2009年03月22日

ターキーが焼けたという意味の名前 フレンズ3-20その1

シーズン3 第20話
The One With the Doll House (ハートブレイク)
原題は「ドールハウスの話」


[Scene: Monica and Rachel's, Chandler, Monica, Phoebe, and Joey are there.]
モニカとレイチェルの部屋。チャンドラー、モニカ、フィービー、ジョーイがそこにいる。
チャンドラー: Wait a minute, wait. You're telling me this actress person is the only woman you ever wanted who didn't want you back? (ちょっと待て、待てよ。その女優の人は、お前が求めたのに、相手がお前を求め返さなかった唯一の女性だ、って言うんだな。)
ジョーイ: Yeah! Oh my God. (to Chandler) Is this what it's like to be you? (そうなんだよ! なんてこった。[チャンドラーに] お前の状態はこんな感じなのか?)

the only woman you ever wanted who didn't want you back の want は、恋愛で使われる、I want you. のニュアンスですね。
ジョーイが「欲しい」と思った、つまり、好きで、デートしたいとか寝たいとか思った(笑)相手なのに、そのジョーイの気持ちに「欲しい」という気持ちを返してくれない、相手はジョーイに見向きもしない、興味がなさそう、という感じです。
ジョーイはプレイボーイなので、これまでは、自分が興味を持った女の子は、全部落としてきた、ということですね。でも、今回だけは違う、と。

チャンドラーにそのことを確認されたジョーイは、「あぁ、これがチャンドラーがいつもいる状態なのか」と気付きます。
to be you は、to be Chandler で、「チャンドラーであるという状態」。
自分が好きな相手が振り向いてくれない、っていうのは、こういう感じのことなのか、チャンドラーの状態でいる、っていうのは、こういう感じのことなんだな、と言っています。
…って、なんて失礼な!(笑)


レイチェルの職場。チャンドラーはレイチェルと一緒にランチを食べ、帰ってきたところ。
[Rachel's boss, Joanna, enters]
レイチェルの上司、ジョアンナが入ってくる。
ジョアンナ: Rachel, I need the Versace invoice. (to Chandler) Hello. You don't work for me. (レイチェル、ベルサーチの請求書が必要なの。[チャンドラーに] こんにちは。あなたは私の部下じゃないわね。)
レイチェル: (introduces them) Joanna, this is my friend Chandler Bing. (to Chandler) Joanna. ([二人を紹介する] ジョアンナ。こちらは私の友人のチャンドラーです。[チャンドラーに] (こちらは)ジョアンナよ。)
ジョアンナ: Bing? That's a great name. (ビング? それは素敵な名前ね。)
チャンドラー: Thanks, it's ah, Gaelic for, "Thy turkey's done." (ありがとう。それは、その、ゲール語で「汝のターキーは焼けた」という意味なんです。)

work for を直訳すると、「…のために働く」。
for の後に会社が来ると、「その会社で働いている」という意味になりますし、for の後に人が来ると、「その人のために働いている」ということになり、その人が上司である、主語はその人の部下である、という意味になります。
フレンズ3-10その15 でも、work for について説明しています。

ジョアンナは、見慣れない顔のチャンドラーがオフィスにいたので、「あなた、知らない顔ねぇ」と言う代わりに、「あなたは私の部下じゃないわね。」と言って、暗に「あなたは一体誰かしら?」と尋ねているということです。

ちなみに、ジョアンナは今回初登場ですが、セリフの中ではすでに登場していました。
フレンズ3-11その39 のセリフでは、今の職場の面接を受けた時、面接官がジョアンナであったことがわかります。
また、フレンズ3-12その8 では、マークとレイチェルがジョアンナのアシスタントである、というセリフも出てきます。
上司の名前はジョアンナである、という情報は以前から提示されていて、今回、その本人が登場、ということになったのですね。

Bing という名字は珍しいらしく、この名前はいろんな人によくいじられます(笑)。
発信音と間違えられる名前 フレンズ3-6その3 では、Bing という名前で遊ばれたり、音と間違えられたりする話が出てきました。

Gaelic は「ゲール語」
ゲール語についてはこちら。
Wikipedia 日本語版: ゲール語

Bing という名字には意味がある、とその由来がゲール語であると説明するチャンドラーですが、もちろん、これはジョークですね。

The turkey is done. は、「(料理としての)ターキーが出来上がった、焼き上がった。」
フレンズ3-9その20 では、フットボールで勝っているモニカが、
モニカ: Forty-two to 21. Like the turkey, Ross is done! (42対21。ターキーみたいに、ロスはおしまいね!)
と言っていましたね。

彼の説明では、「ターキーが焼けたぞ」という意味だとのことですが、それは、ターキーが焼けてオーブンがチン!と鳴るイメージを言っているのでしょう。
Bing という音が、擬音みたいだとよくからかわれるので、それを逆手に取って、「ターキーが出来たよ」というメッセージのビン!という音です、と言っているようです。

thy というのは、古い英語で「なんじの、そなたの」という意味。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
thy: (old use) your
と出ています。つまり、your の古い形、ということですね。
シェークスピアなどの作品に、thy や thou (なんじは、そなたは)はよく登場します。

上のウィキペディアの説明にあるように、「今日では、上記の3地域で話されているゲール語が残っているが、いずれも英語に取って代わられつつある。」とのことなので、チャンドラーがゲール語を出したのは、古くからある言葉のイメージなのでしょう。
さらにシェークスピアで使われるような古語を使って、その意味を説明しているのですが、実際に意味するところは、オーブンのタイマーの音のイメージなので、その古語と古めかしい表現と、現代の調理機器とのギャップが面白い、ということです。


