2009年06月12日

つらいことを忘れて前に進む フレンズ3-25その7

ロスは、ジョーイとチャンドラーに、レイチェルとボニーのどちらを選んだらいいかについて相談しています。
ロスに挨拶をして、ボニーが去っていた後、
チャンドラー: There is not one hair on that head. (あの頭には髪の毛が一本もないな。)
ロス: Hey, it'll grow back, right? And she-she's really fun, and she's cool, and-and I'm finally moving on. Y'know? I mean, getting over Rachel was so-- (makes an incoherent nasal sound), y'know? Y'know, and I'm finally feeling sane again. And now if I go up there and-and I kiss her, and, God, I wanna kiss her! And-and-and it doesn't work out, right? Do I really wanna put myself through that again? (おい、髪の毛はまた生えてくるよ、そうだろ? それにボニーはとても楽しいし、彼女はクールだし、それにそれに、僕はついに前に進み始めているんだ、そうだろ? だって、レイチェルを忘れることはとても… [支離滅裂な鼻声を出す] …だろ? 僕はやっと正気に戻れたんだ。そして今、もし(レイチェルのいる)2階の部屋に上がって彼女にキスをしたら、あぁ、レイチェルにキスしたいよ! そんなことをしてもいい結果にはならないよ。僕はほんとに、もう一度あんな(つらい)状況に自分自身を置きたいのか?)
ジョーイ: So let me get this straight. If you go with Bonnie tonight, you're doing the smart, healthy thing and moving on. (じゃあ、このことを整理させてくれ。今夜、もしお前がボニーを選んだら、お前は賢明で健康的なことをすることになり、前に進める。)
ロス: Yeah. (そうだ。)
ジョーイ: Right? And if you go with Rachel, Bonnie's free tonight? (だろ? そして、もしレイチェルを選んだら、ボニーは今夜フリーってこと?)

ボニーの頭を見て、見事にツルツルだな、と感心しているチャンドラーですが、髪の毛はまた伸びてくるから、それは問題じゃない、とロスは言っています。
ボニーという女性は楽しいし、クールだし、と言った後、僕はレイチェルとのつらい別れから立ち直って、今やっと前に進もうとしているところなんだよ、と言っていますね。

move on は「前に・先に進む」。
フレンズ3-10その33 では、
レイチェル: Ah, this is my last night working here, and I ah, just wanted say that I made some really good friends here, and ah, it's just time to move on. (あ、これが私がここで働く最後の夜です。ちょっと言いたいことがあります。ここで本当に素敵な友達が出来ました。そして、今まさに前に進むべき時なんです。)
というセリフがありました。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
move on [phrasal verb]: to forget the unpleasant events of the past and start to consider or plan the future
例) The breakup was two years ago - it's time to move on.

つまり、「過去の不愉快な出来事を忘れて、未来を考え始めること、または未来を計画し始めること」。
例文は、「別れたのは2年前だった。そろそろ(つらいことは忘れて)前に進むべき時だ。」

get over は「…を忘れる、あきらめる」。
フレンズ2-7その6 では、
レイチェル: I just want to get over him. Why can't I do that? (私はただ、ロスのことを忘れたいだけなのよ。どうしてそれが出来ないの?)
というセリフもありました。

LAAD では、get の項目と、over の項目に、それぞれ少し違った言葉で、get over の語義が説明されています。

get の項目では、
get over somebody: to stop feeling upset about a romantic relationship with someone that has just ended.
つまり、「たった今終わってしまった誰かとの恋愛関係について、動揺を感じるのをやめること」。

over の項目では、
be/get over somebody: to no longer love someone after a period of being upset about the end of your relationship with them
つまり、「ある人との関係が終わってしまったことで動揺する期間の後に、その人をもはや愛さなくなること」。

つまり、別れた人との関係をいつまでも引きずらないで、相手のことを忘れてしまう、という感じですね。
このように、get over して move on するというのは、恋愛関係の別れの後によく登場する言葉です。

