ジョーイが出るお芝居の初演(Premiere)。
レイチェルはトミー(Tommy。演じるのはベン・スティラー)、ロスはケイリン(Cailin)という相手をそれぞれ連れて来ています。
4人がぎこちなく挨拶した後、ロスとトミーは自分の席を探しているところ。
ロス: Okay. (sees two people sitting in their seats.) Uh, huh. Excuse me. I'm sorry. I-I think you may be in our seats. (さて。[ロスたちの席に二人の人物が座っているのを見て] あの、すみません。申し訳ないんですが、あなた方が(座って)おられるのは僕らの席だと思うんですが。)
男性: Oh, no, I don't think so. (いいや、違うと思うけど。)
トミー: Could-could we take a look at your ticket? (あなたのチケットを見せていただいてもよろしいですか?)
男性: Sure. (Hands him the ticket.) (もちろん。[彼にチケットを渡す])
ロス: (looking at ticket) Yep! Yeah, see this says, "D-13," and uh.... ([チケットを見て] やっぱり! ほらここに D-13 って書いてある。だから…)
男性: Oh, well, I thought that ah-- (おぉ、そうか。私は(思い込んでいたんだよ)…。)
トミー: Oh, you thought, huh? Yeah, well, that didn't really work out too well for you, did you, idiot! What are you, a moron? Huh? It says, "D-13"! Okay? Look, you're surrounded by even numbers! Does that give you some clue? (あぁ、そう思ってたんだな! それがあんたの思い通りにはならなかったんだな、そうだろ、このおバカ! あんたは何者だ、アホなのか? あ? D-13 って書いてあるだろ? 見ろよ、あんたは偶数の席に囲まれているんだぞ! それがヒントにならないのか?[それでもピンと来ないのか?])
男性: Uh, the usher told us to come-- (あー、案内係が(ここに)来るように言ったから…)
トミー: Oh! Oh! The usher must be right! What, with all that training they go through! Get out! (They start to leave.) Here! (He throws him back his ticket.) (to Ross, calmly) Hey, man, you want the aisle? (おーおー! 案内係は正しいに決まってるからな! ほら、案内係が受けるあのトレーニングがあるからね! どけよ! [二人は立ち去る] ほら受け取れ。[トミーは男性にチケットを投げ返す] [ロスに対して穏やかに] ねぇ、君は通路側の席がいい?)
ロス: No, I'm good. (He sits down, stunned.) (いいや。僕はここでいい。[ロスは呆然として座る])
自分の席に座ろうとしたら、そこにすでに誰かが座っていたということ、よくありますよね。
最初の方のセリフは、そういう場合に、どんな風に声をかけるか、の良い例になっていると思います。
I'm sorry. I think you may be in our seats. は、最初に I'm sorry. と言っておいて、「あなたは僕たちの席にいるかもしれない、って僕は思うんですが」と言っています。
相手が間違えて座っていると決め付けずに、「僕はそう思うんですが」と言うことで、席を間違っている可能性を相手にやんわりと伝えることができます。
ところが、相手はここが自分の席だと信じ切っているようで、「そんなことないでしょ。」の一言で済まそうとします。
そこでトミーが、Could we...? という丁寧な依頼表現を使って、チケットを見せて下さい、と頼みます。
そして、チケットの座席番号を確認したところ、ロスたちが思っていた通り、男性が席を間違えていたことがわかるのですが…。
男性が「私はてっきりこの席だと思い込んでて…」みたいなことを言おうとした途端、それまで穏やかだったトミーが突然、キレ始めます。
idiot! の部分は特に大声を張り上げていますね。
that didn't really work out too well for you について。
work out には「(問題が)解ける」「(計画などが)(うまく)いく」などの意味があります。
well のような様態の副詞を伴う場合は、work out well の形で「うまくいく」と訳される場合が多いので、今回の work out (too) well も、「うまくいく」のニュアンスで解釈すべきかな、と思いました。
too は「あまりに…すぎる」という過剰な感じを意味するので、that didn't... の文章は、「あんたにとって、あまりにうまくいきすぎる、というほどのことはなかった」というニュアンスになるでしょうか。
別人の席に居座ってバレないまま最後まで見終えることを、トミーは「うまくいきすぎること」だと言っているようで、そんなふうにはうまくことが運ばなかったみたいだな、と言いたいようです。
idiot も moron も「ばか、まぬけ」という意味ですね。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
idiot: [noun] [countable]
a stupid person or someone who has done something stupid
例) It was all your fault, you idiot.
