2009年01月08日

againとstill フレンズ3-17その6

[Chandler makes a noise of absolute disgust and heads into the living room.]
チャンドラーは、完全にむっとした嫌悪の声を出して、リビングに向かう。
フィービー: Ohhh boy, do I feel bad! (あぁ、なんてこと、(ほんとに)気分が悪いわ!)
ジョーイ: Oh yeah. (あぁ、そうだね。)
モニカ: Very bad. (とっても気分が悪いわ。)
[We see Chandler lighting up a cigarette.]
観客・視聴者は、チャンドラーがタバコに火をつけるのを見る。
フィービー: Chandler, what are you doing?! (チャンドラー、あなた、何やってるのよ?)
モニカ: Chandler!! (チャンドラー!)
チャンドラー: (jumps back and points at the cigarette) Oh, my God! ([後ろに飛びのいて、タバコを指差して] なんてこった!)

(makes) a noise of absolute disgust は「あぁ、なんてこった、くそっ!」という感じの音というか声ですね。

Ohhh boy, do I feel bad! について。
この do I feel bad! という語順は倒置ですね。
フレンズ2-14その21 でも触れましたが、大西泰斗先生の ハートで感じる英文法 会話編 の Lesson 4 「倒置−感情を乗せる−」の回で説明されていた「倒置の呼吸」、つまり、
倒置という「基本語順から逸脱した形」を取ることで、「感情の高まり」という「特別なニュアンス」を与える。
ということですね。

feel bad については、フレンズ3-17その2 でいろいろな意味を説明しましたが、ここでは、feel good の反対で、「気分が悪い、不愉快に思う」ということでしょう。
「レイチェルがせっかく誘ってくれたのに、それを断らないといけないなんて、いやーな気分」ということです。
レイチェルが「みんな、きっと喜ぶわ!」と思いながら、ワクワクして持ってきたお誘いだっただけに、そして、レイチェルとけんか中のロスとの先約がレイチェルの誘いを断る理由となってしまっただけに、断る側の気分は最悪、という感じなのですね。

後ろに飛びのき、タバコを指差して驚いてみせる、というなんともしらじらしいリアクション。
チャンドラーっぽいリアクションとも言えますね。
俺はいつの間にこんなものを手に持ってたんだ!という感じを出しています。


ジョーイ: You're smoking again?! (お前、またタバコを吸い始めてるのか?)
チャンドラー: Well, actually, yesterday I was smoking again. Today, I'm, I'm smoking, still. (そうだな、実際のところ、昨日、俺は前と同じように喫煙するという状態になったんだ。今日は、俺は、俺は喫煙している、昨日の状態と変わらずにね。)
フィービー: Why would you start again after chewing all that quitting gum? (ああいう禁煙ガムを噛んだ後に、どうしてまた(タバコを)始めたの?)
チャンドラー: Look, I'm telling you this is just like my parents' divorce, which is when I started smoking in the first place. (なぁ、言っとくけど、これは俺の両親の離婚と同じ感じなんだ。その両親の離婚の時に、俺は最初にタバコを吸い始めたんだよ。)
モニカ: Weren't you 9?! ([両親が離婚した時って]あなたは9歳じゃなかった?)
チャンドラー: Yeahhh. I'm tellin' ya something, that ah, first smoke after naptime.... (そうだよ。いいか。お昼寝の時間の後の最初のタバコは…)

You're smoking again?! 、つまり、You are smoking again?! と現在進行形で尋ねたジョーイに対して、実際のところは、 yesterday I was smoking again. だと返事しています。
again は「再び、また」と訳されることが多いですが、この場合は以下の語義が近いでしょうか。
研究社 新英和中辞典では、
again=元の所[状態]へ
come [go] back again 戻って来る[戻って行く]
come to life again 生き返る
get well again 病気が治る、また元気になる


ロングマン現代英英辞典では、
again [adverb]: back to the same state or situation that you were in before
つまり「人が以前にあったのと同じ状態や状況に戻る」。

何か違った状態になっていてそれが元の状態に戻る、違った所に行っていて元の場所に帰ってくる、というニュアンスの「元の状態へ」、それが again なのですね。
チャンドラーは以前にタバコを吸っていました。(フレンズ1-3その1
それから禁煙してタバコはやめていたはずなのに、また今、「元の状態に戻って」吸っているのか?とジョーイは尋ねているのですが、厳密に言うと、again 、つまり「禁煙から喫煙の状態に戻った」のは昨日で、今日は昨日の状態が「続いている」という、I'm smoking, still. の状態なんだ、と言っているのですね。

still は、研究社 新英和中辞典では、
still=まだ、今までどおり
(still は前の動作や状態がその時なお続いている場合に用いる)