レイチェルとのことを忘れるのがどんなに大変だったか、と、ロスは「うああああ」と声にならないようなうめき声を上げています。
何らかの形容詞では形容できないほどのつらさだった、ということですね。
sane は「正気の、気の確かな」で、反対語は insane です。
常識では考えられないようなことを形容するのに、insane という言葉はよく使われます。
フレンズでも何度も出てきました。
最近では、UFC への参戦をやめない恋人ピートに向かって、
モニカ: You are insane! (あなたは正気じゃないわ!)
と言うセリフがありましたね。

レイチェルと別れた後、僕はパニックで、insane な状態だった。それがやっと、sane な状態になってきているんだよ、ということです。
せっかく、彼女のことを忘れて、まともな僕に戻れたのに、またレイチェルとキスしたりしたら…と言いながら、あぁ、でもキスしたいよぉ〜!と言っています。
自分が言った kiss という言葉で、さっきのレイチェルとのキスを思い出してしまったのですね。

レイチェルにキスしても、またきっとうまくいかない、自分をまたそんな状況に追い込みたいのか僕は?と自分に対して疑問をぶつけています。

混乱するロスに対して、ちょっと整理させてくれ、というジョーイ。
ロスの言うように、ボニーを選んだ方が、賢明で健康的で、move on することにもなる、と言います。
そして、レイチェルを選んだ場合は…と、何かロスへのアドバイスになるようなことを言うのかと思いきや、ボニーは今夜、一人になる、お前がいなくなって彼女はフリーになるってことだよね?と尋ねています。

ボニーは性的に積極的な人なので、あわよくばボニーと…とよからぬことを考えているようですね。
ロスは、こんなやつに相談した僕がバカだったよ、と思っていることでしょう。

この後、ロスは2階に行き、二つある部屋の一つに入っていきます。
ロスが中にいる相手に向かって、Hi. と挨拶するところで、Closing Credits になります。
ロスは一体、どちらの部屋に入ったのか?を謎のままにして、シーズン4につなげるというクリフハンガーです。

クリフハンガーについては、これまでに何度か説明しましたが、今回は、英英辞典の語義を紹介させていただきます。
LAAD では、
cliffhanger [noun, countable] (informal)
: a situation in a story of film that is very exciting because you do not know what will happen in the next part, and you will have to wait to find out
例) the episode's cliffhanger ending

つまり、「話や映画の非常にエキサイティングな状況。なぜエキサイティングかと言うと、次のパートで何が起こるかわからない、または、それを知るのに待たなければならないから。」
例文は、「そのエピソードのクリフハンガーのエンディング」。
まさに今回のフレンズのエンディングがそれです。


(Rach からのお詫びとお礼)
今日で、シーズン3が終了しました。
シーズン3がこんなに長くなってしまって、本当に申し訳ありませんでした。
忍耐強く読んで下さった方々には、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました!
サイドバーのカテゴリー別アーカイブでは、シーズン1が146件、シーズン2が419件、そしてこのシーズン3が581件となっています。
まさに、"Are you insane?" と自問したくなるような記事の多さですね(笑)。

自分の中でいろいろと試行錯誤した結果、今は、「2週間で1エピソード」のこのペースに落ち着きました。
賛否両論いろいろあると思いますが、シーズン4以降も、今のペースで続けていくつもりです。
日曜日には、フレンズ4-1 を始めます。
シーズン4に突入できるのも、読んで下さり、応援して下さる読者の皆様のお陰です。
いつもありがとうございます。
いつまで続けられるかわかりませんが、どうか、シーズン4以降も、よろしくお願いいたします。


(Rach からのお願い)
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posted by Rach at 13:33| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
you're doing the smart, healthy thingについて

ここのsmartはEnergetic or quick in movement、vigorous or briskの意味ではないかと思われます。
Posted by Fen at 2009年06月24日 12:34
Fenさんへ
smart には「(動作・動きなどが)活発な、きびきびした」という意味があるのですね。
ですが、やはりここでは、stupid の反対語である smart で「賢明な」という意味だと思います。
ここでレイチェルを選んでも、またうまく行かないだろうとみんな思っているわけですから、ここではレイチェルを選ぶよりもボニーを選ぶ方が賢明である、というだと思います。またトラブルになるかもしれないレイチェルとよりを戻すことを考えるのは愚かだろ、ということだと思いました。
Posted by Rach at 2009年06月26日 11:55
Rachさんへ

the smart, healthy thing はエッチのことを指していると思います。
エッチなら、確かにスピードが求められるし、健康的な運動ですよね。(笑)

