フィービーの部屋に弟のフランクが来ていました。
フィービー: What umm, what happened? (何が、何があったの?)
フランク: Umm, Alice ah, she ah, called it off. (あぁ、アリスが、彼女が、結婚を取りやめるって。)
フィービー: Oh, no. Did umm, did she say why? (あぁ、なんてこと。彼女は理由を言ったの?)
フランク: Uh, no, not really. Just that I was too young, y'know. But I don't see how I could all of the sudden be too young, 'cause I'm older than I was when we first got together. (あぁ、はっきりと理由は言わなかったけど、ただ、俺が若すぎるから、って。でも、俺がどうやって突然若くなることができるのかわからないよ。だって、俺と彼女が初めて付き合った時の俺より、今の俺は年を取ってるんだから。)
結婚中止の話を聞いて、驚いたふりをするフィービー。
実際は、フィービーがアリスに結婚をやめるように言ったのですが、それを悟られないために、わざと Oh, no. と大袈裟に言っているのが、わざとらしい感じです。
すぐに理由を聞いたのは、フィービーに説得された、ということをアリスが話したかどうかが心配だったからですね。
アリスから「あなたは若すぎるから」という理由で結婚を中止しようと言われたフランク。
どうして突然そんな話が出てきたのか?とフランクは疑問に思っているようです。
年齢に関して言うと、自分とアリスが出会った時から日が経っているので、その分、俺は年を取っている、それなのにどうして今になって、年が若い、ということが問題になるのか?ということですね。
フランクとしては、そんな理由では納得できない、ということですが、少なくともアリスはフィービーに説得されたことは言わなかったことがここでわかります。
フランクがとても悲しそうなので、ついに真実を告げることにしたフィービー。
フィービー: Uh, well, I can tell you why. It's, it's because of me. But y'know what? I only did it because I love you, okay? (そうね、私は(なぜ結婚が中止になったかの)理由を言うことができるわ。それは私のせいなの。でも、いい? 私はあなたを愛しているから、ただそれをした[結婚を止めた]のよ。)
フランク: What? (何だって?)
フィービー: Umm, well I, I kinda had a little chat with Alice, and I sort of made her see why you two shouldn't be together, y'know. And you're gonna see it too, one day. You really, really will. (そう、私はアリスとちょっと話をしてみたりして、そして、あなたたち二人が一緒にいるべきではない理由を彼女にわからせた、って感じなの。そして、あなたもいつかそのことをわかるようになるわ。本当に本当にわかるようになる。)
フランク: Wait a minute, wait, this is because of you? (ちょっと待ってよ。待って。これは姉さんのせいなの?)
フィービー: Okay. ([覚悟を決めた感じで]そうね。)
フランク: Well, you, wait no, my mother didn't want us to be together, but the worst thing she ever did was tie me to the porch. (俺の母さんは俺とアリスを一緒にしたくなかったけど、母さんがした最悪のことは、俺を玄関にくくりつけることだった。)
フィービー: Okay, but... (そうね、でも…)
フランク: Wait, y'know what, I-I came to you because I thought you'd understand. Oh no! Y'know, I would storm out of here right now if-if I had some money or a place to go. (待ってよ。ねぇ、俺がここに来たのは、姉さんならわかってくれると思ったからなのに。あぁ、なんてこった。俺はたった今ここを飛び出すところだよ、もし、俺に金があったり、行くところがあったりしたらね。)
自分がアリスを説得した、という事情を話すフィービー。
セリフの中に、kinda (kind of) や sort of のように、断定を避ける表現、はっきりと言わずにぼかす表現が入っています。
これまでもフレンズに何度も登場した表現ですが、今回、英英辞典できちんとニュアンスを確認してみたいと思います。
まずは、kind of。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
kind of also kinda:
used when you are explaining something and want to avoid being exact or giving details (SYN: sort of)
例) I kind of borrowed the money from your wallet.
つまり、「何かを説明していて、正確であることや詳細を明らかにすることを避けたい時に使われる」。
例文は、「僕は、君の財布からその金を借りた、って感じなんだ。」
例文も、実際には人の財布からお金を盗んだことになりますが、それを借りたと表現して、盗んだことをぼかしているのですね。
次に sort of。
同じく、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
sort of (informal):
used to make what you are saying sound less strong or direct (SYN: kind of)
例) Well, I sort of thought we could maybe go out sometime.
