シーズン3 第18話
The One With The Hypnosis Tape (愛さえあれば年の差なんて!)
原題は「催眠テープの話」
昨日の記事、スピードアップ宣言! での予告通り、3-18 から、ペースを上げます。
レイチェルは、チャンドラーに、禁煙のための a hypnosis tape (催眠テープ)を使ってみて、とすすめます。
それを聞いて、プッ!とばかにしたような声を出すロス。
レイチェル: (to Ross) What's your problem? ([ロスに] 何が問題なの?)
ロス: Nothing. It's just that hypnosis is beyond crap. (別に。ただ、催眠(術)なんて、クソ以下だよ。)
レイチェル: Ross, I watched you get hypnotized in Atlantic City. (ロス、私はあなたがアトランティック・シティで催眠術にかけられるのを(ずっと)見てたのよ。)
ロス: Hey, that guy did not hypnotize me, okay? (おい、あの男は僕に催眠術なんかかけてないよ、いいか?)
レイチェル: All right, 'cause you always pull your pants down at the count of three and play "Wipe Out" on your butt cheeks. (あぁ、そうね。だって、あなたはいつも、3のカウントでパンツをずり下げて、お尻(の肉)でワイプアウトをするものね。)
フィービー: All right, forget hypnosis. The way to quit smoking is you have to dance naked in a field of heather, and then bathe in the sweat of six healthy, young men. (いいわ。催眠術のことは忘れて。タバコをやめるには、ヒースの草原で裸で踊らないといけないの。それから健康で若い6人の男の汗のお風呂に入るのよ。)
チャンドラー: Or what my father calls "Thursday night." (もしくは、俺の父親が「サーズデー・ナイト」と呼んでいるやつだ。)
hypnosis は「催眠、催眠状態」。
レイチェルがチャンドラーに渡したカセットテープ(テープ、というところが、ちょっと時代を感じさせますが…笑)は、睡眠中に聞き、催眠術をかけられたような状態になって禁煙に導くテープのようです。
beyond は「…を越えて、凌駕して、超越して」。
crap は「ふん、うんち」のことで、日本語の「くそ」と同じように「ひどいもの、くず」という意味があります。
beyond crap は crap を超越するもの、という感じで、crap よりもっとひどいもの、ということですね。
日本語で「クソ以上」のように「以上」と表現すると何だか変な感じで、あえて日本語にすると「クソ以下」になるでしょうか?
hypnotize は「…に催眠術をかける」。
at the count three は、1、2、3と数える、その3のタイミングで、ということでしょう。
butt cheek はお尻の肉ですね。
フレンズ1-19その6 にも出てきました。
お尻を丸出しにして、Wipe Out をする、ということですが、その「ワイプアウト」がどんなものか、よくわかりません。
掃除などで wipe out だと「ふき取る、ぬぐい取る」という感じですので、お尻を、雑巾で窓を拭くみたいに動かす、ということかなぁ?とも思うのですが…。
でもそれだと、前置詞は on ではなくて、with かもしれない…。
on your butt cheeks だと、「お尻の上で、お尻の表面で」ワイプアウトをする、ということになりそうな気もします。
ますます、どんなものかわかりません(笑)。
'cause you always pull your pants down at the count of three and play "Wipe Out" on your butt cheeks は、過去形ではなく現在形で、さらには always もついています。
これが過去形だったら、「ロスはパンツをずり下げて、ワイプアウトをやった」になるのですが、always+現在形ですから、「あなたはいつもそうする」という習慣を表していることになります。
レイチェルが言いたいのは、「催眠術にかかってないというあなたの主張はごもっともね。だって、あなたは1、2、3と数えられると、いつでもどこでも、ワイプアウトをするんだから」ということです。
アトランティック・シティでもいつものあなたの行為が出ただけで、あれは催眠術のせいじゃないわよねぇ?と皮肉を言っているのですね。
「催眠術なんかかかってないと言いながら、あの時のあなたはとても恥ずかしいことをしてたわよ、それでもかかってないって言うの?」ということが言いたいのですが、それをそうは言わずに、「あの恥ずかしい行為は、催眠術にかかってない普段からやってることだもんね。」と言っているのです。
heather は「ヒース、ギリュウモドキ」などと辞書にあります。とにかく植物の名前です。
その後、若い男の汗の話まで出てきますが、フィービーお得意の「それは一体どこの国のおまじないだ?」みたいな儀式ですね。
Or what my father calls... というチャンドラーのセリフは、bathe in the sweat of... のことを言い換えているのかな、と思います。
