2009年03月18日

スライスしたパン以来の フレンズ3-19その6

チャンドラーとジョーイの部屋。
ジョーイが帰ってきます。
チャンドラー: (Joey starts angrily throwing his stuff down.) Uh-oh, what did she do now? ([ジョーイは怒りながら、自分の持ち物を下に投げ下ろす] おやおや。今度は彼女は何をしたんだ?)
ジョーイ: Just because she went to Yale drama, she thinks she's, like, the greatest actress since, since sliced bread. (ただ、彼女がイェール大学の演劇大学院に通っていたということだけで、彼女は、そう、自分がスライスト・ブレッド以来の最高の女優だと思ってるんだ。)
チャンドラー: Ah, Sliced Bread. A wonderful Lady Macbeth. (あぁ、スライスト・ブレッドね。(彼女の)マクベス夫人は最高だった。)

ご機嫌ななめのジョーイを見て、チャンドラーは、また共演者の女性との間にもめ事があったんだろうな、と察して、ジョーイが説明する前に、what did she do now? と言っています。
now は、今度は、今回は、という感じでしょうね。
最近、ジョーイが怒ることといえば、そのケイトのことしかないので、またその話を聞くことになるだろう、それを見越して、「今度は彼女は何をやったんだ?」と尋ねているのですね。

Yale は Yale University 「イェール大学」。アメリカの名門校ですね。
Wikipedia 日本語版: イェール大学 を見るとわかりますが、イェール大学には演劇大学院、というのがあるようです。

ジョーイが言っている、Yale drama というのは、正式には、Yale School of Drama という名前のようです。
Wikipedia 英語版: Yale School of Drama を見ると、
The Yale School of Drama is a graduate professional school of Yale University
とあります。
graduate school は大学院、なので、イェール大学の専門大学院(?)という感じなのだと思います。
その英語版ウィキペディアの Notable Alumni (有名な卒業生)という項目には、Paul Newman(ポール・ニューマン)、Meryl Streep (メリル・ストリープ)、Sigourney Weaver (シガニー・ウィーバー)などの名前が並んでいます。
その名優たちの名前を見てもわかるように、Yale drama というのは演劇を学ぶ人の名門で、そこを出ているから自分は大女優だと彼女は思ってるんだよ、ということです。(もしくは、卒業したとは言っていないので、通っていたけれど中退したというニュアンスかもしれません)
ご存知のように、ジョーイは演劇をきちんと学んだことがなく、以前は履歴書にウソの経歴を書いていたくらいでした。
ジョーイにしてみれば、名門を出てるからってえらそうにすんなよ、という感じなのでしょうね。

sliced bread について。
これは「スライスしたパン」という意味ですが、since sliced bread という成句があるようです。
英辞郎の説明がとてもわかりやすいので、長くなりますが、引用させていただきます。
since sliced bread=スライスした食パン以来の。
・Otto Frederick Rohwedder が1928年に米国で発売した bread slicing machine は食パンを好みの厚さにスライスしてパックする機械で当時画期的な発明と絶賛を浴びた。
・the greatest thing や the best thing などと組み合わせて(スライスパンの発明以来の)「画期的なもの」、「大したもの」、「素晴らしいもの」という意味でいまも使われている。


LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) にも載っていました。
the best/greatest thing since sliced bread: (informal) used humorously to say that something new is very helpful, useful etc
つまり、「何か新しいものがとても役立つということをユーモラスに言うために使われる」。

Wikipedia 英語版: Sliced bread には、a "new electrical bread slicing machine" の写真も載っています。
また、The greatest thing since sliced bread という項目もあり、このフレーズが上の辞書に載っているような意味で使われるとありますね。

そういう決まり文句のフレーズ、since sliced bread を使ったジョーイに対して、チャンドラーが面白い返しをしています。
Lady Macbeth とは、シェークスピアの名作「マクベス」に登場する、マクベスの妻、つまり、マクベス夫人ですね。
Wikipedia 英語版: Lady Macbeth
チャンドラーは、sliced bread を、それが人名であるかのように受け止めてみた、ということです。
チャンドラーのセリフでは、Sliced Bread と最初が大文字表記になっているのも、人名であることを表していますね。
スライスト・ブレッド以来の大女優、という感じで、スライスト・ブレッドが往年の大女優、昔の名女優であるように言っているのです。
昔の女優であることを表現するために、シェークスピアという古典中の古典の名前を挙げたのですね。
スライスト・ブレッド(という名前の女優)が演じる、マクベス夫人は最高だったよ、というのが、A wonderful Lady Macbeth のニュアンスでしょう。