つまり、「自分の言っていることを(実際より)強くダイレクトに聞こえないようにするために使われる」。
例文は、「そうだな、僕たち、いつか多分デートできるって思ったりしたんだけど。」
この例文は、デートに誘いたいんだけど、はっきり誘って断られるのがいやなので、できるかな、って思ったりしたんだよね〜と、少しぼやかす表現を使っているのですね。
maybe, sometime という単語を使っているのも、今すぐ、というとすぐに断られそうだから、「多分、いつか」を入れておけば、相手もいやとは言えないだろう、というのを見越している感じがします。
ちょっと話がずれますが、フレンズ1-1 で、ロスがレイチェルに以下のようなセリフを言っていました。
ロス: But do you think it would be okay if I asked you out sometime, maybe? (でも、もし、いつか、多分、僕が君をデートに誘っても構わないと思う?)
ロスのセリフでは、kind of や sort of は使われていませんが、sometime と maybe が使われています。
「もし誘ったとしたら、君はオッケーだと思うかなぁ?」みたいに回りくどい言い方をしています。
kind of などのぼやかす表現を入れてみたり、sometime, maybe と断定しない単語を入れてみたり、と、会話では、ダイレクト過ぎないように工夫する表現がいくつもあります。
日本語でも「…みたいな」と語尾に付けることで、表現を和らげることがありますね。
「みたいな」ばかり言っているとボキャ貧みたいに聞こえますが、人の感情が絡む場面では、言いにくいことはダイレクトに言いたくない、という気持ちになるのは、日本語でも英語でも同じです。
あなたのためにしたことなの、というフィービーに対して、母親の話を持ち出すフランク。
母さんがした the worst thing は、俺を玄関にくくり付けたことだと言っています。
フランクを反省させるために、玄関の柱にロープで縛り付けた、みたいなことでしょうか。
かなりのことをされたわけですが、フランクにとっては、フィービーがしたこと(アリスに直接会って、別れるように説得したこと)はそれよりももっと悪い、と言いたいのですね。
母さんでもそこまではしなかったのに、俺たちのこと、俺の気持ちを理解してくれると思ってた姉さんがそんなことをするなんて、ということです。
その後、仮定法を使って、もしお金があったり、他に行くところがあったりしたら、今すぐこの部屋を怒って飛び出していくのに、と言っています。
それはつまり、今の俺にはお金もないし、母親には追い出され、姉さんのところ以外に行く場所もないから、ここにいるよりしかたない、姉さんに対してものすごく怒っているけど、飛び出していくこともできないんだ、と嘆いているのですね。
ピートがモニカの部屋に来ると、フレンズたちは大騒ぎ。
フレンズたちがあまりに興味津々なので、早々にデートに向かう二人。
モニカ: (in the hallway) Where do you wanna go? ([廊下で] どこに行きたい?)
ピート: Hey, you like pizza? (ねぇ、君はピザが好き?)
モニカ: Oh, that sounds great. (あぁ、それはいいわね。)
ピート: I know a great little place. (素敵なちょっとした場所を知ってるんだ。)
[Cut to a shot of the coliseum in Rome, Italy.]
イタリア・ローマのコロシアム(Colosseum コロセウム)の画面にカット。
[Scene: A restaurant in Rome, Monica is paying for the pizza.]
ローマのレストラン。モニカはピザのお金を払っているところ。
ピート: You're, hey, you're not paying for the pizza. (君は、ねぇ、君はピザのお金を払わなくてもいいよ。)
モニカ: Oh, come on, it's only fair. You paid for the flight. Is, is that enough lira? (もう、よしてよ。これがただフェアーだわ。あなたは飛行機代を払ったもの。それで十分な金額のリラかしら?)
ピート: Ahh, I'd throw another 1000 on that. (あー。僕ならそれにあと1000(リラ)を足すね。)
モニカ: Why, how much is that? (どうして? それ(私の出した額)っていくらなの?)
