2009年03月20日

スパイダーマンは名字じゃない フレンズ3-19その7

[Scene: Monica and Rachel's, Monica is in the kitchen chopping vegetables. Chandler and Phoebe are sitting in the living room.]
モニカとレイチェルの部屋。モニカはキッチンで野菜を切っている。チャンドラーとフィービーはリビングに座っている。
フィービー: (to Chandler) Hey! (Chandler looks up, startled) Why isn't it "Spiderman"? Y'know like Goldman, Silverman? ([チャンドラーに] ねぇ! [チャンドラーはびっくりして顔を上げる] どうして”スパイダーマン”じゃないの? ほら、ゴールドマンやシルバーマンみたいに。)
チャンドラー: 'Cause it's-it's not his last name. (だって、彼の名字[姓]じゃないから。)
フィービー: It isn't? (名字じゃないの?)
チャンドラー: No, it's not, like, like, Phil Spiderman. He's a Spider-man. Y'know, like, ah, like, Goldman is a last name. But there's no Gold Man. (フィル・スパイダーマンみたいな名字じゃないよ。彼は、スパイダー・マン(蜘蛛の男)なんだ。ほら、ゴールドマンは名字だけど、ゴールド・マン(黄金[金]の男)はいないだろ。)
フィービー: Oh, okay. There should be a Gold Man! (あぁ、そうなの。黄金の男もいるはずよ[黄金の男がいてもおかしくないわ]。)

この「スパイダーマンとゴールドマン論争」(笑)ですが、どうやら、単語の切れ目とアクセントの付き方にポイントがあるようです。

日本では、スパイダーマンと表記しますが、実際の英語表記では、spider と man の間にハイフンがあるんですね。
Wikipedia 英語版: Spider-Man
私もあまり自信がないのですが、フィービーの最初の質問は、「どうして、Spiderman じゃなくて、Spider-Man なの?」、つまり、「どうしてハイフンが入って途中で切れてるの? どうして一気に Spiderman と書かないの、発音しないの?」みたいな感じかなぁ、と。
人の名字で、Goldman や Silverman というのがあるから、それと同じように、Spiderman でいいはずなのに、どうしてわざわざハイフンを入れて、man の部分も Man と大文字表記なの?みたいなことでしょうか?

ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)という投資銀行がありますが、Wikipedia 英語版: Goldman Sachs によると、この名前も、設立者のマーカス・ゴールドマン(Marcus Goldman)氏と、彼の義理の息子のサミュエル・サックス(Samuel Sachs)氏のそれぞれの名字を取ったものだそうです。

そう考えて聞いてみると、フィービーが Spiderman という言葉を言う時、スパイの i のみにアクセントがあり、spiderman という単語を最後まで一息(ひといき)で発音し、man には全くアクセントがないように聞こえます。

コミックスや映画の Spider-Man の場合だと、日本語で書くと「スパイダー・マン」と間に「・」が入る感じで、spider と man のどちらにもアクセントが来る、ということでしょうか??
両方とも同じ強さのアクセントが来るかどうかはわかりませんが、少なくとも、man の方にも第二アクセント的なものが来るのかなぁ?と思うのですが、どうなんでしょう??

その後の説明で、チャンドラーは、Goldman を例に出して説明していますが、これも、、二つの単語の間に少し間を空けることと、Man を強く発音することで、Goldman と、Gold Man との違いを説明していますよね。

Goldman というのはゴールドマンという名字であって、Gold Man じゃないだろ、と言うのですが、フィービーは、Gold Man っていうヒーロー(?)がいたっていいじゃない、と返しています。

ちなみに、ネットで調べ物をしていて知ったのですが、キン肉マンの登場人物に、ゴールドマンとシルバーマンというのがいるそうですね。(私は、キン肉マンには詳しくないので、その二人のことは全く知りませんでした…。「キン肉マンGo Fight!」は歌えますが… ♪Go! Go! Muscle!(マソー!)♪)

ところで、スパイダーマンと同じようなアメコミヒーローであるバットマンは、Batman という表記みたいなんですよねぇ。
それこそ、Bat-Man じゃなくていいのかしら?と思ってしまうのですが…(笑)。

Wikipedia 英語版: Batman によると、
Batman (originally referred to as the Bat-Man...
つまり、「当初は、the Bat-Man と呼ばれていた」という記述もあるので、最初はハイフンがはいっていたようでもありますが。

上でリンクした Wikipedia 英語版: Spider-Man で、hyphen についての記述を探してみると、
The hyphen was included in the character's name to avoid confusion with DC Comics' Superman.
とありました。
つまり、「DCコミックスのスーパーマンとの混同を避けるために、そのハイフンをキャラクター名に含めた」ということで、spiderman という表記だと、superman と紛らわしいので(笑)、中にハイフンを入れた、ということらしいです。

