シーズン3 第24話
The One With the Ultimate Fighting Champion (格闘技は男の美学!?)
原題は「アルティメット・ファイティング・チャンピオンの話」
セントラルパーク。ピートが UFC (Ultimate Fighting Championship) に参加するという話をフレンズたちに聞かせるモニカ。
男性陣は、UFC がどんな競技かを説明します。
ジョーイ: And it's not fake. It's totally brutal. (UFC は、フェイク[ごまかし・やらせ]じゃないんだ。全く残忍な競技なんだよ。)
チャンドラー: Yeah, it's two guys in the ring and the rules are, "There are no rules"! (そうだな。二人の男がリングにいて、そのルールは「ルールはなし」!)
モニカ: So you can like, bite and pull people's hair and stuff? (それじゃあ、例えば、噛み付いたり、相手の髪の毛とかを引っ張ったりすることも可能なの?)
ロス: Yeah, anything goes except ah, eye-gouging and fish-hooking. (そうさ。何でもオッケーだよ、目潰し[指を目に突っ込むこと]と釣り針以外はね。)
モニカ: What's fish-hooking? (釣り針って何?)
ロス: Huh, what's fish-hook-- (Joey sticks his finger in Ross's mouth and pulls on his cheek, y'know like when you hook a fish.) (to Joey, sarcastic) Thanks, man. That would have been really hard to describe. What is that taste? (あぁ、釣り針は何かと言うと… [ジョーイは自分の指をロスの口の中に突き刺し、ロスの頬を引っ張る。釣り針で魚を釣る時のように] [ジョーイに皮肉っぽく] ありがとう。釣り針は、ものすごく表現[口で説明]しにくいことだったろうから。今の味は何?)
ジョーイ: What? My hands are totally clean. I just gave the duck a bath. (何だよ。俺の手は全くきれいだぞ。アヒルを風呂に入れてやったところだ。)
ピートが UFC に参戦するつもりであることを、モニカはフレンズたちに話します。
さすがに男性陣は、UFC についてよく知っているようですね。
プロレスのようにショーとして見せるためのフェイクは一切なく、残忍極まりない競技だとジョーイは言っています。
チャンドラーの説明は、「ルールがないのがルールなんだよ、ルール無用のシビアな闘いなんだよ」というところですね。
Wikipedia 英語版: Ultimate Fighting Championship の Emergence of more rules に、
Although "There are no rules!" was the tagline in the early 1990s, this was not strictly true;
という記述があります。
「"There are no rules!" が、1990年代初期のキャッチフレーズだったが、これは厳密に言うと真実ではない。」ということです。
「ルール無用!」という言葉が刺激的なので、それをキャッチフレーズに使っていた、ということですが、確かにルールが全くないと、ただの喧嘩になってしまいます。
ですから、少しくらいのルールがあるのは当然なのですが、初期の頃は本当に反則も少なかったようです。(その件に関しては後述します)
anything goes は「何でもあり、何でもオッケー」というニュアンス。
日本語でいうと、「何でもいける」という感じでしょうか。
研究社 新英和中辞典では、
go(自動詞)=認められる; 受け入れられる(必要がある)
Anything goes (here). (ここでは)何でも認められる、何をしてもよい。
英辞郎では、
anything goes=どんなことでもまかり通る、何でもあり、制限なし、自由気まま
と出ています。
gouge は「(丸のみなどで)…をえぐる」「(刑罰として)(目玉)をえぐる、えぐり出す」。
格闘技の場合は、相手の目の中に手や指を突っ込むことですね。
フレンズ3-5その13 では、
モニカ: You gouged a hole in my dingy floor! (ジョーイはうちのくすんだ床をえぐって穴をあけちゃったのよ!)