とありますので、今日、今現在こうして吸っているのは、昨日と同じ状態だ、昨日の状態が続いているんだ、ということになります。

ですから、「また吸ってるのか?」と言ったジョーイに対して、「禁煙から喫煙の状態に移る」という again という変化が起こったのは(変化が起こった時点は)昨日で、今日吸っているのは、「昨日の喫煙状態が現在も続いている」という still の状態であって、again ではないよ、という感じの言い訳です。
「なんてことをしてるんだ!」という感じで抗議っぽく言われたので、言葉の本来の厳密な定義で言うと、ジョーイの言っていることはちょっと違うよ、とジョーイの抗議のニュアンスを軽く流しているのですね。
technically speaking, stricktly speaking 「厳密に言えば、厳密に言うと」という感じでしょうか。

禁煙するために噛むガムのことを、quitting gum と言うのですね。
禁煙する、タバコをやめることは、quit smoking ですからね。

nap は「昼寝、日中の居眠り、うたた寝」。
take a nap は「昼寝する、居眠りする」ですね。
両親が離婚した時に、初めてタバコを吸った、って、離婚の時あなたは9歳だったんでしょ?とモニカは聞き返しています。
それに対して、「そうだよ、それがおかしいか?」といわんばかりに、「お昼寝の後に、最初の一服を経験したんだった」と回想しています。
「9歳で初タバコ」がほんとかどうかは知りませんが、naptime という言葉を入れることで、お昼寝するような小さな子供がタバコを吸っていた、ということを言っているのですね。
ちなみに、9歳は「お昼寝」という年齢ではないようにも思いますが…(うちの長男はもうすぐ9歳ですけど、お昼寝なんてしませんし…笑)。
ですから、「9歳なのにタバコを?! 信じられない!」みたいに驚いたモニカに対して、わざと「そうだよ。初めて吸った時は、昼寝するくらいのお子チャマだった」と大袈裟に言ってみた、9歳というイメージをさらに子供っぽくして naptime という言葉を使った、ということでしょう。


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posted by Rach at 08:43| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。初めまして。
先日Rachさんの「シットコムで笑え!楽しくきわめる学習法」を購入して、フレンズで英会話の勉強をしています。
今日からシーズン2に入ります。
フレンズで勉強を始め2ヶ月目のトイックでリスニングが40点ほどのびました。といってもまだ320点程度ですが^^;;

これからはサイトのほうも観覧させていただきます。
よろしくおねがいします^^
Posted by かぼす at 2009年01月08日 19:32
かぼすさんへ
初めまして。ご訪問&コメント、ありがとうございます。
さらには、拙著を購入して下さったとのこと、とても嬉しいです! ありがとうございます!!

フレンズでリスニングが伸びたというお話、嬉しく思います。フレンズなどのドラマの音声は、TOEIC のようなナレーションと違い、早口で不明瞭な部分も多いですが、そういうものに慣れることで、TOEIC がだんだん聞き取りやすく思えるようになると思います。

フレンズ学習を、無理をされず、マイペースで楽しく続けていただけたら、と思います。こちらこそ、よろしくお願いします。

Posted by Rach at 2009年01月10日 09:11
first smoke after naptime....
話題転移のような気がします。

「9歳からタバコを吸ったの?」モニカから質問された際、自分が間違っていたとあまり認めたくないので、「I'm tellin' ya something」の続き、「that ah」で次の話を考え、「first smoke after naptime」と言っていたと思います。

first smoke after naptimeは 人生初めての一服ではなく、昼寝後の一服だと理解しています。
Posted by Fen at 2009年08月03日 11:50
Fenさんへ
モニカの「9歳からタバコを吸ったの?(そんなはずないんじゃないの?)」という指摘は正しかったのでしょうね。チャンドラーが「自分が間違っていたとあまり認めたくない」という気持ちもその通りだろうと思います。明らかにそれが間違いだとみんなにわかるのを承知で、「お昼寝の後の一服は最高だったんだよ…」と、その時の味を懐かしく思い出す表情をした、ということだろうと思います。

「昼寝後の一服」であれば、a smoke after naptime になるかなと思います。わざわざ first をつけているのは、やはり「人生初めての」タバコの一服が、9歳の頃の昼寝の後だった、と言いたいのだろうと思うのですが。first と naptime という言葉を使って、「両親が離婚した9歳の時に、初タバコを経験した」ということを周りには嘘っぽく聞こえるのを知りながら主張し続けた、ということだろうと思いました。
Posted by Rach at 2009年08月06日 08:34
Rachさんへ

すいません、「昼寝後の一服」は「昼寝後の最初の一服」の誤りでした。

Rachさんの見解について、了解しました。理の通っている見解だと思います。
Posted by Fen at 2009年08月06日 11:13
Fenさんへ
お返事ありがとうございました。
Posted by Rach at 2009年08月07日 06:59
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