シーズン3 第19話
The One With the Tiny T-Shirt (億万長者とデート!)
原題は「小さなTシャツの話」
[Scene: The hallway between the two apartments, Pete and Monica are
returning from their date.]
2つのアパートの部屋の間の廊下。ピートとモニカはデートから帰ってきたところ。
ピート: ...so y'know, that's why, within a few years, that voice recognition is gonna be pretty much standard on any computer you buy. Y'know, so you could be, like-like, "Wash my car." "Clean my room." It's not gonna be able to do any of those things, but it'll understand what you're saying. (だから、ほら、そんなわけで、2、3年の間に、購入するどのコンピューターにも、音声認識がかなり標準装備されるんだ。ほら、だから、例えば、「車を洗って」「部屋を掃除して」っていうのも可能なんだ。コンピューターは今言ったようなことは何もできないだろうけどね、でも、人の言っていることは理解できるだろう。)
ピートは、有名なソフトを開発した億万長者なので、さすがはコンピューターに詳しいらしく、voice recognition 「音声認識」について語っています。
音声認識(システム)が、今にコンピューターのスタンダードになるだろう、と言っているのですが、話にはちゃんとオチがついています。
音声認識という技術は素晴らしいので、「車を洗え」「部屋を掃除しろ」という voice を recognize することはできるのですが、その命令を実行できるかと言えば、それは別問題になるんだよね、と言っているわけですね。
言っている意味はわかっても、コンピューターがそれを実行するところまでは、まだ機械が進歩していない、ということで、コンピューターは命令を聞いて車は洗うことはできないけど、車を洗えと命令されていることは認識できるんだ、ということです。
ロス: Hey, how'd the date go with Mr. Millionaire? (ねぇ、ミスター・ミリオネア[ミスター億万長者]とのデートはどうだった?)
チャンドラー: "Mr. Millionaire. New, from Snooty Playthings. Third wife sold separately." (「ミスター・ミリオネア、スヌーティ玩具からの新製品です。第三夫人は別売り。」)
ピートと言えば、億万長者のイメージがまっさきに浮かぶので、ロスは彼のことを、Mr. Millionaire と言っています。
そのネーミングが気に入ったチャンドラーは、そのネーミングを使ったCMを考えたようですね。
plaything は、play 「遊ぶ」 thing 「もの」からわかるように、「おもちゃ、遊び道具」のことです。
snoot は「俗物、横柄な人」で、その形容詞形が snooty 「俗物的な、横柄な」ですね。
Snooty Playthings と大文字になっているのは、そういう名前のメーカーやおもちゃ屋さんがある、というイメージでしょう。
もちろん、「俗物的なおもちゃ屋」という名前のおもちゃ屋さんは存在しませんが、「俗物玩具(店)」という名前のおもちゃ屋・おもちゃメーカーから、ミスター・ミリオネアって名前の人形が発売されそうだよねぇ、ということです。
new は新発売、sold separately は「別に売られる」、つまり「別売り」。
third wife 「第三夫人」は、お金持ちには妻がたくさんいるイメージですね。
人形は、男女のカップルとして売られることも多いです。
フレンズ2-6その10 では、バービーとケンの話をしましたが、そのイメージで、ミスター・ミリオネアも、別売りで、第三夫人も売ってるよ、ということですね。
チャンドラーの言い方は、be動詞などが省略された簡潔な表現が使われていますが、それが「おもちゃのCM風」だということです。
ミスター・ミリオネアというネーミングを聞いて、とっさに宣伝コピーを作ってしまう彼の才能が光ります(笑)。
モニカ: He's great. I mean, we have such a good time together. He's so funny and so sweet. And I'm not attracted to him at all! (ピートは最高よ。だって私たちは本当に素敵な時間を一緒に過ごしたの。彼はとても面白くて、とても優しくて。そして、私は彼に全く魅力を感じないの!)
ロス: Still? (いまだに?)
モニカ: Noo! It's driving me crazy. In every other way, he's, like, the perfect guy. He has everything. Plus, he actually has everything. (魅力を感じないのよ! それが私をイライラさせるの。それ以外のあらゆる点で、彼は、そう、完璧な男性なのよ。彼は全てを持っているの。それに、彼は実際に全てを持っているのよ。)
チャンドラー: Life-sized Imperial Storm Troopers from Sharper Image? (シャーパー・イメージの等身大の帝国軍ストーム・トルーパーは持ってる?)
