テーブルクロスを汚してしまったから、と、アリス(弟の婚約者)を自分の家に呼び出したフィービー。
家庭科の先生であるアリスはシミの取り方をテキパキと説明します。
アリス: Okay, first, we'll start with a little club soda and salt. And then if that doesn't work we can go back to.... (いいわ。最初に、少しの炭酸水と塩を使いましょう。それから、もしそれがうまく行かなかったら、…に戻ることもできる…)
フィービー: Y'know what? Forget it. It's ruined. (ねぇ。そのシミのことは忘れて。クロスはもうダメよ。)
アリス: Oh no-no, never say that. If you can't get it out, then you can cut around the stain, add a little lace, you make a stylish throw. (あぁ、ダメダメ。そんなこと言っちゃ。もしそのシミが取れなかったら、そのシミを丸く切り取って、少しレースを付けるの。おしゃれな椅子カバーができるわよ。)
フレンズ3-13その23 では、モニカが club soda でシミ抜きをしていました。
そこで club soda について少し説明しています。
また、その記事のコメント欄で、「染み抜きには炭酸水と塩を使う」こと、「この方法はアメリカやヨーロッパで母親から教わる生活の知恵」だということを教えていただいたのですが、今回、家庭科の先生のアリスは、まさにその「炭酸水と塩」を使ったシミ抜きを説明していますね。
伝統的なシミ抜きのコツであることが、よくわかります。
make a stylish throw の throw について。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
throw [noun]: a large piece of cloth that you put loosely over a chair to cover it and make it look attractive
例) a brightly-coloured cotton throw
つまり、「椅子をカバーし、それを素敵に見せるために、椅子の上に軽くかける大きな布」。
私の勝手なイメージですが、語義に put loosely over とあるように、椅子にゆるくかける感じが、throw 「投げる」イメージを想像させて、throw という単語が使われているのでしょうか??
アリスが言っているのは、テーブルクロスとして使えなくなったら、汚れた部分を切り取って飾りをつけて、椅子カバーに使えばいいわ、ということのようですね。
チップとして、モニカに2万ドルの小切手をくれた、ダイナーの客ピートは、Moss 865 というプログラムを開発した億万長者でした。
その小切手を持って、ピートのオフィスを訪ねたモニカ。
その小切手を見せながら、
モニカ: Seriously, what is this supposed to mean? (真面目な話、これはどういう意味なのかしら?)
ピート: Well, y'know, I never know how much to tip. (そうだな、ほら、僕はチップをいくら払うべきなのかを知らないんだ。)
モニカ: You're supposed to double the tax. Not double the tax of Romania. What's-what's the deal? Are you, are you trying to buy me? Is this the way you get girls to go out with you? (あなたは税金を2倍にすることになるわ。それも、ルーマニアの税金じゃないのよ。どういうことなの? あなたは、あなたは私を買うつもり? これが、自分とデートする女の子をゲットするためにあなたがやるやり方なの?)
double the tax の意味がよくわかりません。
tax は「税金」で、やはりこの文脈では「税金」という意味しかなさそうです。
わからないなりに、私なりの仮説を立ててみます。
「税金を2倍にする」というのはどういうことか?
このチップをもらうだけで、モニカの年収が2倍になってしまい、税金を2倍払うことになってしまう、ということでしょうか?
でも、その場合は、double my tax のように、「私が払う税金」であることを示す所有格が付くでしょうか?(よくわかりません)
もっと世間一般の相場の話をしていて、チップにこんなに払ったら、世間の物価や相場が上がってしまう、払うべき税金が2倍になってしまう、という感じでしょうか??
2倍という数字に特に根拠はなくて、値段を上げる、くらいの感覚かなぁ、と。
その次に、ルーマニアの話が出てきますね。
そのことから考えても、モニカという個人の税金ではなく、世間一般の税金の話で、税金の額面が増える→物価・相場が上がる、というイメージなのかな、と思います。
なぜ、ルーマニアの名前が出てきたのか?ですが、Wikipedia 日本語版: ルーマニアの経済 に、以下の記述があります。
1989年のルーマニア革命以降、ルーマニア経済は抑制されているものの高いインフレーションの影響下にあり、生活水準の低下が続いている。
ルーマニア革命では、チャウシェスク大統領が処刑され、日本のニュースでも大きく取り上げられていましたね。
モニカが世界の経済情勢に詳しいかどうかはともかく、セリフの中でルーマニアが出てきたのは、脚本家が、ルーマニアという国にインフレのイメージを持っていたから、ということなのかな、と思います。
そんなとんでもない高額の小切手、インフレのルーマニアならともかく、アメリカではありえないチップの額よ、と言いたいのかなぁ、と。
double the tax という決まり文句がありそうな気がするのですが、調べてもわからなかったので…。
ご存知の方は教えて下さい。
ピート: Come on, you gotta admit that our relationship is ah, is hitting a new level now. 'Cause you used to be like the chef, and I was the customer. But now we're like this-this couple that fights. (ねぇ、君は認めなくちゃいけないよ。僕たちの関係が、そう、今、新しいレベルに到達してるってことをね。だって、以前は、君はシェフで、僕はお客だった。でも今は、僕たちは、そう、喧嘩するカップルみたいだから。)
モニカ: Okay, umm, you're a loon. (そうねぇ、あなたって、おバカさんね。)
ピート: Look, forget the check, okay? (rips up the check) I like you. I think you're great. Come on, what do you say? (ねぇ、小切手のことは忘れて。いいかい? [小切手を破る] 僕は君が好きだ。君が素敵だと思う。ねぇ、君はどう思うの?)
