうけどレイチェルの美しさは群を抜いていますね。さすが「一番美しい顔」に選ばれるだけある。ブラッド・ピットが惚れるのも無理無いというものです。一度でよいから間近でお会いしてみたい...って単なるミーハーですね(笑)。
Posted by ET at 2016年05月26日 19:24
ETさんへ
コメントありがとうございます。
このエピソードは本当に衝撃でしたよね。初見の時は私も「嘘でしょ?!」と思いました。このエピソードは見ると悲しくなってしまうので、今でも見るのが辛いのですが、、、

クロエ、いいキャラですよね。電話の時のマークの態度は許せませんでしたが(笑)、クロエには意外と私も腹が立ちません。素行は問題ありそうですが、チャンドラーやジョーイには素っ気ないのに、ロスにだけは素直に好意を見せていたので、嫌な印象を持たないんですよね。

フレンズの女性陣はみんな美人ですが、私もレイチェルが一番好きなので、彼女の美しさにはいつも見とれてしまいます〜。People誌の「世界で最も美しい女性」に選ばれたという最近のニュースにも納得! ブラピとは絵に描いたような美男美女カップルでお似合いだなぁと思っていたのに、離婚となってしまったのはとても残念でした(泣)。

基本的にはコメディーながらも、こうしてシリアスな展開もあったりするので目が離せませんよね。レイチェルの美しさはいくら見ても飽きませんしw これからもどうか楽しんで下さいね。
楽しいコメント、ありがとうございました!
Posted by Rach at 2016年05月27日 15:55
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