モニカとレイチェルの部屋にレイチェルだけがいて、そこにロスが入ってきます。
レイチェルは、モニカとぶつかった時に肋骨の辺りを打ってしまい、それがまだ痛む様子。
ロス: (stopping her from falling) Okay, okay. Look, you've got to go to a doctor, okay? ([(足でアスピリンを取ろうとしてバランスを崩し)倒れそうになるレイチェルを止めて] いい、いいかい。ねぇ、君はお医者さんに行かなきゃだめだよ、いいね?)
レイチェル: No. I have got to get ready and go to a dinner at my boss's house. It's a very big deal. There's a lot of people there I have to meet. (いいえ。私は身支度して、上司の家のディナーに行かなきゃいけないのよ。とても大事なことなの。そこには私が会わなければならないたくさんの人がいるのよ。)
ロス: Yeah. I'm sure you're gonna make a big impression. "Hi, I'm Rachel Greene. It's nice to meet you." (He lifts his leg and imitates shaking hands with it, just like how Rachel was trying to pick up the aspirin with her feet.) Come on, you probably have a broken rib. (そうだね。君はきっと、大きな印象を与えることになると思うよ。「はーい、私はレイチェル・グリーンです。お会いできて光栄です。」 [ロスは脚を上げて、脚で握手の真似をする。ちょうど、レイチェルが自分の足でアスピリンを拾おうとしたように。] いいか、君は多分、肋骨が折れてるんだよ。)
レイチェル: Well, I'll go to the hospital tomorrow. It'll still be broken then. (そうね、明日、病院に行くことにするわ。その時でも、まだ、肋骨は折れたままだろうから。)
ロス: Rach.... (レイチェル…)
レイチェル: But y'know, I could use a hand getting ready. (でも、ほら、支度[準備]するのを手伝ってくれるとありがたいんだけど。)
ロス: Rachel.... (レイチェル…)
レイチェル: Look, either help me, or go. (ねぇ、私を手伝うか、それとも帰っちゃう[行っちゃう]かのどっちなの?[手伝ってくれるの? もしくはその気がないのなら帰って。])
ロス: Fine. I'll go. (結構だ。僕は帰るよ。)
レイチェル: (with a hurt expression on her face) Okay, but before you go, could you help me first? ([ケガが痛いという表情を顔に浮かべて] いいわ。でも帰る前に、まずは私を手伝ってくれる?)
ロス: (He checks his watch) Sure. I'll help you. ([ロスは自分の時計を見て] いいよ。手伝うよ。)
チャンドラー: (rushing in) Oh, good! Good! Do you guys know how to get a chick out of a VCR? ([慌てて入ってきて] あぁ、良かった、良かった! ビデオデッキからヒヨコを取り出す方法を知ってる?)
ロスが you've got to go to a doctor と言ったのに対して、レイチェルは I have got to get ready and go to a dinner と言っています。
ロスの発音は、you've GOT to go で、レイチェルの発音は、I have GOT to get ready、つまり、どちらも GOT の部分を強く発音しています。
have got to = have to で、「…しなければならない」。
ロスが医者に行かなきゃだめだよ、と have got to を使ったのに対して、そんなことより、私はこっちに行かないといけないのよ、と強調するために、レイチェルは同じように GOT に力を込めたのですね。
make an impression は「印象・感銘を与える」。
肋骨の部分を傷めて、腕が上げられないので、こんな風に足で握手をしようとしたら、みんながびっくりして、強い印象を残せるだろうね、と言っています。
rib は「肋骨、あばら骨」。
日本語にもなっているスペアリブ(spareribs)は、豚のあばら骨ですよね。
いますぐ病院に行くように勧めるロスに対して、明日行くわ、と答えるレイチェル。
It'll still be broken then. は、明日もまだ骨折した状態だろうから、という意味。
明日になったら骨折がなくなっているわけでもないから、今日は大事な用事を優先して、明日、病院に行くことにするわ、という感じです。
I could use a hand getting ready. について。
could use は「…があるとありがたい、…がぜひとも欲しい、…が必要だ」。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
could use something:
(spoken) if you say you could use something, you mean you would really like to have it
例) I could use a drink.
つまり、「you could use something と言う場合は、非常にそれが欲しいという意味」。
例文は、「一杯やりたい気分だ。」
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
somebody/something could use something:
(spoken) used to say that someone or something needs or really wants something
例) You look like you could use some sleep.