つまり、「愚かな人、または愚かなことをした(ばかりの)人」。
例文は、「全部お前のせいだったんだ、このバカ。」
moron: [noun] [countable]
(informal not polite) a very offensive word for someone who you think is very stupid (synonym: idiot)
例) Don't leave it there, you moron!
つまり、「(インフォーマルで、礼儀正しくない) 非常に愚かだと思う人に対して使う、非常に侮辱的な言葉。同義語 idiot」。
例文は、「そこに置いてちゃだめだ、このバカ!」
どちらの例文にもあるように、文章の最後に、you idiot, you moron のように「このバカ!」という感じでくっつけることが多いように思います。
どちらもむやみに使うとトラブルの元になる言葉ですが、ロングマンの語義を見ると、a very offensive word とあるので、moron の方が度合いがきついようですね。
Look, you're surrounded by even numbers! Does that give you some clue? について。
even number は偶数。奇数は odd number になります。
clue は「解決の糸口、ヒント」。
「あんたは偶数に囲まれている。そのことがあんたに何かのヒントを与えないのか?」とトミーは言っていることになります。
彼のチケットの座席番号は、D-13、つまり奇数であることを考えると、奇数の席が偶数に囲まれることはありえない、というトミーの発言から、座席は偶数は偶数ばかり、奇数は奇数ばかりで集まっている、ということになりますね。
実際、トミーの言う通り、アメリカなどの外国の劇場の座席は、日本の座席番号とは異なり、奇数エリア、偶数エリアに分かれているそうです。
その件について上手く説明されているサイトを、以下に二つご紹介します。
あっとニューヨーク: ミュージカルのチケット手配: よくある質問とその回答
では、以下のQ&Aが載っています。
「隣席希望ですが、手配してもらった座席番号が一つ飛びになっています」
という質問に対して、
「お席はお隣同士でございます。これは、劇場の座席番号が、ブロックごとに奇数・偶数と分けられている場合があるためです。」
という回答です。
また、
ブロードウェイの劇場の座席について
というサイトでは、劇場の座席番号についての説明が図解入りで載っており、
「左側のブロックは通常、奇数(Odd)、右側のブロックは通常、偶数(Even)だけを使用しています。」
という説明があります。
上記のサイトでの説明通り、座席は奇数ブロック、偶数ブロックに分かれているため、周囲の座席が偶数であれば、奇数番号のチケットを持っている人の席がここにあるはずはないので、そこで気付くはずじゃないか? そんなことも気付かずに、のうのうとここに座っていたのか、と、トミーは相手を非難している、ということです。
アメリカのミュージカルを見に行こう!という海外ツアーもあったりしますので、この座席番号の仕組みについては、ご存知の方も多かったかもしれませんね。
自分で「あれ、隣席のはずなのに番号が飛んでるぞ!?」と思った経験があれば、そういうことはなかなか忘れないものですから。
私は、このエピソードをDVDで初めて見た時に、「へぇ、アメリカでは、奇数、偶数ごとに座席が分かれているんだぁ…」ということを知りました。
まさにこのトミーのセリフが clue となって、その仕組みに気付いたわけです。
あまりにポンポン言われるので、男性の方も何か自己弁護しようとして、今度は、the usher 「劇場の(座席)案内係」がここを案内したから、と言います。
それに対して、またすごい剣幕で文句をつけるトミーがすごいですね。
must という「当然の推定」を表す助動詞を使って、「そりゃ、案内係は正しいに違いない。正しいはずだよな。」と言っています。
with all that training they go through! の with は「…があるから」と、その人(案内係)に、そういう経験が付随しているイメージでしょうか。
「案内係が経験すべき全てのそういう訓練・トレーニングを彼らはやってきたんだからね。」というニュアンスで、案内係は、人に案内をするためにトレーニングを積んでいるんだから、正しくて当然だよね!と言っていることになります。
もちろん、それは皮肉で、実際には案内係と言っても、厳しい特殊な訓練を受けているはずはないですよね。
トミーが本当に言いたいことは、「案内係といっても、すごい訓練を受けているわけじゃなくて、間違いだってするんだから、「案内係が言ったから」というのをもっともらしい言い訳に使うな、案内係がそこを案内したとしても、自分は自分できちんと確認しろ!」と言いたいのです。
「案内係が…」と言った相手に対して、「案内係なんかあてになるもんか。大した訓練も受けてないのに。」と言うところを、「あぁ、案内係は間違いないもんな。あんなすごい訓練も受けてきたわけだし。」みたいに言っているところが、なんともイヤミなわけです。