Rossの友達から見れば、Bonnieではなく、Rachelを選択するのは賢明だと思っているでしょう。
Posted by Fen at 2009年06月26日 12:38
Fenさんへ
ロスはレイチェルにまだ未練があるけれども、レイチェルのことを忘れられないからといって今レイチェルを選ぶと、またつらいことになる、ということもわかっている…そのことは、ロス自身の発言からわかりますね。
そのように自分の気持ちの整理がついていないロスに対して、「ちょっとお前の状況を整理させてくれ」とジョーイは言って、ボニーを選んだ場合と、レイチェルを選んだ場合の場合分けをしてみせるのですね。ボニーを選べばこうなる、というジョーイの発言は、エッチという一つの行為をさしているのではなくて、恋愛全般に関する話を言っているはずだと思います。healthy は身体に健康というよりは、精神的に健全だ、ということでしょう。レイチェルを選ぶと、また前のようにフレンズたちを巻き込んでトラブルになる可能性がある(それは賢明ではない)、ロスも精神的につらい思いをし悩む日々が続く(それは精神衛生上よろしくない)、だから、ボニーを選ぶ方が、smart で healty だと言っているのだと思います。

チャンドラーたちは、ロスとボニーが付き合うことに対して全く反対する様子はありません。(唯一それに反対しているのが、元カノでロスのことをまだ愛しているレイチェルのみ。)
ロスとレイチェルが完全に仲直りしまたラブラブで付き合い始めるとしたらそれは友達として嬉しいと思いますが、以前、二人の険悪な関係に巻き込まれて辛い経験をしているので、そういう悲惨な状況になる可能性が捨てきれない以上、無理にヨリを戻すことはすすめていないと思います。

そのようにジョーイは、ボニーを選ぶとこうなる、という結果を述べた後、レイチェルを選んだら…とセリフを続けますね。
「心の底ではまだ愛し合っている二人のことだからうまく行くかもしれないけど、でもまだ浮気のことでレイチェルはわだかまりを感じているので、また前みたいな修羅場を繰り返すことになるだけかもしれない。それを承知でレイチェルとやり直す可能性にかけてみたいって言うんなら…」というようなアドバイスをするのかと思いきや、「今夜ボニーはフリー?」という全然違ったことを言うので、ここがオチになっている、ということですね。ここがオチになっている、ということは、前半はジョーイにしては比較的まともなことを言っているということになると思います。
Posted by Rach at 2009年06月28日 07:43
遂にシーズン3も見終わりました!
でもまだ7シーズンもあるのが嬉しいです♪
そしてフレンズはブルーレイ買ってしまいました!!
huluで一度見た綺麗な画面いっぱいのフレンズが忘れられませんでした。奥さんも渋々了承してくれたようです(^^;;笑

それにしてもレイチェルの
Not because I stopped loving you!
にはウルっときましたね。こういう笑いと涙の話が好きですねー。
シーズン4からは綺麗になった画面で心機一転また楽しんでいきたいと思います。
よろしくお願いします。
Posted by かもお at 2013年02月27日 00:52
かもおさんへ
コメントありがとうございます。

そうですか、とうとうブルーレイをお買いになったんですね! 奥さまも(渋々ながら…笑)了承して下さったようで良かったです。是非その綺麗な画面を思いっきり楽しんで下さいね。

このシーズン3のラストは、ハラハラする展開でしたよね。いつもは笑い過ぎて涙が出てしまうんですが、ホロリとさせるシーンやセリフも多かったと思います。緩急、と言いますか、そういう笑いと涙のバランス具合が、フレンズは絶妙だなぁと思います。

こちらこそこれからもよろしくお願いします。
Posted by Rach at 2013年02月27日 14:56
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