[Scene: A street, Chip is walking Monica to his motorcycle.]
ストリート。チップはモニカを自分のオートバイのところに歩いて案内する。
チップ: Here we are. (ほら着いたよ。)
モニカ: Oh my God! You still have the Chipper! (なんてこと! あなたはまだチッパー[ザ・チッパー、あの・例のチッパー]を持ってるのね!)
チップ: The what? (ザ…何だって?)
モニカ: That's what we used to call your ah, your motorcycle in high school. Y'know a motorcycle is a chopper. And you're Chip. Never mind. (私たちは高校の時、あなたのオートバイをそう呼んでいたのよ。ほら、オートバイは chopper でしょ。そしてあなたはチップだから。(大した話じゃないから)気にしないで。)
チップ: No, I think it's cute. (kisses her) (いいや。かわいい(話だ)と思うよ。[モニカにキスする])
モニカ: Wow! A lipper from Chipper. (わぁ! チッパーから現れたリッパー[キスする人]ね。)
チップ: So you still in touch with anyone from high school? (それで、モニカはまだ高校の時の誰かと連絡を取り合ってる?)
モニカ: Umm. Well, there's Rachel, and umm, that's it. How bout you? (うーんと、そうねぇ。レイチェルがいるわ。それから、うーんと、それだけよ。あなたはどうなの?)
チップ: Oh yeah, I still hang with Simens and Zana, y'know. I see Spindler a lot. Levine, Kelly. And I run into Goldie from time to time. Stick, Brown, Sulkov, McGuire, J.T., Beardsley. (あぁ、そうだね。僕はまだ、シモンズやゼーナと遊んでるよ。ほら、スピンドラーにもよく会うよ。レビーン、ケリー。それから時々ゴールディともばったり会うな。スティック、ブラウン、ゾルコフ、マグワイア、JT、ビアーズリー。)
モニカ: Is that all? (それで全部?[それだけ?])
チップ: Ehh, y'know after high school, you just kinda lose touch. Oh yeah! I ran into Richard Dorfman. (あぁ、ほら、卒業後は、連絡が途絶えたりするもんだろ。あぁ、そうだ! リチャード・ドーフマンにばったり会ったよ。)
モニカ: Ohh, how is he? (まぁ、彼はどうだった?)
チップ: Not so good. Me and Simens gave him a wedgie. (そんなにイケてなかったよ。俺とシモンズとであいつにウェッジーをしてやったんだ。)
モニカ: Isn't he an architect now? (彼は今、建築家じゃないの?)
チップ: Yeah, they still wear underwear. (そうだね。でも彼ら[建築家たち]は今でもパンツははいてるよ。)
高校生の頃、モニカたち女子高生は憧れのチップのオートバイのことを Chipper と呼んでいたそうです。
モニカ自身が説明してくれていますが、chopper には「(改造)オートバイ、ヘリコプター」などの意味があります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
chopper [noun] [countable]:
1. (informal) a HELICOPTER
2. a type of MOTORCYCLE on which the front wheel is in front of the HANDLEBARS instead of underneath them
つまり、1. は「ヘリコプター」、2. は「前輪が操作バーの下にある代わりに、操作バーの前にあるタイプのオートバイ」。
Wikipedia 英語版: Chopper (motorcycle)
前輪がかなり前に突き出たタイプのオートバイ、という感じでしょうか。
フレンズ2-12その10 では、
ジョーイ: Right, they choppered me in. (確かに。ヘリで送ってもらったんだ。)
というセリフがあり、「ヘリコプターで(人)を送る」という他動詞として使われていました。
A lipper from Chipper. について。
lip を他動詞として使うと、「…に唇を当てる、触れる」という意味になるようです。
つまり、「キスする」ことを表しているようで、a lipper は「(ある一人の)キスする人」みたいなことでしょう。
この from のニュアンスで悩んだのですが…。
「チップからのキス、チップからキスされた」だったら、A kiss from Chip! となるでしょうか。
