エンターテインメント・センター(ジョーイの作った棚)を買いに来た男性に、「大人一人が中に入ることができる(ほど大きい)」ことを証明しようとして、自ら棚の中に入ってみせたジョーイ。
中に入っている時に、つっかい棒をされて閉じ込められ、部屋の中の高価な品々を全部盗まれてしまいました。
[Scene: Chandler and Joey's, Rachel, Phoebe, and Julio are consoling Joey and Chandler.]
チャンドラーとジョーイの部屋。レイチェル、フィービー、ネコのフリオがジョーイとチャンドラーを慰めているところ。
レイチェル: Wow! They really got you guys. Your TV, the chairs. (まぁ! あなたたち、すっかりやられちゃったわね[大変なことになったわね]。あなたたちのテレビも、あの椅子も。)
フィービー: Oh yeah, your microwave, the stereo. (えぇ、そうね。あなたたちの電子レンジに、あのステレオも。)
ジョーイ: (looking through a deck of cards) Aww, man, he took the five of spades! Oh, no-no-no, here it is. ([1組のトランプをチェックしながら] あぁー、なんてこった。あいつはスペードの5(のカード)を持っていきやがった! あぁ、違う違う違う、ここにあった。)
モニカ: (entering) Oh my God! What happened? ([入ってきて] なんてこと! 何が起こったの?)
チャンドラー: Oh, umm, Joey was born, and then 28 years later, I was robbed! (あぁ、そうだな。ジョーイが生まれた。そしてそれから 28年後に、俺は(所持品を)盗まれたんだ!)
レイチェル: (to Monica) So how was your date? ([モニカに] それでデートはどうだったの?)
モニカ: Well, y'know how I always wanted to go out with Chip Matthews in high school? (そうねぇ、あなたは私が高校の時いつも、どれほどチップ・マシューズとデートしたがっていたかを知ってるでしょ?)
レイチェル: Um-hmm. (えぇ。)
モニカ: Well, tonight, I actually went out with Chip Matthews in high school. (そうなの、今夜、私は実際に、高校の時のチップ・マシューズとデートしたのよ。)
レイチェル: Oh, honey, I'm sorry. (まぁ、ハニー。同情するわ[かわいそうに、残念だったわね]。)
モニカ: No, it's okay. Not only did I get to go out with Chip Matthews, I got to dump Chip Matthews. (いいえ、いいのよ。私はチップ・マシューズとデートしただけじゃなくて、彼をふることも出来たんだから。)
レイチェル: Ohh! That's so great! (まぁ! それって超最高ね!)
モニカ: I know! (そうでしょ!)
ロス: (entering) Hey! So ah, what did the insurance company say? ([入ってきて] やあ! で、保険会社(の人)は何て言ってた?)
チャンドラー: Oh, they said uh, "You don't have insurance here, so stop calling us." (あぁ、こう言ってたよ。「あなたはうちの会社で保険に入っていないから、うちに電話するのはやめてくれ」って。)
高価な家電製品、そしてお気に入りの椅子まで根こそぎ持っていかれたジョーイ。
こんな緊急事態になぜかトランプを手にしていたジョーイは、スペードの5がない!、スペードの5まで盗んでいったのか?と騒いでいます。
が、すぐにそのカードは見つかり、盗まれたと思ったのはジョーイの勘違いだとわかるのですが…何かのいたずらか愉快犯ならともかく、トランプのカードを1枚盗んでいくやつなんかいないってば(笑)。
すっからかんになった部屋を見て、モニカはびっくりしています。
それに対してのチャンドラーの説明が面白いですね。
ジョーイという人間がこの世に生まれてきたために、その28年後に(∵今、ジョーイが28歳だから)、同居していた俺までが被害に巻き込まれた!という感じです。
盗んだやつが悪いとか、運が悪かったとかではなくて、ジョーイの存在そのものが、今回の窃盗を許してしまった、というニュアンスですね。
お前が自分からすすんで棚に入ったりするから、こんなことになっちまったんだよ!という怒りです。
I was robbed. について。
これは受動態ですが、rob という他動詞はこのように、目的語に人を取ります。
rob somebody of something で「人から、物・金などを強奪する」という意味になり、強奪された「もの」が of の後に来ます。
今回のように TV を盗まれた場合は、He robbed me of my TV. それを受動態で表現すると、I was robbed of my TV. という形になります。
rob my TV のように rob の後に直接「もの」が来ないことに注意しましょう。
ものが目的語にならないので、My TV was robbed. という受動態にもなりません。