俺の父親によると、それは別名 Thursday night だね、という感じでしょうか。
フレンズ3-8その26 で、「チャンドラーのパパはゲイである」話を書いたのですが、若い男の汗うんぬんの話を聞いて、そういうのは自分の父親が好きそうなやつだなぁ、ということで、今フィービーが言ったのは、父親が「サーズデー・ナイト」と呼んでるやつだ、と言ったのかなぁ、と思うのですが…。
チャンドラーのパパは、シーズン7に登場します。
また、4-12 で、チャンドラーのパパの職業がわかるセリフが出てきます。
そのパパの職業を知ると、Thursday night というネーミングが、具体的に何を指す名前なのか、何となく想像がつくのですが、この 3-18 の時点では、(私の記憶では)パパの職業はまだわかっていないように思いますので、「パパがそう呼んでいる」という程度にとどめておきます。
セントラルパークに、フィービーの弟フランクが久しぶりにやってきたので、フィービーはびっくり。
フィービー: What are you doing here? (どうしてここに来たの?)
フランク: Oh, well, y'know, I would've called, but I lost your phone number. And then ah, my mom locked me out of the house, so I couldn't find it. And then, I tried to find a pay phone, and ah, the receiver was cut off. So.... (あぁ、えーっと、(電話番号を知っていたら)電話をかけてただろうけど、姉さんの電話番号をなくしちゃって。それから、俺のママが俺を家から締め出したんで、それで、電話番号を見つけることもできなくて。それから、公衆電話を探そうとしてみたら、受話器(のコード)が切られてて。それで…)
フィービー: What happened? (何があったの?)
フランク: Ah, oh, the ah, vandalism. (あぁ、公共物破壊だよ。)
フィービー: But also, what happened between you and your mom? (でも、それと同じように、あなたとあなたのママの間に何が起こったの?)
フランク: Well, we got into a fight 'cause ah, she said I was too immature to get married. (そうだな。俺とママは喧嘩したんだ。だって、ママが俺は結婚するには未熟すぎるって言ったから。)
フィービー: You're getting married? (あなた、結婚するの?)
フランク: Oh, yeah! (あぁ、そうなんだよ!)
みんな: Wow! (ワオ!)
I would've called は、if I had known your phone number という仮定が含まれているように思います。
フランクのセリフは、I would've called, but I lost your phone number. となっていて、電話をかけられなかった理由(電話番号をなくした)が後で述べられていますが、I would've called は「過去の事実に反する仮定」をすれば「電話をかけただろうに」というニュアンスですから、would've called が使われていることで、実際は事情があってかけられなかった、だからこうして直接会いに来た、という流れに繋がるのだと思います。
vandalism は「暴力行為、野蛮行為、芸術・文化への破壊(行為)、公共物破壊(行為)」。
Vandal (the Vandals) は「バンダル族」のことで、その民族がローマに入り、ローマ文化を破壊したことから、vandalism という言葉が生まれたようです。
フィービーは、フランクのセリフの、ママに締め出された、という話にひっかかって、「締め出されるなんて、一体あなたは何をしたの? 何があったの?」と尋ねたのですが、フランクはその直前の受話器のコードが切られていた、についての質問かと思って、「ほら、街でよくある、乱暴行為、公共物を破壊する、ってやつだよ。」と答えているのですね。
フィービーがよくやる、質問の取り違えですが、姉弟だから、その辺りの反応がそっくり、いえむしろ、フィービーよりもさらにボケた感じなのが面白いです。
フランクの返事を聞いて、フィービーは、But also, what happened between... と言っていますが、公共物破壊も、確かに What happened? な出来事だけど、「それと同じように」あなたとママの間に何があったの?という意味で、also を使っているのだと思います。
(Rach からのお願い)
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これはフィービーのセリフを受けてフィービーを驚かせたので悪かったねというくらいの意味で「電話すればよかったね」と言っています。I would've called, but・I could've called, but・should've called, but・は過去の行動を指摘されたときの返事でよく使われます。意味はそれぞれ電話すればよかったね、でもしなかった、その事情が続いて述べられる。することもできたけどしなかったその理由が述べられる(どっちでもよかったという意味も)電話すべきだったね、後悔してるけど言い訳が続くことがある。
コメント、ありがとうございます。
「電話すればよかったね」というニュアンスなのですね?
