2009年04月19日

誰のナンバー2? フレンズ3-22その1

シーズン3 第22話
The One With the Screamer (レイチェルの勘違い!)
原題は「叫ぶ人の話」


ジョーイ: Uh, listen, I gotta double-check for tickets tonight. Who-who got what? (ねぇ、聞いて。今夜のチケットを念のために再確認しないといけないんだ。誰が何枚だったっけ?)
チャンドラー、フィービー&レイチェル: I have one. (俺・私は1枚。)
モニカ: I need two. I'm bringing Pete. My boyfriend. I have a boyfriend now. (私は2枚。私はピートを連れて行くの。私の彼[恋人]よ。今、私には彼がいるの。)
ジョーイ: Two it is. Ross, how about you? (2枚ね。ロス、お前はどうなの?)
ロス: Uh, yeah, I ah, I also need two. (うーんと、そうだな。僕は、あの、僕も2枚要るんだ。)
モニカ: Really? Who's number two? (本当? ナンバー2は誰?)
チャンドラー: Whose Number Two? One of the more difficult games sewer workers play. (誰のナンバー2か、って? 下水道で働く人がやる、最も難しいゲームの一つだな。)

double-check は、「二重のチェックをする、念のために再度、点検・確認する」
ここでは、はっきりとは言っていませんが、ジョーイが数を確認しているのは、ジョーイが出演するお芝居のチケットです。
以前に一度、何枚要るかを尋ねたことがあるのでしょうね。
芝居は今夜で、直前になって枚数の変更がないかどうか再度確認している、ということです。
Who got what? は、「誰が何を got するか」みたいな感覚で、漠然とした表現ですが、誰が何枚必要か、ということですね。

モニカは、前回の 3-21 で、ピートとキスをし、二人は恋人同士になります。
彼氏いない歴が長かったモニカなので、お芝居に彼同伴で行けるのがとても嬉しそう。
レイチェルと別れ、独り身であるはずのロスですが、2枚必要だと言うので、みんなはびっくりします。
前回の 3-21 のラストで、元恋人同士のロスとレイチェルの距離が縮まった感じになっていたので、レイチェルもそれを聞いてハッとしています。

モニカの、Who's number two? は、Who is number two? で、「2枚必要って言うのなら、その2番目の人、ナンバー2(number two)は誰なのよ?」という質問です。
それを受けて、チャンドラーは Whose Number Two? と言っていますね。
ネットスクリプトでは、モニカの質問をオウム返しした形で、Who's number two? と書いてありますが、DVD英語字幕では、Whose Number Two? になっています。
ここでは、Who's が、Whose に変わっていること(どちらも聞いた時の音は同じ)、そして、各単語の最初が大文字になっているのがポイントです。

先に、後半の One of the more difficult games sewer workers play. の方から見てみましょう。
sewer は「下水道、下水管」で、発音は「スーアー」という感じです。
また、「(布など)を縫う」という意味の sew という動詞があり、sew する人という意味で、sewer は「縫う人、裁縫師、お針子」という意味にもなります。この場合の発音は「ソウアー」です。

チャンドラーのセリフは、sewer ではなく、sewer workers と言っているので、裁縫師ではなく、「下水道で働く人」のことですね。
そういう「下水道で働く人がやるゲームのうち、最も難しいゲームが、Whose Number Two? だ」とチャンドラーは言っていることになります。
ゲームの名前なので、単語の頭が大文字になっているのです。

そして、Who's ではなくて、Whose となっているのは、「誰がナンバー2か?」ではなく、「誰のナンバー2か?」ですね。
number two は「うんち、大便」で、特に子どもに対して使う表現です。
number one は「おしっこ、小便」。
number one と number two については、ナンバー1とナンバー2 フレンズ3-5その24 で詳しく説明しています。
フレンズ3-8その17 のセリフにも、登場しました。

ということで、下水には、トイレからの汚水が流れてきているので、そこにはたくさんのうんちがある、それが誰のものかを当てるゲームは超難しい、だから、「誰のうんちか?」というゲームは、下水が流れているところで働いている人にとって、一番難しいゲームの一つだよね、とチャンドラーは言っているのです。
あぁ、なんともきったなぁーいジョークでした(笑)。
そういう下品なジョークだったので、ジョーイは口をへの字に曲げて、いやーな顔をしているのですね。

