2009年05月28日

ライク何々オンリーベター フレンズ3-23その8

フレンズ3-23その1 のコメント欄 で、3-23 のセリフについてのご質問をいただきました。
それに対する私なりの回答を、今回記事として投稿します。

3-23 の最初のシーン。

ロス: Listen, I-I need a favor. Umm, I was in the shower, and as I was... cleansing myself, I ah, I-I, well I felt something. (ねぇ、頼みがあるんだよ。あの、僕がシャワーをしていて、自分の体を洗っていた時、その、僕は何かを感じたんだ。)
チャンドラー: Was it like a sneeze, only better? (訳は省略)
ロス: No, no, I mean, I mean, like, a thing on my body. (違う、違うんだよ。僕が言いたいのは、僕の体になにかがある、ってことだ。)

このチャンドラーのセリフの only better をどう解釈したらいいでしょう?というご質問でした。


only better の部分を除くと、「それはくしゃみみたいなものだったのか?」というニュアンスですね。
ロスが feel something と言ったのを聞いて、くしゃみが出ちゃうような、「ちょっとブルっとくるかんじ」だったのか?と尋ねているようです。
それに対してロスは、「そういうのじゃなくて、僕の体に a thing があるのを feel したってことだよ。」と訂正しています。
これは、feel という動詞が「(ある感覚を)感じる」という意味と「(何かに)触れる、触る」という両方の意味があるからですね。
felt something というのは、「何らかの快感のような気持ちよさなどを感じた」という意味じゃなくて、「手で何かに触れた、手で触ったらそこになにかがあった」という意味だと説明しているのです。

ネットで、"like * only better" で検索すると、いくつも使用例が見つかりましたので、like... only better という組み合わせはよく使われるようです。

この only は、but のニュアンスのようですね。
Macmillan Dictionary には以下のように出ています。
only:
4. but used for adding a comment to something that you have just said which makes it less true or correct
例) Fiction is like real life, only better.
Her car is like mine, only it has four doors.


つまり、「but の意味。自分がたった今言ったことにコメントを追加するために使われる。その追加したコメントは、(その前に)言った内容の真実性や正確性を下げる。」
例文は、「フィクションは実生活のようなものだ。だけど、それ(日常生活)よりも良い。」
「彼女の車は私の車に似ている。でも、4ドアだけどね。」

マクミランの語義の which makes it less true or correct をどう訳すかが難しいのですが、which = a comment, it = something that you have just said かな、と思います。
そのコメントというのは、たった今言ったことを less true or correct にする、つまり、真実、正確の度合いを下げる、という感覚でしょうか。

only は、何かを言った後に、コメントの追加に使うもので、それは前に言ったことを少し否定するニュアンスが入る、その前に言ったことは 100% 真実ではなくて、例外としてこういうこともあるんだけど、と情報を付け足す感覚かなと思います。

そして、上に挙げたマクミランの例文に、まさに like... only better のフレーズが登場しています。
Fiction is like real life, only better. は、「fiction は real life に似ている。けれども、real life よりも better だ。」というようなニュアンスですね。
似たものを例に挙げて、その後に、でも全く同じということはなくて、その例に挙げたものよりも、もう少し良い、と情報を追加している感じです。

ですから、チャンドラーのセリフを日本語に訳すとすると、「それはくしゃみみたいだけど、それよりも(もっと、もう少し)良い感じだった?」みたいになるでしょうか。
「ちょっとブルっとくる感じ」よりももう少し良い、というのはやはり「快感」のことを言っているのでしょうね。
裸でシャワーをしている最中の話ですから、デリケートなところに水流が当たって、快感でも感じたのか?と言うところを、わざと遠回しに言っているような気がします。
それでロスは「そういう快感系の話じゃなくて、何かが手に触れてそこに何かあるのを感じたんだ」と言い直しているという流れです。

この like... only better のパターンは、better を他の比較級に変えても使えるようです。
研究社 新英和中辞典では、
only(接続詞)(口語)=ただし、だがしかし
This is just like beef, only tougher. これはちょうど牛肉みたいだ。でもちょっと硬い。


like... only better や、like... only+比較級は、「…みたいだけど、でもそれよりも〜だ」というように、「but のような逆接のニュアンスが入る」ところがポイントだと言えそうです。


