[Scene: Chandler and Joey's, Chandler is baby-chick sitting.]
チャンドラーとジョーイの部屋。チャンドラーはベビーチック・シッティング(ヒヨコの世話)の最中。
チャンドラー: Okay, but this is the last time.
(singing) With a chick-chick here
And a chick-chick there
Here a chick, there a chick
Everywhere a chick-chick
(Joey enters) Chickeeeen....
(わかったよ。でもこれが最後だぞ。
[歌う] ♪ あらチッチッチッ
ほらチッチッチッ
あっちもこっちも
どこでもチッチッ
[ジョーイが入ってくる] チキ〜ン…)
ヒヨコに歌を歌ってやっているチャンドラーに笑えます。
ト書きの Chandler is baby-chick sitting. が面白いですね。
baby-sit は「子守をする、子供の世話をする」という動詞です。
ベビーシッターという言葉はもう日本語になっていますが、つまり、「ベビーシッターをする」のが、動詞 baby-sit なわけです。
今回は、baby ではなくて、ヒヨコ、つまり、baby-chick のお世話をしているので、baby-chick sit と表現しているのですね。
チャンドラーが歌っている歌は、日本では「ゆかいなまきば」として知られている歌で、英語のタイトルは、Old McDonald Had a Farm といいます。
その歌のことは、フレンズ2-21その3 のコメント欄 で教えていただいたので、よく覚えています。
その記事で、
フィービー: Hamburger? McDonald's? Old McDonald had a farm. My dad is a pharmacist.
というセリフが出てきて、その Old McDonald had a farm というのは、「ゆかいなまきば」の英語の歌詞の引用だということを教えてもらったのです。
(その英語の歌を知らなかった私は、その引用に全く気付きませんでした。)
最近では、NHK教育テレビの子供向け英語番組「えいごであそぼ」でも、何度かこの歌が流れています。
EIGOでおどろう!:スペースアルク には、英語の歌詞が載っていて、音声ファイルも聞けるようになっています。
このサイトでは、歌詞にアヒルとブタが登場していますが、ネットで歌詞を検索すると、まさにチャンドラーが歌っている chick-chick の歌詞もヒットしますので、chick もスタンダードなのでしょうね。
chick の場合だと、And on his farm he had some chicks になります。
Wikipedia 英語版: Old McDonald Had a Farm にも詳しい説明がある通り、Old McDonald は自分の牧場でたくさんの動物を飼っていて、いろんな動物の名前とその鳴き声をあてはめて歌う歌だということですね。
Translations では、Japanese もちゃんと載っています。
そこに載っている「ないてるのはひよこ」「チッチッチッ」というヒヨコバージョンが日本語の歌では一番有名でしょうか。
「あっちもこっちも どこでも」というのは、英語の歌詞の here, there, everywhere を忠実に訳したものですが、そう訳すことで、「あっちもこっちも」と「チッチッチッ」とが、チの音の連続で音的に楽しく面白い歌になる、というのがポイントなのでしょう。
そのようにとても楽しそうに歌を歌ってあげていたところにジョーイが入ってきたので、チャンドラーは恥ずかしかったのでしょうね、別に俺は歌なんか歌ってなかったぞ、みたいに、チキ〜ン…と小さな声で締めくくっているのに笑えます。
ジョーイ: Well, anyway, I gotta go change. I'm ah, meeting some of the cast for drinks. (あぁ、とにかく、着替えてこなくちゃ。俺は役者たちと飲み会があるんだよ。)
チャンドラー: Excuse me? (何だって?)
ジョーイ: What? (何?)
チャンドラー: I stayed home from work today while you were at rehearsal so somebody could be here with our chick. (お前がリハーサルに出ている間、俺は今日、仕事を休んで家にいたんだ。誰かが俺たちのヒヨコと一緒にいることができるようにね。)
ジョーイ: Hey! Who was up from 2:00 this morning until 5:00 this morning trying to get her back to sleep? (おい! 今朝の2時から5時まで、彼女(ヒヨコ)を寝かしつけようと起きてたのは誰だよ[誰だと思ってるんだよ]。)
チャンドラー: You don't think I get up when you get up? (お前が起きてる時に、俺が起きてるとは思わないのか?[お前が起きてる時に、俺が寝てるとでも思ってるのか?])
ジョーイ: Ohhh, here it comes. (あぁー、(また)それが来た[始まった]。)
チャンドラー: Yes! Here it comes! I'm stuck here all day! And then you come in and spend two seconds with us and then expect to go off gallivanting with your friends? Well, I don't think so, mister! (ああ、そうだよ! 俺は一日ずっとここから動けないんだ! そして、その後、お前が帰ってきて、俺たち[俺とヒヨコ]と一緒に2秒だけ過ごして、それから、友達と一緒に遊び回るために出かけるつもりなのか? あぁ、俺はそうは思わないよ[そんなのおかしいと思うよ]、ミスター!)
ジョーイ: Hey! I need to relax, okay? I was working all day. (おい! 俺はリラックスする必要があるんだよ、いいか? 俺は一日ずっと働いていたんだぞ。)
チャンドラー: And you don't think taking care of our chick is work? (それじゃあ、二人のヒヨコの面倒を見るのは仕事じゃない、って思ってるのか?)