男性たちを追い払った後、穏やかな調子に戻ったトミーは、通路側の席がいいかどうかをロスに尋ねています。
トミーのあまりの豹変ぶりに、ロスはただびっくりした顔をして、I'm good. と答えるのが精一杯という感じですね。
(Rach からのお願い)
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ってこれだけで終わると怒られるので妄想を。
今回のメイン(?)のトミーのせりふについて。正直「怖いな!」という印象があっただけで、詳細(言い回しや強弱)は全く覚えていませんでした。なので、スクリプトからの解釈とRachさんの訳がだいぶ違って、「なるほどなぁ」と感心させて頂きました。
で、恥は平気なので勘違い解釈を暴露。
軸のセンテンスはもちろん↓
that didn't really work out too well for you
で、前後の文章を考えながら分解・分解・分解。
考えたのが
前)Oh, you thought, huh? Yeah, well,
→ wellで「そんならさ!」っていう感じは見えるが、
「目論見があった」というところまで言及する気は無い?
後)Huh? It says, "D-13"! Okay? Look, you're surrounded by even numbers! Does that give you some clue?
→ 勘違いしたことを「バカ」だと言いたいだけ?
この前で「勘違いって言うわけ!?(嘘つきよばわり)」という論理ならば、
ここでこういう話にすると論理(順序)の逆転が起こる。
「怒っている=論理が飛ぶ」と「トミー=理路整然と怒るキャラ」という
2つの考え方のどちらを取るかは難しいですが。
という感じです。
で、これをオカズにして、メインの文章は「too」に主眼を置いて考えました。「too=(基準点を越えて)悪い」という感覚。
ところがこの場合、私には基準点がとても分かりづらく。Rachさんも苦労されたのかな?
私の解釈は「基準点=彼が一生懸命考えてできること」としました。そうすると、work out too well は「彼の能力を越えて上手く行く」となります。そこで私の訳(意訳)は
that didn't really work out too well for you
直訳 → (席探しにおいて)あなたが考えて行動したことは、
通常以上に上手くいくことはなかったのね!
意訳 → あなたみたいなバカは、チケット通りに正しい席に
着くことにすら奇跡が必要なのね!ははっ!
(ひどい表現でほんと申し訳ないです・・・)
となりました。
どう?すごいとびっぷりでしょう?(笑
実際に音を聴けば、Rachさんの訳が正しいはず。それは明らかですよね。何より、前後のつながりがRachさんの訳の方がきっちりはまりますから。
やっぱり言葉って難しいですね。
逆に言えば、しゃべる時は気をつけようと、再度感じました。
ちなみにmoronは初めて聞きました(DVDを見た時も聞き取れていない)。
「聞いたことがない=言われたことがない」ということで喜ぶべきところでしょうか!?
コメントありがとうございます。
too well の too がやっぱりひっかかるんですよね。that はその前の You thought を指していて、「そう思い込んでいたこと」だと解釈したんですが、そのセリフを言った時点で「あんたのそういう目論見は思ったほどには上手くいかなかったようだね」とまで解釈してしまうのは、ちょっと行き過ぎだったような気がしてきました。
ただ単に、「あんたはそう[自分の席だと]思ってたようだけど、それは失敗だったようだな。実際には大間違いだったな。」と、思い込みが間違っていたことを言っているだけかもしれません。トミーは席を間違ったことを怒っているだけであって、「そのままそこにまんまと居座って…ってたくらんでただろう?!」みたいなことを言いたいわけではない、という気が今はします。work out well というフレーズが「成功する、うまくいく」という意味でよく使われるので、その「成功する」という日本語に私が引っ張られすぎたのかも。
これが、That didn't really work out well. なら、「それはあまりうまくいかなかった、あまり良い結果とならなかった」で、「そこが自分の席だと思った、というあんたの考えは、結局は外れていたわけだね」みたいな感じになるでしょうか。well が too well となっていることと、for you があることで、「その結果があなたにとって度を過ぎてうまくいくことがなかった」となり、度を過ぎて、というのは、「間違った考えが正しいものになること」ということを指しているような気もします。「あなたはそう思っていたようだけど、その間違った考え方が正しくなるほど、あなたにとって、ことは上手く運ばなかったようだね。」みたいな感じでしょうか。
でもどりあーぐるれいさんの解釈もなるほどなぁ、と思うんです。「あなたの頭では、間違った席に座ることが精一杯だったんだね。」みたいな感じですよねぇ?
