UFC に参戦しているピートは、また別の対戦相手と戦って敗れます。
上半身にギブスをした状態なのに、まだ UFC への参加をやめないというピート。
モニカ: You are insane! You-you've gotta give this up! (あなたは正気じゃないわ! こんなことやめなきゃだめよ。)
ピート: I can't until I'm the Ultimate Fighter. I will do it. I'm telling you, the day will come when children will argue over who will win a fight, me or Superman. Not that I could beat Superman, but y'know, kids are stupid. (僕はアルティメット・ファイター[究極のファイター]になるまでやめることはできないよ。僕はやるんだ。いいかい、僕とスーパーマンとどちらが勝つかについて子供たちが論争する日がくるよ。僕がスーパーマンを倒せるってことはないけど、でも、ほら、子供はバカだからね。)
モニカ: Just sit down. All right? Please listen to me. You are terrible at this, okay? You are the worst Ultimate Fighter ever. Ever! (とにかく座って。いい? お願いだから私の話を聞いて。あなたはこういう格闘技はダメなのよ、いい? あなたはこれまでで最低のアルティメット・ファイターよ。今までの誰よりも!)
ピート: Y'know, I have a torn rotator cuff, a hairline fracture in my right forearm, and a severely bruised Adam's apple, but that really hurt. (ねぇ、僕は回旋筋腱板断裂[損傷]で、右前腕にはひびが入ってる。それから、のどぼとけもひどい打撲だ。でも、今のモニカのセリフは本当に痛かったよ。)
モニカ: Well, then, y'know what? I care about you too much to watch you hurt yourself like this. So if you have to do this, then you're gonna have to do it without me. (そうね、それじゃあ聞いて。私はあなたのことがものすごく心配だから、あなたがこんな風に自分を傷付けるのを見ていられない。だから、あなたは私なしで、それをしないといけなくなるわ。)
ピート: Well, if you're asking me to quit, then you're asking me to be someone I'm not. I've got to do this. (そうか、もし君が僕に(戦いを)やめるように頼んでいるのなら、それは、君が僕に、僕以外の誰かになってくれと頼んでいることになる。僕はこれをやらなきゃいけないんだよ。)
モニカ: Then I've gotta go. Bye. (kisses him and starts to walk out) (それじゃあ、私は行かなくちゃ。さよなら。[彼にキスして出て行こうとする])
ピート: Mon-Monica? (モニカ?)
モニカ: Yes? (なに?)
ピート: Could you leave a note? 'Cause I'm on a lot of painkillers now, and I don't know if I'll remember this tomorrow. (She leaves.) (メモを残しておいてくれる? 僕は今、鎮痛剤をたくさん飲んでるから、明日このことを覚えているかどうかわからないんだよ。)
戦いをやめるように言うモニカですが、ピートは考えを変えません。
the day will come when children will argue... は、when 以下、me or Superman までが、the day を修飾しています。
「子供たちが…ということについて議論する時[日]」という文章が長いので、先に、the day will come と言っておいて、その後、the day の内容を when 以下の文章を付け足すことで詳しく説明している形です。
Not that は、It's not that で、「that 以下というわけではないけれど」。
スーパーマンは架空のヒーローで実際に戦えるわけじゃないし、仮に戦えたとしても人間離れした超人だから彼を倒せるはずもないけれど、子供っていうのは、夢と現実の区別がつかないから、スーパーマンとピートならどっちが強いかな?というカテゴリー違いの決闘話で盛り上がったりするんだよ、ということでしょう。
ギブスをはめた痛々しい姿なのに、強気の発言を変えないピート。
とにかく座って話を聞いて、とモニカは言います。
be terrible at は、be good at 「…が得意である」の反対語ですね。
そういう分野はあなたは全然ダメなのよ、という感じです。
You are the worst Ultimate Fighter ever. Ever! は、これまでいた Ultimate Fighter つまり、UFC 参加者の中で、最低最悪だ、と言っていることになります。
ever は最上級と組み合わさって、「これまでで最も・一番(ひどい)」ということがより強調されます。
「あなたは UFC 史上、一番ダメなファイターなのよ。」と言われてしまったピート。
自分がどれほどひどいケガをしているかを3つ挙げた後、that really hurt と言っています。
that が主語なのに、hurts になっていないので、hurt は過去形ですね。
hurt は他動詞の場合「…を傷つける、傷める、ケガをさせる」という意味になります。
ですから、That really hurt me. だったら、「君のその言葉は僕を傷つけた」ということになりますが、今回のセリフは、that really hurt という自動詞になっています。
自動詞 hurt は「痛む」「人の気持ちを害する、こたえる」なので、「モニカの今の発言は痛かった、こたえた」という感覚でしょう。
どんなひどいケガよりも、君の発言が僕は一番痛いと感じたよ、ということですね。
ピートが挙げたケガについて。
rotator cuff は「回旋筋腱板」で、rotator cuff tear 「回旋筋腱板損傷[断裂]」というケガの名称もあります。
詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikpedia 日本語版: 回旋筋腱板
Wikipedia 英語版: Rotator cuff
ここでは、I have を使って、「torn (つまり tear された) rotator cuff を持っている」と表現しています。
hairline は「(髪の)生え際」という意味もありますが、「毛のように細い線」という意味もあります。
hairline fracture は「毛髪のような骨折、裂け目」ということで、骨にひびが入ることを言うようです。
bruise は名詞だと「打撲、打ち身」、動詞では「…に打撲傷を与える」ですね。
I care about you too much to watch you hurt yourself like this. について。
これはおなじみの too... to 〜 構文ですね。
あなたをとても care about (心配する、気にかける)しているので、watch することができない、という文章です。
さきほどは自動詞で出てきた hurt ですが、ここでは、hurt yourself で「あなた自身を傷つける」という他動詞で登場しています。
あなたのことを恋人としてものすごく気にかけて心配しているから、こんな風に試合に負け続けて、あなたが自分を傷めつけるのを見ていられないの、というところです。
私はもう見ていられないから、それを続けたいなら私なしでやって(do it without me)と言っています。
それに対してのピートのセリフは、セリフとしては、なかなかかっこいいですね。
これをやめろというのは、僕以外の人間になれと言っているのと同じだ、ということです。
これをやめたら僕は僕でなくなってしまうんだ、だから続けないといけないんだ、という固い決意ですね。
尾崎豊さんの「僕が僕であるために」を思い出してしまった私です。
I've got to do this. と言ったピートに対して、Then 「あなたがそう言うのなら」 I've gotta go. 「私は行かなくちゃ。」と答えます。
どこかに行く用事がある時、相手との話を切り上げるために、I've gotta go. (I gotta go.) と言うことがよくありますが、今回のモニカの go はもっと重たい go ですね。
あなたの元を去る、もう会わない、という go です。
モニカと別れることになっても、やはり戦いをやめるわけにはいかないと決めているピートは、モニカとの別れを素直に受け入れます。
出て行こうとするモニカに、「鎮痛剤をたくさん飲んでいて、記憶が朦朧としているから、今、モニカと別れたことを明日覚えているかどうか自信がない。だから、別れたことをメモに書いておいて。」と言っています。
鎮痛剤を大量摂取しているので記憶があいまいになるかもしれないという話は事実かもしれません。
そして、ピートなりの最後のジョークでもあるような気もします。
ジョークであるにしても、今のモニカには笑えない、という感じで、言われた通りのメモも残さずに出て行くモニカ。
その姿を見るのは、何だか寂しいですね。
(Rach からのお願い)
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I'm telling you, the day will come when children will argue over who will win a fight, me or Superman.
上記の文でifではなくwhenが使われていますよね?ifを使わなかったのは、実現を確信しているからでしょうか?またwhenに続く文にはwillは使わないというのが文法のルールですが、日常会話はそのルールは関係ないのでしょうか?
ところで、Rachさんに触発され、英検1級もToeic900点以上(10年くらい前に815点)も年齢が52歳なので諦めていましたが、頑張ることにしました。
毎日50分オンライン英会話、フレンズ1話づつ、そしてオススメの大西先生の本、i knowというオンライン英会話で無料でついてくるボキャブラリーソフトをコツコツやっています。またこのブログでいいなと思った表現をオンライン英会話で使うようにしています。
このブログのおかげでアメリカのドラマが身近になりました。感謝です!
コメントありがとうございます。
the day will come when children will argue... の文ですが、この when は「子供たちが議論する時に、その日が来る」のような「 S が V する時(に)」という接続詞ではなく、when から me or Superman までが、the day を修飾している形であり、この when は関係副詞に当たります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
when [adverb]
the day/time/afternoon when...
例)That's the day when Leigh is coming.
つまり、「それが、リーが来る(予定の)日だ」。
「その日にリーが来る」ということですが、それを、that=リーが来る日、と表現している形です。
今回のセリフも、the day when SV 「S が V する日」という意味ですが、the day when SV の形にしようとすると、
the day when children will argue over who will win a fight, me or Superman / will come.
のように、主語が長く、頭でっかちになってしまうので、先に the day will come と言っておいてから、when 以下で the day の内容を説明している感覚になります。
the day will come 「その日が来るよ」、when children will argue... 「子供たちが議論するような(日)が」という配置になっているわけですね。
「when に続く文には will は使わない」というのは、接続詞の when 「〜する時に」の場合で、今回は関係副詞という副詞なので will は使えることになります。
それから、英検や TOEIC を頑張ることにしました、とのお話、「Rachさんに触発され」と言っていただけて光栄です。フレンズのセリフに出てきた表現をオンライン英会話で使われることは、非常に効果的だと私も思います。
拙ブログがお役に立てているとしたら、本当に嬉しく思います。温かいコメントありがとうございました!