ジョーイ: That's not what I said. Okay, I just meant-- (俺が言ったのはそんなことじゃない。俺はただこう言いたかっただけだ…)
チャンドラー: I know what you meant! (pause) You notice that ever since we got this chick, we've been fighting a lot more than we used to? (お前の言いたいことはわかってるよ! [沈黙] お前は気付いてる? このヒヨコを飼って以来、以前よりもずっとたくさん喧嘩するようになったって[俺たちの喧嘩が増えたって]。)
ジョーイ: I don't know, maybe we weren't ready to have a chick. (どうかな。多分、俺たちはヒヨコを買う(心の)準備が出来ていなかったんだろうな。)
チャンドラー: I'll take her back tomorrow. (明日、彼女を(店に)返してくるよ。)
ジョーイ: Do you think we'll get our 3 bucks back? (俺たちの[俺たちが払った]3ドルを返してもらえると思う?)
帰ってきてすぐ、また飲み会のために出かけようとするジョーイ。
そこに絡んでくるチャンドラーが面白いです。
一連のやり取りをみていてもわかる通り、すっかり「夫婦の喧嘩」みたいになっています。
I stayed home from work today while you were at rehearsal so somebody could be here with our chick. について。
stay home from work は「仕事を休んで家にいる」。
前から順番に意味を取っていくと、「今日は仕事を休んで家にいたんだ。お前がリハーサルに出ている間に。そうすれば、誰かが俺たちのヒヨコと一緒にいることができるから。」みたいな感じです。
ヒヨコを独りにしておくことは出来ない、誰かがそばにいてやらないといけない、だから、リハーサルに出ているお前に代わって、俺が仕事を休んで家にいてやったんだよ、と言いたいのです。
セリフを言う時、with OUR chick と our を強調していますが、俺のヒヨコでもあるけれど、お前のヒヨコでもあるんだぞ、という感じの our ですね。
Who was up の be up は、「寝ないで起きている」という意味。
「誰が起きていたか?」という疑問文は、「そうやって寝かしつけようと起きていたのは誰だよ、誰がずっと起きてたと思ってるんだよ?(それは俺だぞ)」ということです。
それに対しての返しが、「お前が起きてる時は俺も起きてると思わないのか?」
お前が起きていた時、俺だって当然起きてたさ、お前だけが起きていたわけじゃない、お前だけが睡眠時間を削って頑張ってたみたいに言うな、という感じです。
gallivant は「遊び回る、遊び歩く」。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
gallivant: [intransitive]
(informal) to spend time enjoying yourself and going from place to place for pleasure - used humorously in order to show disapproval
つまり、「愉快に過ごし、楽しみのためにあちこち行って時間を過ごすこと。disapproval (非難・不満・難色)を示すためにユーモラスに使われる。」
まさに今回のセリフでも、俺とヒヨコをほったらかして遊び回るつもり?という非難のニュアンスで使われていますね。
帰ってきてすぐに出て行くことを two seconds 「2秒」と表現しているのも英語っぽいです。
expect to は「…することを期待する、…するつもりである」。
I don't think so. というのは、ジョーイは当然のように、出て行くつもりになっている(expect to)けど、俺はそうは思わない、当然のように出て行ってもらっては困る、という感じですね。
俺は一日働いて帰ってきたんだから、後は好きにさせてくれよ、みたいなことを言うジョーイに、ヒヨコの世話は仕事じゃないって言うのか?とつっかかるチャンドラー。
完全に、子育てしている妻のセリフになっています(笑)。
実際、DVDの日本語音声(吹替)では、途中からチャンドラーは女言葉になっています。
この二人の喧嘩が夫婦喧嘩みたいである、というニュアンスを出すには、チャンドラーを女言葉にした方がわかりやすいですよね。
(私の上の訳では、あえて男性言葉のままで表現してみましたが…)
日本語では、男性言葉が女性言葉に変化したことを、語尾につく言葉(「…だわ」「…かしら」「…よ」など)で表すことができますが、英語ではそこまではっきりと区別することはできませんね。
でも、二人の英語のやり取りを見ていると、チャンドラーのセリフの言い方やその内容から、ジョーイとチャンドラーがいつの間にか、夫と妻の立場になっていることに気付けると思います。
英語で見ていて、その変化に気付けて笑えてしまうようになると「いい感じ!」だと思いますね。
ヒヨコを手に入れて以来、以前に比べて喧嘩が増えた、ずっと喧嘩ばかりしている、きっと心の準備が出来てなかったんだ、みたいなことまで言っています。
それはそのまま、「俺たちは、子供を持つには早すぎた、親になるには早すぎた」みたいな、子育ての分担をめぐって喧嘩ばかりしている夫婦のセリフそのものですね。
(Rach からのお願い)
このブログを応援して下さる方は、下のランキングサイトをクリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキング
にほんブログ村 英語ブログ
皆様の応援クリックが、とても励みになり、ブログを続ける大きな原動力となっています。心より感謝いたします。
2009年04月09日
この記事へのコメント
コメントを書く