2009年03月26日

俺にシャフトを与えた フレンズ3-20その3

ジョーイが出演する芝居の劇場。
女性: Hi, oh, I'm Lauren. Kate's understudy. (はーい。あ、私はローレンよ。ケイトの代役なの。)
ジョーイ: Oh, hey! Joey Tribbiani. (あ、やぁ! ジョーイ・トリビアーニだ。)
ローレン: I know. I-I'm a big fan of yours. (知ってるわ。私はあなたの大ファンだもの。)
ジョーイ: (looks at her, shocked) What? ([彼女を見て、びっくりした様子で] 何だって?)
ローレン: I used to umm, schedule my classes so I could watch Dr. Drake Remoray on Days of Our Lives. (私は、デイズ・オブ・アワ・ライヴズのドクター・ドレイク・ラモレーを見られるように、自分の授業を組んでいたんだもの。)
ジョーイ: Get out of here. Really? (よしてくれよ。ほんとに?)
ローレン: Absolutely. (もちろん。)
ジョーイ: Yeah? (そうなのか?)
ローレン: Oh, but then they went and dropped you down that elevator shaft. (あぁ、でも、あの時、あなたはあのエレベーターシャフトから落とされちゃったわね。)
ジョーイ: They gave me the shaft, all right. (やつらは俺にシャフトをくれたんだよ[俺はやつらにひどい目に合わされたんだよ]。)
ローレン: (laughing) Oh, you're so funny. ([笑いながら] まぁ、あなたってすごく面白い。)

understudy は「代役」。「代役をする」という動詞としても使えます。
ローレンはジョーイのことを知っていました。
I'm a big fan of yours. は「私はあなたの大ファンです。」という決まり文句ですね。
これはこのまま覚えてしまいましょう。
ローレンは、ドクラー・ラモレーのファンだったようで、昼メロであるソープオペラを見ることができるように、自分の授業を組んでいたと言っています。
ローレンは見た目も若いので、つい最近まで学生だった、ということですね。
used to 「以前は…したものだった」という表現を使って、過去の習慣を述べています。

Get out of here! は怒った調子で言うと、「ここから出て行け!」という意味(leave)になりますし、アクションシーンでその場所が危ない時などに「ここから出るんだ!、逃げるんだ!」という意味(escape)としても使われますね。
今回のジョーイのセリフはそんな緊迫した状況ではなく、「まさか!、冗談だろ!」という意味になります。
相手があまりにも嬉しいことを言って褒めてくれるので、びっくりして信じられない、と言っているのです。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
Get out of here!: (spoken) used to say that you don't believe someone
つまり、「誰かのことが信じられないと言う時に使われる」。

フレンズ1-9その3 では、
ジョーイ: You're the best in the business. (君は、一番の売り手だったよね!)
女性: Get out! (やめてよ!)
ジョーイ: I'm serious. (俺はマジで言ってるんだよ。)
というやり取りもありました。

今回の場合も、ジョーイの嬉しそうな照れたような表情を見ていると、「出て行け!」という意味だと解釈することはないですが、「出て行け!」という意味しか知らないと、一瞬「は?」となってしまいますよね。
言葉というのは文字通りの意味ばかりではない、というのは、どの言語でも同じです。
日本語だったらあまりに相手が褒めると「よしてくれよ、やめてくれよ」などと言いますが、これも褒めるのをやめて欲しいわけではないですよねぇ。
「やめてくれよ」を文字通り受け取って、「じゃあ、今言ったことは撤回します」とか言われたらがっかりしちゃいますから(笑)、その言葉の持つ本当のニュアンスを理解しないといけない、ということです。

ローレンはドクター・ラモレーがエレベーターシャフトに落とされたシーンのことを言っています。
そのシーンは、フレンズ2-18その19 に出てきました。
ここでの they は、ドラマの番組制作者・スタッフのことですね。

そのセリフに対して、ジョーイは、They gave me the shaft. と言い、それを聞いたローレンは大笑いしています。
かなり笑っているので、何かしらのジョークを言ったのだろうと思ったら、やはりこれは shaft を使ったジョークでした。

give someone the shaft は「人をひどい目にあわせる、人をだます」。
get the shaft だと「ひどい目にあう」という意味になります。
また、動詞の shaft は「人をひどい目にあわせる」という意味です。
この動詞は get shafted という受身の形で「ひどい目にあう」という意味で使うことが多いようです。

LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) や、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、動詞 shaft や、get the shaft は載っていますが、give someone the shaft は載っていませんでした。

マクミラン英英辞典 (Macmillan English Dictionary) には、get と give の両方の形が載っていました。
get the shaft: (American English, informal) to be treated in a very bad or unfair way
つまり、「非常に悪い、または不公平な方法で扱われること」。
give somebody the shaft: (American English, informal) to treat someone in a bad or unfair way
つまり、「非常に悪い、または不公平な方法で人を扱うこと」。
the shaft を「get する」のと、誰かに the shaft を「give する」のが対照的な意味であるように、英語での語義も、be treated と、treat という風に態(たい)が逆になっていますね。