rob the bank なら「銀行を襲う、銀行強盗する」ですね。
盗む系の単語で意味がよく似た steal との違いは、以下の説明がわかりやすいと思います。
研究社 新英和中辞典の steal の項目には、
類語:steal は他人のものをこっそり盗む、rob は脅し・暴力を用いて奪う
と出ています。
帰ってきたモニカに、デートの様子を尋ねるレイチェル。
モニカは、高校の時、自分がどれほどチップとデートしたいと思っていたかを言った後、今夜、私は本当に実際に「高校の時のチップ」とデートした、と言っています。
つまり、チップは高校生の時と全く変わっていなかった、ということです。
私くらいの年齢になると、「高校の時と全く変わってないね」とか言われるのは、ある意味、褒め言葉なのですが(笑)、モニカが言いたいのは、チップはいつまでも高校生のノリで、年齢相応の素敵な大人の男性になっていなかった、という意味ですね。
モニカの発言を聞いて、そのことに気づいたレイチェルは、「せっかく、憧れのチップとデートできたのに、彼は相変わらず子供のままだったのね。かわいそうに。」という感じで、I'm sorry. と慰めます。
ですが、モニカはそれを残念に思ってはいないようです。
高校の時と立場が逆転し、大人の男としてあまりにも魅力がないチップを、モニカはふってきたのですね。
高校の時にチップに対して恨みがあったレイチェルも、モニカのしたことを「でかした!」と言わんばかりに喜んでいます。
今度はロスが入ってきて、「保険会社の人は何て言ってた?」と尋ねています。
多分、ロスが「盗難にあったのなら、まずは保険会社の人に電話してみたら?」とアドバイスでもしたのでしょう。
その結果を尋ねたのですが、チャンドラーの返事によると、チャンドラーたちは、盗難保険には入っていなかったようですね(笑)。
(Rach からのお願い)
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そして又しても感じてしまうスポックの決め台詞「論理的だ」
こう感じずにはいられません 英語の構造というものが、、、これが面白さであり、勉強という苦役より、むしろパズル感覚で長続きできるのかもしれません。
つまり 奪う 行為の対象は、あくまで人( A )であり、その所属物の物(B)はあくまで従属的ということなんでしょうね!
そんな風に解釈しました まことに理にかなった文法構造です
「rob 目的語 人」というキーワードの組み合わせで検索すると誠に面白い記事にいっぱいヒットしました。
そこでまた新たな疑問が出て次を検索と、、、こういう謎学の旅がネットの最大の素晴らしさです
そのきっかけを、いつも与えてくれるこのサイトに感謝いたします
同じ理屈で・relieve A of B (Bを取り除いてAを安心させる) cure A of B (AからBを治す←AからBという疾患を取り除く)
ease A of B (Bを取り除いてAを楽にする などもネット漂流で分かりました。
この関係って前に質問した touch him on his hand と同じですね!
つまり触る対象の主体は あくまで彼であり、その手は、あくまで彼に従属してるものという解釈 このときも論理的だと感心した覚えがあります
そして似て非なるsteal は 目的の対象は人ではなく物なんですよね! 面白い それで、こんな仮説を立てました
rob は「(有無をも言わさず)奪い取る」、 つまり前提として人ありき だから人が前面に出る →人が対象
steal は「(気づかれずにこっそり)盗む 前提は人がいない(居たとしても無意識) ゆえに対象は物となる
理屈好き人間が理屈をこねてしまいました どんなものでしょうね(笑)
そうですね。英語は論理的な言葉だと思います。「パズル感覚」という表現もよくわかります。
関係代名詞のように一つのピースを移動させるところは、パズル的であり、また数学的であるとも思います。日本語に置き換えるのではなく、英語のそういう構造的な感覚を掴むことが、英語を身に付けるのに必要なのでしょうね。
relieve, cure, ease など、どれも「人から何か悪いものを取り除いて楽にしてやる」的な意味が感じられますね。その動詞の対象はあくまで人である、というのが、人を強く意識する英語らしい感覚なのでしょう。
日本語では「ものを盗む」という感覚が強いですよね。でも英語では、単語によって対象となる目的語が異なるのが興味深いです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
steal: TAKE SOMETHING
to take something that belongs to someone else
つまり、「他の誰かに属しているもの[他の誰かの所持品]を取ること。」
主語以外の別人の持ち物である、という前提はあるけれども、あくまで対象は「もの」である、ということですね。
立てていただいた仮説も、まさにそういうことだろうと思います。
rob は人ありきで、steal はものありきですね。
steal は「人に気づかれないようにこっそり」行うわけですから、動詞の対象が人であってはいけない、ということになるのでしょう。
目的語に人を取るか取らないか、というのは、他動詞を覚える時に重要となる知識ですが、逆に「目的語に人を取るか取らないか」を見ることで、その動詞の持つ基本的なニュアンス、つまり、「人を襲って強奪する」のか「人に気づかれずにこっそりものを盗む」のか、ということをよりはっきり認識できる気がします。
興味深いお話、ありがとうございました。