2009年01月06日

理由を説明する「ただ…なだけなんだ」 フレンズ3-17その5

[Scene: Chandler and Joey's, the whole gang is there, except for Ross and Rachel. Joey is trying to eat Chinese with chopsticks and fails miserably. There’s a knock on the door, and Chandler answers it to reveal Rachel]
チャンドラーとジョーイの部屋。ロスとレイチェルを除いて、フレンズ全員がそこにいる。ジョーイは箸を使って中華を食べようと試みているが、無惨にも失敗する。ドアをノックする音、チャンドラーがそれに応えると、レイチェルが現れる[レイチェルだとわかる]。
レイチェル: (softly) Is he here? ([そっと] 彼はここにいる?)
チャンドラー: No. (いいや。)
レイチェル: Oh. (smiles) Here's your moisturizer. Hi! (あぁ。[にっこりして] これ、あなたのモイスチャーローションよ。[モニカたちに]はーい!)
モニカ&フィービー: Hey! (はーい!)
レイチェル: You guys are gonna love meee! Okay, check it out, Thursday night, five tickets, Calvin Klein lingerie show, and you guys are coming with me. (they're all silent and look away) Okay, I said that out loud, right? (あなたたち、私を大好きになるわよ! ねぇ、聞いて。木曜日の夜、5枚のチケット、カルバン・クラインのランジェリー・ショー、そしてあなたたちは、私と一緒に出席するのよ。[フレンズたちは全員黙っていて、目をそらす。] うーん、私は今のセリフ、声に出して言ったわよね?)
チャンドラー: Yes, yes, it's just that we ah, we kinda already... made plans with Ross. (うん、うん(聞こえたよ)。ただ、俺たちは、その、すでに…ロスと計画を立ててたんだ。)
レイチェル: Oh, well okay. Well, there you go. (あぁ、そうなの。いいわ。そうね、それは良かったわ。)
フィービー: No, it's just that he got this new, like, home theater dealy, and he wants y'know, us to check it out. (違うの。ただ、ロスは新しい、ほら、ホームシアターなんとか(ってやつ)を買ったのよ。それで、私たちにそれを見てもらいたい、って。)
レイチェル: Hm-mm. (ふーん。)
チャンドラー: Yeah, he's really excited about it too, he even recorded showtimes on his answering machine. (そうなんだ。ロスもそれにものすごくワクワクしていて、自分の留守電に開始時刻を録音してさえいたんだよ。)
レイチェル: Ohh! (まぁ!)
モニカ: We're sorry, honey. (ごめんなさい、ハニー。)
レイチェル: Oh, it's okay. (starts to leave) (あぁ、いいのよ。[立ち去ろうとする])
ジョーイ: Rach, it's, it's ah, it's not that we don't want to. Really. (quietly) Are we talking models in their underwear? (レイチェル、俺たち、行きたくない、っていうんじゃないんだ。本当に。[静かに] 下着を着たモデルの話をしてるんだよな?)
レイチェル: And heels. (それからヒールもね。)
ジョーイ: (He turns around to Chandler looking for approval to go with Rachel, Chandler mouths 'Come on!') (turning back to Rachel) Ross did ask us first, and we set that night aside. ([レイチェルと一緒に行くことができるという許可を期待しながらジョーイはチャンドラーの方を振り返るが、チャンドラーは声には出さずに口の動きで「やめろ!」と言う。] [レイチェルの方に向き直り] ロスは俺たちに先に尋ねたんだ。だから、俺たちはその夜の時間をそのために取っておいたんだ[他の予定を入れないようにしていたんだ]。)
レイチェル: No, hey, come on, if he asked you first, that's only fair. (leaves) (いいのよ。ねぇ、もしロスがあなたたちを最初に誘ったなら、それはまさにフェアーだわ。[立ち去る])

ジョーイがお箸を使っている時のト書きの fail miserably は、英辞郎では、
fail miserably=無惨にも失敗する、ひどく失敗する
と出ています。
これはコロケーションとして覚えてもいいのかもしれませんね。
見ている人が「へたくそ!」と言いたくなるような感じの失敗です。

このように中華のテイクアウトをお箸を使って食べているシーンがフレンズにはよく出てきますが、日本人が想像するより、みんなお箸の使い方が上手です。(今回ジョーイは失敗していましたが…)
フレンズ1-1その2 でもちょっと触れたのですが、日本人はすぐに "Can you use chopsticks?" 「お箸使えますか?」と尋ねてくるので、アメリカ人はその質問にはいい加減うんざりしている、という話を聞いたことがあるのですが…本当にそうですか? ネイティブの方々?(笑)

まだ、「 moisturizer ネタ」が続いているのがおかしいですね。
にっこりして「貸してくれてありがとう」と返すレイチェルに、「みんなの前で返すなよ!」とあせるチャンドラーに笑えます。