例に挙げていただいた、could've + p.p.「やろうと思えばできたけどしなかった」、should've + p.p. 「すべきだったのにしなかった」というのは比較的ニュアンスがわかりやすいのですが、would've + p.p. は未だによくわからないんですよ。
If I had + p.p. 「もしあの時…だったら」という条件節があると、I would've + p.p. が「〜だっただろう」と繋がりやすいのですが、フレンズではそのような条件節なしの単独で I would've + p.p. が使われることも多いですよね。そういう would のニュアンスを日本語にどう出したらいいか、でいつも悩むのですが、「…したらよかったね」という日本語訳ならしっくりくると思います。ありがとうございます!
Wipe Outはアメリカの有名な歌です。You can listen to it here: http://www.youtube.com/watch?v=W5D07c0dJuQ
10-13で精神的にまいってるレイチェルがロスにベッドをともにしたいというのを、ロスは善意というか弱みにつけ込みたくないという気持ちで拒否した翌朝ののレイチェルのセリフ
Rachel: (sarcastically) Really? Well, if you'd done the right thing, I would not have woken up today feeling stupid and embarrassed, I would have woken up feeling comforted and satisfied!
貴重な情報ありがとうございます。早速聴いてみたところ、聞き覚えのある曲でした!
Wikipedia 英語版: Wipe Out (song)
http://en.wikipedia.org/wiki/Wipe_Out_(song)
にもこの曲の情報が載っています。元々は、The Surfaris の曲で、さらにいろんなグループ(The Beach Boys や The Ventures)がカバーしているようですね。この曲を聴いた時、「あ、ベンチャーズっぽい!」と思ったので、私はベンチャーズが演奏しているのを過去に聴いたことがあったのかもしれません。
ワイプアウトが曲のタイトルだとすると、play "Wipe Out" は、「ワイプアウト(という曲)を演奏する」ということなのでしょうね?
では、on his butt cheeks というのはどういうニュアンスになるのでしょう? お尻をギターまたはドラムに見立てて、お尻を楽器として使って演奏する、ということかなぁ??
catchさんへ
お返事、ありがとうございます。
10-13 のそのセリフ、以前にも例に挙げていただきましたよね。
フレンズ3-10その28 のコメント欄
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471094.html#comment
その「主観的な it seems to me」がなぜか、catchさんが書かれたスクリプトの引用から消えていますが(笑)、
レイチェル: Really? Well, it seems to me if you'd done the right thing....
ですね。
以前のコメントでも、「わざわざ条件節をつけてしまうと、また違った意味に聞こえてしまう」という話が出ていました。今回の場合も、「もし…だったら、…しただろう」ではなくて、単独で使われる、would have + p.p. だから、
「主観的な表現」「過去の時点での意志」「その時にはそういう意志があった」
という意味になる、ということですね?
数研出版 基礎と完成 新英文法 p.153 に以下の説明があります。
<法助動詞+have+過去分詞>の用法
法助動詞が過去形の場合
would+have+過去分詞
b) <過去の非実現>:「(もし…だったら)〜してあげたのだが」<1人称の意志>;「(もし…だったら)〜していただろうが」<推量>
I would have done that for you. <意志> (それをしてあげたことだろうに。)
Had he come, she would have gone. <推量> (もし彼が来ていたら、彼女は行っていただろうが。)
今回は上の二つのうちの「意志」の方で、「過去の非実現」「1人称の意志」とあるように、自分の意志としてはそうしてあげたかった、でも実際は出来なかった、ということを I would have + p.p. は表すのですね?
「(それをすることが可能であれば)そうしてあげたのに」というニュアンスが、「そうしてあげれば良かったね(残念ながら事情があって出来なかったんだけど)」というニュアンスに繋がる、という感覚なのでしょうね?