moron は、私がざっと検索してみたところ、フレンズではこのエピソードで登場したのが初めてで、この後のエピソードではあと3回ほど出てくるようです。
moron という言葉は、stupid や idiot ほど、音的な激しさが感じられない気がして、そういう意味だと知っていないと、あまり意識せずに聞き逃してしまいそうな気がします。言われたことがないことを喜ぶべき言葉ですね(笑)。
英語学習歴など似ているところがあり、英検に関する記事は何度も拝見し、参考にさせていただきました。
英検1級も縁遠いものと思って興味がなかったのに受験する気持ちになったのもRachさんブログがきっかけです。ありがとうございました!(お蔭さまで合格できました。)
もちろん「シットコムで笑え!楽しくきわめる英語学習法」も拝読しました(^^)私には根気がないので、なかなか何度もDVDを見ることができないのですが、楽しみながら勉強することにとても共感します。
ところで、記事で取り上げられたフレーズ、サラッと読み流したのですが、よく見ると引っかかる文章で難しいですね。
Oh, you thought, huh? Yeah, well, that didn't really work out too well for you, did you, idiot!
最初、thatが前の文章を受けて、「“思った”なんて言い訳がそんなに都合よく通じるわけがないだろう、この間抜け!」と言い訳がwork outしないと思ってしまいました。
Rachさんのご説明を読んで、「(自分が正しい席に座ってるとの思い込み通り)そんなにあんたに調子よく事は運ばないんだよ」といった意味かと勘違いに気付きました。tooはnotと組み合わさって使われてveryと同じ意味合いですよね。(もし的の外れたことを書いていたらすみません!)
ここまで考えながら書くだけで、とても時間がかかりました!Rachさんはいつも細やかな解説をされてすごいなと思います。
勉強になります。
さて、問題のフレーズ。そこまで考えなくてもいいんでしょうが、考え出したらとまらない性格なので。。。
私は逆に for you があることで、Rachさんの解釈が正しいじゃないかなぁと感じました。私の解釈だと、for you があっても無くても同じかな?と。
1つ考えたのが、ここが too well じゃなく so well だったらどうなるだろう?ということです。単に調子が弱くなるだけでしょうか?悩みます。
この言い方のもうひとつのポイントって多分 reallyにあると思うのですが(こういう使い方がなかなかできなくって歯がゆい)、このreally に引っ張られて、too well になってるのかなぁと。で、最後の did you, idiot でパンチアウト(笑
で、そういうの全部とっぱらうと、
Well, that didn't work out so well for you.
としちゃってもいいのかな?と、。
そしたら、るばとさんの最初の解釈が一番正しい気がしてくるんです!