つまり、「何かや誰かが、何かを必要とする、または本当に欲しいと思う、ということを言うために使われる」。
例文は、「君は睡眠が必要なように見える[睡眠をとった方がいいように見える]。」
ですから、could use つまり「もしそれがあれば利用することができるだろう」というような婉曲表現を使って、would really like to have, need, want という強い気持ちを遠回しに表現している、ということなんでしょうね、多分。
a hand は「援助の手、手助け、助力」。
日本語でも、「手を貸して」「手伝って」という風に「手」という言葉が入るので、感覚は同じなんですねぇ。
LAAD では、
a hand: help with something you are doing, especially something that involves physical work
つまり、「自分が今やっている何かを助けること、特に肉体労働[身体を使った仕事]に関係すること。」
physical work の手伝いをする、というのがポイントでしょうね。
hand (手) と表現していることから、何かいいアイディアを出す、などの頭脳労働ではなく、実際に手を使って、手を動かして手伝うことになる、ということですね。
今回の場合も、ケガが痛くて手を動かしにくいレイチェルが、まさにロスの手を借りたいと言っていることになります。
LDOCE では、まさに今回のセリフそのままの、could use a hand の形で載っていました。
I could do with a hand/use a hand (=it would be useful to have some help)
つまり、could use a hand は、「助けがあると役に立つだろう」。
I could use a hand getting ready. の getting ready は分詞構文なのでしょうね。
恐らく、I could use a hand when I get ready. ということで、「私が準備する時に、助けがあるとありがたいわ。」みたいなことでしょう。
get ready は「支度・準備・用意・身支度をする」。
フレンズ3-2 は、ファンに人気の高い、フレンズらしいドタバタエピソードなのですが、その原題が The One Where No One's Ready 「誰も準備できてない話」でしたね。
no one's ready = no one is ready の ready も、今回と同じ身支度の準備のことです。
医者に行くのを勧めるくらいなら、身支度をするのを手伝って、と言うレイチェルですが、ロスは口ごもっています。
それで、レイチェルは、either A or B を使って、help me するのか、go するのかどっちなの?と強気な発言をします。
「手伝う気があるなら、さっさと手伝って、そういうつもりがないのなら、とっとと帰って。」みたいなニュアンスです。
で、そんな風にきつく言われたので、怒った調子で、Fine. 「君がそう言うのならそれで結構だ。勝手にしろ。」みたいに言ってロスは出て行こうとするのですが、それを見たレイチェルは急に弱気になります。
さっきは、手伝うか帰るか、という二者択一を迫ったレイチェルですが、今度は、「帰るなら帰ってもいい、でもその前に手伝って欲しい」と言っています。
さっきのように命令形の二者択一ではなくて、Could you という丁寧な依頼表現も使っていますね。
本当に着替えられなくて困ってるから、そんな風に怒って出て行かずに手伝ってよ、という本音が見えます。
(解説は省略しましたが)ロスは The Discovery Channel (ディスカバリー・チャンネル)にパネリストとして出演することになり、テレビに出られると大喜びしているシーンがエピソードの前半にありました。
チャンドラーとジョーイにはそれを説明したのですが、レイチェルとモニカにはそれを説明する前に、着ていく服をバカにされて、結局、テレビ出演のことはレイチェルは知らないまま、という状態です。
ロスは出演時間が迫っているのを気にして時計を見たのですが、レイチェルの痛そうな顔、そして下手(したて)に出て頼んでいる姿、本当に困っている様子を見ると、元恋人としては放っておけないようですね。
そんな風にロスの優しさがチラリと見えたところで、どどどと駆け込んでくるチャンドラーが面白いです。
VCR は video cassette recorder の略で、「ビデオカセットレコーダー、ビデオデッキ」。
フレンズ2-14その9、フレンズ3-6その16 にも、VCR という単語が登場しています。
このセリフは、COMMERCIAL BREAK 前のジョークとして使われているだけで、実際にこの後、VCR に入り込んでしまったヒヨコを取り出すシーンなどは出てきません。どうやって取り出したか、見たかったんですが(笑)。
ちなみに、フレンズのずーっと後のシーズンのエピソードで、ヒヨコが「あるもの」の中に入り込んでしまって取り出せない、という話が出てきます。
今回のチャンドラーのセリフがアイディアとして残っていて、実際にエピソードのワンシーンとして使われたのだとしたら、面白いなと思いました。
(Rach からのお願い)
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2009年04月11日
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