上にも書いたように、そういうものを number one, number two というのは主に小児語なのですが、フレンズたちは「子供がそのまま大人になったような人たち」(よく言えば「いつまでも子供心を忘れない大人」?)なので、ナンバー1とかナンバー2という言葉を聞くと、必ずそっち方面のジョークを言わずにはいられないのですね。
上に挙げた過去記事、フレンズ3-5その24 でも予告した通り、今回で、この「number 1, number two ジョーク」は3回目になります。
フレンズをずっと見ていた方なら、sewer という単語を知らなくても、number two という単語から、また「うんち」ネタだな、と気づいたかもしれませんね。
それ系のジョークだとわかればそれでいい、ということです。
彼らは友達同士だから、こんなジョークを言っていますが、親しくない人には、この手のジョークは言うべきではないですね。
また、number one, number two みたいな言葉も、小児語とは言え、ダイレクトに「そのもの」を指す言葉ですから、見識ある大人の会話で使われる単語ではないでしょうね。


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posted by Rach at 08:34| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさん、こんにちは。number oneとnumber twoに反応してしまったフレンズの主人公たちと同レベルの30過ぎのおっさんです(汗)しばらくコメント控えようと思ったんですが、このスラング、僕のお気に入りのひとつだったもので。。。

Rachさんのような麗しき女性に対して汚い話で恐縮ですが、このアラビア数字が(ぶっちゃけ1と2ですが)どちらも男性が用を足すときのシルエットに近いんですすよね。ですから、日本では「きじ打ち」や「花摘み」にあたると思います。(僕はどちらも使ったことがありませんが)スラングは確かに下品なものが多いんですが、イメージあふれるものが多く楽しいし、語感をつかみやすいように思います。外国語学習もイメージが大事ですから。

好きな飲み物はと聞かれて「カルピスが1番!」と答えたら、ネイティブにはCow piss is Number 1.と聞こえて困った顔をされたという笑い話を思い出してしまいました!
Posted by Yuta at 2009年04月19日 09:53
こんにちは。今回のエントリーはぼくの在米経験に絡むないようなのであまり中身はないですが、細かいコメントを残させていただきます。

whose/who's や its/it'sに関しては日本人の上級者とアメリカ人とどっちがこのミスをするかというと明らかに後者でしょう。number one/twoは、昔、アメリカの高校で日本語を教えていたときに生徒が使っていました。

sewer は、アメリカ英語なら「スーワー」でいいんじゃないでしょうか。LAADでは、母音は/u/になっていますが、アメリカ式の発音記号では、/uw/を使う学者たちもいます。彼らは、/aU/ /oU/ じゃなくて /aw/ /ow/と表記します。

すると、powerも「パワー」のままなんで日本人には助かる上に実際のアメリカ発音にも近いと思います。「パウア」とやろうとするとかえっていいにくく英語らしくならなかったりします。

留学してたころPhonologyの授業で厳しく女の先生に指導されたので、こんなコメントを残しましたが、最近サボっているのでぼく自身の発音はあまりうまくないので、日々のトレーニングに努めることにします。

おまけですが、アメリカではカルピスは、上(↑)のYutaさんのコメントにあるような事情からかCalpicoという商品名で売られていますね。

今後ともよろしくお願いします。
Posted by outrageous2007 at 2009年04月19日 15:35
Rachさん、連投恐縮です。number one/twoのことを今日いっぱいいろいろ考えてしまったので。。。

モニカ:Who's number two? (ナンバー2は誰?)
チャンドラー:Whose Number Two? (ふん張ったのは誰かって?)

このように訳せば、少しはやり取りのおもしろさが伝わるのかなあと思ったので、書き込んでしまいました。(「一日中考えた結果がこれかよ!」というつっこみが聞こえてきそううですが)
いやああ、ドラマや映画の翻訳家の方々って大変ですね。
Posted by Yuta at 2009年04月19日 23:17
Yutaさんへ
コメントありがとうございます。
number one と number two って面白いスラングですよね。いちいち単語カードで覚えなくても、これは一度聞いたら絶対に忘れないスラングだと思います(笑)。

逆に私は「きじ打ち」や「花摘み」という言葉の方を知りませんでした。気になって調べてみたら、ウィキペディアのある項目に、その言葉が載っていました。(ちょっとリンクははりにくいのですが…笑)
アラビア数字の 1 と 2 が、シルエットのことだとは気づきませんでした。私は何となく、トイレにいく用事の頻度を考えると、頻度が高い方が「小」だから、「1番目の用事を済ましてくる」みたいな感覚なのかなと思っていました。英英辞典で、Etymologies (語源)を調べてみたのですが、意外と載っていなくて…。

