2009年01月24日

質問に普通に答える人になる フレンズ3-17その13

[Scene: The rest stop, the gang is still stuck, Chandler is kneeling at the rear bumper.]
休憩所。フレンズたちはまだ動けないでいる。チャンドラーはリアバンパーのところでひざをついている。
チャンドラー: Damn! (stands up) The tailpipe's not hot enough to light this! (くそっ! [立ち上がって] これに火をつけるのに十分なほど、テイルパイプは熱くない!)
ジョーイ: Relax, okay? I-I-I can get this open. Anybody have a coat hanger? (落ち着けよ、いいか? 俺はこれを開けることができる。誰か、コートハンガーを持ってる人は?)
チャンドラー: Oh, I do! Op, no, wait a minute, I took it out of my shirt when I put it on this morning. (あぁ、俺、持ってるよ! いや、待ってくれ。今朝、シャツを着る時に、シャツからハンガーを抜き取ったな。)
モニカ: So, if your parents hadn't got divorced, you'd be able to answer a question like a normal person? (そうね。もしあなたのご両親が離婚していなかったとしたら、あなたは、普通の人のように質問に答えることができているんでしょうね?)

ト書きの stuck は「行き詰って、動けなくて」。
フレンズ1-16その3 にも、
スーザン: Stuck at school. Some parent-teacher thing. (学校に足止めされてるの。PTA関係のことみたい。)
というセリフがありました。

ライターは車の中なので、車のテールパイプ(排気管)を使って、タバコに火をつけようとしています。
「排気管のくせに、タバコに火もつけられないのか、ライターより火力が弱いのか!」と怒っています。

コートハンガーを持ってるかと聞かれて、お得意のおとぼけで返すチャンドラー。
it が2つ出てきますが、最初の it は a coat hanger で、2つ目の it は、my shirt ですね。
車のカギが開かない、というこの緊急事態に、そんなつまらないジョークを言って時間を無駄にしているので、モニカは辛らつなことを言います。
「ご両親の離婚がなかったら、あなたもこんな時(深刻な時、緊急時)にジョークを言うような人間にはなっていないんでしょうね。」ということです。

if your parents hadn't got divorced, you'd be able to answer a question like a normal person? は、条件節( if 節)が過去完了形で「過去の事実に反対の仮定」、主節(帰結節)が would+動詞の原形で「現在の推量」を表します。
つまり、条件節と主節の間に時間のずれがあり、「もしあの時…だったなら(過去)、今は…だろう(現在)」という文章になるのですね。


ジョーイ: Look, I just need a wire something to jimmy it. Oh hey, one of you guys give me the underwire from your bra! (ねぇ、俺はただ、それをこじ開けるのに、ワイヤーみたいなものが必要なんだ。ねぇ、君らの中の誰か一人が、ブラのワイヤーを俺にくれないか?)
モニカ: What?! (何ですって?)
レイチェル: What?! (何ですって?)
ジョーイ: Come on! Who has the biggest boobs? (いいだろ! 一番大きな胸を持ってるのは誰?)
モニカ: Please!! (やめてよ(そんなこと言うの)。)
ジョーイ: Whoever has the biggest boobs, has the biggest bra, therefore has the biggest wire. (一番大きな胸を持っている人なら(誰でも)一番大きなブラを持ってる、その結果、一番大きなワイヤーを持ってることになるんだ。)
女性陣(The Girls): No, not getting my bra! / It's too expensive! (だめよ。私のブラを取らないで。/すごく高価なのよ!)

need a wire something to jimmy it の jimmy という単語について。
jimmy は名詞「かなてこ」、動詞「かなてこでこじ開ける」という意味があります。
研究社 新英和中辞典では、jimmy の語源として、
語源 Jimmy の転用
と書いてあります。つまり、ジミーという男性名から転用された言葉だと。

Merriam-Webster Online Dictionary の jimmy の Etymology(語源)にも、
Etymology: from the name Jimmy
とあります。
ジミーという名前から浮かぶイメージの男性が使いそうな工具、ということでしょうか??

Whoever has the biggest boobs, has the biggest bra, therefore has the biggest wire. について。
whoever は、この場合は、「先行詞を含む不定関係代名詞」で「…するのは誰でも」という意味でしょう。
Whoever has the biggest boobs 「もっとも大きな胸を持っている人は誰でも」という名詞節が主語となり、その主語に対する動詞が、has the biggest bra, (therefore) has the biggest wire である、という構造になります。
therefore は「それ故に、従って、その結果」。

ジョーイにしては、論理的で理屈の通ったことを言っています。こういう回転は速いのね…(笑)。


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posted by Rach at 08:11| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。outrageous2007です。

ト書きの stuck ですが、このことでたまたま某英会話学校に勤めているイギリス人と話をしました。

彼の努めている学校の宣伝コピーで "I am stuck on XXX" というのがあるんですね。確かに、be stuck on sb 「(人)に夢中になる(= be attracted to sb)」という口語表現があります。でも、彼が云うには「この学校が好きになってしまったとしたかったんだろうけど、元の意味が「動けない」だけに、not improving ということになってしまって stupid なコピー、ということでした。本来のイメージを無視して勝手に訳語をたよりに英作文するとこんなことになるんですね。

『英会話ヒトリゴト学習法』読了したんですか。Rachさんの海外ドラマを使った学習法にも応用できそうですね。もちろん、楽しむだけなら観てるだけでいいんですが、英語力を伸ばそうとすると、何度も頭の中でリハーサルしながら、表現を内在化させることが大事だと思います。この「表現の内在化」のステップについて、酒井さんの本は実に丁寧に書いてくれているところがすばらしいな、と思います。
Posted by outrageous2007 at 2009年01月24日 15:37
outrageous2007さんへ
コメントありがとうございます。

stuck というと、「身動き取れない」というイメージがありますよね。
過去記事、
挟まって動けない フレンズ3-3その22
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470824.html
でも触れたのですが、「ハチミツ食べ過ぎてお腹が抜けなくなっちゃったプーさん」のイメージもあります。

やっぱり実際にそのフレーズが使われている現場を見てニュアンスを掴んでからでないと、「訳語をたよりに英作文する」ことはとても危険ですよね。

酒井さんの本は、その「頭の中でリハーサル」について具体的に丁寧に書いておられますよね。とても読みやすくわかりやすくまとめて下さっていたと思います。
Posted by Rach at 2009年01月26日 11:41
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