モニカ: Two. (2体持ってる。)
チャンドラー: Wow. Can Joey and I put them on and fight? (わお。ジョーイと俺がそれを着て、戦うことができる?[それ着て、戦わせてくれる?])
ピートの長所を語るモニカ。それだけ長所があるのに、彼には全く魅力を感じない、異性としての彼に惹(ひ)かれない、と言っています。
ロスの Still? は、「まだ依然として、いまだに」というニュアンスで、まだ心境に変化はないの? いまだに魅力を感じない状態のままなの?ということです。
He has everything. Plus, he actually has everything. という表現が面白いですね。
最初の He has everything. は、一緒に楽しい時を過ごせて、面白くて優しくて、恋人の条件としては最高のものを持っている、という意味ですね。
actually の入っている文は、そういう抽象的な資質の話じゃなくて、彼は実際に、物質的にもすべてを所持しているのよ、という感じでしょう。
億万長者だから、全てのものを所持している、欲しいものは全部手に入れている、というイメージです。
そのモニカの言っている意味がわかって、チャンドラーは、Life-sized Imperial Storm Troopers from Sharper Image も持ってるの?と尋ねます。
これは日本人にもおなじみのスター・ウォーズネタなので、英語で理解できた人も多いかもしれません。
Imperial Storm Troopers とはこちら(↓)。(残念ながら写真はありません)
Wikipedia 日本語版: 帝国軍ストーム・トルーパー
白い装甲服を着た銀河帝国軍の機動歩兵のことですね。
以下のサイトには、写真が載っています。
Stormtrooper - Wookieepedia, the Star Wars Wiki
映画の公開前後のイベントで、大勢のファンがこのスーツを着て練り歩いていたりしますよね。
Life-sized は「等身大の」。
その後のセリフで、put them on and fight と言っていることから、等身大の置物ではなく、人間が着ることのできるスーツのことだということがわかります。
Sharper Image というのは会社名のようです。
Wikipedia 英語版: The Sharper Image
上のウィキペディアによると、an American retailer that specialized in high-end electronics and gifts つまり「ハイエンドの電化製品やギフトに特化した小売業者」。
its bankruptcy in 2008 という記述もあり、2008年に倒産したようです。
もちろん、今回のフレンズ3-19 の放映当時(97年)はまだ倒産していませんので、「販売していた会社が倒産し、入手困難になった超レアもの」という意味ではありません。
等身大スーツは、有り余るほどのお金を持っている人が所持している「マニアックで高級なものの象徴」なのでしょう。
シャーパー・イメージ(社)の、という限定がついているところがマニアック、そして2体持ってると言われて、それを着て戦いたい、というのが、少年っぽくて可愛いですね(笑)。
The Sharper Image の倒産についての、ニューヨーク・タイムズの記事はこちら(↓)。
The Sharper Image Files for Bankruptcy Protection - New York
Times -
file for bankruptcy protection はニュースでよく聞く表現です。
その記事の中に、R2-D2 Interactive Droids ($129) という商品名が登場します。
R2-D2 と言えば、C-3PO と一緒に出てくる白いドロイド。
interactive とあるので、こちらの声に反応したりするのでしょうか?
R2-D2 も扱っているのなら、きっとトルーパーのスーツも扱っているんだろうなぁ、と想像できますね。
ちなみに、The Sharper Image の英語版ウィキペディアには、On February 19, 2008, the company filed for Chapter 11 bankruptcy という記述があります。
この Chapter 11 「第11条(チャプターイレブン)」については、「日向清人先生のビジネス英語雑記帳」の 2008年10月10日の記事 で、わかりやすく説明して下さっています。
日向先生のご説明では、
(a) 消滅に向かうものは「破産」(英語ならチャプターセブン)
(b) 再建に向かうものは「会社更生法」「民事再生法」(英語ならチャプターイレブン)
だとのことです。
ですから、上で説明した、ニューヨーク・タイムズの記事タイトル、The Sharper Image Files for Bankruptcy Protection は、Chapter 11 bankruptcy であることを考えると、「破産保護申請を行う」ではなくて、「会社再建手続の適用申請をする」と訳すべきなのでしょうね?
