2009年06月08日

愛するのをやめたわけじゃない フレンズ3-25その5

ロスの今の彼女ボニーに、頭を剃ることを勧めたレイチェル。
頭がつるつる(bald)になったボニーを見て、ロスはレイチェルを責めるのですが…。
レイチェル: Come on, see? She doesn't look that bad. (ねぇ、見てよ。ボニーはそれほど[あなたが言うほど]ひどくないわよ。)
ロス: You can see the moonlight bouncing off her head! What the hell were you thinking? (月光が彼女の頭で反射してるのが見えるぞ。一体、君は何を考えていたんだよ?)
レイチェル: I don't know. (わからないわ。)
ロス: You don't know? Rach, you balded my girlfriend! (わからないだって? レイチェル、君は僕の恋人をハゲにしたんだぞ。)
レイチェル: All right. Ross, do you think it's easy for me to see you with somebody else? (いいわ、ロス。あなたが他の誰かと付き合うのを見ることが私にとって簡単なことだと思う?)
ロス: Y'know, hey! You're the one who ended it, remember? (おい! 僕らの関係を終わらせたのは君だよ、覚えてる?)
レイチェル: Yeah, because I was mad at you! Not because I stopped loving you! (えぇ。でもそれは私があなたに対して怒っていたからよ! あなたを愛するのをやめたからじゃないわ!)
ロス: You still love me? (君はまだ僕を愛してるの?)
レイチェル: Noo. ([ためらいがちに] い、いいえ。)
ロス: You still love me. (君はまだ僕を愛してるんだね。)
レイチェル: Oh, y-yeah, so? You-you love me! (えぇ、そうよ。そしたら? あなたも私を愛してるくせに!)
ロス: Noo, nnnnn. What does this mean? What do you, I mean, do you wanna, get back together? (いや。いや…。これはどういう意味なの? 君は、その、君はよりを戻したいの?)
レイチェル: Noo! Maybe! I, I don't know. Ross, I still can't forgive you for what you did. I can't, I just, but sometimes when I'm with you, I just, I feel so.... (いいえ! 多分! わからないわ、ロス。私はまだ、あなたがしたことであなたを許すことはできない。許すことはできないのよ。ただ私は、時々、あなたと一緒にいると、ただ、とても…)
ロス: What? (何?)
レイチェル: I just, I feel, I-I just-- (私はただ…)
ロス: What? (何?)
レイチェル: I feel-- (私の気持ちは…)
(Ross leans in and kisses her. They both look at each other for a moment, and then embrace in a more passionate kiss, only to be
interrupted by Joey and Chandler coming outside.)
ロスはレイチェルの方にかがんでキスをする。二人はお互いしばらく見つめ合い、それからもっと情熱的なキスをして抱き合う。ところが、ジョーイとチャンドラーが外に出てきて、それは中断されてしまう。
チャンドラー: (to Joey) Noo!! I don't care! I'm not, I'm not playing one-on-one strip poker with you for practice! ([ジョーイに] いやだよ! 俺にはどうでもいいよ! 俺は、お前の練習のために、お前と一緒に1対1のストリップポーカーをするつもりはないよ!)
(Rachel and Ross both stop kissing, and quickly step back from each other.)
レイチェルとロスは二人ともキスをやめて、素早くお互いから離れる。
ジョーイ: But I made cards! (でも、カード[トランプ]を作ったんだぞ!)

頭がつるつるになったボニーを見て、ロスは狼狽していますが、それを勧めたレイチェルは、She doesn't look that bad. と言っています。
not that bad という風に that が入っていることで、「それほど悪くない」、つまり、「ロスが気にするほど、ロスがそんな風にいやがるほど」悪くないじゃないの、というニュアンスになります。

bounce off は「…に当たって跳ね返る、…で反射する」。
off は「…から離れて」という意味があるので、彼女の頭にいったん当たって、そこから離れて跳ね返る、というニュアンスが出るように思います。
あまりにきれいに剃ってあるので、月光が頭に反射して、光が跳ね返っているじゃないか、月光で頭がピカピカ輝いているじゃないか、ということです。

ロスがそのことを責めるので、レイチェルはついに本音を口にしてしまいます。
Do you think it's easy for me to see... は、あなたがボニーと仲良くしているのを見て、私が平気でいられると思ってるの?という意味ですね。
それを聞いたロスは、二人の関係を終わらせたのは、別れようと言ったのは君なのに、それを忘れたのか?と言っています。
You ended it. ではなく、You're the one who ended it. という文の方が、「関係を終わらせたのは、他の誰でもない君なんだぞ。君が別れを告げた張本人じゃないか。」という感じが強調されますね。
別れようと言った君が、僕が他の女性と付き合うのを見るのは辛い、って言うなんて、勝手すぎるじゃないか、ということです。

そんな風に言われて、レイチェルはさらに爆弾発言をしてしまいます。
Yeah, because I was mad at you! Not because I stopped loving you! は、Not because... but because〜 の変形ですね。
Not because A but because B の形だと、「Aという理由ではなく、Bという理由で」という意味になります。
今回のレイチェルのセリフは、「…という理由ではない」という方がポイントになるので、そちらが後回しになっているのですね。
あなたのしたこと(浮気)に怒って別れただけで、嫌いになったから別れたわけじゃない、ということです。

売り言葉に買い言葉、みたいな流れで、そういう本音が出てしまったレイチェルに、ロスは驚き、それはつまり、まだ僕を愛してるってことなの?と聞き返しています。
その後も、レイチェルは自分の複雑な心境を少しずつ語ります。
あなたのしたことはまだ許せないけど、あなたといると、何か強い気持ちを感じる、と言いながら、その気持ちがどんなものであるかはなかなか言うことができません。

