2009年02月12日

彼は何しに来たの? フレンズ3-17その21

[Scene: The rest stop, Joey is making a sign.]
休憩所。ジョーイは(木の枝で)(助けを求めるための)サインを作っている。
ジョーイ: Okay, done! (よし、できた!)
モニカ: (reading the sign) What's "pleh"? ([サインを読んで] PLEH って何?)
ジョーイ: That's "help" spelled backwards so that the helicopters can read it from the air. (それは、逆から・後ろから綴った[綴りを逆から書いた]HELP だよ。ヘリコプターが空からそれを読めるようにね。)
モニカ: Huh. What's "dufus" spelled backwards? (そうなの。dufus (は逆さに綴ると何になるんだっけ?)

雪に小さな枝で、PLEH と書いているジョーイ。
助けを求めるサインのようですが、PLEH という言葉が意味不明なので、モニカがそれは何?と尋ねると、「ヘリコプターから読めるように、HELP を逆さに綴って PLEH にしたんだ。」と答えます。
どうして空から見るのに、アルファベットを逆さに綴る必要があるんだよ!と、みんなでつっこみましょう(笑)。
文字を大きく書く必要はあるけれども、別に綴りを逆にする必要性はないわけです。
その辺りを何か勘違いしているのが、ジョーイらしい、ということですね。

dufus という単語について。
発音は「ドゥーファス」で、ネットスクリプトでは doofus と書いてあります。
英辞郎には、
doofus=(米俗)ばか者、愚か者
などの語義が載っていて、
(同)dufus
と出ています。
つまり、doofus=dufus ということですね。

ロングマン現代英英辞典(LDOCE)には載っていませんが、Longman Advanced American Dictionary (LAAD)には、
doofus [noun] [countable] (informal): a silly or stupid person
という語義が載っています。

doofus については、フレンズ3-4その28 でも説明しています。
また、フレンズ2-18その16 のコメント欄 で少し触れていますが、フレンズ2-17 で、ロスと喧嘩しているモニカが、洗面所にこもって髪の毛をブローしているロスに、
モニカ: GET OUT YOU DUFUS!! (出てきなさいよ、このバカ!!)
と言うセリフもありました。

あまりにおバカな行動をしたジョーイに、dufus (おバカ)の逆さ綴りは何だっけ?と尋ねる、つまり「おバカが書きました」って意味で、PLEH の横にそれも一緒に書いといたら?という感じでしょうね。


[Ross drives up.]
ロスが車でやって来る。
レイチェル: (all excited) Op, op, car! Car! (sees it's Ross) Ugh!!! ([すっかり興奮して] あ、あ、車、車よ! [ロスだとわかって] あー!)
フィービー: Oh, it's Ross on one of his drives! (あぁ、ちょうどドライブの最中のロスね。[ロスはちょうどドライブしているところだったのね。])
チャンドラー&ジョーイ: Hey!! (やあ!)
フィービー: Hi! (はーい!)
レイチェル: What is he doing here? (彼はここで何をしているの?[彼は何しにきたの?])
ロス: He is saving your butt. Ah, unless of course I'm stepping on some toes here, in which case I can just mosey on. I've got plenty of people to help on the interstate. (”彼”は君を助けるつもりで来たんだよ。あぁ、もちろん、ここにいる誰かの機嫌を損ねないならだけどね。誰かさんが不快に思う場合は、僕はただ、ここを立ち去ることも可能だ。州間道路で助けを待つ人がたくさんいるからね。)
みんな: No! Come on! (だめだよ! お願いだよ!)
モニカ: We need your help, please! (私たちはあなたの助けが必要なの。お願いよ!)
レイチェル: All right! Fine! Fine! (わかったわ! いいわ! それでいいわ[構わないわ]!)
[Ross grabs the gas can he brought along, and walks through Joey's sign destroying it.]
ロスは持ってきたガソリンの缶を掴んで、ジョーイの作ったサインを壊しながら、歩いていく。
ジョーイ: Arrrghh!! (あーーー!)
チャンドラー: Oh, no! Now it's not gonna make any sense. (あぁ、大変だ! もう、そのサインが何の意味もなさなくなるな。)

ロスがやって来た時、フィービーは、It's Ross on one of his drives! と言っています。
これは、フィービーたちがロスを呼んだのではなくて、on one of his drives つまり、「ロスが何度かドライブをする、たまたまそのうちの一つのドライブの最中だった」みたいな感覚だろうと思います。
ドライブしているロスが偶然通りかかって、フィービーたちを発見したかのように言っているのでしょう。