じゃあ、superman と紛らわしい綴りでなければ、Spider-Man も、Spiderman という綴りになっていた、ということになってしまいますね。
仮に Spiderman という綴りであっても、やっぱり、man に多少のアクセントが来て、Spiderman と一息に発音する名字との違いは出る、ということなのでしょう(多分)。

チャンドラーとフィービーのやり取りを、何とか日本語チックに表現しようとすると、日本人の男性名の例えならいけそうな気がしますね。
「蜘蛛男は、どうして「くもお」じゃなくて、「くもおとこ」って読むの?」
「だって、蜘蛛男は名前じゃないからさ。」
「え、名前じゃないの?」
「田中蜘蛛男(くもお)っていう名前じゃなくて、蜘蛛の男、だから、蜘蛛男(くもおとこ)なんだよ。」
みたいな感じとか(イメージ湧きませんかねぇ…笑)


[Scene: Chandler and Joey's, Phoebe and Chandler are sitting in the
black chairs.]
チャンドラーとジョーイの部屋。フィービーとチャンドラーは黒い椅子に座っている。
チャンドラー: So, ahh, what kind of powers would "Gold Man" have? (それで、ゴールド・マン(黄金の男)はどんなパワーを持ってるの?)
フィービー: Okay. Well, he would turn things to gold. (いいわ。そうね、彼はものを黄金[金]に変えるのよ。)
チャンドラー: What about things that are already gold? (すでに黄金になっているものについてはどうなの?)
フィービー: Ahh, his work is done. (あぁ、彼の仕事が行われたってことよ[行われているのよ]。)
チャンドラー: Okay, let's play my game now. (よし。さあ、俺のゲームをやろう。)
フィービー: Okay. All right, you yellow-bellied, lily-livered-- Draw! (they both kick up the foot rests like an old fashioned gun fight.) (いいわ。よし。この、臆病で気の弱い… (銃を)引き抜け! [昔のガン・ファイトのように、椅子のフットレストを蹴り上げる] (注:実際には、レバーを引っ張って、フットレストを起こしていますが)
フィービー: Yeah, it's fun. (あぁ、楽しいわ。)

場面が変わっても、まだ、ゴールド・マンの話をしています。
ゴールド・マンってヒーローがいてもおかしくないとフィービーが言っていたので、もしそういうヒーローがいるとしたら、彼はどんな特技を持ってるの?とチャンドラーは尋ねます。
黄金の男だから、あらゆるものを金に変える、と言うのですが、じゃあ、もうすでに金になっているものはどうするの?と意地悪な質問をするチャンドラー。
his work is done. は、彼の仕事が済んだ、というような意味なので、「その金は、彼が何かを金に変えた結果のものなの」という感じですね。

チャンドラーがやっているゲームは、ジョーイが帰ってくる前に、一人で遊んでいたゲームです。(解説は省略してしまいましたが)
フットレストをどちらが早く上げるかを競うゲームで、それは、西部劇の早撃ちガンマンがホルスターから素早く銃を抜き取る行為の真似ですね。

フィービーが言っている、yellow-bellied, lily-livered という表現が面白いなと思いました。
yellow-bellied も、lily-livered も、どちらも「臆病な」という意味です。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
yellow: also yellow-bellied
(informal) not brave

lily-livered [adjective]: (old-fashioned) lacking courage


yellow-bellied は、-ell- が同じ、lily-livered は、li- が同じで、どちらも、同じような音が重なっており、そこが音的に面白い効果を出していると思います。
ロングマンには語源が載っていなかったのですが、belly は「腹」、liver は「肝臓」ですよね。
belly, liver を動詞の受身形として使っている形なので、「黄色い腹を持った、腹が黄色くなった」、「ユリ(花)のような肝臓を持った、肝臓がユリのようになった」みたいな意味になるのでしょう。

黄色い、臆病で思い出すのが、chicken という単語。
chicken には「臆病者」という意味がありますよね。(フレンズ2-13その13 で説明しています。)
チキンは「鶏」ですが「ひよこ」という意味もあるので、yellow-bellied は、その黄色のイメージなのかな?と思ったりしたのですが、辞書などに語源が載っていないので正直よくわかりません。
lily は「白い花」で、lily-white だと「純白」ですから、「白い肝臓を持った」→「血の気のない、機能していない肝臓を持った」ということから、「肝が据わる」的な根性がないという意味になるのかなあ、と。

そんな風に、相手を威嚇するように、「この臆病者の…」とその後に何かの名詞を続けようとしたのですが、考えるのがめんどくさくなって、Draw! 「銃を引き抜け!」と、スタートの合図を叫んだ、という感じでしょうね。


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posted by Rach at 11:10| Comment(0) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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