ゴミ捨ての方法がわからなかったレイチェルは、アパートの管理人であるトリーガーに皮肉を言われて、泣きながら帰ってきます。
それを許せなかったジョーイは、トリーガーの部屋に文句を言いに行くのですが…。
[Scene: Treeger's apartment, Joey knocks on the door and Treeger opens it.]
アパートの管理人トリーガーの部屋。ジョーイがドアをノックするとトリーガーがドアを開ける。
トリーガー(Mr. Treeger): Tribbiani. Hold on. I'll get the plunger. (トリビアーニ。ちょっと待て。トイレの吸引具(パコパコ)を取ってくる。)
ジョーイ: Hey! You hold on, pal! Now you made my friend Rachel cry. So now, you're gonna go up there and you're gonna apologize to her, unless you want me to call the landlord. (おい! 待つのはあんたの方だよ! 今、俺の友達のレイチェルを泣かせたな。だから今、上へ行ってレイチェルに謝れよ。もし俺が大家さんに電話するのを望まないんだったらな。)
トリーガー: And tell him what? (それで大家さんに何て言うんだ?)
ジョーイ: Maybe you haven't heard of a little something called "not making girls cry." (多分、あんたは「女の子を泣かせない」っていうやつを聞いたことがないんだな。)
トリーガー: Yeah. Well, maybe you haven't heard of something called the Rent Stabilization Act of 1968. (ほう。それじゃあ、多分、あんたは 1968年の家賃安定化条例ってやつを聞いたことがないんだな。)
ジョーイ: I have actually not heard of that. (俺はほんとにそんなのは聞いたことがないね。)
トリーガー: Yeah, well, your friends are in violation of it. I've been a nice guy up until now, but uh, I don't need this grief. I'm gonna call the landlord and tell him that Monica is illegally subletting her grandmother's apartment. Your friends are outta here, pal. (そうだな、あんたの友達はその条例に違反してる。今までは俺も(意地の悪いことをしないような)いいやつでいたが、こんな面倒はごめんだ。俺が大家さんに電話して、モニカがおばあさんのアパートを違法に又貸し(サブレット)している、って言うぞ。君の友達はここを出て行くんだ[出て行くことになるんだ]。)
ジョーイ: Why don't you tell me something I don't know? (He storms out, and once Treeger closes the door behind him, Joey mouths "Oops!") (俺の知らないことを(そうやってもっと)言ってたらどうだ? [ジョーイは勢いよく出て行く。そしてトリーガーがジョーイの後ろでドアを閉めた時、ジョーイは声には出さずに「しまった!」と言う])
plunge は「突っ込む、突き刺す」という意味の動詞です。
またビジネス英語では「(売り上げや株価などが)突然下がる、急落する」という意味でよく登場します。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
The company's profits plunged by 60 percent. 「その会社の利益は 60パーセント減少した。」
という例文が出ています。
今回の plunger という名詞は、トイレが詰まった時などに使う、柄の先にゴム製の吸引カップのついた吸引具、俗称(?)パコパコのことですね。
トイレの中に「突っ込む」から plunger という名前なのでしょう(多分)。
ジョーイが来たのを見て、何の用事かとも聞かずに、plunger を取って来るから・・・と奥に戻ろうとするトリーガーが面白いです。
ジョーイがトリーガーを訪ねてくる用事といえばこれしかない、というくらいにこれまで何回も plunger を借りに来ていることがこのトリーガーのセリフと行動でわかる、という仕組みです。
これまでどんだけトイレを詰まらせたんだよ!という感じですね(笑)。
Hold on 「そこでちょっと待ってろ」みたいに言われたジョーイは、Hey! You hold on, pal! と返します。
同じ hold on という言葉を使って、「待てよ、と言いたいのは俺の方だ、待つべき人間はあんただよ」という感じですね。
文頭に You のついた、強い調子の命令形になっています。
そんな用事で来たんじゃないから、勝手に奥に戻らずにここにいて俺の話を聞け、というニュアンスでしょう。
now という言葉を2回使って、今、レイチェルを泣かせたから、今すぐ彼女に謝れ、と言っています。
unless はこれまでフレンズに何度も登場していますが、ここでのニュアンスは、「もし大家さんに電話して欲しくなければ」「大家さんに電話して欲しい、って言うんなら、話は別だけど」という感じですね。
レイチェルに謝らないんなら、俺は大家さんに電話するぞ、それでもいいんだな?という脅しです。
何て電話するつもりだ?と内容を問われたジョーイは、Maybe you haven't heard of a little something called "not making girls cry." と答えます。
not making girls cry は、making girls cry 「女の子を泣かせること」という動名詞を否定した形だと思います。
a little something called "not making girls cry" を直訳すると、「「女の子を泣かせないこと」と呼ばれるちょっとした何か」みたいになるでしょうか。
「女の子を泣かせるな」っていう決まりや常識みたいなものを、あんたはこれまで聞いたことがないのか?、そんな当たり前のことも知らないのか?という感じですね。
それに対してトリーガーは、全く同じような文章を使って、別の話を持ち出します。
maybe you haven't heard of something called... という文章はジョーイのセリフと同じもので、「そんなことを言うあんたこそ(そっちこそ)、…ってのを聞いたことがないようだな」ということですね。
そんなことよりももっと大事なことがあるのに、それに気付いてないのか?というニュアンスです。
ジョーイは本当にその条例を知らなかったようですね(笑)。
「そんなもん、知るかよ」みたいに開き直られて、どう説明したらいいか困って、一瞬絶句するトリーガー。
その条例を知っていたら話が早く済むのに、こちらの脅しが全然通じてない、というか、意味がわからないようなので、肩透かしを食らった感じでしょうか。
Rent Stabilization Act of 1968 「1968年の家賃安定化条例」については、約2年前の記事、家賃安定化条例 フレンズ3-6その16 で触れています。
家賃安定化条例の内容については、過去記事でも引用させていただいた、週刊ST 2003年4月25日号 での以下の説明が大変わかりやすいです。
ニューヨークは家賃統制によって賃貸料を更新する上限が定められており、同じ建物に長く住む人の家賃は安く抑えられている。
つまり、モニカのアパートは、まだおばあちゃんの名義のままであり、いまだにそのおばあちゃんが住んでいることになっているから、家賃が安く抑えられたままである、ということです。
別人が住んでいるのに家賃は安いまま、その状態で又貸し(サブレット)、つまり別人とルームシェアまでしている、そのことも違法になるようですね。
大家さんに電話してやる、なんて息巻いているけれど、大家さんに真実が知れるとマズいのはそっちの方じゃないのか?、そんなことも知らずにあんたは怒鳴り込んできたのか?ということです。
ジョーイも使っていた、pal 「あんた、お前」という呼び掛け語をトリーガーも使っていますね。
そっちがそう言うのなら、こっちだってこう言ってやるさ、どうだい、あんた!みたいな感じのお返しです。
I don't need this grief. について。
grief は「深い悲しみ、嘆き、悲痛、悲嘆」という意味の他に、「悩みの種、トラブル」という意味もあります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
grief [noun]:
4. [uncountable] (informal) trouble or problems
つまり、「トラブルまたは問題」。
ジョーイは「俺の知らないことを言ってたらどうだ!」みたいな捨てゼリフを残してドアを閉めますが、ドアを閉めたあと、「やばっ!」みたいな顔をしています。
相手の目の前では強気な態度のままでしたが、ヤブヘビだったことに気付いて焦っている顔ですね。
(Rach からのお願い)
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2009年07月28日
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