レイチェルは、ロスが偶然通りかかるなんてことはあり得ないとわかっているので、きっと誰かが私に内緒でロスを呼んだのね、ということに気付いたはずです。
ロスが助けに来たのをわかっていながら、ロスにだけは助けを求めたくないレイチェルは、"What is he doing here?" と言っています。
「何だか彼がやって来たみたいだけど、一体彼は何しに来たのかしらね?」みたいなニュアンスの感じられるセリフで、彼の来たことが不満なのがわかります。
それを聞いたロスは、わざわざ来てやったのにそんな言い方をするのか、という感じで、HE を強調して答えています。
「彼は何してるのって、その「彼」は君を助けに来たんだよ。」というニュアンスですね。
助けに来た人に向かって、その言い方は失礼じゃないかなぁ、という感じの怒りです。

フレンズ3-17その16 で、思いがけないロスの訪問に対して、
キャロル: Hey, what are you doing here? (まぁ、ここで何をしてるの? [今日はどんな用事で来たの?])
というセリフがありました。
ロスとレイチェルが恋人であった時期の、フレンズ3-11その39 でも、面接の終わったレイチェルをロビーで待っていたロスに対して、
レイチェル: What are you doing here? (ここで何をしてるの?)
と言っていました。
ですから、What are you doing here? という言葉自体は、相手に対して失礼な言葉ではなくて、単にびっくりした気持ちを表す言葉なのですが、今回のレイチェルの場合は、表情や言い方を見ても「まぁ、あなたが助けに来てくれたなんて!」という喜びや感激とは程遠いものですね。
また、ロスと言葉を交わしたくないレイチェルは、ロスに対して "What are you doing here?" と言うのではなくて、周りのフレンズたちに対して "What is he doing here?" と尋ねています。
you ではなく he を使って、「関係のない彼、あそこにいる人」は何しに来たのかしら?みたいな言い方になっている、というニュアンスだと思いました。

He is saving your butt. について。
save your butt は、save you 「君を助ける」ということでしょう。
それを、butt 「尻」という言葉を使って、ちょっと乱暴に表現しているという感じでしょうか。
your body を your butt と表現している、というニュアンスかもしれません。
フレンズ3-2その23 では、
ロス: ...just get your butt in there and pick out any shoes that fit your feet, okay? (ただ(つべこべ言わずに)その部屋に行って、君の足に合う靴をどれか選んできてよ、わかった?)
というセリフもありました。

step on some toes については、step on someone's toes という表現があります。
直訳すると、「誰かのつま先を踏んづける」ということで、足や足先を踏まれると不愉快になることから、「(人)を怒らせる、(人)の感情を損ねる・害する、(人)を不快にする」という意味になります。

unless はフレンズ頻出表現で、「…でない限り、もし…でなければ、…なら話は別だが」。
このように、おまけや付け足しの形で使われる場合は、「もし…なら、話は別だけどね。」と訳すとニュアンスが伝わりやすいかなと思います。

He is saving you butt. 「彼は君を助けるつもり(で来た)」んだけど、もし彼(つまり僕)がそうすることで誰かを怒らせることになるのならば、話は別だけどね、ロスはそのつもりで来たけれど、誰かが怒るのなら、助けるのはやめるよ、ということです。
in which case の which は前の文章の内容を指していて、誰かが怒る場合は、僕はただ mosey on することが可能なんだけどね、ということ。

mosey は「ぶらつく、ぶらぶら歩く」という意味ですが、英辞郎には「(急いで)立ち去る、ずらかる」という意味も載っています。

ロングマン現代英英辞典(LDOCE)では、
mosey [verb] (American English informal):
1. to walk somewhere in a slow relaxed way - used humorously
2. I'd better mosey along/be moseying along
I should leave now

つまり、1. は「ゆっくりリラックスして、どこかを歩く(ユーモラスに使われる)。」
2. は I'd better mosey along/be moseying along = I should leave now 「今、出発すべきだ」という意味。

LAAD(Longman Advanced American Dictionary)では、
mosey along [phrasal verb]: to leave a place
と出ています。
今回のロスの、mosey on は、mosey along と同じようなニュアンスで、ここを離れる、ここを発つ、ということでしょう。

interstate は「州間高速自動車道、州間道路」。
I've got plenty of people to help on the interstate. を直訳すると、「州間道路上に、助けるべき人がたくさんいる状態を僕は持っている」みたいになるでしょうか。
州間道路では、多くの人が僕の助けを待ってるんだ、僕には僕の助けを待っている人がたくさんいるんだ、みたいなことですね。
助けてあげようとしているのにいやな顔をされるのならば、他の人を助けた方がましだから、ということです。

