レイチェル: (crying) No. I can't. You're a totally different person to me now. I used to think of you as somebody that would never, ever hurt me. Ever. God, and now I just can't stop picturing you with her, I can't, (Ross stands up and backs away) it doesn't matter what you say or what you do, Ross. It's just changed everything. Forever. ([泣きながら] いいえ、だめなの。今、あなたは私にとって、すっかり(前とは)別人なの。私はあなたを、決して絶対に私を傷つけたりすることのない人だと思っていたの。あぁ、そして今、私はあなたが彼女と一緒にいるところを想像しないではいられない。想像してしまうのよ。[ロスは立ち上がって、後ろに下がる] あなたが何を言おうが、何をしようが関係ないわ、ロス。ただ全てを変えてしまったのよ。永遠に。)
[We see the rest of them are now crying.]
観客は残りのフレンズたちが今、泣いているのを見る。
ロス: (crying) Yeah, but this can't be it, I mean. ([泣きながら] そうだね。でも、こんなはずないよ。)
(pause)
沈黙。
レイチェル: Then how come it is? (それなら、なぜ、今こういう状態なの?)
You’re a totally different person to me now. は「あなたは今や、全く違う人である」ということで、「あなたは昔のあなたとは変わってしまった、私にとってあなたはもう昔のロスじゃない、もう私の愛していたロスではない別人になってしまったの。」ということです。
I used to think は、「以前は…と思っていた」ということ。
研究社 新英和中辞典に、
used (to do)=[現在と対照的に過去の事実・状態を表わして] 以前は…で[…が]あった
という語義が載っていますが、今回も、I used to think... and now と言う風に、「過去と現在が対比」されていますね。
あなたは、「私を決して傷つけたりしない人」だと思っていた、ということです。
picture は「想像する」という動詞で、you with her は、「彼女と一緒にいるあなた」を想像するのを止めることができない、頭から振り払おうとしても、どうしても、あなたと彼女が愛し合っている姿を想像してしまう、ということです。
It's just changed の 's changed は、be changed という受身形ではなくて、has changed という現在完了形です。
It's just changed everything. の it は状況を指す it でしょうか。
it は無理に訳さずに、「ただ、全てを変えてしまった。」と訳すといいのかもしれません。
Everything has changed. 「全てが変わった。」ではなくて、つまり自動詞の「変わる」ではなくて、It has (just) changed everthing. と change が「全てを変える」という他動詞として使われているところにも注目です。
あらゆることが「変化した」のではなくて、ロスがクロエと寝たという状況・出来事が、私たちを取り巻く全てを「変えてしまった」と、その変化をもたらしたものの「力、大きさ、ことの重大さ」を言っているような気がします。
「全てが変えられてしまった」の後、Forever. と言っています。
このことをもう一生、永遠に忘れることはない、もう決して昔には戻れない、ということですね。
this can't be it. について。
can't は「…であるはずがない」。
It cannot be true. だと「本当のはずがない。」です。
また、英語の決まり文句に、This is it. というのがあります。
英辞郎では、
This is it.=いよいよ来るぞ。さあいよいよだ。これがそうです。これだ。来るものが来た。
という語義が載っています。
ロングマン現代英英辞典では、
this is it: (spoken) used to say that something you expected to happen is actually going to happen
つまり、「起こると期待していたことが実際に起ころうとするのを言うのに用いられる」
This is it. を直訳すると、「これが”それ”だ。」になりますが、その it というのが、頭の中に描いているあるイメージを指しているという感じでしょうか。
今回のロスのセリフはそれを「…であるはずがない」と強く否定しているので、「これが、この今の状況が、”それ”であるはずがない」、つまり、「こんな結果になるはずがない、これが僕たちの最終的な形であるはずがない、これが僕たちの期待していた姿ではない」という感じだろうと思います。
日本語で言うと、「こんなはずではない、こんなのってない」ということですね。
This is it. フレンズ3-4その5 でも、This is it. とそれに似た表現について触れています。
それに対するレイチェルの、Then how come it is? について。
it is は「今の状態」を指しているのでしょう。
how come は、why 「なぜ」ですね。
ロスは「こんなはずじゃない、こんなのおかしい」って言うけど、じゃあ、どうして今、こんな状態に私たちはなっているの?ということだと思います。
「こんなのは僕たちの想像とは違う」と言っても、現に今私たちは、こんな状態になってしまっているじゃない、ということです。
CLOSING CREDITS
[Scene: Monica's bedroom.]
