2009年06月20日

「超字幕」先行体験記

ソースネクストさんの「超字幕」というソフトの先行体験をさせていただきました。
「超字幕」の公式サイトはこちら(↓)。
超字幕.com

英語学習用に作られたソフトで、英語学習者として「便利だな〜」と思う機能がいろいろ搭載されていて、大変興味深かったです。

以下、先行体験させていただけることになった経緯を説明した後、このソフトを実際に使ってみた感想を書きたいと思います。
(長い記事になってしまいました。申し訳ありません。)

6月13日(土)の日経新聞朝刊「ビジネスダイジェスト」の記事で、この「超字幕」というソフトが発売されることを知り、面白そうだな、と興味を持っていました。
その数日後、以前にメールのやり取りをさせていただいたことのある、
超有名書評ブログ 俺と100冊の成功本 の聖幸さんから、「超字幕という英語学習用ソフトが出るそうですが、Rachさんなら興味があるのでは?」というメールをいただいたのです。
「興味あります!」とお返事したところ、「超字幕」ご担当の方に私のことを紹介して下さって、今回、このように「先行体験」させていただけることになった、ということです。(聖幸さま、そして「超字幕」ご担当者の方、ありがとうございます!)
その聖幸さんの書かれた「超字幕」の記事はこちら(↓)。
俺と100冊の成功本:「超字幕」を使ってみた:好きな映画がもっと好きになるよ

6月19日発売の第1弾、17タイトルの中から1つ好きなものを選ぶことができたので、私は「ゴースト ニューヨークの幻」を選ばせていただきました。
製品は USBメモリ版とダウンロード版があり、私は郵送していただいた USBメモリ版をインストールしました。

「超字幕」の便利な機能
このソフトには英語学習に特化したソフトとして、いろいろな「売り」があります。
超字幕.com にも、詳しい機能説明が書いてあります。

私が英語学習者として特にありがたいな、と思ったのは、

1. 「英語字幕+日本語字幕」の同時表示ができる
2. 「左右分割」(左に映画のシーン、右に字幕)表示をすると、セリフの前後の字幕をスクロールして見ることができる
3. 字幕をダブルクリックすると、直接そのシーンにジャンプしてセリフが再生できる
4. 「お気に入り字幕」の画面で、単語の検索ができる

という部分でしょうか。

まず、1. の、英語字幕と日本語字幕を同時に表示できる、というのは、「これまでありそうで、なかった」ものですね。
DVD の場合は、日、英どちらかの字幕を選択しなければなりませんので、同時表示は不可能でした。

実際に、英語字幕と日本語字幕を並べたものを見てみるとよくわかるのですが(公式サイトの「機能説明」では、フォレスト・ガンプの例を使って、その同時字幕がどんなものかを見せてくれています)、英語と日本語の字幕を並べることで、英語のセリフの意味を素早く直感的に理解できるように思います。
DVD だと、一つのセリフの両方の字幕を確認するためには、「英語字幕を見る→巻き戻す→日本語字幕に切り替える」という作業をしなければなりません。
実際問題として、一つ一つのセリフごとにそんなことをしていたら埒(らち)が明かないので、DVD の場合だと、ある程度の長さを見た後で、字幕を切り替えるしか方法はありません。
それが、「超字幕」の場合は、字幕としてすでに両方を表示してくれている。
こまめに巻き戻して字幕を切り替えなくても、1つのセリフごとに両方の字幕を確認できるのは、とてもありがたいです。

2. は、まるでネットスクリプト、あるいは印刷された脚本を読むような感覚で、英語字幕(+日本語字幕)をスクロールして読める、という機能です。
これまでは、映像とスクリプトは別物で、映像を見ながらスクリプトの該当箇所を探し、それと付き合わせる、という作業が必要でした。
それが、映像とスクリプトが完全にリンクしていて、今見ている映像のスクリプトがすぐ横に表示されているわけです。

そしてそこで、面白いなと思えるセリフに出会った時は、そのセリフをダブルクリックすると、そこからそのセリフの場面が始まるという仕組み、それが、3. です。
これは画期的ですね。

私のようなブログを書いている場合、あるエピソードのあるセリフを確認したいと思った時、ネットスクリプトなどでそのセリフを探すのは、検索機能を使えばそれほど時間はかかりません。
が、スクリプトのどの辺りに出てくるセリフかわかった後、DVD で該当シーンを探し出すのが、結構面倒くさいんですよ(笑)。
それが瞬時で出来るのはとても便利です。

映画やドラマで英語を学ぶ場合、CD のようにただ音声だけを聞く、本を読むようにスクリプトの文字だけを読む、のでは、映像のある題材を使って学んでいる意味がありません。
セリフを文字化したスクリプトを読みながら、「実際の場面でそのセリフが話されている様子を”聞く、見る”」ことがとても大切なのですね。
実際にそのセリフが使われている様子を見ることで初めて、そのセリフの使いどころや微妙なニュアンスがわかるのです。
そういう意味でも、スクリプトと映像が連動している、ということは、ほんとに便利だな、と思います。