You guys are gonna love meee! について。
meee は、「ミィ〜〜」という感じで、me を強調してしゃべっているので、ネットスクリプトではわざとこんな綴りで書かれています。
DVD英語字幕では、普通に me と書いてあるのですが。
ちなみに、ネットスクリプトでは、強調の so を sooo と書いたりしてあることがよくあって、そういう表記に慣れない方にとっては、「何だこの単語は?!」と悩む原因になりはしないかと、少々心配にもなります。
慣れてくると、「あぁ、確かにこういう表記の感じだな」とも思えるようになり楽しいですが。

You guys are gonna love meee! は、「このままの流れでいくと、今から私が話す内容を聞いたら、きっと私が好きになるわ。」という感じですね。
みんながきっと喜ぶと確信しているニュースを持っている、ということで、今からすっごく良いニュースを言うから、みんな期待して聞いててね、という予告です。
それを聞いた後、"Wow, I love you!" とみんながレイチェルにハグして喜ぶ様子が想像できるような、素敵なお知らせ、という感じです。
予告通り、「カルバン・クラインのランジェリー・ショーにみんなをご招待!」なのに、みんな沈黙しています。
それで、"I said that out loud, right?" 「今のは声に出して言ったわよね。今の聞こえた?」と言っているのですね。

it's just that は、「ただ…というだけだ」みたいなニュアンス。
just には「ただ…だけ」という意味がありますので、「ただ、that 以下の事情があるだけなんだ。」ということです。
チャンドラーも、フィービーもそのフレーズを使っています。
ロングマン現代英英辞典にもちゃんと説明が載っていました。
(spoken) it's just that: used when explaining the reason for something, especially when someone thinks there is a different reason
例) No, I do like Chinese food, it's just that I'm not hungry.

つまり、「何かに対する理由を説明する時に使う。特に、別の理由があると誰かが思う時に。」
例文は、「いや、俺は中華料理は好きなんだよ。ただ、腹が減ってない、っていうだけなんだ。」

チャンドラーやフィービーがこのフレーズを使っているのも、「レイチェルが考えているような理由から断るんじゃないんだ」ということが言いたいからですね。
フィービーが、"No, it's just that...." と、No. を使っているのも、「あなたが考えているような理由じゃないのよ、ただこういう理由なのよ」と、「理由は別のところにある」ことを一生懸命説明している感じが出ているように思います。

せっかくレイチェルが誘ってくれたのに反応しないのは、「ロスとの先約があるから」「ロスがそれをとても見せたがっているから」という別の理由があって、決して「レイチェルの誘いがつまらないものだから、それに興味がないから」とか、「レイチェルが大事な人じゃないから」とかで断るんじゃないんだ、ということですね。

dealy という単語、辞書に載っていないのですが、deal の変形でしょうかね?
Urban Dictionary には載っていました。
Urban Dictionary: dealy
その語義をざっと見てみると、「名前のよくわからないものを指す」みたいな感じです。

home theater system とか、home theater set とか、そういう感じのことを言いたいけれど、どういう単語を使ったらいいかわからないので、dealy とぼかしている、という感じなんでしょうねぇ?
home theater なので、でっかいテレビとすごいスピーカーの音響システムなどが何がしかのセットになっている、そういうものをひっくるめて、dealy と表現した、ということだろうと思います。

showtime は、ロングマン現代英英辞典では、
showtime: [uncountable]
1. the time that a play or film will begin in a theatre or cinema
2. (American English informal) the time when an activity should begin

つまり、1. は「劇や映画が、劇場や映画館で始まる時間」、2. は「ある活動が開始すべき時間」。
元々は、劇や映画で使われていた用語が、他の出来事の開始時刻を言うのにも使われるようになった、ということですね。

「ロスの留守電に録音」ということは、チャンドラーが留守の時に、チャンドラーの留守電に向かってロスが開始時間を言ったのではなくて、ロスの電話の留守電応答メッセージに録音されていた、ということでしょうね。
「こちらはロスです。ただ今出かけています。メッセージのある方はピーと言う音の後に…」などと言った後、「なお、僕の新しいホームシアターお披露目会は、木曜日○○時からです!」みたいな感じでメッセージが録音されていた、ということだろうと。

it's ah, it's not that we don't want to. の it's not that は、it's just that の否定バージョンで、「that 以下ということじゃない。that 以下というわけじゃない。」ということですね。

今回出てきた、It's just that 「ただ…なだけなんだ」、It's not that 「…っていうわけじゃないんだ」は、実際の会話で大いに使える便利な表現です。

Are we talking models in their underwear? について。
この talk は前置詞を取らずに目的語(models)が来ていますので、他動詞でしょうか?
talk は基本的に自動詞だと思うのですが、研究社 新英和中辞典には、他動詞の用法も載っています。
talk=(他動詞)(…のことを)語る
例) We talked politics for a long time. 我々は長時間政治を論じ合った。


この talk をその他動詞だと考えると、「俺たちは今、下着を着たモデルのことを語っている?」みたいなことになりますね。
それはつまり、ランジェリー・ショーに出てくるモデルっていうのは、当然のことながら下着を着たモデルさんなんだよね、ということを確認しているセリフ、ということでしょう。
ですから、talk を自動詞として表現すると、Are we talking about models in their underwear? みたいに about が入る感じかな?と思います。