モニカの寝室
フィービー: They've been quiet for a long time. (二人は長い間ずっと静かね。)
ジョーイ: Maybe she killed him. (多分、レイチェルがロスを殺したんだよ。)
チャンドラー: Let's go. (行こう。)
[Cut to Living Room, Rachel is sleeping on the couch, Ross is gone, the rest of them can finally emerge from their cell. They all wave good bye, and start to walk quietly out, as Monica goes and puts a blanket on Rachel. Joey starts walking all hunched over and bobbing his shoulders as he goes.]
リビングに画面がカット。レイチェルはカウチで眠っている。ロスは出て行ってしまった。残りのフレンズたちはついに彼らの独房から出ることができる。彼らは全員さよならと手を振り、静かに歩いて出て行こうとする。その時、モニカはレイチェルにブランケットをかけてやる。ジョーイは前かがみになって、肩を上下に動かしながら歩いている。
チャンドラー: (to Joey) Is that your new walk? ([ジョーイに] それがお前の新しい歩き方か?)
ジョーイ: (whispering) No, I really have to pee. ([ささやきながら] 違うよ、俺はすごくおしっこがしたいんだ。)
隣の部屋から口論の声が聞こえなくなってしばらく経つので、have been quiet for a long time という継続を表す現在完了形が使われています。
こんな時に、「静かなのは、きっとレイチェルが怒りのあまり、ロスを殺したからだな。」などと、ブラックなジョークを言うジョーイ。
ト書きの中の表現について。
emerge from their cell という表現が面白いですね。
emerge from は「…から出てくる、現れる」。
cell は「独房」。
彼らはずっと囚われの身だった、という感じです。
動詞 emerge の名詞形は、emersion 「出現」。
これとよく似た単語に immersion 「(液体に)浸すこと、熱中、没頭」というのもあります。
英語だけを使って「英語に浸りきった状態」で英語を学ぶことをイマージョンと言いますが、それが、immersion ですね。
immersion の動詞形は、immerse 「…を(液体などに)浸す」です。
動詞は、emerge と immerse で少し形が違いますが、名詞形は、emersion と immersion となり、綴りが似ていますのでややこしいですねぇ。
hunch は「背中を曲げる、猫背になる」。
hump 「(名詞)背中のこぶ、(動詞)背を丸くする」の変形です。
bob は「急に上下に動く・ゆれる、…を急に上下に動かす」。
ジョーイが妙な歩き方をしているので、それが、フレンズ3-16その20 で言っていた、a new walk 「新しい歩き方」、a take-notice walk 「注目される歩き方」か?と尋ねるチャンドラー。
ジョーイはただ、おしっこに行きたいだけで、それを我慢しながら歩いているので、変な歩き方になっていただけだった、という、「お前は子供か!?」とツッコミを入れたくなるようなオチです。
ただ、今回の話は、超重苦しいので、こんな無邪気なオチでもないと、救いがありませんよね。
寝室で唐突に話題に出た、a new walk が、最後の最後にオチで使われるとは予想していませんでしたが…でもよくよく考えてみると、あの歩き方の話があそこで終わっていたら、なおさらあのやり取りが無意味なものになってしまうので、最後のオチのために、あそこであんな話が出た、というのが正しい流れですね。
そんなに面白いオチでもないんですけど(ごめん)、後にジョークとして使うための伏線があちこちにちりばめられている、というところが、フレンズの脚本がよく練られているな、と思う大きな要因でもありますね。
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の文構造がいまいち分かりません
walk は自動詞ですよね。
all hunched over 全体で歩く行為を修飾してるのも分かります
all ・・・・ over で全体に渡ってでしょうかね?