おっしゃるように、スラングは下品なものが多いですが、そういうものこそ、多くの言語に共通する感覚がありますよね。相手を問わずに話せる内容でもないですが、英語を学んでいる者同士なら、笑い話として楽しめますね。そういう言葉こそ、使い方に気をつけないといけないわけで、知識として知っておくことは大事ですし。

それから、number two の部分の訳のアイディア、ありがとうございます。
私の上の記事では、ナンバー2=うんち、であることを書いていませんね。その意味を知っている人でないと笑えないことになってしまいます。
こういうダブルミーニングの場合は、日本語字幕にルビをふることも多いですね。ナンバー2の上に「うんち」と書いておくと、読んだ人は、「あぁ、英語のナンバー2にはそういう意味があるんだな」とわかる仕組みです。

このダブルミーニングの面白さを、吹替という音声で表現するのは難しいですよねぇ。
Yutaさんバージョンは、「ナンバ(ー)」と「ふん張(った)」、つまり、「ナンバ」と「ふんば」で韻を踏んでいるので、音的にも良い効果が出ている名訳だと思います。
私も Yutaさんの訳を見た後、ずーっと考えていました(笑)。

第1案
「二人目(ふたりめ)の人は誰?」「ふん張ったのは誰かって?」
(最初の「ふ」だけ同じ…笑)

第2案
「第二の人物は誰?」「大をした人物は誰かって?」
(「第」と「大」)

まぁ、私の案の良し悪しはともかく(笑)、オリジナルと同じタイミングで笑わせるような日本語訳をつけるのは、実に大変だと思います。今回のセリフも、number two にそういう意味があることを知っていて、フーズという音には、who's と whose のスペルが可能であることをわかっていれば、英語の達人でなくても英語のまま笑えるジョークになると思います。ちょっとした知識のあるなしが、笑えるか笑えないかを決めてしまうわけで、日頃からアンテナを張って、いろんな情報を仕入れておくことも大事かな、と思いました。
カルピスの件については、最後にまとめレスにさせていただきますね。


outrageous2007さんへ
コメントありがとうございます。
今回の場合は、モニカが who's と言ったのをとりあえずそのまま受けた、ということだと、チャンドラーのセリフを who's と書いたことは必ずしも間違いではないのかもしれません。
こういうダブルミーニングの場合は、どう表記するかも難しいところですよね。

おっしゃるように、ネイティブの方でも、whose/who's などのミスはよくあるようです。ネットスクリプトを見ていても、your と you're の混同を時々見かけます。そういうミスは日本人の方が逆にびっくりしてしまいますよね。フレンズのシーズン4でも、そういうスペルミスの話が話題になることがあり、「そんな間違いあり得ないんじゃあ…」と思っていたのですが、実際ネットで英語を見ていると、結構頻繁に見かけるので驚きます。

また、発音についてのご意見ありがとうございます。
私は、研究社 新英和中辞典の発音記号をカタカナに直してみたのですが、w の音がなかったので、「スーアー」と書いたみたいです。でも、アメリカで実際に Phonology の授業を受けられた経験では、日本人が読みやすい「スーワー」でいい、ということなんですね? power も「パウア」だと思い込んでいたのですが、辞書ソフトで音声を聞いてみると、確かに「パワー」の方が近い感じがします。


(お二人へカルピスの件でまとめレス)
カルピスと CALPICO の話は大変興味深いです。私はその話、初耳だったので勉強になりました。
pis という音は、piss を連想させますものね。フレンズによく登場する I have to pee. の pee も、piss という卑語の最初の文字を取ったものですよね。卑語と同じ音が飲料の名前に使われるのはまずい、ということなのでしょう。商品はイメージが大切ですから。

お二人とも、貴重な情報、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2009年04月21日 13:40
フレンズ勉強法採用者の者です。
いやぁこれは難しいですね。
大きな謎が解けてスッキリしました。
ありがとうございます!
Posted by でらこ at 2018年07月11日 16:51
でらこさんへ
コメントありがとうございます。
今回のナンバー2 のジョークは、実にフレンズっぽい、チャンドラーっぽいものだと思います。

「大きな謎が解けてスッキリ」と言っていただけて良かったです^^
こちらこそコメントありがとうございました!
Posted by Rach at 2018年07月12日 17:35
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