2009年04月27日

人の不幸を喜んでいるかのような フレンズ3-22その5

モニカとフィービーの部屋。
次の日の朝になっても、フィービーはまだ電話の相手が出るのを待っています。
ジョーイ: (entering, happily) Hey! ([幸せそうに入ってきて] やぁ!)
モニカ: Hey! Didn't you have that outfit on last night? (まぁ! 昨日の晩もその服を着てなかった?)
ジョーイ: Yeah! I stayed at Kate's but ah, nothing happened. Hey, Pheebs, where were you? (ああ! ケイトの家に泊まったんだ。でも(エッチなことは)何も起こらなかった。ねぇフィービー、(昨日の晩は)どこにいたの?)
フィービー: I'm so, so, so sorry, Joey. I am definitely gonna see your play. I swear, your play is very important to us. Thank you for your patience. Your play is the next play I'm gonna see. (ほんとにほんとにほんとにごめんなさい、ジョーイ。絶対にあなたのお芝居を見に行くわ。誓って言うわ。あなたのお芝居は、私たちにとって非常に重要なものです。我慢強く待っていただきありがとうございます。あなたのお芝居は、私が見ることになる次の芝居です。)
モニカ: Anyway, how'd it go with Kate? (ところで、ケイトとの件はどうだったの?)
ジョーイ: Oh, it was great! Yeah, I-I walked her home, and it was amazing how much we connected, y'know? Then ah, then she passed out. But then she woke up. Yeah? And we stayed up all night talking. And now we're, like, totally crazy about each other! (あぁ、最高だったよ! そう、俺は彼女を家まで歩いて送って行ったんだ。俺たちがしっかり結びついた[気持ちが通じ合った]度合いはびっくりするほどだったよ[俺たちはびっくりするほどしっかり結びついたんだよ]。それから、ケイトは意識を失って。でもまた目が覚めて。それから、一晩中話しながらずっと起きてた。それで今、俺たちは、ほら、すっかりお互いに夢中なんだよ。)
モニカ: Joey, you had "the night"! (ジョーイ、あなたは「その夜[運命の夜]」を経験したのね!)
ジョーイ: What? (何だって?)
モニカ: When two people finally realize their feelings for each other, and-and they talk for hours and they-they learn all about the other person. (その時に、二人の人間はついにお互いへの気持ちをはっきり悟るのよ。そして、何時間もしゃべって相手について全てのことを知るの。)
ジョーイ: You-you think? (そう思う?)
モニカ: Did you, like, learn about her family? (あなたは、例えば、ケイトの家族について(何か)わかった?)
ジョーイ: Two brothers. One died! (兄弟は2人で、一人は死んだ!)
モニカ: Yes! (よし![やったわ!])
ジョーイ: Yeah?! (そう?)
モニカ: Oh! (They hug, triumphantly.) (えぇ! [二人は勝ち誇ったようにハグし合う])

ジョーイの服を見て、「昨晩と同じ服じゃないの?」と言うモニカ。
服を着替えてない→自宅に帰ってない→相手の家に外泊、という連想は日本人と同じですね。
お察しの通り、ケイトの家に泊まったんだけど、でも、モニカが想像しているようなエッチは何もなかったんだよ、と答えています。

フィービーは電話から離れられず、結局ジョーイのお芝居を見に行けませんでした。
幸せそうなジョーイは、別に怒っている風でもなく、ただ、「昨日は見かけなかったけど、どこに居たの?」と軽い調子で尋ねています。
それに対するフィービーの答えが面白いですね。
フレンズ3-22その2 で、以下のカスタマーセンターの保留音声(Hold Voice)が登場しました。
保留音声(Hold Voice): Please stay on the line. Your call is important to us. (電話を切らないで(そのままでお待ち)下さい。あなたのお電話は、私たちにとって重要なものです。)
保留音声: Thank you for your patience. You're the next caller. (お待たせいたしました[(忍耐強く)お待ち下さりありがとうございます]。あなたが次です[次におつなぎします]。)

フィービーがジョーイに言っているセリフは、その電話の音声の変形みたいになっています。
呪文のようにずーっとそのメッセージを聞き続けていたのと、睡眠不足で意識が朦朧としているのも手伝って、自分の言いたいことと電話メッセージとか混ざったみたいな形になっているのですが、それなりに意味が通じるようになっているのが、このセリフの面白いところですね。
英語でこのシーンを見ていた方は、例の電話メッセージとよく似た表現が使われていることに気づけばオッケー、という感じです。