4. は、気になる単語を検索したら、その単語が使われているセリフの一覧が表示できる、という機能です。「お気に入り字幕」の機能で、「検索文字を入力」の箇所に単語を入れ、「検索」ボタンを押すと、検索結果が瞬時に表示されます。
その結果もまた、実際の映像とリンクしていて、そのセリフを瞬時に音声と映像で確認することができます。

get で検索すると、日常会話で頻出する基本単語 get がどういう形で使われているかがわかります。
また、映画「ゴースト」は、口座(account)にまつわる話が多いので、account という単語を検索すれば、「口座番号、口座開設、口座解約」などの account を使った基本フレーズをまとめて確認することもできます。

また、この映画のキーワードとなる言葉が、劇中でどのように登場しているかもわかりますね。
(「ゴースト」の内容を知らない方にはネタバレになってしまいますが)
以前、YNさんのブログ Ten Thousand Leaves の記事、映画『ゴースト』 で、サムの ditto 「同じく」という言葉がキーワードになっていることを知りました。
ずっとそのセリフを確認したいと思っていたのですが、今回ようやくそのセリフを確認することができました。
サムがゴーストになったことを信じられないモリーでしたが、ditto という言葉で、サムがゴーストとして自分のすぐそばにいる、ということに気付く、とても重要な言葉です。
それがいくつかのシーンで使われているのを、一度にまとめて確認できる、というのが嬉しいですね。
ditto のニュアンスをより深く理解することができます。


上に挙げた4つの他にも、字幕の単語にマウスを当てると意味が表示される「ポップアップ辞書」機能もあります。
いちいち辞書を調べるのが面倒くさいという方も多いでしょうから(笑)、知らない単語が出てきた時にマウスを当てるだけで意味が表示されるというのは便利ですね。


「超字幕」と DVD との比較
「超字幕」というソフトは、映画まるまる1本入っているので、内容(コンテンツ)としては映画の DVD と同じです。
違いは「日本語音声(吹替)」が入っていないことでしょうか。
私は「日本語で言うとこういう感じ」というセリフのニュアンスを掴むために、DVD の「日本語字幕・日本語音声」の両方を利用していますが、「英語学習で日本語音声は使わない」という人も多いようなので、吹替が入っていないことを納得できていれば、それで問題ないと思います。

「超字幕」の「ご注意」に明記されていますが、
「本製品に表示される日本語訳の字幕は映画用日本語字幕のため演出として部分的に意訳・省略されています。また英語字幕は英語の音声と一致しない場合があります。」
ということはきちんと認識しておいた方がいいですね。
つまり、日本語字幕は、英語のセリフの直訳ではない箇所もある、ということ、そして、英語のセリフも一字一句もれなく拾ってあるのではなく、英語字幕では省略されている部分もある、ということです。
(これは、映画の DVD でも同じことが言えます。)

「意訳されている部分がある、直訳ではない部分がある」ということで、日本語字幕を英語学習に使うことを疑問視される方もおられるのですが、そのように日本語字幕で直訳できない部分、というのは、英語を解釈するのが非常に難しい部分なのです。
そういう部分は、「へぇ、こう訳してあるのか…」と思って、最初の段階ではあまり深入りしない方がいいかもしれません。
ネイティブが娯楽として見ている映画は「容赦のない英語教材」なので、ノンネイティブである日本人の我々が「すべてを完全に」理解するのはとても難しいのです。

日常会話で頻出する基本フレーズこそ、英語字幕と日本語字幕のズレが少ないものです。
まずはそういう一言フレーズを自分の中にたくさん蓄積していくことが大切なのですね。
Thank you. や Good morning. のように、いちいち日本語に訳さなくても直感的にそのニュアンスが理解できる言葉を増やしていくことが大事です。
そういう基本フレーズがある程度聞き取れるようになってきて初めて、「意訳」された難しいパートの本当のニュアンスを追求できるレベルになったと言えるのです。

私がいつも言っていることですが、「生きた英語」を学ぶのであれば、完璧主義はやめましょう。
「わからない」ことは、「今はわからないもの」として流すことが大切です。
一つの作品を見ながら、少しずつわかる、使えるフレーズを自分の中に溜めていく、ということですね。
まずは簡単なものから、ニュアンスの掴みやすいものからトライして行きましょう。
そういう蓄積がない間に、構造の複雑な長いセリフを理解することは不可能だからです。
逆に、受験英語の英文解釈のように、そういう複雑なセリフを解釈できたところで、簡単な一言フレーズが聞こえない間は、ネイティブとの会話もままなりません。

上にも書いたように、ソフトの中に入っている映画は、日本語音声が収録されていない点を除き、映画の DVD の中身と同じです。
ですから、「超字幕」というソフトで学んでみたいと思われた方は、「自分が DVD で持っていない作品」を選んだ方がお得かな、と思います。
税込 3,490円という金額は、
DVD と同じ「映画というコンテンツ」の対価+それを学習用に特化されたソフトの中で使えることの対価
の合計金額だということです。