否定形の場合は条件節なしの単独では使わない。そして、肯定形の場合は、フレンズにもよく登場するように、単独で使われることがよくある、ということですね。
何度も同じ説明をしていただいてすみません。今度こそちゃんと頭に入れます(笑)。
「電話ぐらいくれたらええのに」「しょうおもてんけど、番号なくしてもうたし」
みたいな。フランクのセリフには関西語があいますよね。
映画、ギフト、も見てあげて下さい。
コメントありがとうございます。
I was gonna call you. だと、「電話しようとしたんだ」ということで、電話する「予定」だったんだけど、事情があってできなかったことを示唆するでしょうか。連絡を取るにはまず電話で、と考えるから、通常のルートでいくと、電話をかけようとする、というのが「自然な流れ」ですものね。
フランクは would've called を使うことで、過去に電話しようとする「意志」があったんだけど、残念ながらできなかった、という「意志」を前面に出しているのでしょうね。
セントラルパークに直接来たフランクを見て驚いているフィービーのセリフ、What are you doing here? は、「あなたはここで何してるの? 何しに来たの? どうして(思いがけず)ここにいるの?」というニュアンスですから、その裏には、「わざわざ直接来なくても、まずは電話をくれれば良かったのに。(そしたらこっちから会いに行くのに、中間地点で待ち合わせもできたのに)」という気持ちが出ていますよね。それを見越しての I would've called, but... という流れになる、ということですね?
そうそう、フランクには関西弁が似合う気がします。あんな風にタラタラしゃべる人、多いですから(笑)。
映画「ギフト」をおすすめして下さったのは、もう3年以上も前の話ですねぇ、、、。
フレンズ2-6その10
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470228.html
すみません。そのうちきっと見ますから。(見たい映画・ドラマを老後の楽しみに残してある、という話もあります…笑)
こんにちは。
Rachさんのブログを楽しく読ませていただいております。
Friends 3-18の解説を見ていて
1) I would've called (3-18その1) と
2) I wouldn't have even hired me (3-10その28)
について、Rachさんとcatchさんのやりとりを読ませていただきました。
何年も前のことになりますので、もう確定的な理解に到達されておられるかもしれませんが、念のためコメントをさせていただきます。
1.まず、 would の用法の確認になりますが、手元のリーダーズ英和(第4版 would の項)を見ると
a [条件文の帰結節で] …するだろう(に),…するのだが; [〜 have+pp] …しただろう(に)
b [条件節の表現されていない文で;不確実・推量など] (まあ)…であろう
という2つの用法が載っています。(他にも would の用法はいくつか出ていますが、この際関係ないので無視します)
a は、典型的な仮定法の帰結節での用法です。
If you had obeyed orders this disaster would not have happened.
命令に従っていたらこの惨事は起こらなかっただろう
という例がリーダーズに挙げられています。
※Rachさんが引用されている「数研出版 基礎と完成 新英文法 p.153」は、この用法の中に<1人称の意志>と<推量>があると説明しています。
b は、もともとは仮定法から派生したものですが、仮定的な意味は言外にしかなく、婉曲な推量と言っていいものです。
例として、Who would have thought it?(@)
だれがそれを考えただろう 《意外なことがあるもの》
がリーダーズに出ています。
この例は、否定の意味になるので、a の仮定法(反実仮想)と誤解する方がいらっしゃるかも知れませんが
Who will have thought it?(A)
という文を考えれば(will にも推量の意味がありますよね)わかるように、否定の意味はすでに修辞疑問(Who...?)のなかに含まれていますので、@はAの推量をさらに弱めたものとして、リーダーズに b の用例として例示されているのだとわかります。
※ちなみに、ジーニアス英和は、a はIII [willの仮定法過去]、b はI [独立用法]という見出しで説明しています。
2.そこで、一番大事なことは、問題の1)と2) が、それぞれ上の a とb のどちらの用法なのかということだと思います。
1)については、Rachさんもcatchさんも a の仮定法(過去完了)とお考えのようで、私もそのように理解しております。
あとは、日本語訳の問題で、Rachさんは「電話をかけてただろうけど」とされ、catchさんは「意志」を重視されて「電話すればよかったね」と意訳されているのだと推察します。