あー、謎は深まるばかり(苦笑
moron は、もしかしたら流行り言葉だったりするんでしょうか?次回出てきた時に覚えてたら、もうちょっと調べてみよう。
主人公のRebaが、元夫に現妻(つまり自分と離婚した原因)のどこがいいの?と訊きます。「彼女は、何でも出来るみたいなんだけど、朝食のトーストをいつも失敗しちゃうんだ。僕がトースト作ると、heroみたいな気分にさせてくれるんだよ」と、やや遠慮がち、やや照れくさそうに語って出て行く彼。
見送って、苦笑い。どんなしおらしいことを言うかと思いきや、Rebaがつぶやきます。「What kind of a moron can't make a toast?」Sitcomお決まりの録音の笑いがかぶさります。
彼女がたぶん、長年の生活で少し自分の思いやりが薄れてたんだなぁと気づかされ、同時に悔しくて悪態をつかずにはいられない、そういうとこです。敢えて私の第一言語である大阪弁に訳すると、moron=アホぼけカス(三つセット)かなぁ。元夫の今の嫁に対するののしりの言葉、やから、かなり最上級にoffensiveな部類と思っておいて差し支えないのでしょう。
面と向かって一生言われることがないように、穏やかな人間関係を築きたいものです。
はじめまして! ご訪問&コメント、ありがとうございます。また、拙著を読んで下さったとのこと、誠にありがとうございます。とっても嬉しいです。
英検1級にも合格されたのですね。おめでとうございます。私が英検について書いた記事が何かの参考になったのであれば、大変光栄です。
セリフの解釈について、一緒に考えていただき、ありがとうございます。難しい単語であるほど意味が限定されるので、辞書で意味さえ調べれば解釈もわりとすんなり行くのですが、こんな風に単語は全部知ってるものばかりなのに、どこか表現が漠然としていて、具体的に何のことを言っているのかがわかりにくい、という文章が実は一番のクセモノなんですよ。
that を「言い訳」だとすると、るばとさんの解釈はとても自然ですよね。私が上のコメントで書いたものが正解であるとは断言できないので、るばとさんの解釈が正しい可能性も大いにあります。
トミーの話の流れは、問題のフレーズを「・・・・・」として伏せてみると、「あんたはそう思ってたんだな。・・・・・、この間抜け! お前はバカか? D-13 って書いてあるだろ。偶数席に囲まれてるし、それでも気づかなかったのかよ?」という感じですね。ですから、「・・・・・」に入りそうなのは、「そう思ってた、っていくらあんたが主張したって、実際は違ってたんだよ。」みたいな内容でしょうか。
そんな流れを頭で意識したこともあって、「ところがどっこい実際は違ってたんだよ」というニュアンスで、るばとさんが書かれたような「そんなにあんたに調子よく事は運ばないんだよ」みたいなことなのかなぁ、と思った、という感じです。
not too は、not very と同じで、「あまり…ない」という意味になりますよね。今回の場合は、really と too という強調の副詞が二つ入っているのですが、not really かつ not too のように、両方にかかっているのかどうかがよくわかりません。私の上のコメントでは、work out too well for you を not really で部分否定している感じに訳しています。「あなたにとって、well すぎるように work out する」ってことはあまりなかった(not really)みたいな感じです。
否定語と強調語を取っ払ってしまうと、That worked out well for you. 「それはあなたにとってうまく行った」になるでしょうか。それをなんとなく否定する感じで、not really が入っているとすれば、too までつける必要もないように思うので、too は not と関連付けずに、That worked out too well for you 「それはあなたにとってうまく行き過ぎた」を not really で否定した、という感じなのかな、と思ったりします。考えているうちによくわからなくなってきましたが…(笑)。
貴重なご意見ありがとうございました!
ほっとあーるぐれいさんへ
too well と so well の違いは、どちらも強調のニュアンスで very に近いけれど、やはり、too には、LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) で言うところの、
too: more than is acceptable or possible
という「度を越えた」ニュアンスがある気がしますよね。ですから、so ではなくて、too を使っていることには何か意味がある、と思いたくなるわけです。
おっしゃるように、全部とっぱらうと、Well, that didn't work out so well for you. としちゃってもいいような気もしますし、実際、そういう意味なのかもしれませんが、not という否定語と結びつけることの可能な、really と too の2つが登場していることは、「really に引っ張られて too well になっている」というよりも、not really とは別の次元で、too という言葉を使っているような気がしてしまうんです。それで、上のるばとさんへのレスに書いたような解釈を考えてみたわけですが。正直、よくわかりません。引き続き考えてみて、また何か思いついたら書きます。
moron は「はやり言葉」ではないような気がします。フレンズ以外でも聞いたことある気がしますし、あまり珍しい単語だという気はしないんですよ。LDOCE の Word origin で調べると、
Word origin for moron
Date: 1900-2000
Language: Greek
Origin: moras 'of low intelligence'
とありますので、古い言葉でもないけれど、それほど新しい言葉でもない、という感じですね。
おちかちゃんへ
moron の使用例を教えてくれてありがとう!
