2009年05月06日

奇妙なものは彼の得意分野 フレンズ3-23その2

ロスのお尻に正体不明のできものが出来たので、それを診てもらうため、医者を訪ねたロス。
[Scene: A Doctor's Office, Ross is having his thing looked at by Dr. Rhodes.]
医者の診察室。ロスはドクター・ロウズに自分のモノ[できもの]を見てもらおうとしているところ。
ロス: Th-th-that's all it is. A third nipple. Y'know? Just your run-of-the-mill third nipple. Y'know? You can take it off. Just slice that baby right off. (それだけなんです。3番目の乳首ですよ。ごく普通の3番目の乳首なんです。あなたはそれを取ることができるはずだ。そのベイビーをただ薄く[スパッと]切って下さい。)
ドクター・ロウズ: Take your shirt off. Let's see what we're dealing with here. (Ross starts to take off his pants) What are you doing? (シャツを脱いでくれ。ここで我々が扱おうとしているものを見よう。[ロスはパンツ[ズボン]を脱ぎ始める] 何をしてるんだ?)
ロス: Just showing you my run-of-the-mill, slice-it-right-off third nipple. (ごく普通の、スパッと切っちゃう3番目の乳首を、ただあなたに見せようとしてるんです。)
ドクター・ロウズ: Well, that's not a third nipple. (うーん、それは3番目の乳首じゃないな。)
ロス: No? (違いますか?)
ドクター・ロウズ: First of all, it's on your ass. (まず第一に、それは君の尻にあるじゃないか。)
ロス: Well, then what is it? (えぇ、それじゃあ、それは何ですか?)
ドクター・ロウズ: Wait a minute. Hold it. (He goes to the door and opens it.) Jansen! Will you come in here a moment? (ちょっと待って。そのままの状態でじっとして。[ドクターはドアのところに行き、ドアを開ける] ジャンセン! ちょっとこっちに来てくれるか?)
ドクター・ジャンセン: I'm with Hamilton! (僕は今ハミルトンと一緒なんです[話をしてるところなんです]。)
ドクター・ロウズ: He's good with weird things. Bring him in too. (ハミルトンは奇妙な[変わった]ものが得意だ。彼も一緒に連れて来い。)

自分のお尻にできた正体不明のできものを、a third nipple 「3番目の乳首、第3の乳首」だと言い張るロス。
チャンドラーに、a third nipple がある話は、フレンズ2-4その1 に出てきました。
フレンズ3-14その18 では、それが原因で恋人ジンジャーと別れることになり、
そのエピソードの最後、フレンズ3-14その21 で、除去手術で3番目の乳首を取ってきた話をしていました。

詳しい説明は以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Supernumerary nipple
supernumerary は「定数以上の、過剰な」という意味です。本来乳首は2つなので、それ以上の数がある乳首、ということですね。
そのウィキペディアでは、Known examples として、実際に a third nipple を持っている有名人の名前が書いてあります。
また、Examples in popular culture では、チャンドラーのこともちゃんと書いてありますね。

run-of-the-mill は「普通の、平凡な、月並みの、ありふれた」。
ロスは自分のできもののことを、ありふれた3番目の乳首だと言って、ことを大げさにせずに切ってもらおうとします。
できものを見せるために、下半身の衣服を脱ごうとするので、医者はびっくり。
「尻にあるのなら、乳首なわけないじゃないか。」ということですね。
自分だけでは手に負えない、誰かの助けを借りようと、ロウズは隣の部屋にいるジャンセンに声を掛けます。

隣室から、I'm with Hamilton! という返事が返ってきますが、具体的な名前を挙げているところから、ハミルトンが同僚の医者であることが想像できます。
一緒にいるのが患者なら、そんな風に固有名詞は出さないように思うのですね。
ロウズがハミルトンの名前を知っているからこそ、「あなたに呼ばれたけれど、今、私はハミルトンと一緒にいて、打ち合わせなどをしているところなので…」と言い、大切な用事の最中だから、来てくれと言われても、今すぐは無理です、と言っていることになるのでしょう。
それを聞いたロウズは、He's good with weird things. Bring him in too. と言っています。
be good with は「…が得意で、上手で、うまくて、…に強くて」。
be good の後には at, in, on, with など様々な前置詞が使われますが、その使い分けについて、研究社 新英和中辞典では、
at, in は技術の対象、on は特定のもの[事]、with は扱いの対象に用いる
と説明されています。
今回の be good with も、まさに「扱いの対象」を言っていますね。
with 以下のものの扱いや対応がうまい、得意だ、ということです。