最初に "Are we talking models in their underwear?" を聞いた時は、talking to のイメージかと思いました。
「俺たちは(ショーを見に行ったら)下着のモデルと話をする予定なの?、話をすることができるの?」みたいなニュアンスかと思ったのです。
が、ショーに行くことが決まっている場合は、「すでに決まっている予定」として、現在進行形を使うことは可能ですが、今回は行かないことが(ほぼ)決定しているので、「もし行けたとしたら、下着のモデルと話ができるのかなぁ?」ということを言いたい場合には、このように現在進行形は使えない気がするのです。
そしてやっぱり「モデルと話す」だと、to とか、with などの前置詞が必要だと思うのですね。
ですから、やはり「今の話題」について語っている現在進行形なんだろうな、「talk about の意味の他動詞 talk 」なんだろうな、と思います。

下着姿でヒールをはいたモデルたち!?と聞いて、ジョーイは素直にあきらめることができません。
look for は「…を探す」ですが、そこから「…を予期する、期待する」という意味もあります。
この場合は、チャンドラーがジョーイに行くことを促す顔、つまり「そんなに行きたきゃ行ってもいいよ」みたいな顔をしてくれるのを期待して、チャンドラーの方を振り向いた、ということですね。

Come on! にはいろいろなニュアンスがありますが、ここでは、「そんなことはだめだ、よせ、やめろ。ばかな。」みたいな否定のニュアンスですね。

did ask us first と、did という過去形を使って、ロスが「実際に先に ask してきた」ことを強調しています。
set aside は「…を脇に置く、取りのけておく」「(金・時間などを)(…のために)取っておく」ということですから、「時間を取っておく、予定を空けておく、そこには別の予定を入れないようによけておく」という感じですね。


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posted by Rach at 08:46| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
I'm talking〜について
以前コメントで下記のレイチェルの台詞を引用した事だけは覚えているのですが、内容は忘れてしまいました。頼みをきいてくれたら、私..いや、フィービーがなんでもするわといっています。何でもするっていうのはみだらな過激なSEXの事だからね、と相手に話した内容"do anything you want"をより引きつけるような、だめ押しみたいな言い方でI'm talking〜が使われることがあります。ここでは疑問形になってますがジョーイにとっては何ともうらめしい感じが出ている台詞になり、レイチェル: And heels. の台詞は罪な台詞ですね。
RACHEL: Oh give me , , , (Phoebe gives Rachel the phone.) Hi, Mike? Hi. Listen. I know this is a lot to ask, but you know what? If you do this I . . . Phoebe will . . . do anything you want. Seriously, I'm talking dirty stuff.お正月バージョンで和装のRachさんを期待してたのですが、来年を楽しみにしてます。
Posted by catch at 2009年01月06日 23:47
catchさんへ
そうです、そうです。以前に、catchさんに、こういう talk の件でコメントをいただいたんでしたね。今回、talk の話を書きながら、これに関係するような話をどこかでやり取りしたような気がする、と思っていたんです。それなのに、それが具体的にどのセリフのことだったのかをきっちり調べないまま、見切り発車してしまったみたいですね。せっかくいただいた過去のコメントを生かせず、本当にすみません。

そのセリフを引用していただいたのは、
フレンズ2-24その11
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470684.html
のコメント欄ですね。
その 2-24 で、
I'm talkin' hovercrafts and apes taking over the planet.
というセリフが出てきて、その記事中でも私は、この talk は他動詞かな?と、今回と同じような疑問を書いています。
それに対して、catchさんが、
「I'm talkin' 〜は自分の発言にたいして念押しに付け加えて、言いたいことをはっきりさせたり、強調するときの使い方ではないでしょうか。」
と書いて下さっていて、私もそこでは「そうだわ!」と納得しているのに、今回それを忘れて、また同じ疑問を持っていた、という…うーん、我ながら情けない。

今回もそういう「念押し、ダメ押し」みたいな追加のセリフ、ということですね。
「ところで今の話だけど、下着を着たモデルなんだよな?」と、今話題になっていることの内容を再確認しているのですね。あきらめきれなくてしつこくその話題をひっぱっているところに、それに行きたいのに行けないというジョーイのうらめしい感じが出ている、ということでしょうね。
それに対してレイチェルが「下着だけじゃなくて、ヒールも履いてるわよ。」と言ったので、ジョーイはますます残念でならない、という結果になる、それを聞いてますますあきらめきれなくなった、ということなんですね。

そっかー、お正月なら和装でも良かったんですね。今から和装の写真を出すのも、too late な感じがするので、来年のお正月には「期間限定」で、プロフィールの写真を和装バージョンに変えましょう! そのためにも、何とか来年のお正月まではブログを続けていたいと思います(笑)。
Posted by Rach at 2009年01月08日 08:40
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