ロングマンには、get the shaft という意味しか載っていないことを考えると、最初に get the shaft というフレーズがあって、その反対の行為として、give someone the shaft というフレーズが出来たのかな?とも思います。(多分)

ということで、ジョーイは実際に、エレベーターシャフトに落とされる結末を迎えたので、その shaft という言葉を含んだフレーズの give me the shaft を使うことで、「やつらは俺にシャフト(に落ちるという罰)をくれた」と「やつらは俺をひどい目にあわせた」という二重の意味を表したジョークになる、ということですね。
ジョーイにしては、なかなか上手いジョークだと思うのですが。

それにしても、たまたまエレベーターシャフトに落とされるというシーンがあったから使えたジョークなわけですが、まさか脚本家は、いつか They gave me the shaft. とジョーイに言わせることができるように、ラモレーが死ぬ場面でエレベーターシャフトを使った、ということもあり得るのでしょうか??
もしそうなら、2-18 から、この 3-20 までそのジョークを温存していたことになりますので、ちょっとすごいなぁ、と。

ところで、最近、ちょくちょくマクミラン英英辞典も使うようになったのですが、それについて軽く説明を。
マクミラン英英辞典は、かなり前から持っていたのですが(多分、ロングマンと一緒に購入した気がします)、ロングマンがすっかり気に入ってしまった私はロングマンばかり使ってしまい、マクミラン英英辞典は本棚の飾りになっていました。
ですが、この2月に、日向清人先生のビジネス英語雑記帳 で、「英英辞典の是非、選び方など」の英英辞典に関する記事を日向先生がたくさん書いて下さいました。
その中に、(6)英英辞典:Macmillan English Dictionary という記事があり、Macmillan の長所をたくさん挙げておられたのを読んで、「そう言えば、私、マクミラン、持ってたじゃん!」ということに改めて気付き(笑)、本棚の奥からよっこらしょと引っ張り出してきた、ということです。

英和をメイン、ロングマン英英辞典をサブで使っていた頃は、「私には2つも英英辞典なんか使えないや」という感じだったのですが、今のように、ロングマン英英辞典を中心に使っていると、今度は別の英英の定義を見比べてみたくなってきます。(我ながら進歩だな、と思います…笑)
そして、上の give someone the shaft のように、ロングマンには載っていないけれど、マクミランには載っている、というものもやはり存在するのですね。
日向先生の記事を読まなければ、マクミランは本棚の中で朽ち果てているところでした。
日向先生、ありがとうございます!

複数の英英辞典を見比べてみて、その違いを面白いと思えるようになったら、英語はどんどん楽しくなりますね。
「私には英英はまだ早い」と思われる方も、折を見て、英英を使ってみて下さい。


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posted by Rach at 11:55| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんか、超高級辞書がズラリって感じやねぇ! 投資ゼロでの英語学習をモットーとしてる私はオンライン辞書専門です!携帯からも使えるし結構重宝してますよ。
でも、やっぱり家族でファミレスで食事ができる位の値段の辞書になるとなかなか手がでない言う人も多いんと違いますでしょうか。
ええ、お前が今更言うなって、ちゃんと聞こえてますよ!
Posted by FDJ at 2009年03月29日 23:33
FDJさんへ
コメントありがとうございます。

確かに超高級辞書がズラリ!って感じになってますね。
以前に教えていただいた Merriam-Webster Online Dictionary は今も使っています。ロングマンもマクミランも、online 版があるようですね。自分がすでに辞書を購入して、パソコンにソフトとしてインストールしている場合などは、やはりソフトを使ってしまうのですが。(その方が検索時間が短く済むように思うので)
でも、今はネットのオンライン辞書が充実していますので、できるだけお金をかけずに学ぼうとする場合には良い環境にあると思います。

辞書を購入しようとすると、確かにそれなりの金額がかかってしまいますよね。ただ、英英辞典は、上に挙げたような有名どころの場合は特に、その金額を払うだけの価値は十分にあると思います。オンラインで同じような情報を手に入れられるのにそれをわざわざお金を出して購入することに意味はあるのか?という問題はありますが、金額が何かしらの対価であるならば、英英辞典はその対価を払うだけの価値があるものだ、と思うのです。英語学習に関する書籍はそれこそゴマンとありますが、その情報量の豊富さと正確さを考えると、これほど有益な投資はないだろう、という感じですね。だから、良い英英辞典をお金を払ってでも揃える、ということは悪いことではないはずだと。もちろん、買ったその辞書たちを本棚の飾りにしてしまっては、せっかくの投資も無駄になってしまうのですが。私のマクミランはそうなりかけていたので危なかった…ということです(笑)。

英語学習を自分への投資だと考えて、そこに贅沢にお金を投入することに意義を見出しているような人も世の中にはいるように思います。そういう意味では、フリーのオンライン辞書を積極的に利用し、お金の投資で解決するのではない学習方法を提示することは、大変意義のあることだと思っています。
Posted by Rach at 2009年03月30日 11:34
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