モニカ: I don't know. (わからないわ。)
ピート: Why not? (どうしてわからないの?)
モニカ: 'Cause I don't wanna encourage this kind of behavior. (だって、こういう類の行動を助長したくないのよ。)
ピート: One meal. That's all I'm asking for. Please? We go out, we eat. And if you don't have a good time, I'll give you 10 grand, we call it even. (1回の食事。僕がお願いするのはそれだけだよ。いいだろ? 僕らは外出して、食事をする。そして、もし君が楽しい時を過ごさなかったら、僕は君に1万ドルをあげる。それでおあいこにしよう。)
loon は「ばか」。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
loon: (informal) a silly or strange person - used humorously
つまり、「愚かで変わっている人。ユーモラスに使う」。
ですから、この言葉を使っているモニカの方も、「あなたってあきれちゃうほどのおバカさんねぇ」くらいのニュアンスで、怒りや憎しみが込められた「バカ」ではないのでしょう。
I don't wanna encourage this kind of behavior. について。
encourage は「…を促進する、助長する、奨励する」。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
encourage: to make something more likely to exist, happen, or develop
例) Violent TV programmes encourage anti-social behaviour.
つまり、「何かがより存在しやすく、起こりやすく、または発展しやすくすること」。
例文は、「暴力的なテレビ番組は、反社会的行動を助長する。」
ロングマンの例文でも、behavior が使われているように、コロケーションとして覚えてもいいのかもしれません。
モニカの言う this kind of behavior は、「高いチップを払って、その子とデートにこぎつける」というピートの行動を指すのかな、と思います。
ピートは、正直にそしてはっきりと、"I like you. I think you're great. Come on, what do you say?" と言っていますね。
女性としては、ここまではっきり言われると悪い気はしないでしょうし、実際モニカはピートに対して嫌悪感を抱いているわけではないでしょう。(嫌悪感を抱くような相手のところにのこのこ出掛けることはあり得ませんから…笑)
そのピートの正直な告白に即答せず、I don't know. と言葉を濁したのは、それでオッケーしてしまうと、「高額のチップを渡すことで相手にデートをオッケーさせた」というピートのやり方を認めることになってしまう、モニカとしてはそんなやり方はフェアじゃないと思っているので、あなたのやり方を認めたくない、私がオッケーすることで、そういうアプローチが成功すると思わせたくない、ということでしょう。
10 grand の grand はお金の単位で、アメリカでは「1千ドル」、イギリスでは「1千ポンド」。
単複同形、すなわち複数形も grand で、10 grands のように -s は付かずに、10 grand となります。
call it even は、「貸し借りなしにする、チャラにする、おあいこにする」。
ちょうどのeven フレンズ3-17その25 で、even のことを説明した時に、call it even にも少し触れましたが、ここでもう少し詳しく説明します。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
call it even: (spoken) used to say that someone who owes you something does not have to give you anything more than they have already given you.
例) Since you bought the movie tickets and I bought dinner, let's just call it even.
長い語義ですが、you をAさん、someone をBさんとしてみると、「Aさんに何か借りがあるBさんが、BさんがすでにAさんに与えた以上には与える必要がない、ということを言うのに使われる」。
例文は、「君は映画のチケットを買って、僕は夕食をおごったから、これでチャラにしよう。」
つまりは、相手に借りがあるんだけれども、借りがある方も何がしかのものを相手に与えているので、それ以上は何も返す必要がない、これでチャラだ、おあいこだ、貸し借りなしだ、ということになるのですね。
デートを1回してみて、いやなら僕が1万ドル払うよ、それで文句はないだろ?というピート。
「あなたはお金で人を買うつもり?」と高額のチップをもらったことで怒っているモニカに対して、また1万ドルというお金で決着させる案を示しています。
ピートは、モニカがお金で解決されるのがいやだとわかっていて、わざとこういうことを言っているのですね。
「君は2万ドルのチップにカチンと来たみたいだけど、デートをオッケーしてくれたら、その後断られても1万ドルあげるから」と、どこまでもミリオネアらしく、桁違いの金額を提示しているわけです。
ここまで来ると、モニカも笑うしかない、というか、あくまで金額がモニカを誘うための口実でしかないことがわかるので、怒る気にもなれませんね。
(Rach からのお願い)
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throw はイスのカバーだけでなく、クッションのカバーとしても使えそうです。
http://www.made-in-china.com/showroom/bestarcn/product-detailcbZQhFWjwzko/China-Cotton-Throw-and-Cushion.html
Merriam-Webster's LEARNER'S DICTIONARY には
< throw > a loose blanket or cloth that is put on a sofa, chair, etc.