※Rachさんが引用されている「数研出版 基礎と完成 新英文法 p.153」が<1人称の意志>と書いているように、 would have + p.p. が「意志」を表わしているのは、主語が一人称の場合に限られます。逆に、主語が一人称の場合でも<推量>ということはありえます。If I had left earlier, I would have been on time.などを考えればわかります。どちらにとるべきかは、コンテクスト(それが使われている状況)次第でしょう。1) の場合、私なら「電話したかったけど」(意志)と訳したいところです。(仮定法に自信がない方への念のためですが)この場合の<推量>は、あくまで仮定法(リーダーズの a)の中の推量です。
2) についてですが、「もし私が面接官だったとしても、私を雇わなかったと思うもの」という訳はよいと思います。ただ文法説明において、Rachさんが「If I were the interviewer I wouldn't have hired me.」とされた点に、catchさんは疑問をもたれたのだと思います。この点は私も同感で、Rachさんもすぐにお気づきになったように、ここは仮定法でなく、「リーダーズの b」にいうところの「推量」です。だから、wouldn't have hired meは、「雇わなかっただろう」でよいことになります。これを仮定法にとると、「雇わなかっただろう、でも雇った」となり、ストーリーの内容に合わなくなってしまいます。
3.仮定法における仮定節(If節)の省略について
仮定法における仮定節の省略は、よく見られます(とくに会話において)。これは仮定法に限ったことではなく、言わなくてもわかることは省いたほうが、言葉が簡潔になり、わかりやすいからです(私たち外国人にはわかりにくくなりますが…(笑))。
仮定法において仮定節が省略されると、見た目からは「リーダーズの a」と「リーダーズの b」の用法の区別がつかなくなります。2) の用法の理解に誤解が生じやすいのはそのためだと思います。どちらになるのかはコンテクストから考えるしかありません。2) の場合は、仮定法における仮定節の省略ではなく、はじめからIf節がなかった、つまり仮定法ではなく「リーダーズの b」の「推量」の使い方になります。
それでは、「もし私が面接官だったとしても」と付け加えることは間違いなのでしょうか。コンテキスト的には正しいですが、文法的にはどうなのでしょうか。私は文法的にも正しいと思います。それは、「I wouldn't have even hired me」の「I」に仮定があると考えられるからです。主語に仮定の意味が含まれているというのは、仮定法ではよくあることですね。でもそうすると、これは仮定法になってしまうのではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし1.で申し上げましたが、「リーダーズの b」の用法は「リーダーズの a」の用法から派生したもので、もともと言外に仮定の意味が含まれているのですね。たとえば、「Who would have thought it?」の例文では、「普通の人なら」と意味を補うことが可能です。(どういう言葉を補って理解するかは、常識的な範囲なら聞き手次第だと思います)
最後に蛇足になりますが、お二人の間で同時に話題になったフレンズ10-13 のレイチェルのせりふ「 Really? Well, it seems to me if you'd done the right thing, I would not have woken up today feeling stupid and embarrassed, I would have woken up feeling comforted and satisfied!」は、典型的な仮定法(過去完了)の文ですね。ブログ読者のみなさんにもわかりやすい仮定法の例だと思います。
※私的には、仮定法より「wake up ...ing」に注目したい文ですが…、こんな表現、自分は使えてるかな…?、と思って(同時に wake up with...も)。(恥)(wake up to do は学校でも習いますけどね)
今回も長いコメントになってしまい申し訳ありませんでした。最後までお読みいただいてありがとうございます。
「節目となる出来事」を最近読ませていただいて、Rachさんの(才能の素晴らしさについては言うまでもないですが)努力の凄さに、ただただ頭が下がる思いでいっぱいです。英語の世界で立派に大成された、今のRachさんには、2010年のような危機はもうないでしょうが、もし辛いことがあれば、目に見えないところで大勢の読者が支えていることを思い出してください。不甲斐ない読者ですが、私も僭越ながら応援しております。これからも頑張ってください。
Mr. Spock
コメントありがとうございます。
拙ブログを楽しく読んで下さっているとのこと、とても嬉しいです。フレンズ3-18 と 3-10 での、catchさんとのやりとりも読んでいただき感謝です。
could have pp や、should have pp に比べ would have pp は、日本語訳をつける時にあれこれ迷ってしまいます。
この記事の 3-18 については「条件が許せば、〜しただろうに」→「〜すればよかったね。〜すればよかったんだけど(以下の理由があってできなかった)」という流れになるという意味で、a の仮定法(過去完了)という理解で良いわけですね?
