上司のダグはチャンドラーを褒める時、いつもお尻をパシッと叩きます。
それがいやなチャンドラーはわざと仕事をサボるのですが…。
ダグ: (laughs) That's okay. You're still my number-one guy! (slaps him on the butt) Bing! ([笑って] そんなことはいい。お前は今でも俺の一番のお気に入りだよ! [チャンドラーのお尻を叩く] ビング!)
チャンドラー: Doug! (ダグさん!)
ダグ: Hmm. (ん?)
チャンドラー: I'm a little bit uncomfortable with the way you express yourself. (あなたの自己表現のやり方が、少しだけ居心地が悪いんです。)
ダグ: Oh, is it the swearing? I mean, is it the constant swearing? Because I gotta tell ya, if it is, you can just... kiss my ass! (あぁ、口汚い言葉を使うことだな? つまり、いつも汚い言葉で悪態ばかりついている、って言うんだろ? なぜなら、俺はこう言わないといけないな。もしそれが原因なら、お前はただ…俺の尻にキスすればいい[俺にこびへつらえばいい]!)
チャンドラー: No, no. It-it's not about the swearing. It's more about ah, the way, that you ah, occasionally concentrate your enthusiasm on my buttocks. (違う、違うんです。悪態をつくことじゃありません。それはもっと、あなたが、その、時々、あなたの情熱を私のお尻に集中させることについてなんです。)
ダグ: Oh? (あぁ(そのことか)。)
チャンドラー: Oh, and don't get me wrong. I appreciate the sentiment. It's just that I, I have a rather, sensitive posterior. And ah, besides, it's making all the other guys jealous. (あぁ、それから誤解しないで下さいね。僕はその気持ちには感謝しています。ただ、僕のお尻はかなり敏感なだけなんです。その上、あなたが僕のお尻を叩くことで、他のみんなが嫉妬するんです。)
ダグ: Well, say no more. Y'know, it takes guts to bring this up. Bing, you're okay. (あぁ、それ以上は言うな。このことを言い出すのには勇気が要るな。ビング、もう大丈夫だよ[心配するな]。)
仕事をサボっても、やはりお尻を叩かれるので、チャンドラーはとうとう、本当の気持ちをボスのダグに話そうとします。
やはり相手はボスですから、遠回しにそれとなく伝えようとするのですが、なかなかダグには真意が伝わりません。
express oneself は「自分自身を表現する」ということで、「自己(の感情を)表現する、自分の思い・考え・意見を述べる」ですね。
それを聞いたダグは、「あぁ、swearing のことか。」と勘違いします。
swear は「誓う」ですが、「ののしる、悪態をつく、罰当たりなことを言う」という意味もあります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
swear: OFFENSIVE LANGUAGE [intransitive] to use offensive language, especially because you are angry.
つまり、「無礼な言葉を使うこと。特に怒っている場合に。」
その後のセリフで、kiss my ass という表現を使っていますが、これがまさに swearing ですね。
kiss someone's ass は「人の尻にキスする」ことから、「人のご機嫌を取る、ゴマをする、こびへつらう」という意味になります。
ass という卑語が使われているので、これは、swear word 「ののしり語、下品な言葉」になるのです。
ダグがわかってくれないので、もっと具体的な部分を挙げて説明しようとするチャンドラー。
しかしやはり上司なので、できるだけ相手を怒らせないように、傷つけないようにと言葉を選んでいるチャンドラーに注目です。
smack my butt ではなく、concentrate your enthusiasm on my buttocks と言っていますね。
buttocks は「尻、臀部(でんぶ)」。
フレンズでは、お尻は butt と表現されることが多いですが、butt の方がより口語的表現のようです。
smack 「叩く」という動詞を使うのはやはりまずいと思ったのか、「情熱をお尻に集中する」という抽象的な表現を使っているのに笑えます。
buttocks という言葉でさすがのダグも気付いたようですね。
「センチメンタル」は日本語になっていますが、sentiment は「感情、気持ち。感想、意見」
そうやって部下を褒めてやろうと思ってくれる気持ちには感謝している、ということです。
posterior は形容詞だと「(時間・順序が)後の、次の」。prior の反対語です。
「より後ろの」という意味から「後部の、後方の」という意味になり、名詞では「尻、臀部」という意味になります。
LAAD では、
posterior [noun] [countable]: (humorous) the part of the body you sit on (SYN: butt)
と出ていますので、butt の同義語だが、ユーモラスな表現、ということになりますね。
お尻を叩くことが悪いと言っているわけではなく、僕のお尻は他の人に比べてかなり敏感なので、バンバン叩かれるのはちょっとつらいんです、みたいな理由です。
この前のシーンで、他の同僚たちが「チャンドラーがうらやましい。僕たちもお尻を叩かれたい!」と言っていたので、そのこともここでダグに話していますね。
あなたが僕のお尻を叩くことが、他のみんなを jealous な状態にする、つまり、僕だけそんな風に叩かれると、みんながやきもちを焼くんです、ということです。
今回のやり取りは、上司に対して言いにくいことを切り出すにはどうすればいいか?の参考になりそうな気がします。
相手がわかってくれないからと言って、ダイレクトに相手の悪い行為を挙げて、それをやめるように言ってしまうと、人間関係にひびを入れることになります。
今回のチャンドラーは言葉遣いも丁寧ですし、いつものように茶化したりもせず、何とか上司に自分の気持ちを伝えようと一生懸命な感じが出ていると思います。
ちょっと失礼なことを言ってしまったかな、と思ったら、Don't get me wrong. I appreciate the sentiment. It's just that... 「僕の言ったことを誤解しないで下さい。お気持ちには感謝しています。ただ、こういう理由があるだけなんです。」と、相手の気持ちに感謝の気持ちを示しつつ、自分の正直な気持ちを述べていますよね。
自分の気持ちをしっかり伝えたチャンドラーに対して、ダグも冷静に応対しています。
チャンドラーの発言に怒ることもなく、「もうそれ以上説明しなくても事情はわかった」と言い、上司である自分にそのことを言い出す、その話題を持ち出すのは、勇気がいることだよな、とチャンドラーの勇気を称えていますね。
(Rach からのお願い)
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2009年05月25日
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