エッチもせずに一晩中語り合ってたんだ!と興奮しながら話すジョーイ。
それを聞いてモニカは、you had "the night"! と言っています。
the という特定のものを指す定冠詞がついていることから、「その夜、あの夜、例の夜」みたいなニュアンスになり、「恋人なら誰もが一度は経験するあの夜を、とうとうあなたも体験したのね!」という感じです。
いっぱいしゃべって、相手のことが何でもわかってしまう夜なのよ、と説明した後、「ケイトの家族のことを聞いた?」とモニカは尋ねます。
想像通り、ケイトの家族のことを聞いていたジョーイは、Two brothers. One died! と答えます。
それを聞いて、Yes! と勝ち誇ったように叫ぶモニカが、とてもモニカっぽいですね。
この Yes! は、肯定する意味の「はい」ではなく、「よし! やった!」というニュアンス。
フレンズ1-22その6 でも、ロスが声には出さずに、Yes! と叫んだ時の話を書いていますが、それも「やったー!」というニュアンスでした。

事情がわからずその話を聞いていたとしたら、「兄弟は二人いたんだけど、一人は死んだんだって。」「やったー!」と聞こえて、まるで、相手の家族が死んだことをモニカが喜んでいるように聞こえてしまいます。
もちろんモニカは、相手の家族が死んだ、などという、かなり深い関係にならないと教えてもらえないようなヘビーな内容を知る間柄になったことを喜んでいるわけですが、そこで Yes! と喜ぶことがはたから見ると不謹慎に見えるのが面白いわけですね。
ジョーイが One died! という不幸な情報を言ったからこそ、モニカの「よっしゃー!」のような Yes! というセリフで大笑いできる、ということです。


(Rach からのお願い)
このブログを応援して下さる方は、下のランキングサイトをクリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキング
にほんブログ村 英語ブログ
皆様の応援クリックが、とても励みになり、ブログを続ける大きな原動力となっています。心より感謝いたします。
posted by Rach at 12:32| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ベン・スティラーは「ナイトミュージアム」が有名ですが私のお気に入りの映画「メリーに首ったけ」にも主演していますね。この映画フレンズも真っ青の下ネタのオンパレードでさすがにここまで下品に徹底してると逆に感心してしまいます。主演のキャメロン・ディアスがレイチェルに負けず劣らずの美しさで、作品の下品な内容とのギャップが凄まじく、それが尚更笑いを誘います。

先日レイチェル(役名違うけど)目当てで「なんちゃって家族」という映画を借りて観たのですが、これまた下ネタの多い作品で、台詞の中にfu○kが十秒に一回くらい出てきます(笑)。なんたって彼女の役がストリッパーで、踊るシーンもしっかりあるくらいですから...。映画自体は大変面白く、ラストのNG集にはフレンズの楽屋落ちのネタも出てきて嬉しい限りです。

ジェニファー・アニストンは当時44歳とのことですが、その美しさはフレンズ当時と全く変わりなく健在です。考えてみたら彼女のようなトップ女優がこの歳になってストリッパーの役をやるなど日本ではまず考えられないことで、つくずくハリウッドの奥深さを感じます。ファンにとってはありがたいことですが(笑)。
Posted by ET at 2016年07月03日 10:07
ETさんへ
コメントありがとうございます。
「メリーに首ったけ」も有名な作品ですよね。残念ながら見ていないのですが、かなりお下品だという噂はよく耳にしました(笑)。

「なんちゃって家族」という作品は知らなかったのですが、DVDジャケット写真のジェニファーは「母」と呼ぶには可愛過ぎますね。フレンズ楽屋落ちのネタ、是非見てみたいです^^

ジェニファー・アニストンもキャメロン・ディアスも、美人女優だけにとどまらず、いろんなジャンルの作品で幅を広げていますよね。「こんなきれいな女優さんが、こんな役をやってるなんて!」という驚きとギャップを楽しめるのは、さすがはエンターテインメントの国アメリカというところでしょうね。
Posted by Rach at 2016年07月04日 10:08
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。