3-10 の方は、wouldn't を説明するために条件節を補ってみたわけですが、英語でこのような条件節をつけて「仮定法」にしてしまうと、「現実とは反対の仮定」を意味することから、「実際にはこうなってしまったけれど」という内容を示唆することになり、セリフの本来の意図とは違う方向になってしまう恐れがあったわけですよね。
3. の仮定法の省略についても、おっしゃる通りだと思います。英語では If節なしに、would だけで仮定のニュアンスを出すことが頻繁に起こりますから、どちらなのかを文脈で見極めないといけません。
would に仮定の意味が含まれているという用法を知ってから、If 節が省略されているとして解釈を始めようとする傾向が私にはあったように思います。なんでもかんでも If 節が省略されているわけではなく、 Mr. Spockさんのおっしゃる「はじめから If節がない、仮定法ではない推量」として捉える感覚、「仮定法ではないが、言外に仮定の意味が含まれる」感覚というものをもっと意識しないといけないなぁと、いただいたコメントを読ませていただいて強く思いました。
catchさんが何度も例に挙げられていた フレンズ10-13 のセリフは、典型的で実にわかりやすい例だと思います。wake up の表現も含め、would のようにノンネイティブには感覚がつかみにくい言葉は、「状況と気持ちが伴ったセリフで学ぶ」のが実に効果的ですよね。
would は本当に「深い」言葉で、これまでもコメント欄で would についてのやりとりがたくさんありましたが、 Mr. Spockさんにもこうしてご参加いただけたこと、とても嬉しくありがたかったです。
また、才能や努力に関して過分なお褒めのお言葉をいただけたこと、心より感謝申し上げます。2010年は自分の行き先が見えなくなっていて、ブログ閉鎖も考えていましたが、あの時、私の予想を遥かに超えた、本当にたくさんの方々に応援していただけたことで、ブロガー生命をつなぐことができました。当時から今この瞬間に至るまで、応援し支えて下さる読者の方々のおかげで、私は幸せな気持ちでブログを書き続けることができています。
Mr. Spockさんには、多くの記事を読んでいただけた上に、貴重なコメントもいただき、また応援もして下さっているとのこと、感謝の気持ちでいっぱいです。
今回のように昔の記事にコメントをいただけることで、私の記事がずっと生き続けてくれていることを実感でき、今書いている記事にも全力投球できる大きな原動力となってくれています。
いただいたお言葉を励みに、これからも頑張りますね♪
貴重なご意見、そして温かい励ましのお言葉、ありがとうございました!(^^)
I would've called について
Rach さんは訳の中で、説明のために「電話番号を知っていたら」とだけ if 節を補われていますが、フランクの台詞に即して言うと、「ママが俺を家から締め出さなければ」「番号を見つけることができたら」「受話器が切られていなければ」も I would've called の要因に含まれると思います。
フランクは、I would fly to you, but I'm not a bird. のような言い方をしています。if 節を続けるつもりで I would've called と話し始めたけれども、複雑な条件を語るには直説法の方がやさしいから切り替えたような感じがします。
「あなたはここで何してるの? 」「あぁ、えーっと、電話をかけてただろうけど、...」という噛み合っていない会話やダラダラと続ける話し方がフランクの変人ぶりを示す演出だとすると、意訳せずにチグハグな感じを残している Rach さんの訳は原文に忠実と言えると思います。
ちなみに、「電話すればよかったね」に近いのは I should've called ではないでしょうか。
こんにちは。コメントありがとうございます。
「電話番号を知っていたら」だけではなく、それ以降の and then で長々と説明されている部分も電話をかけることができなかった要因に含まれている、というご見解、確かにその通りだと思います。あれこれ説明した後、So.... (それで…、だから)直接ここに来た、と説明していますしね。
I would've called の後が、but I lost your phone number. のようなシンプルな過去形になっているのは、「複雑な条件を語るには直説法の方がやさしいから」という理由であるというご意見にも納得です。「〜しただろう、もし…でなかったら」の「…でなかったら」の条件がフランクの場合はいくつもあるので、「〜しただろうけど」のニュアンスだけ出して、後はできなかった理由を淡々と「ああだった、こうだった」のように続けているわけですね。
「電話をかけてただろうけど」のような訳に、フランクっぽい感じが出ているとすれば嬉しいところなのですが、これについては正直自分でもよくわかりません。
「電話すればよかったね」は「電話すべきだったのに」の I should've called の方が確かに近いかもしれませんね。
would 及び would have pp については、いつも和訳で悩んでしまうので、今後はさらに would を意識してセリフを見ていこうと、改めて思いました。
貴重なご意見ありがとうございました!