He's good with weird things. の部分、ネットスクリプトでは、He's good with rear things. になっていました。
rear は「後ろの、後方の、お尻の」で、名詞 rear には「尻」という意味もあります。
ですから、He's good with rear things. だと「彼はお尻のこと[お尻に関すること]が得意、お尻のものの扱いがうまい」みたいな意味になるでしょうね。
今回ロスのできものはお尻に出来ているため、それはそれで意味が通じるのですが、DVD英語字幕では weird things となっていて、音声も weird に聞こえるので、weird が正解だろうと思います。
weird things は「変わったもの、変なもの、奇妙なもの、風変わりなもの」で、ロウズが見ても何だかよくわからない、そういう正体不明のものについては、彼、つまり、ハミルトンの得意分野だから、今そこで一緒にいるというハミルトンもこっちに連れて来い、ハミルトンも一緒に診てくれると助かるから、ということです。
隣室の同僚まで呼ばれるのも困るのに、さらに、奇妙な病気・症例が得意分野だというもう一人の同僚まで呼ばれてしまう…。
ありきたりな3番目の乳首ですよ、と言って、あっさり処理してもらおうと思ったのに、ロスの意に反して、どんどん話が大きくなるところが面白いですね。


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posted by Rach at 09:59| Comment(4) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
be good に続く前置詞のお話。
これって本当に難しいですよね。今でも全然使いこなせません。ただ、難しいなぁと思う反面、英語って便利だなぁと思う部分でもあります。日本語だと、例えばbe good with だとかなり冗長な表現になってしまう気がします。だけど英語だとすごく簡単。
各前置詞の意味(示す位置関係)がしっかりしてるからこそ成立する用法だと思います。

それから、rear とweirdの聞き比べ。意外なほど似ててびっくりしました。
最後の"d"の"切る音"の有無は確かにありますが、これは手抜き可ですし、最初の"w"にしたって、withからの流れではそれほどはっきり口を動かすことは期待できませんものね。特に私の場合、"r"始めの単語は、唇を"w"に近い形にしないと上手く発音できないっていうのもあって、余計に近い発音になっちゃいます。
困った・・・(笑
ただ、最初に下品に"ass"と言ってしまってるのをわざわざここで rearにする必然性も感じませんし、weirdの方が面白みもありますよね(簡単で一般的な事だと思い込もうとしているロスとの対比)。それに何より、Rachさんが weirdと聞きとったならそれに間違いは無いでしょう!


ちなみにこのスクリプトでわたしが一番あこがれた表現は、
Just slice that baby right off.
こういうrightの使い方が、さらっとできたらいいなーと思います。時々「right使いすぎやろ」と思うネイティブにも会いますが(笑)
道のりは長い!!
Posted by ほっとあーるぐれい at 2009年05月07日 17:55
ほっとあーるぐれいさんへ
be good については、中学校くらいに、be good at cooking 「料理が得意だ」のようなフレーズで覚えた記憶があります。
だから、be good の後は必ず at なんだ!みたいな思い込みがどこかにあったのですが、大人になって英語をやり直してみて、「いろんなバリエーションがあるのが本当の英語だ」という気がしています。

特に今回の with は「扱う対象物」の前に付く前置詞のイメージとして、大変わかりやすいと思います。前置詞の感覚を身に付けると、英語の世界が広がりますね。

rear と weird については、r と w を発音する時の口の形って意外と似ているんですよね。お尻にあるできものだから、rear だと聞こえた、というのもよくわかるのですが、ご指摘の通り、最初に一番下品な ass という vulgar な(下品な)言葉を使っているので、その後、rear という表現に言い換える必要性はないでしょうね。ロスが、わざわざ run-of-the-mill という表現を使っているのに、weird なものだから君たちも一緒に見てくれ、と言われてしまう、という落差が面白いのでしょう。

Just slice that baby right off. の right は「まったく、すっかり」のようなニュアンスでしょうかね?
LDOCE で、right [adverb] の見出しだけ見ると、
exactly, immediately, correctly, well などの意味があります。

今回のセリフは、take (it) off の後に、slice (it) off と言い換えていて、その off を強調する感じで、right off になっているのでしょうか?
off は分離で、その分離を right off と強調することで、「スパッと、パッと」完全に分離してしまう感じが出るような気がします。
ちょっと文字で説明するのは難しいのですが、こういう right が入る感覚って英語のかっこ良さだと思いますね。
Posted by Rach at 2009年05月08日 12:19
相変わらず、表現するのが難しい感覚をうまく表現されますね!
rightってほんと素敵だし、楽しい表現なのですが、使うのはすごく難しいですよね。
right here / right now / right awayぐらいなら手がとどくのですが(苦笑)

今回の用法は、Rachさんのおっしゃるとおりだと思います。
right off で「きれいさっぱりあと腐れなく取ってくれ!」という感じで(笑
多少うがった見方が許されるなら、最初の"just"でスピード感が出ていますので、rightからもスピード感を感じることができる気がします。あとは言い方になりますが、そういう感じも同時に持たせることができるかも?と思って、いい使い方だなぁと思いました。
Posted by ほっとあーるぐれい at 2009年05月09日 17:06
ほっとあーるぐれいさんへ
私が書いた表現をお褒め下さりありがとうございます。

>「きれいさっぱりあと腐れなく取ってくれ!」
まさに、そういう感覚なのでしょうね。「さっぱり、すっぱり、すっかり」みたいな完全分離の感覚があるように思います。そういう right をスッと入れられる感覚が掴めるようになりたいですね。
Posted by Rach at 2009年05月12日 10:55
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