とあります。
ここでは、計算方法を言っている訳です。
情報ありがとうございます。教えて下さったサイトには、Cotton Throw and Cushion とありますね。そこの写真を見ると、クッションカバーみたいですね。
また、Merriam-Webster's LEARNER'S DICTIONARY の語義もありがとうございます。
私も別の語義を探してみました。
Merriam-Webster Online Dictionary では、
throw: a light coverlet (as for a bed)
とあります。
Macmillan English Dictionary では、
throw: a large piece of cloth that you put over a chair, bed, etc. to make it look nice
と出ています。
ベッドカバーもアリみたいですね。
ロングマンには、chair と書いてあったので、椅子限定なのかと思ったのですが、いろいろなもののカバーとして使えるようですね。
一緒に考えて下さってありがとうございました。
FDJさんへ
ご指摘、ありがとうございます。FDJさんのおっしゃる通りのようです。
そうなんです、ご指摘の通り、私は be supposed to のニュアンスをきっちり把握せずに訳してしまったようです。
2万ドルの小切手を見せた上で、double (2倍する)という単語が使われていたので、double the tax の「結果」、2万ドルになった、ということだとばかり思い込んでいたようです。
be supposed to については、「することになる」という訳は何だか違う気がするけど、、、とひっかかってはいたんですね。「消費税の2倍をティップとして払う」というコメントを読んで、be supposed to の意味を勘違いしていたことに気付きました。
(BTW, やっぱり、tip は、チップではなくて、ティップと書くべきなのでしょうね。チップだと chip みたいですから。ただ、カタカナの日本語として「チップ」というのもある程度市民権を得てしまっているし、、、こういう外来語表記は難しいところです。)
be supposed to はフレンズに頻出で、「…することになっている」ですよね。What you should do is だと「あなたがすべきことは…だ」ということですね。
つまり、モニカが言いたかったのは、「あなたは消費税(consumption tax)を2倍した金額をティップとして払うことになっていたのよ。」ということで、通常のティップの「計算方法を言っている」んだぁ、そうかぁ、、、。
そう考えて、もう一度二人のやり取りを見てみると、
ピート: Well, y'know, I never know how much to tip. (そうだな、ほら、僕はチップをいくら払うべきなのかを知らないんだ。)
モニカ: You're supposed to double the tax. Not double the tax of Romania.
となっています。
ピートがチップの計算方法を知らない、と言っているのに対して、「税額の2倍をチップとして払うことになっているのよ、あなたは税額の2倍を払えばよかったのよ。」と計算方法を説明している流れなのですね。
その後、「税額の2倍と言っても、ルーマニアの消費税の2倍じゃないのよ」と続けることで、インフレの激しい国のゼロがたくさん並ぶような額面になるはずがないのよ、2万という数字じゃ、インフレの国の通貨単位でのチップの金額になっちゃうわ、と言っている、ということなのですね??
これで、be supposed to のニュアンスもしっくり来ます。私自身、チップの計算方法を知らないので、double the tax という表現にピンと来なかったみたいです。
勉強になりました。いつもありがとうございます。
お返事ありがとうございます。
そうですね、過去形ではなく現在形ですから、「税金の2倍の金額を払うことになっているのよ」ということですね。You も、ピートのことを言っているというよりは、一般的な人を指している感覚で、「普通は税額の2倍をティップとして払うものよ」という一般論、「一般的な計算方法」を言っている、ということですね??
この後のシーンのローマでは、モニカの出した金額が少なすぎて、あと、1000 を足すべきだとピートに指摘されますね。ルーマニアじゃあるまいし、とピートの金銭感覚の疎さを指摘したようなモニカでしたが、それぞれの国によって金銭感覚が違う、ということをここで逆にピートに教えられてしまう形になってしまった、というのがオチなんですね。
2万ドルが高すぎる、という時に、わざわざルーマニアという他国の話を出したのは、それへの伏線だったのか、、、と思うと、つくづくフレンズの脚本ってよく出来ているなぁ、と思いました。教えて下さってありがとうございます。
Wikipedia 日本語版: ルーマニア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%82%A2
を見ると、
国名の由来は、「ローマ人の国」の意味。
とあります。確かに、Rome と、Romania (発音はロウメイニア)は綴りも似ていますし。
ルーマニアの話の後、ローマが出てきたのはただの偶然なのか、それとも、二つの話に関連性があるのをさりげなく示している、ということでしょうか??