それでhunch の状態を出してるのかなぁ〜 hunchが全体に渡ってとうように。
all hunched overという表現、、ネットで他でも拾えたので、、ある表現だというのは分かります
all +動詞の受身 +over って、よくある表現なんでしょうか?
多分多く目にしてるし、初歩的質問かなとも思いますが気になったので解説お願いします
ご質問、ありがとうございます。
walk は確かに自動詞で、starts walking で、「歩き始める」ですね。
all hunched over は、その歩いている姿・様子を説明しているのだと思います。
まず、over について。
研究社 新英和中辞典では、hunch up という up との組み合わせが載っていますが、hunch over もそのバリエーションの一つかな、と思います。
英辞郎では、
hunch up=肩をすぼめる、身を縮こめる、背を丸くする
hunch over=〜に覆いかぶさるように前かがみになる、〜の前にかがみ込む、うずくまる
と出ており、over の方が「覆いかぶさる、前にかがむ」感じが出るようです。
次に、hunched という過去分詞形について。
研究社 新英和中辞典に以下のものが載っていました。
hunch(他動詞)=(背などを)弓なりに曲げる (up)
例) He sat at the table with his shoulders hunched (up).=He sat hunched (up) at the table. 彼は背中を丸くしてテーブルに座っていた。
今回の、(all) hunched over は、まさにこれかな、と思いました。
この hunch は他動詞で、with his shoulders hunched up は、「彼の肩が弓なりに曲げられた状態で」ということですね。
その (sat) with his shoulders hunched up を、shoulder を省略して、sat hunched up と表現することもある、ということのようです。
hunched up だけで、「”肩や背中などの体の部分”を曲げた状態で」、つまり、猫背みたいな体勢で、という意味だとわかる、ということなのでしょう。
all は副詞の「すっかり」という意味か、上半身全体みたいな意味かのどちらかでしょうか?
ということで、hunched over は、hunched up よりもより「覆いかぶさった」感じが出ていて、starts walking all hunched over は「すっかり or 上半身全体が、前に丸く猫背になったような姿勢で歩き始める」みたいなニュアンスなのかな、と思いました。
そうですね! こことか田中先生の英文法読んでて感じるのですが隠れた、、あえて省略された表現が英語にはあるということを知り、慣れてはきつつもまだまだ戸惑います。 例示された shoulder を省略して、、、という場合のように。
case dismissed 審理を打ち切ります これの本来の形は this case is dismissed なんだそうです この場合 isが省略されてるみたいで。
また例示されたsat hunched up 従来であればかなり気持ちの悪く感じる文章です 動詞+動詞 という形なので
それが本当は中に目的語が隠されているなんて、後に聞くと納得しますが こういった感じ、、まだまだ苦手です(苦笑)
Joey starts walking all hunched over も、be動詞と目的語が隠された省略形ということなんでしょうね
このhunched 単なる過去形で、受動態の省略が勘違いであればお許しください
受動態にする意味合いとして、状態の強調と田中先生も書かれていましたので、、、そう思ったものですから
(特に 後続に by 行為者 がない場合は)
お返事ありがとうございます。
上のコメントで私は書き忘れてしまいましたが、そうです、hunched は「過去分詞形」であり、「受動態」です。
「with+目的語+補語」で、補語の部分を過去分詞にすると、「O を C にして」という意味の「付帯情況」を表すことができます。
研究社 新英和中辞典では、
She sat there, with her eyes closed. 彼女は目を閉じてそこに座っていた。
という例文が載っていますが、それが「彼女の目が閉じられた(Her eyes were closed.)状態で」という付帯情況を表していますね。
今回の hunched は、何が hunch された状態か、とはっきり示さなくても、肩とか背中とかそういう上半身辺りだということがイメージとしてわかるので、「hunch されているもの」が省略されている、ということなのだろうと思いました。