2009年01月28日

クライング・インディアン フレンズ3-17その15

[Chandler crumples up his cigarette pack and throws it on the ground.]
チャンドラーは自分のタバコのパック[袋]をくちゃっとつぶし[もみくちゃにして]、それを地面に投げる。
レイチェル: (seeing him) Chandler, what are you doing? There is a trash can right there. ([チャンドラーを見ながら] チャンドラー、あなた何をやってるの? あそこにゴミ箱があるでしょ。)
チャンドラー: Well, I thought if I littered, that crying Indian might come by and save us. (そうだな。俺は思ったんだよ。もし俺がゴミを捨てたら、あの泣いているインディアンがやってきて、俺たちを助けてくれるかもしれない、ってね。)

crumple は「しわくちゃ・もみくちゃにする」。
litter は「(ものを)散らかす、(部屋などを)(もので)取り散らかす」。

さて、crying Indian とは何でしょう?
that 「あの、例の」がついているので、みんなも知ってるあれ、というニュアンスがあるようですね。

早速、"crying Indian" でぐぐってみました。
Google には、「Google サジェスト(suggest)」という機能があります。
検索窓に文字を入力すると、その入力内容から予想された候補を表示する、という機能です。
"crying Indian" と入力すると、crying Indian に続いて、commercial, pollution などたくさんの言葉が「候補」として提示されました。
それだけで、crying Indian は「公害CM」と関係があるらしいことが想像できます。

Google ビデオ: crying indian
上の Google ビデオで、その crying Indian の映像が見られます。
やはり、環境を守ろうというメッセージのCMでした。
捨てられたゴミの映像が次々と映り、涙を流すインディアンの姿、そして、Keep America Beautiful という文字が最後に出ます。

Wikipedia 英語版: Keep America Beautiful によると、Keep America Beautiful は、an environmental organization (環境団体)のようです。
そのウィキペディアに、Keep America Beautiful's famous 1971 Ad Campaign, featuring Iron Eyes Cody, the "Crying Indian" のポスター(?)の写真が載っていて、インディアンの顔も見られます。

環境が公害やゴミによって汚染されて、インディアンが悲しんでいる、その涙が印象的なコマーシャルなので、Crying Indian と言えばみんなが、あぁ、あのCMか!とわかる、ということのようです。

ウィキペディアの History に興味深いことが書いてあるのですが、Crying Indian を演じている Iron Eyes Cody は、ネイティブアメリカンの血筋ではなくて、イタリア系だそうです。

Wikipedia 英語版: Iron Eyes CodyIMDb: Iron Eyes Cody にも同様のことが書いてあります。

とにかく彼はそのCMのクライング・インディアン役で有名だ、ということですね。
検索する前に、私も「ゴミを捨てちゃいけない、環境破壊しちゃいけないと、インディアンが涙を流しながら登場する」イメージかな?と想像していましたが、やはりそれに近いニュアンスだったようです。
インディアンには、自然や環境と共に生きる、というイメージがありますから、現代大量消費社会に対する警告を訴える人として、イメージぴったりなのでしょうね。

周りに誰も人がいなくて、助けてくれる人がいない、でも、ゴミを散らかせばあのインディアンが来てくれるかもしれないよ、とチャンドラーは言っているのですね。


フィービー: (finishing removing her bra) Okay, there. ([自分のブラをと取り外し終えて] はい、どうぞ。)
ジョーイ: Thank you Phoebe, that is very, very generous. (ありがとう、フィービー。それって、すごくすごく寛大で思いやりのある行為だよ。)
チャンドラー: Okay, now let's decide who has the nicest ass. (よし、それじゃ今度は、誰が一番いい尻を持っているか決めよう。)
ジョーイ: (opening the door) And there you go! ([ドアを開けながら] さあ、どうぞ!)
全員: Oh, yeahhhhh!!! (わぁ、やったー!)
[They all run to get in the cab, and Chandler pulls out a smoke.]
フレンズたちはみんな、走ってキャブに乗り込む。そしてチャンドラーはタバコを取り出す。)
モニカ: Chandler!! (チャンドラー!)
チャンドラー: At least let me smoke it to the good part! (少なくとも、それを良い部分までは吸わせてくれよ!)
[Phoebe puts the car in gear and starts to back out.]
フィービーは車のギアを入れて、車を後退させる。
フィービー: Okay. (The car moves a few feet and sputters to a stop.) Oh, no! (オッケー。[車は2、3フィート動いて、プスンプスンという音を立てて止まる] オー、ノー![あぁ、だめだわ!])
レイチェル: What, what's it, what's going on?(何、何が起こっているの?)
フィービー: Yeah, this has happened before. (そうね、これは前にも起こったことがあるわ。)
レイチェル: So you know how to fix it? (じゃあ、その直し方[解決法]を知ってるわよね?)
フィービー: Yep. Put more gas in. (えぇ。もっとガソリンを入れるのよ。)