「トーストを作れないってどんなおバカよ?」って感じでしょうか。moron という言葉を使って、元夫の妻をののしらずにはいられない、という気持ちなのでしょうね。
私も moron という言葉は、「かなり最上級にoffensiveな部類」だと受け止めました。そういう言葉を、ただ席を勘違いしていただけの見ず知らずの人にぶつけるトミーという人の怖さがよくわかる、という流れですよね。ドラマで聞くのはいいとして、生の会話で聞かないようにしたいものです。
この台詞のシーン、音声を聞いてないのでなんともいえないのですが、かなりきつい調子なので、not reallyで部分否定ととるのが、なんとなく自分的にしっくりこなかったのです。
それで、notはtooにかかるのかと思ったのですが、先ほどOALDでreallyを調べて、別の意味に気付きました。その部分を抜粋しますと、
used in questions and negative sentences when you want sb to say ‘no’: Do you really expect me to believe that? I don’t really need to go, do I?
この意味でいくと、トミーはその男性に「ノー」と言わせたい、つまり、そんなにうまくいくわけがないと認めさせたい気持ちがnot reallyに含まれているのかなと思いました。
辞書の例文もちょうど付加疑問文なので、そういう組み合わせの使い方が割とあるのかなとも思いました。
考えすぎると私も混乱してわからなくなってきました(笑)
おっしゃるとおり、簡単な文章ほどいざ解釈となると難しいですね!
正直、こういうふうに言われても(言われたことが無いと信じたいですが)、ここまで詳細には聞き取れません。逆にこの例文だけ見ても、私には意味(フィーリング)が分かりません。
そういう意味で、「フレンズでピックアップして」 → 「考えて」 → 「この例文に当たった」という流れは非常にラッキーだったと思います。
感謝。
真実は・・・まあいいかっ!って感じです(笑
ところでこのおちかさんの「Reba」のお話ですが、この"元夫"は、現妻が本当にトーストを失敗すると信じているのでしょうか!?
気になるっ!!(男はいつも、好きな人の前では愚かなものと決まっています)
お返事が遅くなり申し訳ありませんでした。
こちらこそ、貴重な情報ありがとうございます。
「誰かにノーと言わせたい時に、疑問文や否定文で really を用いる」という語義が、OALD (Oxford Advanced Learner's Dictionary) に出ているのですね?
OALD の例文は、「私がそんなこと信じるとほんとに思ってるわけ?」「私はそんなに行きたくないんだよね。」みたいな感じでしょうか。
研究社 新英和中辞典には、以下の語義が載っていました。
really (副詞)
2. [疑問文で。no の答えを期待して] 本当に、実際に
Do you really want this? 君本当にこれ欲しいの。
Is it really so? 実際にそうですか。
3. [否定文で。表現をやわらげて] 本当に[まったく](…というわけではない) (用法:really は not の後にくる)
I don't really like her. 彼女を本当に好きというわけではない。
上の研究社の英和では、疑問文と否定文とで場合分けされていて、疑問文のニュアンスは、OALD と同じですが、否定文には no を期待する、という意味はないようです。
ロングマンの not really の説明も、「表現をやわらげる」ようなニュアンスでした。
るばとさんが挙げて下さった、OALD の例文、I don't really need to go, do I? は否定文の付加疑問文ですね。つまり、「否定文であり、かつ疑問文のテイストもある」ということで、疑問文で no を期待する really のニュアンス(when you want sb to say 'no' のニュアンス)も入ってくるのかも、と思ったりもします。
今回のトミーのセリフ、
Yeah, well, that didn't really work out too well for you, did you, idiot!