というセリフもありました。
hook は「フック、鉤(かぎ)、釣り針」なので、hook a fish は「魚を釣り針で釣る」こと。
眉毛に釣り針 フレンズ3-7その21 では、眉毛に釣り針が引っかかったような顔をして邪悪な表情を作る、という演技のコツをジョーイが教えていました(笑)。
モニカが fish-hooking って何?と尋ねるので、ロスはその意味を説明しようとするのですが、すぐさまジョーイがロスの口に指を突っ込んで、fish-hooking ってのはこういうやつのことだよ、と実演して見せます。
That would have been really hard to describe. は、fish-hooking の意味を口で説明するのは、本当に難しかっただろうと思う、という感じですね。
ジョーイが実際にやって見せてくれたお陰で、難しい説明をせずに済んで助かったよ、と口では言っているのですが、ロスの本音は、口で説明することは簡単なのに、わざわざ実際にやってみせる、それもこともあろうに僕の口を使って実演することはないだろ!という抗議ですね。
ジョーイが指を入れた後、変な味がする、とロスは言っています。
ジョーイは、「まるで俺の手が汚いみたいに言うなよ。アヒルを風呂に入れたばっかで、手はきれいなんだから。」と怒っていますが、それを聞いてロスはいやな顔をしています。
ペットを触りまくった手だったから、変な味がした、ということです。
ここで、細かい話になりますが、UFC の反則についてもう少し。
モニカとロスの話だと、「噛み付き、髪の毛を引っ張ること」はオッケーで、反則は「目潰し、釣り針」だけ、ということですが、実際のルールは少々違うようです。
Wikipedia 英語版: Ultimate Fighting Championship の Emergence of more rules に興味深い記述があるので、引用させていただきます。(上で引用した部分と一部重複します)
Although "There are no rules!" was the tagline in the early 1990s, this was not strictly true; the UFC operated with limited rules. There was no biting, no eye gouging, and the system frowned on (but allowed) techniques such as hair pulling, headbutting, groin strikes and fish-hooking.
訳しますと、
「"There are no rules!" が、1990年代初期のキャッチフレーズだったが、これは厳密に言うと真実ではない。UFC は、限定されたルールで運営されていた。噛み付き(biting)、eye gouging (目潰し)は禁止で、髪の毛を引っ張ること(hair pulling)、頭突き(headbutting)、股間への攻撃(groin strikes)、釣り針(fish-hooking)には難色を示していた[を良しとしなかった](frowned on)(がルールとしては禁止されていなかった)。」
今回、モニカとロスのセリフでは、4種類の反則技が出ていますが、噛み付きと目潰しは初期からの禁止事項だったようですね。
(ですから、「噛み付きはオッケー」というセリフは間違いということになるようです。)
そして、髪を引っ張ることと釣り針は、望ましくない行為だとみなされていた、ということです。
hair-pulling や fish-hooking がいつ反則として禁止されたかについて。
英語版ウィキペディアの Controversy and reform では、
From UFC 14 gloves became mandatory and kicks to a downed opponent, hair pulling, fish hooking, headbutting, and groin strikes were banned.
という記述があり、hair-pulling と fish-hooking は UFC 14(1997年7月27日)以降、禁止された、とあります。
が、それよりずっと下の方にある、Evolution of the UFC rules という項目では、
UFC 15 - (中略) and hair-pulling became illegal.
とあって、1997年10月17日の UFC 15 から hair-pulling が禁止になった、と書いてありますね。
fish-hooking については、1997年7月禁止で間違いないようですが、hair-pulling については、ウィキペディア英語版内でも記述の不一致がある、ということです。
3ヶ月くらいの差しかないので、よほどのマニアの方以外は、どっちでもいい、という感じですが(笑)、今回のフレンズ3-24 の放映は、1997年5月8日なので、いずれにしても、この時点ではまだ、hair-pulling は(望ましくはないが)反則ではない、ということになり、hair-pulling が反則ではない、というフレンズのセリフは正解ということになります。
また、fish-hooking が正式に禁止されたのは、フレンズ放映後ですから、「釣り針は禁止」というセリフは厳密に言うと間違っている、ということになるでしょうか?
