2009年01月14日

今、申し出た方がよさそう フレンズ3-17その9

今週末、フレンズたちがレイチェルとスキーに行くと聞いて、
ロス: Yeah, that's okay, I mean, if you guys all have to go away for the first weekend I'm alone by myself, y'know then I totally, totally understand. (そうだね、それで構わないよ。つまり、僕が全く一人ぼっちでいる初めての週末に、もし君たち全員が行ってしまうというのなら、それなら、僕は完全に完全に理解するよ。)
フィービー: Y'know what, I can stay, I'm gonna stay. 'Cause the last time I went skiing, I was too afraid to jump off the chair lift, I just went round and round. (ねぇ、私はここに残る[とどまる]ことができるわ。私はここにいるつもりよ。だって、前にスキーに行った時、私はものすごく怖くて、チェアリフトから飛び降りることができなかったの。私はただ、ぐるぐる回っていただけだったの。)
ジョーイ: Uh, Pheebs, we kinda need you to drive everybody up there in your grandmother's cab, but y'know what, I'll stay. (あぁ、フィービー、君には、おばあちゃんのキャブを運転して、あの場所までみんなを連れて行ってもらわないといけない。でも、ほら、俺が残るから。)
モニカ: Noo! I'll stay. He's my brother. (いいえ! 私がとどまるわ。ロスは私の兄さんだもの。)
ロス: What, a "pity stay"? (何? 「哀れみ[同情]のステイ」か?)
モニカ: No! We're gonna have fun. We can make fudge! (違うわ! 私たちは楽しむのよ。ファッジを作れるわ!)
ロス: Pity food? Y'know what, that's okay, all right, I don't need any of you to stay, okay, nobody stays. (哀れみの食べ物? ねぇ、もういいよ。わかったよ。君たちの誰も残ってくれなくていいよ。大丈夫、誰も残るな。)
チャンドラー: Well, then, I might as well offer to stay. (そうだな、それなら[そういうことなら]、俺が残るって申し出た方がよさそうだな。)

ロスの最初のセリフは、いいよ(that's okay.)といいながらもその後、「一人で過ごす最初の週末なのに、一緒にいてくれないならそれでいいよ」と言っていて、みんな友達甲斐がないよねえ、みたいな言い方になっています。
ただ、よく考えてみると、レイチェルにとっても「一人で過ごす最初の週末」なわけで、ロスだけがそう言うのはやや自己中な感じがするのですが。
ちょっと泣き言というか皮肉を言っているのですね。

それを聞いて、やっぱりロスを残してスキーに行っちゃかわいそうだと思ったフィービーは、I can stay, I'm gonna stay. と言っています。
その後に、because で残ることになる理由を述べて、こういうわけだから私は残ることができる、それなら私が残ることになるわね、というニュアンスで、be gonna stay (be going to stay) を使っているのですね。

フィービーの chair lift (チェアリフト、スキーリフト)の話は、リフトから降りるべきタイミングで降りられずに、ずっとリフトに乗ったまま、斜面を上がったり降りたりしていた、という感じですね。
ネットスクリプトでは、went around and around と書いてあるのですが、DVD英語字幕は、I just went round and round. となっていました。
音声もそう聞こえるようなので、上のセリフでは、round の方を使いました。
go around でもオッケーだとは思うのですが、一般的に、「グルグル回る」という意味では、go round や、go round and round を使うような気がします。
遊園地にあるメリーゴーラウンド(回転木馬)という遊戯器具、あれも英語で書くと、merry-go-round で、グルグル回っているから、そういう名前なんですよね。

stay は「滞在する」ですが、特に今回の場合は「居残る、とどまる」というニュアンスがあるように思います。
スキー旅行に行かずに、stay する、と言っているので、楽しいことをあきらめてここにとどまる、というニュアンスが出てしまうのかもしれません。
日本語の「残る」ほどネガティブなニュアンスはないのかもしれませんが、「行かずに残る」という感じはあるでしょうね。

フィービーが、I'm gonna stay. と言った後、ジョーイやモニカが「いや、俺が、私が」という感じで、I'll stay. と言っています。
この will は、最初は stay することなど何も考えていなかったけれど、今、フィービーの話を聞いて、フィービーが残るって言うんなら、フィービーの代わりに自分が残る、と「その場で意思を決めた」感じが出ています。