実際、The Sharper Image のサイトは今も存在しているようですから、消滅したわけではなくて再建中だということのようです。
アメリカのサイトはこちら(↓)。
THE SHARPER IMAGE: HOME at tsi (スタイリッシュなサイトです。音楽が流れますので、会社にいる方はご注意を(笑)。)
日本でも取り扱いがあるようです(↓)。
sharperimage.jp
ジョーイが歌を歌いながらモニカの部屋に入ってきて、またそのまま去っていきます。
ロス: I guess he must've gotten the part in that play. (思うに、あの芝居[舞台]での役をゲットしたに違いないね。)
モニカ&フィービー: Oh. (あぁ(なるほど)。)
チャンドラー: Yeah, either that, or Gloria Estefan was right. Eventually, the rhythm is going to get you. (そうだな。それか、もしくは、グロリア・エステファンが正しかったってことだ。最後には、そのリズムが君をゲットすることになる[君に取り付くことになる]って。)
子供っぽい話をしていたところ、そのもう一人の子供(笑)であるジョーイが、歌と踊りだけで去っていきます。
日本人でも、誰かが歌を歌いながらやってきてそのまま去っていったら、「あぁ、なんか嬉しいことでもあったのかな?」と思いますので、それと同じ感覚なのでしょうね。
トルーパーの着ぐるみで遊びたいヤツとか、嬉しそうに歌を歌いながら去っていくヤツとか、子供っぽいヤツらの集団だ、というところがフレンズの魅力でもあるわけです。
チャンドラーがセリフ内でヒントを与えてくれているように、the rhythm is going to get you とは、グロリア・エステファンの歌のことですね。
正確なタイトルは、Rhythm Is Gonna Get You のようです。
アマゾンにある下のアルバムに収録されています。
Gloria Estefan - Greatest Hits
グロリア・エステファンについてはこちら(↓)。
Wikipedia 英語版: Gloria Estefan
チャンドラーが言っているのは、確かに役が決まって喜んでいるのかもしれないし、グロリア・エステファンの歌のように、Rhythm is Gonna Get You の状態になって、リズムに取り付かれて、歌が頭から離れない状態になっているだけかもしれないな、ということですね。
(Rach からのお願い)
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日本語だと使わないのに、英語だと使ってしまうのはなんででしょう。Actually,私も結構使ってます。
ところで、今回のsnootyの理解がちょっと違うようです。snootyは「気取った」、「鼻に掛けた」、「高慢ちきな」、とか「傲慢な」って言う意味です。
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、英語の actually は使いやすいですよね。「いや、ほんとのところ」というようなニュアンスを出しやすいと思います。日本語で言うと、「実際は、事実、現に」みたいな感じでしょうが、日本語でそういう言葉が使われる頻度と比べると、英語の actually の登場回数は非常に多いですよね。
最後の祐介さんの一言にあるような感じで、一般的に actually はよく使われて、「現に私も」(Actually)よく使う、という流れになるんですよね? ニュアンスがよくわかる良い例を挙げていただき、ありがとうございます。
けんけんさんへ
コメントありがとうございます。アメリカ人の方にそのように褒めていただけるなんて、誠に光栄です。ありがとうございます!
また、snooty の意味についてのご指摘もありがとうございます。英和辞典を見ると、snoot=俗物、とよく書いてあるので、その流れで、「俗物的な」という言葉を使ってしまったのですが、けんけんさんの挙げて下さった、
「気取った」「鼻に掛けた」「高慢ちきな」「傲慢な」
の方が正しいニュアンスですね。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) でも、
snooty: (informal) rude and unfriendly, because you think you are better than other people
つまり、「無礼で友好的でない、他の人より自分の方が勝っていると思うという理由で」。
これは、自分の方が人より優れていると思っているために、相手に対して無礼で傲慢な態度を取る、ということですよね。そういう意味でも「鼻に掛けた」「高慢ちきな」という、他人を見下す感じのニュアンスが正しいですね。
…ということで、Snooty Playthings は「高慢ちき玩具(店)」みたいなネーミングなんでしょうね? お金持ちであることをひけらかしたい、自慢したい人たちが買うおもちゃとして、ミスター・ミリオネアという人形が発売されてそうだね、ということですね?