チャンドラーが去っていった後。
ジョアンナ: (to Rachel) So ah, what's wrong with him? ([レイチェルに] それで、彼には悪いところがあるの?)
レイチェル: Oh, nothing. He's just goofy like that. I actually hardly notice it anymore. (あぁ、悪いところはないんです。彼はただ、あんな風におちゃらけているだけなんですよ。私も実際のところ、もうほとんどそれに気付かないくらいで。)
ジョアンナ: Oh, no, no-no-no, I mean, is he ah, married or involved with anyone? (あら、違う違う、違うのよ。私が言いたいのは、彼は結婚してたり、もしくは、誰かと付き合っていたりするのか?ってことよ。)
レイチェル: No! No! He's not married or involved with anyone. (いいえ!いいえ! 彼は結婚してませんし、誰かと付き合ったりもしていません。)
ジョアンナ: Oh, Rachel. (pause) Actually, y'know what? Forget it. (まぁ、レイチェル。[沈黙] 実際のところ、ほら…。今のは忘れて。)
レイチェル: Well, I'll ask him for you, if you want me to? (えーっと、私があなたのために、彼に尋ねますよ。もし、あなたが私にそうして欲しいと望まれるのであれば。)
ジョアンナ: Would you? Or is it just too sad and desperate, y'know, something that Sophie would do? (そうしてくれるの? もしくは、ただ、あまりに悲しくて必死過ぎるかしら? ほら、ソフィーがやりそうなことかしら?)
ソフィー: Uh, uh, uh, I am here. (あー、私はここにいるんですが。)
ジョアンナ: I know that. (そんなこと、知ってるわ。)

What's wrong with him? を直訳すると、「彼にある悪いものは何?」という感じになるでしょうか?
つまり、「彼のダメなところは何かしら?、彼は何が悪いの?」みたいなことだと思います。
こういう質問だと、ジョアンナは彼に悪い印象を持って、「彼どっかおかしいんじゃないかしら?」みたいに言っているように聞こえる気がします。

純粋にその悪い部分を尋ねる質問として、フレンズ2-8その9 では、
チャンドラー: Okay, let's do Julie. What's wrong with her? (オーケー。今度はジュリーの方を作ろう。彼女の悪いところは?)
ロス: She's not Rachel. (彼女はレイチェルじゃない。)
という会話がありましたね。

ジョアンナの質問を聞いて、初対面の人にいきなりああいうジョークをかました(笑)チャンドラーのことを、ジョアンナはよく思わなかったのだろうと思ったレイチェルは、チャンドラーを弁護するようなことを言います。
goofy は「おろかな、ばかな、おちゃらけた」。
グーフィー フレンズ3-4その28 では、goof や goofy という単語について説明しています。

I actually hardly notice it anymore. について。
actually は「実際、実際のところ」、hardly notice it は「ほとんどそれに気付かない」。
hardly 「ほとんど…ない」の否定のニュアンスに anymore がプラスされて、「もう・もはやほとんど気付かない」というニュアンスになります。
it は、彼がおちゃらけてふざけたことばかり言うこと、ですね。
他人のジョアンナから見れば、「彼、どっかおかしいの?」と言いたくなるようなキャラだけど、彼はいつもあんな感じなので、いつも一緒にいる友達の私は、彼がおふざけばっかりしていることに気付きもしない、彼はあんな人だとわかっているので、もう彼のああいうセリフや態度に慣れちゃったんです、でも彼をよく知らない人が彼を変わったヤツだと思うのは、無理もないですね、という感じでしょう。

でも、ジョアンナの質問はレイチェルの考えとは違っていたようです。
ジョアンナが聞きたかったのは、チャンドラーにすでに決まった相手がいるかどうか?だったんですね。
そういう意味だと理解すると、私が彼にアプローチをかけるとして、彼には何かマズイこと、不都合なことがあるかしら?みたいなことを最初に聞きたかったのだろうと思います。

ジョアンナはその後、何かを言おうとして、やめます。
言いかけてやめたので、ジョアンナが言いたいことを察して、私からチャンドラーに言いましょうか?と言っています。
そうしてくれると嬉しいわ、という感じで、Would you? と言っていますね。
そうしてくれるの? 私のために彼に尋ねてくれる?という感じ。

desperate は「必死の、死に物狂いの」。
フレンズ1-20その3 で、desperate という単語について説明しています。
部下まで使って、自分が気に入った人にアプローチをかけようなんて、ちょっと必死な感じがして、みっともないかしら?と言っているのですね。
その後、それじゃあまるでソフィーがやることみたいだわ、とまで言っています。
ソフィーだったらそんなに必死になるのはわかるけど、ソフィーがするようなことを私がするのはみじめよね、というニュアンスですね。
明らかにソフィーに対して失礼なセリフなのですが、実はそのソフィーは、ジョアンナのすぐ後ろに座っていました。
それで、「私がいないと思って名前を出されたのかもしれませんが、今のお言葉、私はここで聞いてしまったんですけど…」というソフィー。
それに対してジョアンナが、「あなたがそこにいるのは知ってるわ。」と言うのに笑えます。
本人に聞こえるのを知っていながら、ソフィーの悪口を言っていた、名前を出した、ということです。
このやり取りで、ジョアンナは、部下のソフィーのことが嫌いだ、ということがわかりますね。


(Rach からのお願い)
このブログを応援して下さる方は、下のランキングサイトをクリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキング
にほんブログ村 英語ブログ
皆様の応援クリックが、とても励みになり、ブログを続ける大きな原動力となっています。心より感謝いたします。
posted by Rach at 06:41| Comment(0) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。