「俺が代わりに残る」「私が代わりに残る」と、まるでいやなことを引き受けるかのように、次から次へと名乗りを上げるので、ロスは、a "pity stay"? 「その stay は、哀れみのステイか?」と言っています。
「私もロスと一緒にいたいからそうする」ではなくて、「あなたはスキーに行きたいだろうから、あなたの代わりに私が残ってあげる」というニュアンスがロスにもわかったのですね。
兄のことだから、その役目は私が、みたいにモニカが言ったのが決定打となったようで、ロスは、a "pity stay"? とはっきり口に出したのですね。

fun と似た単語の fudge を持ってきて、そういうお菓子を作って盛り上がろう、みたいに言っていますが、ロスにはさらにそれがとってつけたような感じがしたんでしょうね。
だじゃれみたいに、ただ、fun に似たお菓子の名前を持ってきたところにカチンときた、というところでしょうか。
ファッジとは、
英辞郎では、
fudge=ファッジ(柔らかくて甘いキャンディ。チョコレートを溶かしたようなもの。アイスクリームなどにかける。)
研究社 新英和中辞典では、
fudge=ファッジ(砂糖・バター・牛乳・チョコレートなどで作った柔らかいキャンデー)
ウィキペディア(↓)には写真があります。
Wikipedia 英語版: Fudge

最後のチャンドラーのセリフ。
might as well は、英辞郎に、
might as well=(状況判断)〜した方がいい、〜した方がよさそうだ
例) I might as well go now. そろそろ帰った方がいいみたいだ。

という語義が載っていますが、それに近い気がしますね。

Well, then というのは、ロスがはっきりと「そんなに残るのがいやなら、誰も残らなくていい、残ってくれるな」と言ったので、その宣言を聞いた後だから、「俺も残るよ、残ろうか」というオファーを言っといた方がよさそうだ、俺だけさっき「俺が残るよ」と言わなかったので、遅ればせながら今、「残るよ」って言っとくよ、どうせ「誰も残るな」とお前は言うだろうから、ほんとに残ることにはならないだろうし、ということです。

結局最後まで「俺が残る」と申し出なかったとしたら、あまりにも友達甲斐がないし、今なら残るよって言ってもどうせお前が拒否するだろうから、言うとしたら、今がオファーの言い時だな、という感じですね。
ロスが「誰も残るな」と言ったのを聞いた上で、「俺が残る」って一応言っとくね、ということです。
残りたくもないのに無理に残ると言っているフレンズたちに対して、また、駄々をこねて残って欲しそうに言いながら哀れみならいらないと意地を張るロスに対して、あきれている気持ちが出ている気がしますね。


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posted by Rach at 07:29| Comment(4) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後のチャンドラーのセリフについて
might as wellは日本語訳が難しいフレーズですね。最後の台詞で観客はクスッと笑える台詞なのですが
字幕なんかでも苦労するところでしょう。意味はRachさんの解説どおりで、そのなかで"「俺が残る」って一応言っとくね"がぴったりくるような気がします。相手の台詞や状況に対して何かをいうときに実際はそう考えていないニュアンスが重要だと思います。
1-17で怪我をした無保険のレイチェルがモニカの保険を使いたいと、とんでもでもないことをいうのですがもちろんモニカはMonica: Hah, no no no no no no no no no no.と言います。
それに対してRachel: Well, alright, then, forget it. (Getting up to go) Might as well just go home. Ow ow ow ow!と言います。実際に家に帰るつもりがなくすごく痛がってモニカに同意させるずるさが出てるようにも思えたのですが。まぁいいか、というニュアンスかもしれませんが。
Posted by catch at 2009年01月16日 00:57
catchさんへ
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、might as well って日本語訳にニュアンスを出すのが難しいフレーズですよね。
「一応言っとくね」を支持していただき、ありがとうございます。

1-17 でもそのように使われていたのですね。その場合も、モニカの保険を使うなんてとんでもない、と言われて、「そう、いいわ。それじゃあ、今のは忘れて。(保険が使えないんじゃ、ここにとどまっていてもしょうがないから)とりあえず家に帰ることにするわね。いたたたた…」という感じですね。