歩きながら、ジョーイの小枝を踏み散らかしていくロス。
せっかく作ったのにぐちゃぐちゃにされたぁ、何てことしてくれるんだ!と言わんばかりに、ジョーイはアー!と叫んでいます。
それに対してのチャンドラーのセリフは、「そんな風に踏まれてぐちゃぐちゃになっちゃって、もうその意味がわからなくなっちゃうな。意味不明になっちゃうな。」ということ。
今回の解説の最初に出てきたように、HELP の逆さ文字、PLEH では、元々意味不明なのに、それを壊されて大騒ぎするジョーイに、「元々、意味不明だったのに、壊されて大騒ぎするなよ」と言う代わりに、「せっかく意味のあるもの(make sense するもの)を書いたのに、意味が通じなくなってかわいそうに。」みたいなことを言っているのですね。


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posted by Rach at 15:30| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ここで someone's toes ではなくて some toes になっているところもポイントかなぁとおもたんですけどね。
Posted by fdj at 2009年02月13日 19:30
fdjさんへ
コメントありがとうございます。
fdjさんは「some toes になっているところもポイント」やとおもわはったんですね、、、。

うーん、、、私は、「怒るであろう誰かさんの足」という意味で、your toes ではなく、someone's toes と言ったのかな、と思ったのです。で、some toes はただ、someone's toes を簡単に表現しただけ、だろうと。

some toes にポイントがあるとすると、「誰かのつま先を踏んづける」→「誰かを怒らせる」という比喩的なイディオムではなくて、「(あるいくつかの)つま先を踏んづける」という文字通りのそのままの意味として使っている、もしくは「比喩プラス文字通りの意味」の両方で使っている、ということでしょうか?

save your butt するつもりが、step on some toes しているのなら、つまり「お尻を救うつもりが、つま先を踏んでいるのなら」、結局助け出せないので、そういう場合は僕は退散するよ、ということ、ですかねぇ??
Posted by Rach at 2009年02月14日 08:59
なるほどね。 ただ someone's と some では扱いが違うんやないかと思った次第です。前者はあてこすりで他人行儀な言い方やけど、まだ 人の足 なわけですから。some の用法をじっくり調べてみはったらどうでしょうか。なんやとっぴな言葉より、誰でも知ってる言葉のちょっとした気になる用法に着目するのがレイチさんの blogoethics やないですか。
Posted by FaDED DEad jADed at 2009年02月15日 22:22
FaDED DEad jADedさんへ
お返事ありがとうございます。
「レイチさんの blogoethics やないですか。」と言われると、やっぱりここはじっくり調べなあかんねやわぁ、とおもてしまいますねぇ。

そう言われて、英英辞典などを使って、よ〜お調べてみたんですけど(笑)、これや!というのが見当たらへんのですよ、、、。(関西弁はこの辺でやめときます…笑)

some は、正確にどれかを言わない時、言いたくない時に、some guy などと表現することがありますね。
また、「なかなかの、大した」という意味もあって、そこから転じてそれを皮肉として使って、「大した…だ(実際は全然大したことない)」という意味に使うこともあります。

が、それは今回のとは関係ない感じ、ですよね?

FDJさんのヒントから考えてみるに、someone's toes だったら、her toes をわざと someone にして、あてこすりを言っているわけですよね。それが、some toes になると、「人の足」という人の体の一部分を指すニュアンスはなくなって、「もの」みたいな扱いをしている、ってことになるんでしょうか?

可算名詞の複数形に some をつけると、「いくらかの、多少の」という意味になりますよね。
「誰かのつま先、足」じゃなくて、「いくつかのつま先」を自分が今踏んづけているんだったら、「つま先を多少」踏んづけているんだったら、と表現し、toes を砂利でも踏んでいるみたいな「モノ扱い」したところに、ロスの怒りが出ている、ということでしょうか??

うーん、やっぱりよぉわからへんわ、、、。
Posted by Rach at 2009年02月16日 10:29
He is saving your butt. Ah, unless of course I'm stepping on some toes here, in which case I can just mosey on.

このセリフの some toes はレイチェルを含むフレンズ5人の toes では?

ロスはこの少し前のシーンで、自分を見捨ててみんながスキーに行ってしまったことをキャロルに愚痴っていました。つまり、ロスの怒りや不満の対象はレイチェルだけにとどまらないと思うのです。

ロスは5人に嫌みを言ったのではないでしょうか?

Posted by Keme at 2009年07月23日 22:47
Kemeさんへ
そうですね、レイチェルだけではなく、他の人のことも含めて「5人に嫌みを言った」ということかもしれませんね。
somebody's toes ではなくて、some toes 「いくつかの toes」と言ったのは、一人の人間についている2つのつま先ではなくて、何人かのつま先(複数のつま先)を指している、という可能性が高いですね。

貴重なご意見ありがとうございました。

Posted by Rach at 2009年07月26日 07:15
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