上にも述べたように、初期の頃から、hair-pulling や fish-hooking は望ましくない行為とされていましたので、その線引きは難しいですね。
ですから、ロスたちの言った内容をルールと照合して合っている合っていないと騒ぐのもナンセンスかもしれませんが、ちょっと面白いなと思ったので長々と説明してしまいました。
現在の反則は、ウィキペディア日本語版、英語版の両方で見ることができます。
英語版を見てみると、Fouls として、2. Eye gouging of any kind, 3. Biting, 4. Hair pulling, 5. Fish hooking が挙げられていますね。
結局、今では4種類全てが反則だということです。
(Rach からのお願い)
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英語力を高めるトレーニング方法を模索している時に、こちらのブログに出会いました。海外ドラマのDVDを使用してのトレーニングは私はまだ実践したことがないのですが、これから南谷さんのブログを拝見して学ばせていただたいと思いました。
海外留学の経験もないのに、TOEIC満点という点にも度肝を抜かれました。
失礼します。
はじめまして。ご訪問&コメントありがとうございます。
貴ブログ拝見させていただきました。TOEIC を中心とした英語学習に取り組まれているのですね。
TOEIC の点数を上げることと、海外ドラマを原語のままで理解できるようになることとは、少々ベクトルが異なるので、TOEIC の点数を上げることが最優先事項であるならば、質の良い問題集をたくさんこなして、TOEIC の問題形式に慣れることが得策かな、と思います。
私の場合は、海外ドラマで生きた英語を学びつつ、その英語力の伸びが TOEIC の点数として出ればいいな、という感じで学習を続けていました。TOEIC のような認知度の高いテストで高得点を取ることができれば、自分の自信に繋がりますよね。
焦らずマイペースで英語学習を続けて行って下さいね。
eye gouging と言う様な二つ以上の単語はグーグル等の日本語翻訳だと曖昧で解りづらかったんです。目をえぐる、でよろしいんですよね?
有難うございます。
ブックマークさせて頂きます。
コメントありがとうございます。勉強になりました、と言っていただけて、またブックマークまでしていただけて、とても光栄で嬉しいです。
eye-gouging のように2つの単語が繋がった動名詞は、そのままの形で辞書に出ていない場合も多いように思います。上の記事内で引用した UFC のウィキペディアの説明の中に出てきた hair pulling も同じようなパターンになりますね。
このような形の動名詞は、「フレンズ」の他のエピソードでも出てきたことがあります。
とりあえず、今、私が思いついたもので言うと、
フレンズ2-10その14
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470313.html
の eye-poking 「目をつつくこと」。
あれは事故だった フレンズ3-9その4
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471028.html
の nose-breaking 「鼻を骨折させること」。
それから、この火曜日に記事を書いたばかりの記憶に新しいところでは(先のエピソードなので、ネタバレになりそうな場合は記事を読んでいただかなくても結構ですので^^)
妄想的になる資格がある フレンズ9-10その5
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/418079435.html
で、ham-stealing 「ハムを盗むこと」という言葉も登場しました。
これらの動名詞を言い換えようとすると、
eye-poking = to poke someone's eye
nose-breaking = to break someone's nose
ham-stealing = to steal (someone's) ham
のようになると思われます。
実際、
nose-breaking は、その前に、"I accidentally broke Ross' nose." というセリフがありましたし、
ham-stealing も、その前に、"So I stole their ham." というセリフがありました。
こういう実際の例を見てみても、「他動詞+目的語」を、シンプルな動名詞にしようとすると、「目的語+ハイフン+他動詞の -ing 形」という動名詞になる、と考えて良いのではないかと思います(ハイフンなしで表記される場合もあります)。
ということで、gouge は他動詞で「〜をえぐる」ですから、eye-gouging は「目をえぐること」(to gouge someone's eye)になり、実際にえぐり出してしまっては大変なので(笑)、格闘技などの技においては、「指を目に突っ込む、目潰し」という意味になる、ということですね。
オープニングは面白いと思ったのでコメントします。
“You’re in Sample.”
Rachさん以前言っていたような字幕とアテレコが異なるパターンですよね?
以前は尿サンプルが聞き取れなかった。
ジョークは滑り気味かもしれませんが、気づきがあると何かしら、嬉しいです。
こんにちは。コメントありがとうございます。
"You're in Sample." というジョーク、解説ではカットしてしまいましたが、面白いですよね。
このようなジョークを和訳する場合、字幕ではルビを振ることでジョークの意味を説明することが可能ですが、吹替は全く違う日本語のジョークに置き換わることも多いですね。
ネットスクリプトに、
"You're in Sample." (He says it like urine sample.)
と書かれてあったように、"you're in" と "urine" の発音が似ていることを利用して「検尿サンプル」になっちゃう、と言ったジョークですが、そういうものが聞き取れるようになってくると、どんどん楽しくなってきますよね。