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posted by Rach at 07:29| Comment(4) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントRachさんへ
like... only betterについての今回のRachさんの考察はとてもわかりやすかったですね。ありがとうございます。要するに「裸でシャワーをしている最中の話ですから、デリケートなところに水流が当たって、快感でも感じたのか?と言うところを、わざと遠回しに言っている」というのがチャンドラーらしいセリフになっているとわたしも感じたところです。前回フィービーのドールハウスが火事になってシャワーを浴びれるモニカのいるバスルームにロスは緊急に持って行きます。次のシーンでモニカは当然ロス対して怒り心頭に発するセリフがあるだろう予期できますが、視聴者の想像を裏切ってモニカが弁解してるのが笑えました。シットコムらしい笑い誘うシーンでしたね。
ジョーイもジョーイらしいセリフが10-11に出てきます。
Joey: (to Gene) I know it could be intimidating for regular people to be around celebrities but... relax, I'm just like you! (pause) Only better looking and richer.俺だって素人参加のあなたと同じなんだからといてるのが本心じゃないことを口先だけで素人の参加者に言ってますね。
最近、簡単な言い回しで日本人が誤訳することが多いとい本が出ました「日本人なら必ず誤訳する英文」という本を興味深く読みました。参考になると思います。
Posted by catch at 2009年05月29日 06:35
catchさんへ
今回の考察について「わかりやすかった」との評価をいただき、ありがとうございます。

私も、「シャワー、快感」の話から、ドールハウスの話のシーンを思い出していました。そのことも上の記事に盛り込もうかと思ったのですが、本題からズレがちな私の癖を修整しようと(笑)書くのをやめたのです。catchさんも同じ部分を思い出して下さったのが嬉しいので、そのシーンを以下に参考までに記しておきます。

フレンズ3-20 で、ドールハウスが炎上した時、その火を消そうとロスはハウスを持ったままバスルームに入って、シャワー中のモニカがキャー!と叫ぶシーンがありました。
その後の会話は以下のようになっていました。

ロス: Sorry I ah, I scared you in there. (ごめんよ。僕は、その、あそこ[バスルーム]でモニカを驚かせちゃったね。)
モニカ: Oh, that's okay. By the way, I was just checking the shower massager. (あぁ、いいのよ。ところで、私はただ、シャワー・マッサージャーをチェックしていただけだから。)
ロス: Yeah. (そうだね。)

ロスが入ってきた時、モニカはシャワーを微妙な(デリケートな?)位置に当てていた、みたいなことなのでしょう。
ただシャワー・マッサージャーをチェックしていただけ、というのは、シャワーのマッサージ機能、シャワーの強さや圧力を試していただけ、ということですね。
「変なことしてるように見えたかもしれないけど、別にエッチなことをしていたわけじゃないの」と弁解しているわけですが、ロスはそれについて何も問い正していないのに、わざわざ自分から、I was just checking.... と言っているのが却って怪しいわけですね。

ロスは兄として、モニカがそういうことをしていたとかの詳しい情報は知りたくないでしょうから、「モニカがそう言うのなら、そういう理解でいいよ。ああ、そうだね。そういうことにしておこう。それで納得だ。」みたいに、肩を少し上げて、Yeah. と言っていました。

「シャワーの時に入ってくるなんて、いくら兄さんでも許せない!」みたいなセリフが来るのかと思いきや、catchさんのおっしゃるように「視聴者の想像を裏切ってモニカが弁解してるのが笑えました」ということですね。

また、フレンズ10-11 にも、「like... only+比較級」の形が出てくるのですね。それは気付きませんでした。貴重な情報ありがとうございます。
自分はセレブだけど普通の人と同じだよ、と言いながら、一呼吸置いて、ただちょっと better looking で、richer なだけだよ、と付け加えるのがジョーイらしいです。同じと言っておきながら、全く同じではないけどね、と否定しているのが、まさに、「like... only+比較級」のニュアンスですね。

「日本人なら必ず誤訳する英文」は、新聞広告で見て面白そうだなと思っていました。外国語を訳す時にはどうしても母国語の影響を受けてしまいますものね。私も気をつけないと、といつも思っています。近いうちに是非読んでみたいと思います。
Posted by Rach at 2009年05月29日 12:08
お久しぶりですっ!
先月アメリカへ行きました。
UKかぶれの私はアンチアメリカで、
生涯渡米することはないだろうなーと思っていたんですが、フレンズを見て、アンチアメリカが少しだけ和らぎ、そんな頃アメリカに誘われたため行ってきました。
で、やっぱり、英語もっと勉強したい!と思っている今日この頃。
多忙でストップしていたフレンズ視聴も再開しました!

この表現使いこなせたらかっこいいな〜!!
Posted by K at 2014年06月04日 12:08
Kさんへ
お久しぶりです。コメントありがとうございます。

先月アメリカに行かれたのですね! それは素敵です(^^)
私は見ている作品が、アメリカものが多いので、イギリス英語よりもアメリカ英語の方が、耳になじみがあります。どちらが好きか、という好みは、人それぞれありますよね^^

Was it like a sneeze, only better? みたいなフレーズを、さらっと言えたらほんとかっこいいですよね。フレンズ視聴も再開されたとのこと、楽しんでいただければ、フレンズファンとして嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
Posted by Rach at 2014年06月04日 14:37
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