「家に帰るわ。だって他に何も手立てがなさそうだから。」ということを示して、こんなに痛いのに歩いて帰らないといけない私ってかわいそう、というさまをモニカに見せつけている感じでしょうか。
自らの意思で「そうする」と言っているのではなくて、英辞郎にも「状況判断」という言葉が使われている通り、自分にはそのつもりはないけれど(あるいは自分の意思に反するけれど)、周りの状況からするとこうしておいた方がよさそうね、みたいなことでしょう。その状況というのは、1-17 の場合は、「モニカが保険を使わせてくれないこと」で、その状況が変わらないことにはどうしようもない、と言いたいのでしょうね。

今回のチャンドラーのセリフの場合は、「残ると言わないと冷たい奴だと言われそう」「ロスがはっきり、誰も残るな!と言った後なら、申し出ても残ることにはならない」という状況から判断して、「ここで申し出といた方がよさそう」、残るつもりはないけど、一応口に出してそう言っておく、という感じですね。
might as well を使うことで、状況判断として「今、言った方がいいと判断した」のがわかるので、観客はくすっと笑えるわけですね。
Posted by Rach at 2009年01月16日 12:48
先日は拙ブログにコメントをお寄せいただき有難うございます。

Yeah, that's okay, I mean, if you guys all have to go away for the first weekend I'm alone by myself, y'know then I totally, totally understand.

これを見ながらあることを思い出しました。

昔、適切な言葉を探す時間稼ぎに、you know, I mean,をあまり考えないでほぼ交互に使っていたのですが、I mean は、その前に云ったことを忘れてくれという働きをするので使うな、とアメリカ人のルームメイトに注意されたことがあります。

上のセリフでも、Rachさんが「いいよ(that's okay.)といいながらもその後、「一人で過ごす最初の週末なのに、一緒にいてくれないならそれでいいよ」と言っていて、みんな友達甲斐がないよねえ、みたいな言い方になっています」の通り、本当に云いたいのは、"I mean"の後なんでしょうね。
Posted by outrageous2007 at 2009年01月16日 22:59
outrageous2007さんへ
こちらこそ、コメントありがとうございます。また、I mean のニュアンスについて、貴重なご意見、ありがとうございます。

研究社 新英和中辞典では、
I mean=[挿入的に用いて、話の補足や訂正を示して] つまり、いやその
My old woman, I mean my wife, is out now. うちのかみさん、つまり家内のことですが、今留守にしてます。
I'm completely disinterested, I mean, uninterested in baseball. 私は全く野球には私心、いやつまり、関心がない。

その「訂正」というのが、アメリカ人ルームメートさんが教えてくれたニュアンスなのですね?

ロングマン現代英英辞典でも、
(spoken) I mean:
b) used to quickly correct something you have just said
例) She plays the violin, I mean the viola, really well.
つまり、「今言ったことを即座に訂正するために使われる」。
例文は、「彼女はヴァイオリン、いやつまり、ヴィオラを、本当に上手に演奏するんだ。」

ロングマンにも、correct 「訂正」という言葉が使われていますね。「今、ヴァイオリンって言っちゃったけど、僕の言いたかったのは、正しくはヴィオラなんだけどさ」という感じの言い直しです。

研究社の辞書にあるような「話の補足」もよく使われるニュアンスですね。今、言ったことでは、相手に自分の意図が十分に伝わらない気がして、もっとかみくだいて言うと、今の言葉の本当の意味は、正直に言うと…みたいな「より詳しい言い換え」のようなニュアンスでしょうか。
おっしゃるように、「本当に云いたいのは、"I mean"の後」なんですね。僕の本当に意図するところはこうだ、と言った上で、言葉を続けているわけですから。だから、その前に言った言葉の重さがぐっと軽くなってしまうということでしょうか。

いつも思うのですが、ネイティブにとってちょっと違和感のある表現を使った場合に、「ここでそういう表現を使うと、こんな風に誤解されるから気をつけたほうがいいよ」と言ってくれるネイティブの友人というのはとても貴重ですね。そういう方がルームメートだった outrageous2007さんがとてもうらやましいです。そんな風に言ってもらえたら、とても心に印象深く記憶されて、その後、気をつけようと心がけますものね。そういう軌道修正が、言葉を正しく豊かにしてくれるのだと思います。
Posted by Rach at 2009年01月18日 07:28
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