ピート: That's about 60 cents. (60セントくらいだよ。)
億万長者だから、超高級レストランのフルコースかと思いきや、ピザを食べようというピート。
モニカはお金に釣られるタイプの人ではありませんから、それでがっかりしないとは思いますが、レイチェルなら露骨にいやな顔をしたかもしれません(笑)。
I know a great little place. の little は「ちょっとした」とか「こじんまりした」みたいな意味でしょうか?
小さいけれどいい店、みたいなことかなぁ、と。
そう言っておいて、本場のイタリア・ローマに飛んでしまうところが、さすがはミリオネアです。
飛行機代を考えると、ピザのお金を私が払わないとフェアーじゃないとモニカは言っています。
せめて、ピザ代くらいは払わせてよ、ということですね。
throw は「投げる」ですから、今出しているお金の上に、あともう1枚、1000リラ札(?)をぱっと投げる、乗せる感覚なのだろうと思います。
私が出すわ、と言ったけれど、1ドルが何リラに当たるかを知らなくて少ない金額を出してしまった、ということですね。
I'd throw another 1000 on that. の I'd は、I would です。
こういう I would は、フレンズにこれまで何度も出てきていますが、「もしも僕なら…する」というニュアンスが込められていますね。
これも今さらですが、英英辞典と、英語文法書の両方で見てみます。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
would: ADVICE
(spoken) used when giving or asking for advice
例) I would talk to the doctor if I were you.
What would you do if you were in my position?
つまり、「アドバイスを与える時、またはアドバイスを求める時に使われる」。
例文は、「もし僕が君なら、医者と話をするね。」「もし君が僕の立場なら、君はどうする?」
English Grammar in Use (EGU) では、Unit 36 Would の項目に以下の例があります。
A: Shall I tell Chris what happened?
B: No, I wouldn't say anything. (= I wouldn't say anything in your situation)
訳すと、
A: 何が起こったかクリスに話そうか?
B: いいや、僕なら何も言わないね。(=もし君の立場なら、僕は何も言わないね。)
LDOCE の例文では、If I were you, if you were in my position という条件がついていますが、実際の会話では、EGU の例文のように、そういう条件節なしの I would だけで、I would... in your situation という意味が込められている、ということですね。
「僕は…したらいい?」という質問に対して、「僕は…」とこちらも I を主語にして答えているわけですが、そこで you を主語にすると命令のニュアンスが入ってしまうような気がします。
I would を使うことで、「僕ならこうする」という柔らかなアドバイスになる、ということでしょうね。
日本語でも、「君にそうしろとは言わないけど、僕ならこうするかなぁ」と言って、さりげなくアドバイスすることがありますので、その点は日本語も英語も同じだな、と思います。
(Rach からのお願い)
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「If I were you, if you were in my position」を見て、in one's shoes を思い出しました。
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< if I were in your shoes >
used to introduce a piece of advice you are giving to someone:
- If I were in your shoes, I'd resign immediately.
(Oxford Advanced Learner's Dictionary)
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< in A's shoes >
《くだけて》A(人)の立場に立って[身を置いて] ([!]特に苦境の場合にいう)
- If I were in your shoes, I'd tell them the truth. もし僕があなただったら、彼らに本当のことを教えるよ。
- Try to put yourself in my shoes. 僕の身にもなって考えてくれよ。
(ウィズダム英和辞典)
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コメントありがとうございます。
そうですね、in someone's shoes には「人の立場に立って」という意味がありますね。
フレンズ1-1その1 のコメント欄
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470006.html#comment
で、shoe という単語について話題になった時、少しそのことに触れたことがあります。
(以下、その時のコメントと少々カブってしまいますが)
研究社 新英和中辞典では、
in a person's shoes=人の立場に立って
ロングマン現代英英辞典では、
in somebody's shoes: in someone else's situation, especially a bad one
つまり、「誰か他の人の状況で、特に悪い状況で」。
とありますね。
「その人の靴をはいてみて、はいた状態で」ということから、「その人の状況になって、その人の立場に立って」という意味になった、ということのようですが、それは日本人にもわかりやすい感覚ですよね。「その人の靴をはいた状態」と「立場に立つ」という表現とは通じるものがある気がします。その人と同じ状態になって立ってみる、その状態で歩いてみる、という感じでしょうか。