スポックさんの、「仮定法の帰結節」あたりで読むのを挫折してしまいました。
(脳みそが軽く破裂)
ここの、「I would've called, but」は、私には、
電話する「つもりだった」んだけどね
というように思えます。
というのも、私自身もよくこの言い訳をするからなんです。
「メールしよー思てんけどな、面倒やから電話にしてん」とか、
「まずは電話でと思ったんやけど、来てしもた」とかのシチュエーションです。
この文章ってこんな雰囲気じゃないかなーと思ったのです。
「電話のつもりしててんけど、なんか番号がわからんようになって…あれこれ言い訳」
ということで、would've は、「しようと思ててんけど」=「〜するつもりだったんだけど」
といつも思っているのですけど、合っているでしょうか。
コメントありがとうございます。
この would have pp の話は実に難しいですよね。確かに「軽く破裂」してしまいそうな感じです^^
I would've called は、意志を表す助動詞 would が入っているので「(過去の時点で)そうするつもりだった(けど)」のようなニュアンスに捉えたくなってしまうところですが、would have pp については、「数研出版 基礎と完成 新英文法(安藤貞雄 著)」の p.153 に以下のような説明がありました。
would+have+過去分詞
<過去の非実現>:「(もし…だったら)〜してあげたのだが」<1人称の意志>
「(もし…だったら)〜していただろうが」<推量>
I would have done that for you. <意志> (それをしてあげたことだろうに。)
Had he come, she would have gone. <推量> (もし彼が来ていたら、彼女は行っていただろうが。)
この日本語訳を当てはめると、今回のセリフの場合は「(もし…だったら)電話してあげたのだが<意志>、電話していただろうが<推量>」のようになるでしょうか。
「電話するつもりだったけど、事情があってできなかった」という状況の内容はほぼ同じな気がしますが、「厳密に言葉のニュアンスを出す」とやはり、数研出版の訳にあるような「してあげたのだが/していただろうが」のような日本語の方がふさわしいような気がするんですよね。
「電話をするつもりだった」という「過去の時点での本人の意志」だけではなく、「状況が許せば・事情が異なれば、電話してあげたんだけど/電話していただろうけど」のような「仮定」のニュアンスも込みの表現であり、「過去の非実現」という説明の通りに、would+have+過去分詞 という表現だけで、「実際には、その時、電話をしなかった」ということも含まれた表現になっているように思うわけです。
ちなみに、参考になるかどうかはわからないのですが、私の過去記事で「つもりだった」という訳を付けた英文を検索してみると、was planning on doing や was going to などがヒットしました。なので「〜するつもりだったけど」と言いたい場合には、I was going to (do), but のような形になるのかな、と思います。
あー、そうか…と腑に落ちた気分です。
そして!wouldやwould haveについては、rachさんの文法書に解説が載っているではありませんか。
仮定法過去のページに、wouldの言外には仮定の意味があることが書かれていました。
「つもりだった」のお話も納得です。
ところでこの文章を打つ際に「言外」の読みが「げんがい」であることを知りました。
ずーっと「ごんがい」と思い込んでいました。こちらでコメントを入れたおかげです。
よそで恥をかかずに済んだ〜〜〜
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
「腑に落ちた」「納得」と言っていただけて嬉しいです。
would の言外の意味については、拙著でも触れていましたね。そちらにも気づいていただきありがとうございます<(_ _)>
言語(げんご)と言語道断(ごんごどうだん)などもありますから、確かにややこしいですよね。
今回(こんかい)の would についての見解(けんかい)に関するコメントが、日本語方面でもお役に立てて良かったです(^^)