A lipper from Chip なら「チップがリッパーになった、チップからリッパーに変わった」のように解釈できるかもしれませんが、Chipper は、やはりこの流れでは、「チップ専用オートバイ」ですよね。
from には「…出身の」という意味がありますので、Chipper からやってきた、のような「出所、起源、由来」を表すニュアンスで、from Chipper は「チッパーからやってきた、出てきた、チッパーから登場した、チッパーに乗ってやって来た」ということかな、と思いました。
「チッパーのリッパー」と簡単に訳してしまってもいいかもしれません。
lipper と Chipper で韻を踏んでいるのですね。
lipper はモニカの造語っぽいですが、ちなみにこれが ripper だと「引き裂く人」「バラバラ殺人犯」になります。
Jack the ripper はイギリスの有名な連続殺人鬼「切り裂きジャック」ですね。
チップはモニカに、高校の時の友人の中で連絡を取り合っている人はいる?と質問します。
モニカはしばらく考えて、結局、レイチェルだけだと答えます。
「あなたの方はどう?」と尋ねられたチップは、非常にたくさんの友達の名前を答え、それに対してモニカは、Is that all? と返していますね。
Is that all? を直訳すると「それが全部ですか?」で、「(たった)それだけ?」のようなニュアンスでよく使われます。
「それで全部だとしたら少なすぎるんじゃないの? もっとあるんじゃないの?」というニュアンスですね。
今回のやり取りの場合は、高校時代の友人と数多く連絡を取り合っているチップの話を聞いて、そのあまりの数の多さにモニカはびっくりしているわけですが、そこを「すごくたくさんいるのね」とは言わずに、その驚きを隠して(多少の皮肉も込めて?)「それだけなの?」と返したようです。
あるいは、あまりの多さに「さすがにそれで全部よね。それ以上の名前は出てこないわよね。」というニュアンスで言った可能性もあります。
いずれにしても、モニカはチップの挙げた友人の数に驚いているわけですが、チップは Is that all? を「それだけなの?(意外と少ないわね)」というニュアンスに素直に受け止めて、「まぁ、確かに少ないかもしれないけど、卒業したら昔の友達とは疎遠になって、音信不通になったりするものだから、自然とこれくらいの少ない数になっちゃうんだよね。」みたいに返事しているわけです。
数の多さにモニカが本当はあきれているのに、チップはそれに気付いていないのですね。
その後、リチャード・ドーフマンという友達にばったり出くわした話をしています。
How is he? と聞かれて、Not so good. と答えたのは、He's so great. ではなかった、という感じでしょう。
「立派ないい男になってたよ」じゃなくて、「イマイチな感じだった」と言っているようです。
それで give him a wedgie をしてやった、と言うのですが…。
wedgie は「相手のお尻にパンツを食い込ませる」という、いたずらのことですね。
フレンズ2-20その10 で詳しく解説したことがあります。
ヌギーとウェッジー フレンズ3-5その19 でも触れました。
その過去記事の時は知らなかったのですが、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) にも、wedgie の語義が載っていました。
wedgie [noun] [countable] (slang):
the situation of having your underwear pulled too tightly between your BUTTOCKs (= parts of your body sit on), or the action of pulling someone's underwear into this position as a joke
つまり、「下着をお尻の間に非常にきつく引っ張られる状況、またはジョークとして、人の下着をこの位置に引っ張る行為」。
いじめっ子が弱い子をいじめるようなことをして…という感じで、「そんな子供じみたいたずらをしかけたの? 彼は今、立派に建築家をやってるって聞いたけど…」みたいなことをモニカは言います。
チップは、「確かに彼は今、建築家だけど、建築家になっても、高校の時みたいに、下着・パンツははいてるからね。」と答えています。
they は architects 「建築家たち」を指していると思います。
建築家になったからって、下着をつけないわけじゃないから、高校の時と同じように、ウェッジーをしてやることができるんだよ、という感じですね。
建築家として一人前に仕事をしている人間に対してウェッジーをするの?とあきれて尋ねているのに、大人になってもパンツははいてるからウェッジーはできる、と答えている、そのトンチンカンさが面白い、ということなのでしょう。
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間違えてシーズン7の代わりに8を買ってしまったのですが、
結局そのまま10まで見終わって、今から飛ばしてしまった4と7を見ようとしています。
自分でも何をやっているのかよく分かりませんが、とにかくブログ楽しませて頂きます。
Is that all? のあとの youはgeneral you で訳されてますよね?