generous は「気前のよい、寛大な、太っ腹で、物惜しみしない」。
やっぱり自分のブラを壊されるとわかっていてそれを提供するのはためらわれるけれど、そこを、えいやっ!と、自分のブラを提供したフィービーの心意気を褒めているのですね。その自己犠牲の精神が素晴らしいと。
やっぱり友達同士でも、こうやって相手の行為を褒めることは大切なのかな、と思います。

ass というのは「お尻」を表す単語の中でも下品な言い方なので、和訳の正しいニュアンスは、「誰が一番ナイスなケツを持ってるか決めよう」の方が正しいのかもしれません。
フレンズでは、お尻のことを普通は butt と言うことが多いですよね。
せっかくのフィービーの貴重な行為を台無しにするようなセリフ、おちゃらけないではいられないチャンドラーの性格がここでも出てしまいました。

At least let me smoke it to the good part! というのは恐らく、「おいしいと感じるところ・部分まで吸わせて?」ということだと思います。(タバコを吸ったことがないので、私にはよくわかりません…)

ト書きの Phoebe puts the car in gear. について。
英辞郎によると、
put the car in gear=ギアを入れる
また、
put the car in neutral=車をニュートラルにする
だそうです。

The car... sputters to a stop. について。
英辞郎には、
sputter=(エンジンが止まりかけて)プッスンプッスンと音を立てる
とあります。
元々は「つばを飛ばしてしゃべる、パチパチ・ジュージュー音を立てる」という意味で、擬音語から出来た言葉のようですね。

フィービーのオゥノゥ!という言い方でやばいことが起こったことは想像できます。
This has happened before. と「経験を表す完了形」を使って、以前にも同じことが起こったことがある、と言うフィービー。
「経験があるなら、解決法を知ってるわよね」というレイチェルに、フィービーは「解決法は、ガス(ガソリン)をもっと入れることよ」と答えます。
つまり、ガス欠だ、ということです。

「ガス欠になっちゃった。」なら、We've run out of gas. などと言うところですが、そうは言わずに、「解決法は簡単なの。ガスを追加したらいいだけよ。」みたいに言っているのが面白いわけです。
「ガスを追加するだけ…って、つまりガス欠なわけ?!」とみんながあきれてがっかりする、という展開ですね。


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posted by Rach at 10:32| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
最近このサイトを見させていただいてるものです。
とても丁寧に説明していただいているので、とても役にたっています。
ありがとうございます。
さて、クライングインディアンの件ですが、実はアメリカンスピリットという煙草の絵柄は、煙草が長すぎて火がつけられず泣いているインディアンなのです。おそらく、煙草はあるのにライターがなくてつけられず泣きそうなチャンドラーとかかっているのかなと思います。まぁチャンドラーの煙草がアメリカンスピリットかどうかがさだかではないので、確実とは言えないんですが。
Posted by みや at 2015年06月23日 09:01
みやさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。
拙ブログの説明を「丁寧」とお褒めいただけて光栄です。

そして、クライングインディアンについての情報、ありがとうございます。
「アメリカンスピリット」という煙草の銘柄があるのですね。日本の煙草の名前さえほとんど知らないもので、その銘柄は全く知りませんでした。さっそく検索してみたところ、Google 画像検索では、長いタバコを持ったインディアンの絵柄がたくさんヒットしました。

その絵柄を拡大などして見てみたのですが、これは「泣いている」のでしょうか、、、 私がパッと見た瞬間の印象は、目を閉じてタバコを楽しんでいるような感じに見えてしまったのですが、、(すみません)。
デザインチックな絵なので、見ようによって印象も異なると思い、Wikipedia (日本語版、英語版とも)などで、絵柄の由来が載っているか見てみたのですが、残念ながら絵柄に関する説明はありませんでした。この絵が「煙草が長すぎて火がつけられず泣いているインディアンを描いている」というような公式情報がどこかにあると良いのですが、、、。「煙草に火がつけられない、吸えない状態」を描いているというのも、タバコを吸ってもらうことを目的とした商品の絵柄がそうであるとすると、ちょっと皮肉が過ぎるのかなぁ、という気もしています。

この記事を書いたのは 2009年ですが、今も crying Indian で検索すると、記事中で言及した、「環境を守ろう」という Keep America Beautiful に関するサイトがたくさんヒットします。
ゴミを捨てたことをたしなめられたチャンドラーが、「ゴミを捨てたら、あの crying Indian がやってきてくれる、と思って、”わざと”捨てたんだよ」と「ゴミの話」に絡めていることを考えると、やはり、環境問題CM に登場する、crying Indian のことを言っているような気がするように私には思えるのですね。

あくまでも「私はこう思う」という解釈に過ぎませんので、参考までにお読みいただければ幸いです。
ご意見ありがとうございました!(^^)
Posted by Rach at 2015年06月23日 15:55
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