は基本的には否定文ですよね。You didn't... did you? なら通常の付加疑問ですが、that didn't... did you, idiot! という非常に変則的な付加疑問なので、そのニュアンスをどう捉えたらいいのか、よくわからないのです。Did you really think...? みたいなセリフであれば、相手の no を期待する、相手にノーと言わせたいニュアンスは感じられるのですが、やはり、that didn't really work out という形だと、「そんなに上手くいかない」というイメージかな、と私は思うのですが…正直よくわかりません。
いずれにしましても、私は OALD を持っていないので、語義と用例は非常に参考になりました。一緒に解釈を考えて下さり、ありがとうございました。
ほっとあーるぐれいさんへ
元夫は現妻が本当にトーストを失敗するとは信じてないでしょうね。現妻には「相手に花を持たせてあげよう」というつもりがあって、その具体的例がトーストなのでしょう。Rebaもそれを聞いて、長年の夫婦生活で、そういう思いやりを忘れてしまっていた自分に気づいた、ということなんでしょうね。
このReba(ちなみに演じているのはカントリー系歌手のReba McEntire)の元ダンナの現妻、ひょっとしたらそういうこと=トーストを毎回失敗、もあるかも、という極端なキャラ設定なので、絶妙なのです。「土曜の昼ご飯は新喜劇を見ながら」で育った私の笑いのツボをつく、「それはないやろー」的なところ満載。
moronの話をうちのダンナとしていたら、彼(Rachやんはご存知やけど、思いっきり日本人ですのでnativeの意見と思わないでくださいな>みなさま)のイメージでは、「回転が極端に遅い、のろま、間抜け」なのがmoron、だそうです。私の「アホぼけカス」の訳で言うと、「ぼけ」要素が強いんでは?と。やることや考えの「方向」が間違っているというよりは、「回転が遅すぎて間違いに気づかない」感じがする、だそうです。まぁ、きちんと分類できるものではないけど、ここでの用例(?)もそういう雰囲気かなぁ。ちなみにRebaにmoron呼ばわりされる元夫の現妻は、遅いというよりは混乱している感じもあります。
しかし悪口をこんなに掘り下げて解釈を考えていても、なぁ。
ほっとあーるぐれいさんもコメントをありがとうございました。
イギリス英語を勉強しているので、普段はほとんどイギリス系の辞書をつかっています。OALDはオンライン辞書が以下のアドレスで利用できますので、もしご興味あればご覧ください。
http://www.oup.com/elt/catalogue/teachersites/oald7/?cc=global
ありがとうございました!
情報ありがとう。おちかちゃんのダンナさんがおっしゃる moron という単語のイメージですが、私のイメージもそんな感じです。「トロい」みたいな感じもありますね。
音的な感覚の話だと、日本語の「のろま」ってローマ字で書くと、noroma でしょ。moron と使われている文字が似ているのが何となく面白いなと思いました。
上の方のコメントで、「moron という言葉は、stupid や idiot ほど、音的な激しさが感じられない気がして」と私は書いたのですが、m, r, n という音は、sharp ではなく、dull な響きを感じるんですよ(あくまで音的な話ですが)。
今回のように、ののしり言葉として使う以外の moron の意味は、
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
moron:
2. (technical old-fashioned) someone whose intelligence has not developed to the normal level
と出ていますので、やはりそういう感覚が残っているのでしょうね。
るばとさんへ
お返事ありがとうございます。
OALD も素晴らしい辞書ですよね。有名な英英辞典を複数見比べることができるのはとてもありがたいです。
OALD のオンライン辞書について教えて下さりありがとうございました!
音声では早くて聞き取れなかったのですが、スクリプトの表記は文法的にも正しいと思うので、トミーは実際こう言ってたのかもしれないと思いました。
それとも、やはり、that didn't... did you, idiot! という非常に変則的な付加疑問なのでしょうか?
確かに、ネットスクリプトの表記は、
Tommy: Oh, you thought, huh? Yeah, well that didn't really work out too well for you did it you idiot!!
になっていますね。
that didn't... という文章の付加疑問文であれば、that didn't..., did it? になるので、そういう意味ではネットスクリプトは文法的には正しい文章ですね。
ただ、音声を何度か聞き直してみたのですが、work out too well for you did it you idiot と言っているようには聞こえないんですよ。
この文章通りのセリフであれば、too well for you, did it, you idiot!! という切れ目になると思うんですよね。
did it までが付加疑問文で、その後に「このバカ」みたいな感じの呼び掛け語、you idiot! が付く、という流れになるはずなのですが、did it / you idiot という切れ目には聞こえなくて、did you, idiot! と私には聞こえる、という感じです。did it の it は聞こえなくて、did you が繋がって聞こえるように思うのですね。
この部分は早口ですし、トミーはここでブチギレしているわけですから、余計に聞き取りにくいですよね。ですから、私も「そう聞こえる」という程度であまり自信はありませんが…。