自分は最初この部分を観た時にはyouはモニカを指していて、"キミは疎遠になってしまったね"ととってしまいました。
普段の会話でもたまに出てくるこれにとても悩まされます。自分で使うのにも抵抗があってついpeopleを使ってしまいますが、やはりyouのほうがnativeらしいのでしょうかね。
こんにちは。コメントありがとうございます。
「間違えて8を買ってしまった」というお話は、シーズン8へのコメントでおっしゃっていましたね^^
飛ばしてしまった4と7も是非楽しんで下さい(^^)
you just kinda lose touch の you は「一般の人」(people in general)で、なおかつ、一般の人を主語にすることで、自分自身をも含めて語っている感覚になるだろうと思います。
you を「(話し相手である)あなた」と訳すかどうかの判断は、文脈から行うことになりますが、今回の話の流れだと、Is that all? 「それだけ?」と言ったモニカの言葉を、チップは文字通り受け止めて、y'know = you know 「ほら、わかるでしょ」みたいな言葉も挟みながら、「僕もそうだけど、人は卒業後は、人との連絡が途絶えたりしちゃうもんだよね」という、「一般的な人の傾向」を「現在形」の lose (touch) で語っているのだろうなと思いました。
you なんて、一番簡単な単語の一つに挙げられると思うのですが、ネイティブがこういう you の使い方をしているのに気付いたのは、本当にフレンズのような「生きた英語のセリフ」に触れてからでした。文脈から考えて「あなた」と訳すと、何だか話が繋がらないな、、と思うことが、大切な「気づき」なのでしょう。
こういう you について語った過去記事、
主語youで自分の体験を語る フレンズ1-5その7
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471801.html
では、週刊STのコラムからの引用で、
people は「自分以外の世間一般の人たちを指す」感じ。
という説明を引用させていただきました。
「あなたも、そして私も含めて、人っていうのはみんな」という感じを出すには、you が最適だということなのでしょうね。
Loseが現在形になっている所やyou knowという所もヒントになっているんですね。よく分かりました。
過去記事で説明されている、one, I, we, you, people の違いの部分もとても参考になりました。ありがとうございました!(^^)
インタビューの場面での返答をイメージするとわかりやすいですね。
こちらこそ、ご丁寧なお礼のお返事ありがとうございます。
このような you の使い方は、海外ドラマのセリフや、インタビューの答えなどに、実によく登場するので、リンク先の過去記事を書いたのですが、参考になったと言っていただけてとても嬉しいです(^^)
面白そうなものを2題あげました。
(1)readyの使い方
形容詞、名詞だと思うのですが・・・
13:13 So, Monica ready yet?
13:30 So, Monica about ready?
(2)Theyはarchitectsとありましたが、
両足の可能性はありませんか?
15:31 How is he?
-Me and Simens gave him a wedgie.
-Isn’t he an architect?
-They still wear underwear.
ご質問ありがとうございます。
(1)
最初の Monica ready yet? は Monica is ready yet? の be動詞が省略されているので、ready は形容詞ですね。
about ready の方も ready は形容詞だと思います。この about は「(名詞)について」という意味ではなく、「ほとんど、だいたい」という副詞で「だいたい準備できてるかな?」ということだろうと。
レイチェルとの会話から早く逃れたくて、「モニカはもう準備できてるかな?」「ほとんど準備できてるよね?」のように言っているのでしょう。
(2)
they はやはり architects だと思います。「両足がパンツをはく」のように足が主語にはならないと思うので。
「(彼はもうあの頃のような子供じゃなくて)今は(立派な職業を持つ大人の)建築家でしょ?」というニュアンスで Isn't he an architect now? と言ったモニカに対し、「建築家ってっていうのは(建築家という人たちは)今でもパンツをはいてるから」と複数形にすることで、その職種の人々の一般的な状況を述べたことになると思います。
「彼は今でもパンツをはいているかどうか」ではなく、「建築家なのに?」と言ったモニカに対して「建築家もみんなパンツはいてるだろ(だからウェッジーできちゃうんだよ)」のように返したということで、モニカが「建築家」=「職業を持つもう立派な大人」というニュアンスで言ったことが全くわかってないことが見て取れるという面白さだと思います。
形容詞を修飾する副詞[about]は意識したことが
なかったように思います。
ありがとうございました。
ご丁寧なお礼のお返事、ありがとうございました。