混乱しているレイチェルを見て、この後、ロスの方からレイチェルにキスをします。
それが情熱的なキスになり、盛り上がりかけたところで、チャンドラーとジョーイが出てきてしまい、キスは中断されてしまいます。
チャンドラーとジョーイの話がまた何ともくだらない話で(笑)、そんなことで、ロスとレイチェルはこれからどうなるの?という運命のキスが中断されてしまうところが、いかにもフレンズらしい展開ですね。

Strip Happy Days Game で負けてしまったジョーイは、雪辱戦をするつもりのようです。
元々、トランプが見つからなかったので、ハッピー・デイズのすごろくを使うことになったわけですが、このゲームでは勝てないと思ったジョーイは、トランプを手作り(!)したようです。
手作りのトランプでのポーカーにもかなり無理がありますが、それよりも、ポーカーの練習をするのに、チャンドラーと1対1で、”ストリップ”ポーカーをする必要はないですよね。
ジョーイにしてみれば、練習に臨場感を出すために、実際のルールと同じ形式でやらないと意味がないと思っているのかもしれませんが、チャンドラーは、お前と二人で脱ぎ合いっこするポーカーなんてごめんだよ、と怒っています。


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posted by Rach at 10:01| Comment(4) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも参考になる記事をありがとうございます。
レイチェルがボニーに頭を剃ることを勧めるきっかけになる
ボニー:
I think I brought back half the beach in my hair.
It was so much easier when I shaved my head.

という台詞があるのですが、どうしてもここの1文目が理解できないのですけれども、ここはどういう構造になってるんでしょうか?
レイチさんもお忙しいと思いますので無理にとは言えないでのですが、もしよろしければお時間がある時にお返事いただけると幸いです。
Posted by Potato at 2013年06月30日 12:07
Potatoさんへ
お気遣い溢れるコメント、ありがとうございます。

早速ですが、そのご質問について。
I think I brought back half the beach in my hair. の分の切れ目は、
I think / I brought back / half the beach / in my hair.
という感じでしょうか。
half the beach というのは、half of the beach という意味ですね。

この half は形容詞で、研究社 新英和中辞典では、以下のように出ています。

half 【形】 [冠詞または one's のついた名詞の前に置いて] …の半分の
用法
(1) もと名詞で, あとに of が略された用法に由来する
(2) 一般的には half a mile, half an hour の語順をとるが, また a half mile, a half hour ともなる
(3) 主語になる場合, half の次の名詞が単数なら動詞は単数扱い, 複数なら複数扱い
Half a loaf is better than no bread. 《諺》 半分でもないよりはまし.
Half his time was wasted. 彼の時間の半ばは空費された.
Half the apples are bad. リンゴの半数は腐っている.

この3番目の、half the apples と同じ感覚が、今回の half the beach ですね。
brought back つまり、bring back は「持って帰る、持ち帰る、連れ帰る」。
beach は「浜」「海水浴場」ということなので、直訳すると、「私は髪の毛の中に、浜の半分を(入れて)持ち帰ってきたと思う」になるでしょうか。
「浜の半分」というのは、「砂浜にあった砂全体の半分」みたいな、大袈裟なニュアンスでしょうね。

次の文の、「私が頭を(丸坊主に)剃っていた時は、もっとずっと楽だったわ」というのは、髪の毛の手入れの話で、「今みたいに髪の毛を伸ばしていたら、砂浜にある砂を、そう、浜の半分くらいの大量の砂を、髪の毛の中に入れた状態で持ち帰ってしまう」→「髪の毛にどっさり砂がからみついちゃって大変」と言っていることになるでしょう。
DVDの日本語訳では、
(字幕) 髪が砂だらけよ 剃ってたころは楽だった
(音声) 砂で髪がからみついてるわー。いっそのこと、剃っちゃったほうが楽よね
と訳されていましたが、まさに「髪が砂だらけ」という状態が、「髪の毛の中に砂浜半分を入れて持って帰る」ということなのですね。
この1文目の文章が、half of the beach だったら、もっとわかりやすかったように思います。

上の説明でわかりにくい点がありましたら、ご遠慮なくお尋ね下さいませ。
Posted by Rach at 2013年07月01日 13:06
丁寧な解説ありがとうございます!

half the beachのところでいきなり引っかかってたのですがお返事の説明が凄くわかりやすく、例文まで載せていただけたので私の頭でもしっかり理解することが出来ました。

「髪が砂だらけよ」や「砂で髪がからみついてるわー。」
と素直にストレートに言ってくれなくて
ちょっと洒落た?変化球っぽい言い回しが多いので、
慣れてない身としてはなかなか苦労させられます。
チャンドラーの台詞などは鬼門になることが多いです!

ですがお陰様で、頭にあったもやもやを解消することが出来ました。

貴重をお時間を割いてまでお返事いただき本当にありがとうございました!
Posted by Potato at 2013年07月01日 17:35
Potatoさんへ
こちらこそ、ご丁寧なお返事ありがとうございます。
説明をわかりやすいと言っていただけて、大変光栄で嬉しいです。

「髪の毛の中に、砂浜半分をどっさり入れて、持って帰ってきちゃった」みたいな、ちょっと洒落た表現ですよね。人気ドラマだと言うことで、ネイティブを笑わせ、うならせるようなセリフがたくさんあるわけですが、そういうネイティブレベルの笑いに少しでも近づけるといいな、と思いながら、これからも頑張って解説を続けたいと思います。

温かいねぎらいのお言葉、ありがとうございました!
Posted by Rach at 2013年07月03日 12:09
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