ジョーイ: God, I just, I hate her. I hate her with her "Oh, I'm so talented" and "Oh, I'm so pretty," and "Ooh, I smell so good." (なんてこった。俺はただ、俺は彼女が大嫌いだ。彼女の「あぁ、私はとっても才能があるの」とか、「私はとっても可愛いのよ」とか、「あぁー、私はとってもいい匂いがするでしょ」っていうのが大嫌いなんだよ。)
チャンドラー: I think somebody has a crush on somebody. (誰かさんは誰かさんに惚れてるみたいだな。)
ジョーイ: Hey, Chandler, can we please try and stay focused on my problem here? Y'know? (おい、チャンドラー。この俺の問題に集中するようにしてくれないかな?)
チャンドラー: I'm talking about you, you big, big freak. (俺はお前のことを言ってるんだよ。ビッグフリーク。)
ジョーイ: Oh. (realizes) Ohh. Ohh, you're out of your mind! (あぁ。[チャンドラーの言うことに気付いて] おいおい。そんなこというなんてお前はどうかしてるよ!)
チャンドラー: Hey, you've done nothing but talk about her for the last 48 hours. If you were in a school yard, you'd be pulling her pigtails and pushing her down now. (おい。お前はこの48時間の間、彼女のことばかり話してる。もし、お前が校庭にいるとしたら、お前は今頃、彼女のおさげ(髪)を引っ張って、彼女を突き飛ばして転ばせてるところだな。)
ジョーイ: Oh, yeah? Then how come I keep thinking about her in all these sexual scenarios and stuff, huh?! (あぁ、そうかい? それじゃあ、どうして俺は、エッチなシナリオ(筋書き)とかの中にいる彼女のことを考えてばかりいるんだ?)

I hate her with her... と her の後ろに彼女が言いそうな言葉が続いています。
彼女はいつもこんなことを言ってる、という感じ、彼女に付き物のセリフ、みたいな感じで、with が使われているのでしょう。
彼女とその彼女におまけのようについている口癖も嫌いだよ、という感覚でしょうか。

ジョーイが言っている内容を聞いて、チャンドラーは真実を言い当てます。
hate って言ってるけど、実は彼女に惚れてるんじゃないか、ということですね。
pretty や smell so good は、彼女自身が実際にそう言っているんじゃなくて、ジョーイの気持ちが彼女のセリフとして出たものだと気付いたのでしょう。

その後のジョーイのセリフを聞くと、ジョーイは自分のことを言われたことに気付いていないようですね。
you have a crush on her. ではなく、わざと、somebody 「誰かさん」と言ったのを、ここにいない誰か別の人の話だと思ったようです。
誰かさんってのはお前のことだよ、と言いながら、big freak と呼びかけていますね。
こういう呼び掛け語は訳しにくいのですが、freak は、「フリーク、熱狂者、…狂の人」ということなので、彼女のことばっかり考えて彼女にものすごく熱狂している人、という意味の呼び掛けですね。

push down は「押し倒す」と訳せますが、「押し倒す」というと、何だかエッチな行為を想像させます(笑)。
ここでは、小学生のような子供に例えているので、背中を突き飛ばして倒す、転ばせる、みたいなニュアンスでしょう。
嫌い嫌いとか言って彼女の話ばかりしているジョーイは、好きな子をいじめる小学生男子みたいだぜ、とチャンドラーは言いたいのですね。

それに対して、俺はそんな小学生とは違うよ、と言わんばかりに、そんな子供じみたことじゃなくて、エッチなシナリオの中で彼女とセクシーに絡むようなシーンのことばっかり考えてるんだぜ、それでもその小学生と同じだって言うのかよ、と言っています。
ここで、ジョーイ自身が、もし今回の脚本にもっとエッチなシーンがあったら、彼女と俺はこんな感じで…ということばかり想像している、ということを自分で認めてしまったのですね。
それを言った後、そういうことばかり考えている自分に気付き、自分が彼女に惚れていることに気付いてしまった、という顔をしています。


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posted by Rach at 09:51| Comment(0) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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