映画という「映像と音声付のコンテンツ」を、「文字となったスクリプト」と連動で使えるソフトは、英語学習に効果的であることは間違いないです。
パソコンにインストールして、ソフトの便利な機能を駆使しながら、生きた英語にたくさん触れることができれば、そこから非常に多くのことを学ぶことができるはずです。
英語を学ぶには、とにかく本物の英語にたくさん触れることが大切なのですから。


7月3日(金)には、第2弾として、19タイトルが発売になります。
その中になんと、「フレンズ」が入っています!!
「映画で英語は上達する」がキャッチフレーズの「超字幕」のラインアップに、海外ドラマである「フレンズ」が入っているのは、こういうブログを書いている人間として、とても嬉しいです!
ちなみに、「フレンズ」の DVD は、基本的に1ディスクに4話収録されていますが、「超字幕」では1つのソフトに3話ずつが収録されていますので、その違いにはご注意下さい。


超字幕.com では、このソフトについてとても詳しく説明されているので、興味を持たれた方は、そちらも合わせてお読みになって下さいね。
「超字幕」のようなソフトが登場することで、映画やドラマを使って「生きた英語」を学ぶことの楽しさを、多くの方に知っていただけたらなと思います。


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posted by Rach at 09:25| Comment(4) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
実はこのソフトの発売を先日知り、HPで詳細を見て大変興味を持っていました。そして一つ気になっていたのが、Rachさんもおっしゃる通りの「容赦ない英語教材」だという点です。生の英語に触れて、これまで私が覚えてきた表現はなんだったんだろう、普通に使える表現ってどれだろうという迷いがでるんじゃないかって気がしてたんですね。今日Rachさんの記事を読ませて頂いて、その辺りが解決できたように思います。

>日常会話で頻出する基本フレーズこそ、英語字幕と日本語字幕のズレが少ないものです。まずはそういう一言フレーズを自分の中にたくさん蓄積していくことが大切なのですね。

こういうことだったんですね。今の教材で学んだものが無駄になるというわけではなく、生きた会話の中でも使われていれば基本フレーズと言えるだろうし、わかるところから始めればいいんですね。

日本の教材で学習していると、こういう表現をネイティブは日常的に使うんだろうか?と思う時がありますが、まだ基礎固め段階なので、基礎をしっかりさせてから、少しづつ生の表現に触れていく方がよさそうですね。いづれ「超字幕」を使ってみたいなと思いました。先行体験記、参考になりました。ありがとう〜^^
Posted by kikka at 2009年06月21日 16:05
KIKKAさんへ
「超字幕」へのコメント、ありがとうございます。有名どころの作品ばかりで、豪華なラインナップですよね。そういう作品として魅力的なものを使う場合は、英語学習用に作られた教材ではなく、ネイティブが楽しむためのエンターテインメントであることを忘れてはいけない、と思うのです。「容赦のない英語教材」である分、難しい部分も出てきます。でもそれが本当の生の英語なのですね。

英語学習用の教材でこれまで学んでこられたことは決して無駄にはならないはずです。教材で学んだフレーズが、映画の中の生きたセリフとして使われているのを発見することで、よりしっかり自分の中に根付きます。そして、映画のセリフを解釈する際に、これまで学んできた知識は絶対に役に立つはずですから。

日本人英語学習者用に作られた教材の場合は、「こういう表現をネイティブは日常的に使うんだろうか?」という疑問が常に付きまといますね。映画の場合は、映画のキャラのあの人が、こういう時に、こういう気持ちで、こういう相手に対して使っていた、という「状況、背景」が必ずあります。日常会話で使えるかどうかの判断基準がある分、応用が利きやすいと思います。

「生の英語」はハードルが高い、というイメージがありますが、映画のセリフは本当にびっくりするような簡単なものから、ネイティブを感動させるような名セリフまで、いろんなバリエーションが揃っています。実に簡単なフレーズでも、なかなかとっさには出てこないものですから、それを自分の好きな作品の好きな俳優さんのセリフを真似て覚えられることは、やっぱり楽しいと思います。また、機会があればチャレンジしてみて下さいね。コメント、ありがとう〜^^
Posted by Rach at 2009年06月22日 09:04
字幕の同時表示だったらPowerDVDに普通についてますよ。僕は随分前から使ってます。
Posted by aaa at 2009年06月22日 23:12
aaaさんへ
貴重な情報、ありがとうございます。
早速、確認してみました。

PowerDVD には、「字幕表示機能」で「バイリンガルキャプション」という機能があるのですね。
通常の字幕で「日本語」、バイリンガルキャプションで「英語」を選ぶと、画面下部に日本語、画面上部に英語が表示されました。
おっしゃる通り、PowerDVD では、字幕の同時表示が可能なのですね。

英語学習として DVD を見る時には、PowerDVD を使っていなかったので、私はそういう機能があることを知りませんでした。情報、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2009年06月23日 08:21
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